令和8年4月28日策定
文部科学省高等教育局
参事官(国際担当)
文部科学省では、多様で優秀な外国人留学生(注1)の戦略的受入れを推進するとともに、留学生制度全体の信頼・信用を維持するため、大学等(注2)に対して外国人留学生の適切な受入れ及び在籍管理の徹底等を要請している。
また、「外国人留学生の在籍管理が適正に行われない大学等に対する指導指針」(令和6年4月26日文部科学大臣決定)に基づき、外国人留学生の在籍管理が適正に行われない大学等に対する指導を実施している。
今般、当該指導指針に基づき、適切な受入れ及び在籍管理の徹底を行うために実施すべき最低限の留意事項を示すものとして本ガイドラインを策定し、外国人留学生の在籍管理が適正に行われない大学等の判断や改善指導の実施等において活用することとする。なお、外国人留学生の受入れを行う各大学等においては、正規生又は非正規生(別科生、研究生、聴講生、科目等履修生等)のいずれの身分で受け入れるかに関わらず、本ガイドラインに示す事項に留意する必要がある。
(注1)本ガイドラインにおける「外国人留学生」の定義:出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)別表第1に定める「留学」の在留資格を有する者
(注2)本ガイドラインにおける「大学等」の定義:学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する大学及び高等専門学校
1 入学志願者の能力・意欲・適性等の適切な判定
入学者選抜においては、入学志願者が真に修学を目的とし、その目的を達するための十分な能力・意欲・適性等を有しているかについて、各大学等のアドミッション・ポリシーに基づき適切に判定すること。
能力・意欲・適性等の確認にあたっては、書類選考に加えて、必要に応じて独自の筆記・面接試験等(オンラインによる実施も含む)による実質を伴う確認を通じて合否判定を行うこと。特に、1.(1)2に示すとおり、日本語など必要な能力については十分な確認を行うこと。
2 日本語など必要な能力(注3)の基準の明確化及び適正な水準の維持
日本語など必要な能力の基準を募集要項等において明確化し、適正な水準を維持すること。
なお、日本語で授業を行う場合、「日本語教育の参照枠」(令和3年10月12日文化審議会国語分科会)(以下、「日本語教育の参照枠」という。)において、高度に自立して日本語を理解し使用することができる水準とされているB2以上が目安であることに留意すること。
(注3)本ガイドラインにおける「日本語など必要な能力」の定義:日本語で授業を行う場合は、入学志願者が入学を希望する課程での修学において必要な日本語能力。日本語以外の言語で授業を行う場合には、当該言語能力。
(参考)
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3 入学者選抜の公平性・公正性の確保
合理的な理由なく年齢に応じた配点を設定して合否判定を行うことや、本来出願資格として確認するべき「学歴」や在留資格を判断する際に活用するべき「経費支弁能力」について、それらの有無を判断することを超えて、最終学歴及び経費支弁能力の多寡に応じた配点を設定し、採点することは不適切であることに留意すること。
1 経費支弁能力の確認
外国人留学生に対する入学許可を行う日までに、入学希望者から経費の支弁能力を証する各種書類の提出を受けることや、入学希望者への面接実施等により、「学費」(注4)のみならず「生活費」を含めた「在留するために必要な一切の経費の支弁能力」を有することを確認すること。ただし、1.(1)3に示す通り、入学者選抜において、経費支弁能力の多寡に応じた配点を設定し、採点することは不適切であることに留意すること。
なお、「留学」の在留資格で入学する者については、外国人留学生選抜によらず一般選抜により受験する場合であっても、同様に経費支弁能力を確認すること。
(注4)「学費」については、授業料や実験実習料、施設設備資金等のみならず、入学金も含めた入学及び修学に必要なすべての経費の支弁能力を確認すること。
(参考)
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2 前籍校が日本語教育機関等である場合の出席率の確認
日本国内の日本語教育機関等に在籍する入学志願者(すでに「留学」の在留資格を有する者)について、当該機関における出席率が合理的な理由なく低い場合には、入学後に行う在留期間更新許可申請において、出入国在留管理庁による審査の結果として在留期間更新不許可となる蓋然性が高いため、入学許可にあたっては入学志願者の出席率を十分に確認すること。
(参考)
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1 収容定員に基づいた適切な受入れと定員管理
外国人留学生の受入れ数については、大学設置基準等において「在学する学生の数を収容定員に基づき適正に管理するものとする」と定められていることを踏まえ、充実した教育指導及び外国人留学生を含んだ適切な定員管理を確保する観点から、過大な数とならないよう留意すること。
2 十分な教育環境の確保と安易な受入れの防止
教職員組織(学部の種類及び規模に応じて定める専任教員数を含む)、校地・校舎面積、授業の方法、施設設備等については、大学設置基準等を踏まえて教育にふさわしい環境を確保すること。また、十分な教育・生活指導体制が整備されていないにもかかわらず、学生数を確保するために安易に外国人留学生を受け入れないよう留意すること。
1 語学講座や補講の実施等による語学能力の習得支援
日本語など必要な能力の基準を踏まえて、当該能力の習得支援が必要と考えられる外国人留学生(例えば、日本語で授業を行う場合に、試験機関や認定日本語教育機関が発行する日本語能力(日本語教育の参照枠におけるB2以上)の客観的な証明書を有していない者や、専門分野における高度な教育研究を実践する際に不安を感じる者等)に対しては、語学講座や補講の実施等による十分な語学能力の習得支援を行うこと。
(参考)
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1 学修、生活等に関する支援と必要な体制整備
外国人留学生の入学後には、学修、生活、課外活動、進路選択及び心身の健康管理等に関する指導及び支援を十分に実施すること。また、各外国人留学生の受入れ担当教員や、事務職員等を適切に配置し、実質を伴う支援が可能となるよう体制を整備すること。なお、外国人留学生との面談等を実施した場合には、指導及び支援の継続性の確保や面談等の実効性向上の観点から、記録を適切に残すこと。
2 実質を伴う学修支援の実施
学修支援については、各大学において取得単位数や学業成績、授業への出席率等をもとに支援が必要な者を判別するための基準を定めた上で、基準に該当する学生を的確に把握し、関係教職員間における連携を強化しながら、面談やその後のフォローアップの実施等による実質を伴う支援を実施すること。
3 改善の見込みのない長期欠席者や成績不良者への対応
長期欠席者や学業成績が不良の者に対する連絡や指導を徹底した上で、改善の見込みのない場合には、留学生本人と退学について協議するほか、必要に応じて休学等の選択肢を示して一時的な帰国を促すなど、当該留学生の状況を踏まえた適切な対応を行うこと。
(参考)
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1 資格外活動許可の要件等の周知
外国人留学生向けのオリエンテーション等を通じて、資格外活動許可の要件(包括許可では、1週について28時間以内(教育機関が学則で定める長期休業期間にあっては、1日について8時間以内)の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動が許可される。)等を十分に周知すること。
2 資格外活動の状況の的確な把握
各授業科目について、授業時間のほか、授業時間外の学修(事前学修及び事後学修)も含めて、1単位当たり標準45時間の学修を必要とすることを前提とし、資格外活動の実施によって学修活動の遂行に支障が生じることがないよう、各大学等においては、各外国人留学生の資格外活動の状況を的確に把握するように留意すること。
(参考)
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1 文部科学省に対する所在不明者の適切な報告
関係教職員間における連携を強化しながら、受け入れた外国人留学生の授業への出席状況や研究指導の実施状況等を適確に把握するとともに、在留資格に応じた活動を確認した最後の日の翌日から1か月を経過した時点まで、大学等が当該留学生と直接連絡を取ることができない状態が継続している場合(ただし、長期休業期間中については1か月ではなく、各大学等において外国人留学生に連絡を取る頻度に準じる)には、当該留学生については所在不明である者として、文部科学省への定期報告において適切に報告を行うこと。
1 帰国や進学・就職の指導等の実施
退学等の処分を行う際は、当該学生が不法滞在にならないよう、大学等が責任を持ってその後の帰国や進学・就職の指導等を行うこと。指導等にあたっては、「留学生の卒業後等における教育機関の取組の考え方について」(平成27年1月策定、出入国在留管理庁)に留意すること。
2 出入国在留管理庁に対する適切な届出
出入国在留管理庁では、「留学生の卒業後等における教育機関の取組の考え方について」において、「卒業や退学等によって留学生の受入れを終了した場合は、出入国管理及び難民認定法( 以下「入管法」という。)第19条の17に基づき届け出るよう努めること。」と定めていることや、「受け入れた留学生の在留資格に応じた活動を確認した最後の日の翌日から3か月を経過した時点で当該留学生が所在不明となっているときは、退学又は除籍等によって受入れを終了し、入管法第19条の17に基づき届け出るよう努めること。」と定めていることを踏まえ、出入国在留管理庁に対して適切に届出を行うこと。
メールアドレス:taigaku@mext.go.jp