大学改革GPナビ-Good Practice-(第75号)

INDEX

  • 平成21年度予算案のプログラム概要について
  • 現代的教育ニーズ取組支援プログラム実施状況調査を終えて
  • シンポジウム「高校と大学の教育接続」のご案内〔国立教育政策研究所〕
  • 関連記事掲載について
  • 編集後記‐編集部(予算等全体調整担当)大学改革推進室改革支援第一係長 丸岡 充

平成21年度予算案のプログラム概要について

 平成21年度の新規プログラムを中心に概要やポイントを説明します。今回は、組織的な大学院教育改革推進プログラムについて照会します。

組織的な大学院教育改革推進プログラム(平成21年度予定額57億円)

 このプログラムは平成19年度より実施している「大学院教育改革支援プログラム」の名称を一部変更したものです。
 本プログラムでは、中央教育審議会答申「新時代の大学院教育」(平成17年9月)や「教育振興基本計画」(平成20年7月閣議決定)等の提言を踏まえ、大学院における産業界をはじめ社会の様々な分野で幅広く活躍する高度な人材育成機能を強化するため、19年度に126件、20年度に66件を採択し、コースワークの充実等の優れた組織的・体系的な教育の取組を支援しています。
 21年度においては、新たに公募を実施し、人材の国際的好循環を構築するため、多様なキャリアパスを前提として学修課題を体系的・組織的に履修させ、幅広く深い教養に裏打ちされた専門知識、リーダーシップ力等を涵養することを基本とする国際的水準のコースワークを推進し、人材の国際流動性の向上に係る取組をより積極的に支援することを計画しています。
 また、申請時に各大学院において大学院における組織的・体系的な教育の強化のための達成目標を設定し、取組による達成状況を評価することを計画しています。(例:他機関(企業等)における教育の実施状況、就職状況、学会発表・論文発表数など)

【本件担当】
 大学振興課大学改革推進室 03-5253-4111(内線3312)

現代的教育ニーズ取組支援プログラム実施状況調査を終えて

 今回、現代GP選定取組のうち平成19年度末に補助期間が終了した取組(68件)のうち8つの取組について、事業計画の実施状況を確認するための実施状況調査を行いました。
 紙面の関係上、調査を行った全ての取組について掲載することはできませんが、テーマ「地域活性化への貢献」の3つの事例について紹介します。
 なお、平成19年度末に補助期間が終了した全ての取組の内容、経過、成果等をまとめた「現代的教育ニーズ取組支援プログラム報告集」を作成し、昨年12月に各大学等に配布しておりますので、そちらもご覧いただき、有効活用していただければと思います。

(1)「小江戸川越」国際都市化支援プロジェクト‐地域翻訳力をもつ学生・市民の育成‐

大学等名

 東京国際大学

補助期間

 平成17年度~平成19年度

取組概要

 多くの観光客を迎える川越市の国際観光都市文化を支援するため、英語を使用して地域文化コンテンツを世界に発信し、産・学・官・民が一体となった「双方向の知財循環・相互協力による新たな知的価値の創造」を目指す取組

調査員の主な所見

  • 川越市の英文情報誌の作成や外国人観光客への英語ガイドボランティアなどの活動に学生が積極的に参加していることにより、英語をツールとした学生のコミュニケーション能力の向上など、教育面での効果をあげるとともに、川越市の国際都市化を支援し、地域活性化に貢献するという現代GPの目的を達成できている。
  • 英語関連講義の開設にとどまらず、学生の主体的な活動と有機的に連携させるとともに、英語ガイドボランティアという制度を確立させることにより、本取組を地域の中で定着させている点が効果的である。
  • 地域からの期待も非常に高く、学生の主体的な活動を通じて地域に貢献する一つのモデルとなるものであり、他大学の参考となるよう、積極的な情報発信に努めることが望まれる。

Webサイト

  • Webサイト

(2)地球温暖化抑制に向けた地域の環境教育拠点の形成 ‐地域に開かれたエコキャンパスと環境情報発信による地域連携‐

大学等名

 フェリス女学院大学

補助期間

 平成17年度~平成19年度

取組概要

 地域全体の温暖化防止対策の活性化を目的に、大学のエコキャンパスを地域に開放して環境教育の拠点とし、地域連携型ネットワークを形成しようとする取組

調査員の主な所見

  • エコキャンパスを活用した環境教育に関する先駆的な取組であり、環境問題に積極的に取り組む地域からの期待も高く、学生の教育活動を通じて地域に貢献するという一つのモデルになるものであり、現代GPの目的を達成できている。また、本取組を通じて、学生が環境問題について充分な関心、知識を持っており、教育上の効果もあがっていることが伺える。
  • 環境配慮型設備の整備を進めるとともに、解説パネル等を設置し、教職員、学生、地域の人々に環境問題を理解しやすくするなど工夫が見られる。また、環境に関するオムニバス形式の講義、エコ事業のイベント参画など、学生や地域住民の環境学習を推進しており、評価できる。
  • 近年、同様の取組が他大学でも実施されていることから、差別化を図り、その独自性をアピールしていくかが課題である。地域の小中学校の理科の先生等や他大学との連携を通じて、取組内容のさらなる充実を図るとともに、その成果を広く社会に発信することが望まれる。

Webサイト

  • Webサイト(外部ページへリンク)(別ウインドウで開きます。)

(3)少子化問題に対する地方短期大学の取組

大学等名

 山梨学院短期大学

補助期間

 平成17年度~平成19年度

取組概要

 学生の子育て支援力育成の一層の充実を図るとともに、子育て支援事業の対象を子育て支援を必要とする地域住民だけでなく、地域の子育て支援事業者へと広げ、地域子育て支援事業のサポートを展開することにより、地域活性化に寄与しようとする取組

調査員の主な所見

  • 子育て支援センターの設置に際し、幼稚園が対象とする時間帯や対象年齢でない子供も子育て支援の対象にするとともに、地域における様々な子育てのニーズを反映している点が効果的である。また、センター設置を通じて、学生は子育て支援の実践を経験しながら、多様な子育てニーズを理解するとともに、地域の子育て支援に寄与しており、地域社会の活性化に貢献している。
  • 新設された「子育て支援論」「子育て支援実習」の科目は、現代社会の多様な保育ニーズ及び地域ニーズに対応する教育の質の向上に向けたカリキュラム改正として、他大学の参考となる。今後も、学生・保護者・被学童保育者からの声を吸い上げながら、各科目の教育目的を明確にする必要がある。
  • 保育士養成と地域の子育て支援を連動させ、地域の幼稚園、小学校、関係機関等と協働で取り組んでいる「子育て支援」は、地域の活性化に大きく貢献している。今後は、全体評価を学外の関係団体や地域住民に対しても実施し、地域社会と連携・協働することにより、少子化問題に対しても多角的に取り組むことが望まれる。

Webサイト

  • Webサイト

 いずれの取組においても、各地域のニーズを踏まえ、地元自治体等とも連携をしながら、教職員だけでなく学生が地域という学習の場で積極的に活動しており、これらをカリキュラムの中に位置付けることによる教育面での効果とともに、学生の主体的な活動が地域活性化につながっていると考えられます。
 今後、大学等の教育研究活動及び地域貢献を推進していく中で参考にしていただければと思います。

シンポジウム「高校と大学の教育接続」のご案内〔国立教育政策研究所〕

 国立教育政策研究所が行うシンポジウムのお知らせです。
 「高大接続」「高大連携」事業への関心と理解が広がる中、教育内容の接続、すなわち「学びの接続」は、高校・大学双方にとって重要な課題であり、社会一般にも関心が高い事柄です。
 このたび、国立教育政策研究所では、高校生の「学びの接続」の課題に、世界各地の教育関係者がいかに取り組んでいるか、実践的知見の交換を行う国際シンポジウムを、文部科学省との共催により開催します。
 当日は、高校生の学びをつなぐ、高校と大学の教育面での接続に焦点を当て、先進的な取組が行われているカナダ、オーストラリア、韓国、アメリカ及び国内の著名者をお迎えし、講演やパネルディスカッションを行います。
 多数の方の御参加をお待ちしております。

日時

 平成21年3月14日(土曜日)13時~18時(受付12時~)

会場

 文部科学省講堂(定員600名)
 東京都千代田区霞が関3-2-2 中央合同庁舎第7号館 東館3階

対象者

 高等学校、大学等教育関係者、教育委員会等行政関係者、教育関連の研究者・企業関係者等

主催

 国立教育政策研究所、文部科学省

その他

 同時通訳あり、入場無料(参加票が必要です)

詳細情報及び申込み方法は、国立教育政策研究所Webサイトの、「TOPICS」欄からご覧ください。

関連記事掲載について

 文部科学時報2月号(発行:株式会社ぎょうせい(毎月10日発行))では、これまでに特色GP・現代GP等で選定された取組の活動状況等について、以下の大学からの報告を紹介しています。

(報告1)札幌医科大学「医学研究者・地域医療従事者を支援する知財教育」

(報告2)名古屋大学「学生プロジェクトを支援する数理科学教育」

文部科学時報とは!?

 文部科学行政の「今」が読みやすく分かる、総合政策マガジンです。
 2月号の特集は「教職大学院・創設と課題」「メセナ(企業の芸術文化支援活動)」です。また、1月12・13日に行われた「大学教育改革プログラム合同フォーラム」のリポート記事が掲載されています。

編集後記‐編集部(予算等全体調整担当)大学改革推進室改革支援第一係長 丸岡 充

 先日、教育GPについて調べる用があり、各大学のWebサイトにおける選定取組のページをいくつか拝見しました。
 事業開始後半年もたっていないので、どこまで内容を充実できるかという問題はありますが、簡単な取組概要を載せている大学や、プログラムの申請書そのものを掲載している大学、独立したサイトを作り取組の内容や経過を掲載している大学まで、色々ありました。
 改めて申し上げるまでもなく、GPは社会への積極的な情報提供を行うという機能を持っており、各大学においても積極的かつ継続的な情報提供を通じて重要な役割を担っていただいています。今後、これらのサイトも充実してくるものと期待していますが、大学関係者におかれては、もしご自身の大学の取組がGPに選定されていれば、その取組を紹介するサイトを是非ご覧いただければと思います。見られることで充実し、ひいては取組そのものの発展にもつながりますので。

  • 文部科学省高等教育局大学改革推進室からGPに関する情報等を随時お届けしています。
     「GP」とは「優れた取組」を表す「Good Practice」の頭文字をとった通称です。
     「質の高い大学教育推進プログラム」の通称を「教育GP」と言っています。
  • ご登録いただいている各大学・短期大学・高等専門学校から学内の関係部署や希望者に転送する際は、お手数ですが担当の方は、転送メールであることを示した上で転送してください。
  • GPをはじめとする「国公私を通じた大学教育改革の支援」についての質問や提言などありましたら、daikaika@mext.go.jpまでメールを送信してください。
     お送りいただくメールの件名はセキュリティの関係上、必ず「大学改革GPナビ(件名)」の形式でお願いします。
     なお、ご質問等に関しては、個別にお答えしてまいりますが、皆さま方にご紹介することが適当と思われるものなどについては、ご質問をいただいた方に確認の上、大学改革GPナビ「GPに関するQ&A」などで回答する場合もあります。

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大学改革GPナビ‐Good Practice‐
編集長: 文部科学省高等教育局大学改革推進室長
発行: 文部科学省高等教育局大学改革推進室
〒100-8959 東京都千代田区霞が関3-2-2
03(5253)4111(内線:3319、3321)

お問合せ先

高等教育局大学振興課大学改革推進室

電話番号:03-5253-4111(3319)

(高等教育局大学振興課大学改革推進室)

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