南極地域観測事業

第50次南極地域観測隊越冬隊の現況

(平成21年2月)

門倉越冬隊長以下28名は、第49次越冬隊から越冬業務を引き継ぎ、全員元気に越冬観測を実施している。

(天候)

 2月の気象は、上旬から中旬前半にかけては晴れの日と曇りや雪の日が繰り返し、中旬後半から下旬にかけては曇りや雪の日が多かった。20日から21日にかけては暴風雪となりA級ブリザードが記録され、越冬隊初の外出禁止令が発令された。特に20日には最大平均風速47.4m/s(観測史上1位)、最大瞬間風速54.3m/s(2月としては観測史上1位)を記録した。こうした天候の影響もあり、基地前の海氷上は雪で覆われておりパドルの発達や開水面は見当たらない。陸上は積雪で覆われドリフトの発達が見られた。

(基地活動)

 1月29日午前、第49次隊との越冬交代式を行い、基地の観測業務と施設・設備の管理運営を引き継いだ。その後も天候不良のため、第49次隊、第50次夏隊と豪州側の関係者は2月2日まで基地に留まったが、第50次越冬隊は1月30日に居住棟に移動し、15日からは越冬隊夏日課に移行した。安全面では第1回目の消火防災訓練や第1回施設安全管理点検を実施し、ライフロープや標識用旗竿も整備した。また、安全に関する各種指針の見直しを行い、50次隊の現状に即した改訂を進めた。隊全体に関わる作業としては、100kℓ、130kℓの各水槽の清掃を行った。アウトリーチ活動としては、国内との間で電話交信一回、TV会議システム利用の交信を2回実施した。

(観測部門)

 観測関係では、定常観測、モニタリング研究観測、プロジェクト研究観測、萌芽研究観測のいずれも概ね順調に実施された。2回のVLBI観測やエアロゾルゾンデ観測を行った。微気象連続観測や宙空部門のオーロラ光学観測も開始され、観測時間中の灯火管制が実施されるようになった。重点プロジェクト研究観測テーマ「極域の宙空圏-大気圏結合研究」に関連するものとして、11日の深夜から12日の未明にかけて、昭和基地で初めて「極中間圏雲」が観測・撮影された。

(設営部門)

 設営関係では、夏期作業として予定されていた作業を継続して行うとともに、第1夏期隊員宿舎、コンクリートプラントを閉鎖した。14日に越冬交代後最初の発電機電源切替えを行った。調理部門では、第1回目の食事調査を1週間実施した。医療部門では、26日に遠隔医療相談のための接続試験を行った。通信部門では、通信ワッチ業務を複数の部門の協力による体制のもと行った。その他、車両、消火設備、基地内ネットワークなどの基地のメンテナンスに関わる作業を精力的に行った。20日から21日にかけてのブリザードにより、電離層部門のオーロラレーダーアンテナ損傷、倉庫棟外壁パネル損傷、などの被害がみられたが、それぞれの修復に向けての作業も行われた。

(その他)

 生活面においては、生活諸係が活動を開始し毎日、新聞が発行され生活に潤いを与えている。野菜栽培装置を使った農協係の活動も始まり、レタスなどの収穫がみられた。

お問合せ先

研究開発局海洋地球課

極域研究振興係
電話番号:03-5253-4111(内線4144)、03-6734-4144(直通)

-- 登録:平成25年02月 --