平成27年度以後の監査事項の指定について(令和3年12月27日最終改正)

一 監査対象法人等について

 私立学校振興助成法第14条第1項に規定する学校法人(同法第4条又は第9条に規定する補助金の交付を受ける学校法人をいう。)で文部科学大臣の所轄に属するものは、同条第2項の規定に基づき、毎年度貸借対照表、収支計算書その他の財務計算に関する書類(以下「計算書類」という。)及び収支予算書を文部科学大臣に届け出ることとされていること。
 また、同条第3項の規定に基づき計算書類には、文部科学大臣の指定する事項に関する公認会計士又は監査法人の監査報告書を添付することとされていること。なお、同項ただし書により補助金の額が寡少である場合の監査報告書の添付の免除に係る文部科学大臣の許可については、昭和51年4月8日付け文管振第153号文部事務次官通達「私立学校振興助成法等の施行について」(以下「通達」という。)の記の第3の2において、「当面1会計年度に1学校法人に交付される補助金の額が1,000万円に満たない場合を意味するものとして適用するもの」とされていること。

二 監査事項の内容について

 平成27年文部科学省告示第73号により指定された平成27年度以後の監査事項の具 体的内容は次のとおりであること。

1 資金収支計算書について

(1) ア 資金収支計算は、学校法人会計基準(昭和46年文部省令第18号。以下同じ。)の定めるところに従って行われているかどうか。
   (ア) 当該会計年度の諸活動に対応するすべての収入及び支出は正しく計上されているかどうか。
   (イ) 当該会計年度における支払資金の収入及び支出の計上並びにそのてん末は妥当であるかどうか。
  イ 上記アの具体的内容のうち特に留意すべき事項は次のとおりである。
   (ア) 収支の繰上げ又は繰下げを行っていないかどうか。
   (イ) 資金収入調整勘定及び資金支出調整勘定の計上は、妥当であるかどうか。
   (ウ) 資金収支計算書における「前年度繰越支払資金」及び「翌年度繰越支払資金」の額は、期首並びに期末の貸借対照表における現金預金有高と一致しているかどうか。
   (エ) 収入及び支出の各科目への区分は正しく行われているかどうか。
   (オ) 寄付金や学校債による資金の受入れが、適正に行われているか。特に、入学者又はその関係者からの受入れに留意すること。
(2) ア 資金収支計算書の表示方法は、学校法人会計基準の定めるところに従っているかどうか。
  イ 記載科目、記載方法及び様式は、学校法人会計基準第9条、第10条、第11条、第12条及び第14条に従っているかどうか。
(注) 資金収支内訳表及び資金収支計算書に基づき作成する活動区分資金収支計算書については、所轄庁に届け出る計算書類であるが、監査事項からは除外されていること。

2 事業活動収支計算書について

(1) ア 事業活動収支計算は、学校法人会計基準の定めるところに従って行われているかどうか。
   (ア) 当該会計年度の教育活動収入及び教育活動支出は正しく計上されているかどうか。
   (イ) 当該会計年度の教育活動外収入及び教育活動外支出は正しく計上されているかどうか。
   (ウ) 当該会計年度の特別収入及び特別支出は正しく計上されているかどうか。
  イ 上記アの具体的内容のうち特に留意すべき事項は次のとおりである。
   (ア) 減価償却額及び退職給与引当金繰入額は正しく計上されているかどうか。
   (イ) 教育活動収支、教育活動外収支及び特別収支の各科目への区分は正しく行われているかどうか。
   (ウ) 基本金組入額及び基本金取崩額は、正しく計上されているかどうか。
   (エ) 寄付金(現物寄付を含む。)の受入れが、適正に行われているか。特に、入学者又はその関係者からの受入れに留意すること。
   (オ) 各収支差額は正しく計上されているかどうか。
(2) ア 事業活動収支計算書の表示方法は学校法人会計基準の定めるところに従っているかどうか。
  イ 記載科目、記載方法及び様式は、学校法人会計基準第18条、第19条、第20条、第21条、第22条及び第23条に従っているかどうか。
(注)事業活動収支内訳表については、所轄庁に届け出る計算書類であるが、監査事項からは除外されていること。

3 貸借対照表について

(1) すべての資産及び負債は、学校法人会計基準の定めるところに従って計上されているかどうか。
  ア 資産の評価は、妥当であるかどうか。
  イ 負債は、すべてを網羅して計上されているかどうか。
(2) 基本金要組入額は正しく把握されているかどうか。
(3) 基本金及び繰越収支差額は、学校法人会計基準の定めるところに従って計上されているかどうか。
(4) 貸借対照表の表示方法は、学校法人会計基準の定めるところに従っているかどうか。記載科目、記載方法及び様式は、学校法人会計基準第32条、第33条、第34条、第35条及び第36条に従っているかどうか。

4 収益事業に係る計算書類について

(1) 会計処理及び計算書類の作成は、一般に公正妥当と認められる企業会計の原則に従って行われているかどうか。
(2) 計算書類の作成に当たって、その記載科目、記載方法及び様式は、一般に公正妥当と認められる企業会計の原則に従っているかどうか。

三 公認会計士等の業務制限について

 監査の依頼に際しては、当該公認会計士又は監査法人が貴法人と、公認会計士法(昭和23年法律第103号)第24条又は第34条の11に規定する著しい利害関係を有する等の者でないことを確認する必要があるが、著しい利害関係の有無については公認会計士法施行令第7条又は第15条及び日本公認会計士協会の倫理規則等を参考とすること。

四 計算書類等の届出について

 文部科学大臣への計算書類等の届出については、次のことに留意されたい。

1 届出期日について

 計算書類の届出期日については、通達の記の第3の1によって翌年度の6月30日までに届け出ることとされていること。
 また、収支予算書については、当該年度の6月30日までに届け出ることとされているので前年度の計算書類と同時に届け出ること。なお、収支予算書を届け出た後に、同予算書に係る収支予算を変更したときは、変更後の収支予算書を速やかに届け出ること。

2 届出方法等について

(1) 計算書類は学校法人会計基準の第一号様式から第十号様式の順序とすること。なお収益事業がある場合には、当該事業の計算書類を第十号様式の後に追加すること。
(2) 公認会計士又は監査法人の監査報告書の原本が紙媒体である場合には、当該監査報告書(署名のあるものを必要とし、写しでは足りないこと。)を監査証明の対象となった計算書類の前にとじ込み、原本を紙媒体で届け出ること。この場合の計算書類の用紙は日本産業規格A4判に統一すること。ただし資金収支内訳表、人件費内訳表及び事業活動収支内訳表で部門別の区分が多い場合にはこの限りではない。
(3) 公認会計士又は監査法人の監査報告書の原本が電子形式である場合には、当該監査報告書(電子署名のあるものを必要とすること。)と監査証明の対象となった計算書類を一体の電子形式ファイルとして、原本を電磁的方法で届け出ること。
(4) 収支予算書は計算書類とは別につづり(電子形式の場合は、別のファイルとして)、届け出ること。

五 文部大臣を所轄庁とする学校法人が文部大臣に届け出る財務計算に関する書類に添付する監査報告書に係る監査事項を指定する等の件の廃止について

 文部大臣を所轄庁とする学校法人が文部大臣に届け出る財務計算に関する書類に添付する監査報告書に係る監査事項を指定する等の件(昭和51年文部省告示第135号)は、平成26年度の監査報告書を限りとして廃止すること。

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