第32回南極条約協議国会議(ATCM32)について
外務省国際協力局地球環境課
1.概要
- 第32回南極条約協議国会議(ATCM32:Antarctic Treaty Consultative Meeting)は、2009年4月6日から17日まで米国ワシントン及びボルチモアで開催される。期間中、南極条約協議国締約国47ヵ国(28協議国を含む)から400人近い関係者の出席が見込まれている。
- この会合は、1959年に採択された南極条約50周年記念及び国際極年(IPY:International Polar Year2007/2008)の終了を記念する会合であり、「平和と科学の50年(Fifty Years of Peace and Science)」を基本テーマとしている。
2.南極条約協議国会議/北極評議会合同閣僚会合
- 南極条約協議国会議/北極評議会合同閣僚会合が初日に開催される。
- 同閣僚会合で、以下の閣僚政治宣言が採択される予定。
(イ)南極条約50周年閣僚政治宣言:南極の平和利用、科学観測活動の自由と協力という南極条約の基本理念と、今後の南極条約体制の重要性を謳ったもの。
(ロ)IPYと極地の科学に関する閣僚政治宣言:IPYの成果、科学的重要性と、IPYが達成した遺産をIPY終了後も引き継いでいくことを謳ったもの。
- この会合には南極条約協議国(28カ国)のみならず、北極評議会加盟国(8カ国)からも参加が見込まれている。
- また、IPY公開レクチャーが午後に開催され、科学者の間で極地を巡る活発な議論が予想される。
- 我が国からは、然るべき政治レベルが同会合に出席する予定。
3.ATCM/CEPにおける議論
- 4月7日から17日までは例年通りATCM/CEPが行われる。
- 主な論点
(イ) 事務局長選出:南極条約現事務局長が2009年に交替することより、第二代事務局長がこの会合で選出される予定。
(ロ) 南極における観光活動:南極における観光業の活発化を背景として南極海で航行する観光船問題、恒久的陸上観光施設の建設等につき、環境保護及び航行の安全面から議論が行われる予定。また今回会合では南極観光活動に関わる基本方針の採択も見込まれている。
(ハ) バイオプロスペクティング(生物探査活動):前回会合では、我が国は具体的な探査活動に関する情報収拾の必要性を指摘、SCAR(南極研究科学委員会)からの情報提供も得ることになった。これを受けて今回会合ではさらに議論が行われる予定。
(ニ) 50周年記念作業部会:今回会合では「50周年記念作業部会」として、科学、生態系、予測的管理、先例の4点について議論が行われる予定。
(ホ) 環境保護委員会(CEP):前回会合までに全70箇所のASPAと、全6箇所のASMAが指定されている。今次会合でも、ASPAの設定や、既存のASPA管理計画の改定が行われる見込み。
(ヘ) また今次会合では、開会に先立ち、CCAMLRとATCMの合同ワークショップも予定されている。
(了)
研究開発局海洋地球課
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