科学研究費補助金に係る歳出予算の繰越しの取扱いについて(通知)

18文科振第1号
平成18年4月1日

関係各研究機関代表者殿

文部科学省研究振興局長
清水潔

文部科学省大臣官房会計課長
合田隆史

 科学研究費補助金による研究のうち、交付決定時には予想し得なかったやむを得ない事由に基づき年度内に補助事業が完了しない見込みのあるものについては、平成15年度予算から、文部科学大臣を通じて財務大臣へ繰越承認要求を行い、財務大臣の承認を得た上、当該経費を翌年度に繰越して使用することができることとなっております。
 このたび、研究者が繰越し制度を積極的に活用できるよう、平成15年7月29日付け15文科振第276号文部科学省研究振興局長・大臣官房会計課長通知「科学研究費補助金に係る歳出予算の繰越しの取扱いについて」の留意事項等を下記のとおり改正しました。
 ついては、「財政法(昭和22年法律第34号)」、「会計法(昭和22年法律第35号)」、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)」その他関係する法令に基づくとともに、下記の留意事項に従い取扱うよう教職員へ周知くださるようよろしくお取り計らい願います。
 なお、平成15年7月29日付け15文科振第276号文部科学省研究振興局長・大臣官房会計課長通知「科学研究費補助金に係る歳出予算の繰越しの取扱いについて」は廃止します。

  1. 歳出予算の繰越しの制度は、歳出予算の性質及び会計年度独立の原則に対する特例であるので、文部科学大臣を通じて財務大臣へ承認要求を行い、財務大臣の承認を得る必要があること。
  2. 歳出予算の繰越しに当たっては、国が翌年度にわたって支出すべき債務を負担すること(翌債)となることから、繰越した経費と翌年度予算により実施する補助事業の経費は混同して使用することはできないものであること。
  3. 科学研究費補助金において経費の繰越しの対象となるのは、交付申請書において確認できる研究計画であって、交付決定時には予想し得なかった要因による、研究に際しての事前の調査、研究方式の決定の困難、計画に関する諸条件、気象の関係、資材の入手難その他のやむを得ない事由により、当該計画部分に係る経費を繰越す必要が生じた場合であり、かつ、翌年度内に完了する見込みのあるものであること。
  4. 別紙1の繰越し事由を踏まえ、研究代表者が上記3.に掲げる繰越しの対象となると判断した場合には、当分の間、研究機関の事務局を通じて文部科学省研究振興局学術研究助成課に事前に相談すること。その際、対処の方法として経費の繰越し以外には方法がないこと、厳に年度内の執行が困難であること、かつ、当該経費が補助事業の目的の変更を伴わないことについても、説明できるようにしておくこと。
  5. 翌年度早期に執行を要するものについては、研究代表者は研究機関の事務局を通じて事由発生後速やかに相談の上、繰越承認要求の手続を行うこと。
  6. 繰越承認要求の手続に当たっては、以下の点に留意すること(別紙2参照)。
    (1)事前相談に際して、研究代表者は繰越承認要求額及び繰越理由を記載した繰越承認要求書を研究機関の事務局を通じて文部科学省研究振興局学術研究助成課に提出すること。その際、繰越承認要求額は予定額でよいが、その算定に当たっては、1交付申請書において確認できる研究計画部分に係る経費であること及び2当該研究計画と繰越事由との関係を明確にするとともに、3その経費を繰越すことが必要である理由、算定根拠及び補助事業の完了時期を示すこと。
    (2)研究代表者は、上記(1)の事前相談の際には、繰越予定額で繰越承認要求を行うことができるが、審査及び承認と並行して、繰越額を決定するとともに通知に従い、一旦概算払いにより交付された科学研究費補助金のうち繰越相当分を文部科学省または日本学術振興会に、一時的に返還する必要がある。なお、繰越承認後に、繰越額が上記(1)の予定額を超えた場合には、新たに承認要求手続が必要となるので十分注意すること。
    (3)間接経費が措置されている課題については、原則、直接経費の30パーセント相当の間接経費も返還することとなる。
  7. 上記6.の承認要求に基づく審査の結果、繰越しが承認されなかった場合、一旦返還された上記科学研究費補助金は再交付しない。
  8. 繰越しが承認された経費については、以下の点に十分留意して使用すること。
    (1)上記6.において返還された補助金及び間接経費は、翌年度に、支払請求に基づき交付を行う。
    (2)翌年度にわたって補助事業期間を延長し、繰越した経費により補助事業を遂行する際、繰越された経費による補助事業(以下「繰越事業」という。)と、翌年度分として既に内約されている補助事業(以下「内約事業」という。)は、同一年度(翌年度)に実施される補助事業ではあるが、本来別々の事業であることから、上記2.について特に留意すること。
    (3)繰越事業に係る経費を除いて本年度に実施される補助事業は、翌年度の4月30日までに会計年度終了時に報告する実績報告書として提出し(「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」(昭和30年法律第179号)第14条後段)、かつ、翌年度に実施される繰越事業を含む本年度からの補助事業全体の実績報告書については、改めて、当該補助事業完了後30日以内に文部科学大臣または日本学術振興会理事長に提出することとなる(同法第14条前段)。
     したがって、例えば、翌年度において繰越事業を遂行する際、別途、内約事業がある場合には、1繰越事業を除く本年度の年度終了実績報告書、2繰越事業を含む本年度からの補助事業全体の完了実績報告書及び3内約事業の完了実績報告書をそれぞれ文部科学大臣または日本学術振興会理事長に提出することとなる。
  9. 繰越した経費の再繰越しは、原則として認めない。

お問合せ先

研究振興局学術研究助成課企画室

電話番号:03-6734-4091

電話番号:03-6734-4092

(研究振興局学術研究助成課企画室)

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