大学改革GPナビ-Good Practice-(第99号)

●INDEX●

◇[平成22年度大学教育改革プログラム合同フォーラムのご報告]
 ・ [合同フォーラム分科会現場レポート]
   1.「大学教育の質の保証」
   2.「大学教育の国際化」
   3.「大学間連携の展開」
   4.「短期大学教育の改革に向けて」
   5.「大学院教育改革の現在」
   6.「医療系人材の養成」
◇[関連記事掲載について]
◇[編集後記-編集部(補助金執行担当)大学改革推進室改革支援第二係 森口 智司]

●[平成22年度大学教育改革プログラム合同フォーラムのご報告]

 去る1月24日(月曜日)、25日(火曜日)に「秋葉原コンベンションホール」及び他会場にて大学教育改革プログラム合同フォーラムを開催しました。当日は多数の参加者をお迎えし熱気溢れるフォーラムとなりました。ご来場いただいた皆様、基調講演や各分科会及びポスターセッションで講演、事例発表をしていただいた先生方にこの場を借りて御礼申し上げます。当日の様子については、今後、文部科学省Webサイトに掲載する予定ですので、是非ご覧ください。
 □[合同フォーラム分科会現場レポート]□
 合同フォーラムにおいて開催された各分科会に、編集部員も多数参加して参りました。各大学等による工夫の凝らされた事例発表や、活発な質疑応答について、各担当者が直接見聞きした様子をお届けします。

1.「大学教育の質保証」 1月24日(月曜日)13時半~

 本分科会においては、大学教育・学生支援推進事業【テーマA】に選定された取組の中から、中央大学、広島大学、大阪市立大学より事例報告をいただきました。
 中央大学からは牧野教授より、必要な学士力を具現化するコンピテンシーを段階別に定義し、その育成教育、到達度の保証について取り組んだ事例、広島大学からは小澤教授より、従来より進められてきた到達目標型教育の実績を踏まえ、新たに、問題発見解決能力の醸成、教養と専門を融合させた到達目標の設定、システマティックレビュー教育改善法の構築による新世代到達目標型教育プログラムの事例、大阪市立大学からは中村教授より、2段階サイクルの演習カリキュラムの各段階で、教育成果の的確なモニタリングと評価の保証をすることで着実な人材育成に取り組んだ事例の報告がありました。
 その後の質疑応答の時間においては、取組が教員の意識に及ぼしたもの、学生のモチベーション維持について等といった積極的な質疑が行われ、大学教育の質保証について改めて考えさせられる有意義な内容でした。

2.「大学教育の国際化」 1月24日(月曜日)13時半~

 本分科会においては、産業界からソニー株式会社人材開発部の岸本治部門長をはじめ、国際化拠点整備事業(グローバル30)の選定大学から筑波大学塩尻和子副学長、早稲田大学内田勝一理事、九州大学緒方一夫総長特別補佐の4名からご報告を頂きました。岸本部門長からは、企業における優秀なグローバル人材の積極的な活用、塩尻副学長からは、日本人と外国人が共生する「国際性の日常化」に取り組む大学の姿、内田理事からは、日本の高等教育の国際化・グローバル戦略の基本課題、緒方総長特別補佐からは、九州大学のグローバル30の取組の成果と教訓、今後の課題についてご報告がありました。
 発表者それぞれの立場から産業界・大学の現状の先進的・積極的な取組が報告され、多くの方々にもご参加を頂き、産業界と連携した今後の大学の国際化の在り方についての傍聴者からの質疑応答も尽きない有意義かつ充実した内容でした。

3.「大学間連携の展開」 1月24日(月曜日)15時半~

 本分科会では、大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラムに選定された取組の中から、旭川医科大学吉田教授、同志社大学山田教授、仙台高等専門学校與那嶺准教授からご報告いただきました。吉田教授からは、旭川にある大学・旭川市等の連携による教育振興から、波及効果として地域振興につなげていくという事例、山田教授からは、教育の質保証を促進するため、連携する4つの総合大学における教育活動の中から、共通の取組である学生調査を軸とし、英語科目において4大学共通のIRシステムを構築するという事例、與那嶺准教授からは、高専が抱える産業界とのギャップについて、組込みスキルに焦点を絞り、スキルの標準化から可視化をはかり、教育の質保証へとつなげる事例についてご報告いただきました。
 その後の質疑応答では、大学間連携における苦労や、地方における小さな大学が連携するためのヒントについてなど、会場からも実情に迫る質疑が続き、示唆に富んだ内容となりました。

4.「短期大学教育の改革に向けて」1月24日(月曜日)16時~

 本分科会では、山形県米沢女子短期大学の馬場先生と国際学院埼玉短期大学の大橋先生をコーディネーターに迎え、短期大学に関する大学教育改革プログラムについて、4つの事例の報告がありました。
 まず、島根県立大学短期大学部の吾郷先生から、インターネットの活用による学生の自己教育力を育成するシステムについての報告があり、次に、東北文教大学短期大学部の橋本先生から、介護の現場と学びを関連付ける、生活関連図を活用した取組についての報告がありました。その後、湘北短期大学の小棹先生から、社会で求められる力の理解による学習目標の明確化を図る入学前教育の取組の報告があり、最後に、佐賀女子短期大学の藪先生から、九州の9つの短期大学が構成するコンソーシアムでの、短大教育の質保証を目指す多種の連携活動による、短大教育の再生に向けた取組の報告がありました。
 短期大学教育の改革に向けた様々な取組への理解を深めるとともに、各参加校における教育改革への示唆も得られる、有意義な機会になりました。

5.「大学院教育改革の現在」1月25日(火曜日)10時半~

 本分科会では、冒頭、笠浩史大臣政務官よりご挨拶後、グローバルCOEプログラムより北海道大学宮浦憲夫特任教授、組織的な大学院教育改革推進プログラムより一橋大学児玉谷史朗教授及び福井大学山田徳史教授からそれぞれ事例報告をいただきました。
 宮浦特任教授からは、ノーベル化学賞を受賞した触媒分野における教育研究組織の改組やアジア諸国の大学との連携大学院の構築等による世界的な卓越した拠点形成のための取組、児玉谷教授からは、学生に対する入口から出口までの一貫したキャリアデザイン形成支援のための取組、山田教授からは、各学生に応じたカリキュラムのオーダーメード化によるコースワークの充実についてそれぞれ報告いただきました。
 さらに、中央教育審議会大学分科会大学院部会長である東京大学有信睦弘監事より、産業界が求める大学院教育、それを踏まえた中教審における現在の審議状況などをご講演いただき、活発な意見交換が行われました。
 短い時間ではありましたが、多くの方々に参加いただき、現在の大学院教育の現状について相互理解を深めることができる機会となりました。

6.「医療系人材の養成」1月25日(火曜日)13時15分~

 本分科会では、現在の日本の課題である医師不足問題や地域医療・周産期医療体制の構築等に関する以下の3事業6大学の取組について発表して頂きました。
 【大学病院間の相互連携による優れた専門医等の養成】北海道大学の鈴木特任講師から、4大学連携及び地域の関連教育病院共有化による専門医研修システムの取組、大阪医科大学の近藤教授から、近畿圏の8大学が連携した循環型医療人キャリア形成プログラムの取組について。
 【周産期医療に関わる専門的スタッフの養成】東京女子医科大学の楠田教授から、NICU(新生児集中治療室)で活躍する医療スタッフに対する男女共同参加型の人材養成プログラムの取組、兵庫医科大学の小森主任教授から、周産期医療を維持・発展させるための若手・女性医師の効率的で継続性のある人材養成と勤務体制支援の取組について。
 【看護師の人材養成システムの確立】新潟大学の佐藤看護部長から、視線解析により新人と中堅看護師の観察力を分析した教育プログラム開発の取組、九州大学の中畑看護部長から、病院看護師と学科教員の1年間の人事交流の取組について。
 当日は約200人の方に参加頂き、発表後は、医師の診療科偏在に対する取組等様々な質疑応答が交わされ、本事業についての関心の高さを改めて実感する場となりました。

●[関連記事掲載について]●

 文部科学時報(発行 株式会社ぎょうせい 毎月10日発行)2月号では、これまでに国公私共通プログラムで選定された取組の活動状況等について、以下の大学からの報告を紹介しています。
<2月号>
(報告1)東京学芸大学
     「小学校教員養成のためのものづくり教育開発」
     (平成20年度 質の高い大学教育推進プログラム選定取組)
(報告2)筑波大学
     「地域と大学の連携による周産期人材育成事業-地域全体を対象にした専門教育プログラムと育児支援を目指して- 」
     (平成21年度 周産期医療環境整備事業選定取組)
      

●[編集後記]●

◇[編集後記-編集部(補助金執行担当)大学改革推進室改革支援第二係 森口智司]

 上述のとおり、1月24日(月曜日)、25日(火曜日)と大学教育改革プログラム合同フォーラムが開催されました。今回、募集開始後申し込みが殺到し、すぐに会場の定員を満たしてしまう分科会がいくつかありました。ご希望の分科会にご参加いただけなかった方には申し訳ございませんが、このことからも本フォーラムが大学関係者を含め社会的に注目されていることをうかがい知ることができます。
 私もスタッフとして参加し、分科会・ポスター展示での事例報告を見聞きさせていただきました。印象的だったのは、報告者の方々がそれぞれの取組に対する成功点、また新たな課題について前向きに発表・意見交換されている姿、参加者の方々の問題解決のヒントを得ようとする積極的な姿勢でした。
 優れた取組を各大学が社会に主張すること、また合同フォーラムのように様々な大学が一堂に会し、情報交換を促進する機会の重要性を感じるとともに、大学改革推進室の一員として、大学振興のために何ができるだろうかと改めて考えさせられました。

 最後に、誠に勝手ながら流行のなぞかけをひとつ。
 「合同フォーラム」とかけて、「青物市場」と解く。そのこころは、

 「多くの成果(青果)が集まります」。

 今後も各大学の優れた取組に注目し、情報発信ができればと思っております。よろしくお願いいたします。

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 「GP」とは「優れた取組」を表す「Good Practice」の頭文字をとった通称です。

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