南極地域観測第Ⅶ期計画 [3] [参考資料-1]

<参考資料-1:国際極年2007-2008(IPY2007-2008)>

 国際的な極域の科学計画として、国際極年2007-2008(IPY2007-2008)が、平成19(2007)年3月1日から平成21(2009)年3月1日の間、南北緯度60度から90度の範囲で計画されている(詳しくは、http://www.ipy.org/index.phpを参照)。この国際極年2007-2008の概念は、期間を定めて行う国際的企画であり、地球における極域での組織化された学際的な研究及び観測から成るものであり、その目的としては以下が挙げられている。
  科学上の最先端を探求する。
極域での諸過程とその地球全体への寄与について知識を深める。
環境及び社会的な変動を把握する能力を高める。
北極居住者の研究活動への参加を更に啓蒙する。
次世代の極域研究者・技術者・設営専門家を育成する。
生徒・一般人・政治家の興味を集める。

 また、世界各国の研究者や団体から提案されたIPY2007-2008の内容についての意見に基づき、以下の6主課題が提示されている。
  空間的、時間的な変動を計測することにより、極域の現在の環境状態を把握する。
過去及び現在の極域における環境・住民の変動を計量・理解し、その予測を向上させる。
すべてのスケールにおける極域と全地球との相互作用について及び相互作用を規定している過程について理解を深める。
極域における科学的最先端で未知な事項を探求する。
地球の内核・地球磁場・地球空間・太陽系内外の観測を展開し、発展させるために、極域の地の利を生かす。
周北極人間社会の回復や維持を定める文化的・歴史的・社会的過程を調査し、地球規模文化の多様性や公民権への周北極人間社会の特異な寄与を明らかにする。

 上記の学術課題に基づき、諸分野の研究者により六つの観測企画が提唱されている。
  極域環境の2007~2008年時点での現状を把握するための、多分野同時観測
極域環境の変動を規定している要素を理解するために必要な主要資料の取得
多分野観測網の維持、継続観測
学術的最先端への国際的・組織的・多分野観測隊の派遣
地球内外の重要事項を調査するための、極域観測の実施
周北極人間社会の、第1回国際極年(1882~83年)から現在までの、状況変化についてのデータバンクの構築
 IPY2007-2008により地球システムの中の極域の役割と重要性に対する理解が飛躍的に高まる事が期待されており、この枠組みの中で、国際協調のもと日本が率先して行える戦略的かつ独創的な極域研究観測が求められる。


-- 登録:平成21年以前 --