専門職大学院

参考資料4 「中長期的な大学教育の在り方に関する第二次報告」(平成21年8月26日 中央教育審議会大学分科会)-抜粋-

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第1 公的な質保証システムの再検討について

1 公的な質保証システムに関する経緯と課題

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(4)認証評価について

(認証評価の概要)
1) 平成16年度に始まった第三者評価制度により、大学は、「教育及び研究、組織及び運営並びに施設及び設備の総合的な状況」(学校教育法第109条)について、7年以内ごとに一回、文部科学大臣の認証を受けた機関(認証評価機関)による評価(認証評価)を受けることが義務付けられている。
これは、国による事前規制を最小限のものとし、設置後の大学の組織運営や教育研究活動等の状況を定期的に事後確認する体制を整備する観点から導入されたものである。
各大学には認証評価を受ける義務が課せられており(学校教育法第109条第2項)、所定期間内ごとに認証評価を受けない大学は法令違反となる。

2) 認証評価は、その導入を提言した平成14年8月の「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について(答申)」において、「国の認証を受けた機関が、自ら定める評価の基準に基づき大学を定期的に評価し、その基準を満たすものかどうかについて社会に向けて明らかにすることにより、社会による評価を受けるとともに、評価結果を踏まえて大学が自ら改善を図ることを促す制度」とされているように、大学評価基準(各認証評価機関が認証評価を行うに定める基準)に適合していることの確認を行う適格認定としての性格を持つ。そこで、認証評価の結果は、「適合」、「不適合」又は「保留」等の概念で示されている。
 大学評価基準は、各認証評価機関が定めるものであり、文部科学省令(学校教育法第110条第2項に規定する基準を適用するに際して必要な細目を定める省令第1条)により、学校教育法や大学設置基準に適合していることのほか、各大学の特色ある教育研究の進展に資する観点からの評価項目が含まれることが求められている。

(認証評価の対象)
3) 認証評価は、各大学の特色ある教育研究の進展に資するためになされることが前提である。そのために、各大学において、自己点検・評価の結果が教育の質の向上に活用される仕組み、すなわち内部質保証の仕組みが備わり、それが確実に機能していることが、認証評価を通じて確認されることが重視されなければならない。

4) また、認証評価における事後確認の機能に着目する場合、その性格・目的や、審査すべき「教育及び研究、組織及び運営並びに施設及び設備の総合的な状況」について、各認証評価機関において、具体化するための一層の工夫も求められる。
 また、認証評価機関には、学校教育法や大学設置基準の各条項に規定されている事項が、大学評価基準にどう対応しているか分かりやすく示すことも期待される。その際、認証評価機関において、設置基準を上回る基準を大学評価基準に盛り込むことも想定され、例えば、具体の認証評価において「不適合」の判定がなされた際に、その根拠となる事由が、設置基準の求める水準を下回るものなのかどうか分かりやすくすることも検討課題として挙げられる。

5) 個々の大学の設置認可は、国による行政行為として行われるのに対し、認証評価における各大学の評価の実施主体は、国の認証を受けた認証評価機関であり、その際の評価基準(大学評価基準)も各認証評価機関が定めている。したがって、設置認可と認証評価では、その実施主体が異なっているが、大学の質保証を体系的に行っていく観点からは、認証評価において、事後確認の機能に着目した検討が求められる。
 例えば、設置認可審査と設置計画履行状況等調査を通じて明らかになった課題等が認証評価に引き継がれ、活用されるなど、設置認可審査と認証評価との一貫性や体系性に関する十分な配慮が求められる。

(5)公的な質保証システムに関する検討課題例

 上記の課題を受けて、第一次報告及びそれ以降の審議を通じて、以下のような検討課題が考えられており、これらに関して検討を行うこととしている。

(設置基準及び設置認可審査に関連する制度等について)

検討課題(例)

ア 平成15年の審査内規等の廃止により、定性的・抽象的な基準となっている部分について、具体化・明確化。また、大学としての観念や、大学教育の理念に包含され、共通に理解されているルールを実定化。
 その際、設置基準が、設置認可審査における最低基準と、設置後の水準向上の2つの性格を持つことにかんがみ、設置認可審査時に適用すべき基準に関し、以下を検討。

(a) 設置基準に規定する内容をより具体的なものとし、設置認可審査における審査基準として活用しやすいよう整理、又は、
(b)  設置基準と別に、設置認可審査の作業における判断の拠り所とするための、より具体的な基準を整備。


イ 設置認可審査は、書面審査が中心であり、その時点では十分には明らかでない事項の認可後の確認方法。


ウ 大学設置基準において、成績基準の明確化、シラバスの作成、教員の組織的な研修及び研究の実施、情報公開など大学の内部質保証の取組が規定されているが、各大学における自律的な質保証が一層促進される観点から、大学内部の質保証のための仕組みについて、諸外国の制度も参照しつつ検討。


エ 上記の考え方に基づき、設置基準における以下の事項について、順次具体的に検討。

  • 教員要件の明確化(大学設置基準第12条関係)
  • 施設・設備における定量的基準(同第36・38条関係)
  • 研究環境の在り方(同第40条の3関係)
  • 情報公開で公開すべき項目の具体化(同第2条関係)
  • 事務組織、職員に関する規定及び組織的な研修等の在り方(同第41条関係)
  • 独立大学院(大学院大学)の基準の明確化(大学院設置基準第23・24条関係)
  • 短期大学の専任教員数の算定の見直し(短期大学設置基準別表第一)

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(設置認可審査及び認証評価に関連する制度等について)

検討課題(例)

ア 機関別評価の第二サイクルが始まる平成23年度に向けて、具体的に検討。

  • 平成16年度までに設置されたすべての大学は平成22年度末までに認証評価を受ける法令上の義務があることから、各大学は、確実に認証評価を受けるよう、準備を進めることが必要。
  • 仮に、認証評価を所定の期間内に受けない大学があった場合の対応。
  • 新設の大学が認証評価を受けるまでの間の各種補助金の取扱い。
  • 設置認可時や設置認可後の設置計画履行状況等調査における指摘事項を認証評価で活用するなど、設置認可と認証評価との連続性を確保。

イ 上記のほか、以下の事項についても今後検討。

  • 分野別の自己点検・評価及び専門職大学院以外の分野別評価の一部試行的実施。その際、分野別評価を行う機関と評価を受ける者の双方に過度の負担がかからないよう、民間の団体による質保証の審査実績も活用し、あわせて、機関別評価の負担を軽減することも必要。
  • 認証評価結果の活用の在り方。
  • 大学が機能別分化していく中での認証評価等の質保証システムの在り方
    (例えば、機関別認証評価における大学評価基準を、各大学共通部分と機能別選択部分の二部構成にすることなど)。
  • 専門職大学院における認証評価の特例措置(免除規定)の在り方。

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-- 登録:平成22年11月 --