専門的・技術的な質問の詳細と回答(屋内運動場関係)

2.その他の質問

No.1

質問

文部科学省の「屋内運動場等の耐震性能耐震診断基準」に基づいて耐震診断を進めております。同上診断基準に関係します「学校施設の耐震補強マニュアルS造屋内運動場編2003年改訂版」に記載されている事項についてです。同書の223ページに記載されています高力ボルト接合部を溶接で補強した場合の接合部の最大耐力の算定ですが、高力ボルト接合部の最大耐力の計算値と補強溶接部の最大耐力の計算値を合算して求められています。このような場合、高力ボルト接合部のすべり耐力と溶接部の最大耐力を合算すべきであるという意見(補強効果はほとんど期待できない)もあり、内部の意見調整に苦慮しています。そこで高力ボルト接合部と溶接部の最大耐力を合算することについて、ご見解なりご意見なりをお聞かせ願いませんでしょうか。

回答

実験などによれば、混合接合の耐力はすべり耐力と溶接耐力の和にすればよく、ご指摘の通りですが、補修においては、すべりの生じた後ですべり耐力が期待できないことがあります。この場合、ボルト接合破断耐力の不足を溶接の付加で補うしかないため、高力ボルト接合部の最大耐力と溶接部の最大耐力を合算しています。また、山形鋼がボルト接合される場合、接合部の作用力の偏芯によって生ずる局部的な曲げによってボルト接合部の破断が起きることが多くあります。溶接を付加することによってこの偏芯を緩和できることも考えられます。

No.2

質問

耐震診断のコンクリートコア採取について、建築年度が同じで2階建て屋内運動場の場合(2階はギャラリー)は、1階で3本、2階(ギャラリー)で3本採取すればよろしいのでしょうか。

回答

建物全体の強度が推定できると考えられる箇所を選定し、各階ごと、各施工時期ごとに3本以上のコアを採取します。ギャラリー部分でコンクリートの打ち継ぎを行っている場合は、層ごとに3本以上(1階、2階で各3本以上)採取してください。

No.3

質問

山間部の傾斜地に建つ体育館の耐震診断について質問です。通常の体育館とは異なる点は傾斜地に建つことから、1階床下にもRCの架構があります。基礎についても異種構造(杭基礎と直接基礎)となっております。
以上の経緯を踏まえ以下の点について、教えてください。

1.診断対象に基礎及び傾斜地立地に対する内容を含まなくて良いですか。

2.上記が不可の場合、準拠すべき基準がないことから、文部科学省としての耐震化促進の中での、このケースの法に準拠するような方法について教えてください

回答

一般に、このような建物の耐震診断は一体として行なうのが原則です。従って、耐震診断のための計算も一体として行うことになります。しかしながら、構造が複雑で一体として計算を行うのが困難な場合には、境界部分(接合部分)での変形の適合と力のつり合いを考慮して、便宜上、上部構造と下部構造を分けて計算を行ない、それらの結果をもとに総合的に耐震性を判断することも実用上は可能でしょう。ただし、境界部分(接合部分)での変形の適合と力のつり合いをどのように考慮すればよいかは、建物ごとに異なりますので、力学の原則に立ち帰り、個々に判断すべきです。

No.4

質問

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学校施設の耐震補強マニュアルS造屋内運動場編(2003年改訂版)P234~より、C設計例3(Rタイプ)の補強方法について、外壁部がRC造でRC造の柱の上に鉄骨の梁(またはトラス)が乗る場合、鉛直荷重時の応力として支点にX1という推力がかかります。これに対して考慮する必要は無いのでしょうか。
この鉄骨の梁(またはトラス)は既設の場合や架け替えの場合もあります。もし、考慮するとなると、このX1という推力は片持ち柱とした柱頭にかかり、柱脚に大きな曲げモーメントがかかることになります。

回答

ご質問の箇所については、要点のみが簡略に示されており、全ての検討項目が挙げられているわけではありません。鉛直荷重の影響を無視して良いわけではなく、鉛直荷重+水平荷重という実際に作用する外力条件の下で検討しなければなりません。例えば223ページからのRSタイプの補強設計でも鉛直荷重の影響は考慮されています。補強設計はケースバイケースですので、あらゆる例を網羅できませんことはご了解ください。

 

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大臣官房文教施設企画・防災部参事官(施設防災担当)付

(大臣官房文教施設企画・防災部参事官(施設防災担当)付)

-- 登録:平成22年10月 --