公開利用研究とは、6か年の中期計画に基づく南極地域観測事業の枠外で実施される計画で、研究者の自由な発想に基づく研究や技術開発を機動的に実施するものである。これは平成21年度の第51次観測隊における試行を経て、第8期計画初年度の第52次隊より正式に実施を開始し、第9期においても取り組みを継続している。
第58次隊では、現地観測を担当する同行者派遣を伴う計画と、同行者派遣を伴わない委託課題併せて4件の申請があった。
応募された計画について、極地研対応部会における専門的な審議をふまえ、南極観測船「しらせ」や昭和基地などの施設・設備の利用可否や観測隊の全体計画にもとづいて、国立極地研究所南極観測センターが当該観測隊長等とともに実行可能性などを検討した結果、3件の課題を実施することとした。
南極観測第8期において実施実績があり、9期においても継続的な要請が寄せられている委託課題については、要請元である国内外の大学等研究機関と国立極地研究所との協定等に基づき、実施課題として当該隊へ引き渡される。
第58次隊では1件の申請があり、申請元と国立極地研究所との協定のもと、極地研対応部会における専門的な審議をふまえ、国立極地研究所南極観測センターが当該観測隊長等と検討した結果、これを実施することとした。
番号 |
課題提案者 |
極地研 |
課題名 |
研究期間 |
実施区分 |
担当者 |
採否 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
氏名 |
所属・部署 |
|||||||
1 |
久慈 誠 |
奈良女子大学 |
気水圏 |
しらせ搭載全天カメラ観測による南極航海中の雲の出現特性 |
夏期間 |
委託 |
林 政彦 |
採択 |
2 |
柴田 明穂 |
神戸大学 |
南極観測委員会 |
現場主義の南極条約体制研究:科学と国際法のインターフェイス |
夏期間 |
派遣 |
本人 |
採択 |
3 |
西村 浩一 |
名古屋大学 |
気水圏 |
吹雪の広域自動観測と時空間構造の解明による南極氷床の質量収支の定量的評価 |
夏期間 |
派遣 |
― |
提案取り下げ※ |
4 |
小川 貴代 |
理化学研究所 |
南極観測委員会 |
昭和基地における省電力光源を用いた水生栽培試験 |
越冬期間 |
委託 |
江尻 省 |
採択 |
※実行可能性を検討した結果、58次実施の提案としては取り下げ。59次以降の実施可能性について改めて検討することとなった。
1 |
ジョエル・カブリエ |
オーストラリア気象局 |
気水圏 |
海面漂流ブイによる南大洋の観測(オーストラリア気象局のブイ投入) |
夏期間 |
委託 |
清水 大輔 |
採択 |
現地観測が終了した課題については、自己点検をもとに専門部会や所内委員会で報告や問題点の検討を行い、申請から評価まで一連のシステムとして推進する。
研究開発局海洋地球課
-- 登録:平成28年11月 --