複数の科学研究費助成事業による共用設備の購入について

23振学助第55号
平成24年3月9日

関係各研究機関研究担当部局の長 殿

文部科学省研究振興局学術研究助成課長
渡邊 淳平
(印影印刷)

平成24年度から、研究費の効率的な使用及び設備の共用を促進するため、科学研究費助成事業(以下「科研費」という。)の合算使用の制限を緩和し、下記のとおり、科研費の複数の研究課題において共同して利用する設備(以下「共用設備」という。)について、各研究課題の直接経費を合算して購入することを可能にしました。
ついては、貴職より関係者に下記について周知いただくとともに、科研費で購入した設備の共用を積極的に促進し、科研費の効率的な使用を図っていただきますよう、よろしくお取り計らい願います。

1.定義

「共用設備」とは、複数の科研費(研究課題)において共同して利用する設備のことをいう。なお、共用設備については、各研究課題の研究遂行に支障を来さない範囲で、別の研究に使用しても差し支えない。

2.合算使用を可能とする要件

設備を共用化しても各研究課題の研究遂行に支障を来さないことを前提とし、以下の要件を満たすこととする。

(1)共用設備の購入時に、当該購入経費を支出する補助事業者(研究代表者又は研究分担者)が同一の研究機関に所属していること。

※共用設備の購入時点で他の研究機関に異動が予定されている補助事業者は、共用設備の購入を避けること。

(2)研究機関は、共用設備の購入前に、各補助事業者の負担額の割合及びその根拠等について、各補助事業者に確認し、書面により明らかにすること。

3.留意点

1)共用設備の購入にあたっての留意点

(1)研究機関は、各補助事業者の負担額の割合及びその根拠等の考え方については、以下の例を参考に整理し、その合理性を十分に説明できるようにしておくこと。なお、別の考え方により整理する場合には、事前に文部科学省に相談すること。
また、研究機関は、共用に関するルールを定め、組織として適切に管理・運用すること。その際、特に、科研費の各研究課題の研究遂行に支障を来さないよう留意すること。

(例1)各研究課題について共用設備の使用割合(見込)により区分できる場合には、各補助事業者の負担額の割合を「使用割合(見込)による按分」により算出する。

(例2)各研究課題において、「共用設備を使用する権利」を購入するとの考えに基づき、各補助事業者の負担額の割合を「研究課題数による等分」により算出する。

(2)運営費交付金など使途に制限のない経費を加えて、複数の科研費による合算額以上の設備を購入することも可能であること。

2)共用設備購入後の留意点

(1)研究課題毎の実績報告にあたって、支出額については共用設備を購入した時点の負担額を報告すること(この際、研究課題毎の共用設備の使用実績は問わない。)。

(2)従来の単独で設備を購入する場合と同様、共用設備を使用することとなっている各研究課題の研究遂行に支障を来さない範囲で、別の研究にも使用できることから、研究機関は、共用設備に関する情報を研究機関内で共有するなど、設備の有効活用が図られるよう努めること。
その際、必要に応じ、共用設備に係る研究支援人材を配置することが望まれる。

(3)現行の取扱いと同様、研究機関は、共用設備についても、購入後直ちに補助事業者から寄付を受けること。
なお、共用設備を購入するための負担額を支出した補助事業者が他の研究機関に異動する場合には、原則として異動前の研究機関が引き続き管理することとする。この際、研究機関は、異動により他の研究機関に所属することとなった補助事業者が共用設備を円滑に使用できるよう、必要に応じ関連規程を整備すること。
また、共用設備を購入するための負担額を支出した補助事業者全員が同意した場合には、当該補助事業者の異動先研究機関に共用設備を移すこともできることとする。

お問合せ先

研究振興局学術研究助成課研究費総括係

久島、寺本
電話番号:03-5253-4111(内線4091)
メールアドレス:gakjosei@mext.go.jp

-- 登録:平成24年09月 --