学校法人に寄付をした方に対する税制上の特例

 

 

【日本私立学校振興・共済事業団の受配者指定寄付金制度について】

受配者指定寄付金制度について

1   はじめに
  日本私立学校振興・共済事業団(以下、「事業団」という。)の受配者指定寄付金は、私立学校の教育研究の発展に寄与するために、事業団を通じて寄付者(企業等)が指定した学校法人へ寄付していただく制度で、寄付した寄付者に対して税制上の優遇措置を行うためのものです。

2   平成15年度までの受配者指定寄付金
  この受配者指定寄付金制度は、私立学校の寄付金として、昭和42年3月31日大蔵省告示第38号をもって開始され、旧日本私学振興財団法に規定された業務として行われてきた後、事業団の業務として引き継がれて今日に至っています。その間、この受配者指定寄付金は年々改正を重ねてきており、昭和62年度からは既設の学校法人・準学校法人が新たな学校等の設置のために募集する寄付金、平成10年度からは取崩し型基金のために募集する寄付金等が各々対象となり、平成15年度からは経常的経費のために募集する寄付金の募金期間の延長等の改正が行われました。

3   平成16年度以後の受配者指定寄付金
  平成16年度からは、1寄付の募集前に、募集対象事業等を特定する必要はないこと、2寄付の募集期間について、期間を制限せず、常時受け入れることを可能とすること、3寄付者から直接事業団に対し入金できること、4審査は、原則として、寄付者がその寄付により特別の利益を受けるものではないこと及び寄付金が学校の教育研究に必要な費用又は基金に充てられるものであることの確認にとどめること等が可能となり、私立学校に有利な寄付金制度として大幅な改善が図られることとなりました。
  この結果、寄付者(企業等)は私立学校に対して何時でも寄付金の申し出ができるようになりました。また、私立学校にとりましても、受配者指定寄付金制度を利用した外部資金の導入が促進され、経営基盤の強化と教育・研究活動の活性化が図られるものと期待されます。

4   税の優遇措置
  この受配者指定寄付金は、寄付者が法人の場合には法人税法上、寄付金の全額を損金として算入することが認められております。また、寄付者が個人の場合も所得税法上の特定寄付金として寄付金控除の適用を受けることができますが、特定公益増進法人(学校法人)に対する寄付金と同じ措置になりますから、事業団では原則として取り扱わないものとしております。
  なお、受配者指定寄付金に係る税の優遇措置については、次のとおりです。

(1)   会社等法人が事業団に対して支出した寄付金
  この寄付金は、法人の寄付金を支出した事業年度において所得の金額の計算上全額損金に算入されます。

(各事業年度)   

益金(収益)

マイナス

損金(費用)

イコール

所得の金額


(注1)   寄付者が法人として寄付金を支出した場合でも、所轄税務署がその法人の役員等が個人として負担すべきものと認めるものは、その負担すべき者に対する給与とみなされることがあります。
(注2)   法人が各事業年度において支払った寄付金の額を仮払金等として処した場合には、当該寄付金はその支払った事業年度において支出したものとします。したがって、翌年度の寄付金支出として認められません。

(2)   個人が事業団に対して支出した寄付金(参考)
  次の算式による「寄付金控除額」を確定申告の際にその年分の「総所得金額等」から差し引くことができます。
  なお、個人が直接に学校法人に対して支出した寄付金であっても、「特定公益増進法人に対する寄付金」に該当するものは、同様に寄付金控除の適用を受けることができます。

当該年中に支出した寄付金の額
(ただし、当該年分の総所得金額等
の100分の25を限度とする。)
マイナス

1万円

イコール

寄付金控除額


(注1)   総所得金額等とは、寄付者のその年分の総所得金額、土地等に係る事業所得等の金額、特別控除後の長期(短期)譲渡所得の金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額です。
(注2)   総所得金額とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、譲渡(短期分)所得、雑所得、譲渡(長期分)・一時所得(1/2)の合計額(純損失、雑損失の繰越控除適用後の金額)です。

5   寄付金事務の流れについて

 
 
手続等の詳細につきましてはこちらをご参照下さい。
受配者指定寄付金の手続等について(PDF:23KB)
受配者指定寄付金の受入れ等に必要な書類(PDF:11KB)
  受入れ関係書類(様式1-1(PDF:10KB)、様式1-2(PDF:8KB)、様式1-3(PDF:12KB))
  配付関係書類(様式2-1(PDF:11KB)、様式2-2(PDF:9KB))
  実績関係書類(様式3-1(PDF:11KB)、様式3-2(PDF:8KB))

(参考)
  「日本私立学校振興・共済事業団を通じた受配者指定寄付金制度の改善について」(平成16年3月29日  15文科高912号  高等教育局私学部長通知)(PDF:10KB)


以上は、日本私立学校振興・共済事業団による寄付事務の手引きを転載したものです。
制度の詳細につきましては、日本私立学校振興・共済事業団のホームページhttp://www.shigaku.go.jp/s_kihu.htm)もあわせてご参照ください。

【特定公益増進法人制度について】

  わが国では、国や地方公共団体、公益法人等に対する寄付を促進するために、寄付者について、税制上の優遇措置が講じられています。
  私立学校(学校法人)は、公益法人の中でも「特に公益の増進に著しく寄与するもの(特定公益増進法人)」のひとつとされており(ただし、学校法人が所轄庁(文部科学大臣又は都道府県知事)の証明を受けていることが必要)、私立学校に対する寄付者については、通常よりも広く優遇措置が認められています。
  具体的には、下の図の通りです。

     
  ※ 特定公益増進法人証明に係る手続については、文部科学大臣所轄学校法人については高等教育局私学部参事官室まで、都道府県知事所轄学校法人については、各都道府県庁にお問い合わせ下さい。  
 

【法人寄付者に係る損金算入(法人税)】

法人寄付者に係る損金算入(法人税)

(ただし、寄付をする企業の規模、所得に応じて、一定の上限あり。)
※所轄庁から特定公益増進法人の証明を受けている学校法人の上限額
イコール(当該企業の資本金かける0.125パーセント+当該事業年度所得かける1.25パーセント)かける2(通常の2倍)

【個人寄付者に係る所得控除(寄付金控除)(所得税)】

個人寄付者に係る所得税控除(寄付金控除)(所得税)
(ただし、寄付をする個人の所得に応じて、一定の上限あり。)
※上限額イコール当該個人の所得の25パーセント

※損金算入・所得控除の具体的な手続につきましては、
  国税庁のタックスアンサーをご参照されるか最寄りの税務署などにご相談下さい。

相続税・みなし譲渡所得課税の免除について

【相続税や譲渡所得課税(所得税)の免除】

 損金算入や寄付金控除以外にも、私立学校(学校法人)をはじめとする公益法人等への寄付を促進するために相続税などの特例措置が講じられています。

【相続や遺贈によって受けた資産を寄付した場合の相続税の免除について】

 親族の死亡により財産を相続した場合や、親族以外の者の遺言により財産を取得した場合、財産の取得者には、原則として相続税が課税されます。
  しかし、取得者が相続税の申告書の提出期限(原則として相続の開始した日又は遺贈が生じた日の翌日から10ヶ月)までに私立学校に対して贈与(寄付)をした場合には、相続税の課税価格から除外され、非課税となります。
  ただし、この寄付によって寄付者本人や、その親族などにかかる相続税や贈与税の額が不当に軽くなっているときや、寄付を受けた学校法人がその財産を、寄付を受けた日から2年を経過する日までに教育などのために使わないときはこの特例が受けられなくなります。

相続や遺贈によって受けた資産を寄付した場合の相続税の免除について

【みなし譲渡所得課税】

  土地や建物をはじめとする資産を譲渡する場合、その資産を取得した時の価額から現在の価額への値上がり益(譲渡所得)に所得税が課税されます。これは、資産を保有している間にその資産が値上がりした場合に本来かかるべき税金を、所有者が譲渡する機会をとらえて課税するものです。(売買等の取引によって資産が移転した場合に課されるのが通常ですが、法人に対する贈与等については、譲渡所得があったものとみなされて課税されることから「みなし譲渡所得課税」と呼ばれます。)
  しかし、財産の贈与が、私立学校に対して行われる場合には、贈与等がなかったものとみなされ、所得税が課税されません。平成15年度より、この非課税措置のために必要となる国税庁長官の承認を受けるための手続が大幅に簡素化され、また売却額を基本金に繰り入れることを条件に、寄付物件の売却が可能となりました。
  なお、この特例を受けた場合の譲渡所得分の価額分については、寄付金控除は受けられなくなります。

みなし譲渡所得課税

(参考)
「文部科学大臣所轄学校法人への現物寄付に係る租税特別措置法第40条第1項後段の規定に基づく国税庁長官の非課税承認を受けるための要件の緩和等について」(平成15年4月28日 15文科高第103号 高等教育局私学部長通知)(※国立国会図書館ホームページへリンク)別ウィンドウで開きます

  「租税特別措置法第40条第1項後段の規定に基づく国税庁長官の非課税承認を受けるための申請手続の取扱いについて」(平成13年7月2日 13文科高第262号 高等教育局私学部長通知)

※それぞれの特例を受けるためには様々な申請書等の提出が必要です。具体的な手続につきましては、国税庁のタックスアンサーをご参照されるか、最寄りの税務署などにご相談下さい。


-- 登録:平成21年以前 --