中央教育審議会初等中等教育分科会
教員養成部会
教職課程認定大学等実地視察の目的は、教職課程認定大学実地視察規程(平成13年7月19日教員養成部会決定)及び指定教員養成機関実地視察規程(平成24年2月15日教員養成部会決定)に基づき、教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定を受けた大学及び教員養成機関としての指定を受けた機関について、認定及び指定時の課程の水準が維持され、その向上に努めているかどうかを確認することである。
○ 平成25年度は、大学及び短期大学並びに教員養成機関の計35機関に対して、実地視察を行った。
○ 全体として、教育課程及び教育組織等については、おおむね問題無く実施されており、教職課程の質を向上させるための積極的な取組も見られた。
○ 一方で、必要な専任教員数を確保できていない事例や、「教科に関する科目」について、法令に定める内容を適切に扱っていない事例が確認されるなど、課題が指摘された大学等も多数あった。
○ 以下は、本年度の教職課程実地視察大学等に対して主に指摘された事項及び教職課程の質向上に向け枢要と思われる指摘事項である。
○ 教員養成に対する理念・構想が明確に示されているとは言い難い大学等に対しては、理念・構想を明確化するとともに、それを具現化するため、教育課程及び教員組織を一層充実させるよう求めた。
○ 過去の中教審答申では、教職課程の運営や教職指導を全学的に責任を持って行う体制を構築するため、「教員養成カリキュラム委員会」等の全学的組織の機能の充実について提言している。
この点、これまでの実地視察における指摘や、教職課程の実質化に向けた各大学等の改革により、多くの大学等において、形式的には、教職課程委員会等の全学的組織が整備されていた。
○ 一方で、
など、各学科等と連携した教職指導・教育実習指導体制の構築等が、全学的組織を中心に、機能的に行われていると認められる大学等は多くなかった。
○ このため、教職課程は教員免許状という資格を授与するための課程であることに鑑み、全学的組織で定められた教育課程の編成方針のもと、教育課程及び教員組織の点検・検討ができるような体制・仕組みの構築について求めた。
○ 教育課程、履修方法、シラバスの状況については、法令及び教職課程認定基準等の観点から是正すべき点が確認された大学等が少なくなく、速やかに是正することを求めた。
<主な指摘事項>
○ また、開放制により教員養成を行う場合、教育職員免許法上の最低修得単位数である20単位分の「教科に関する科目」に加え、学科教育としての専門科目を履修することによって、各教科の専門性を高めていくことが重要であるが、一つの学科等で複数の異なる免許教科の免許状を取得可能とする学科等の状況が確認された。 このような場合には、コース履修等を検討するなど、各教科の専門性を担保できるよう履修上の配慮・工夫を図ることが必要である。
○ 教育実習については、教育委員会と連携し、大学等の近隣の学校を教育実習先として確保しているほか、教育実習先に担当指導教員が巡回指導を行うなど、丁寧な教育実習指導が行われている大学等が見られた。
○ 一方で、実習校の選定にあたって、依然として、大学等として実習校の確保を行わず、母校実習を原則としているような大学等もあった。
母校実習については、過去の中教審答申で、「大学側の対応や評価の客観性の確保等の点で課題も指摘されることから、できるだけ避ける方向で、見直しを行うことが適当である。」と提言され、教育職員免許法施行規則第22条の5においても、教育実習等の円滑な実施について規定しているところである。
このため、
などについて指摘をした。
○ 教職支援センター等を設置し、全学的に学生への指導体制を構築している大学等が確認される一方、担当教員等が個別に対応しているのみの大学等もあった。
○ 教職指導は、学生が教職についての理解を深め、教職への適正について考察するとともに、各科目の履修等を通して、主体的に教員として必要な資質能力を統合・形成していくことができるよう、大学等が計画的・組織的に行っていく必要がある。
履修カルテを有効活用するとともに、教職指導の充実に努めることが必要である。
○ また、課程認定を受けていない学科等に所属する学生が教員免許状を取得できるかのように、広報及び履修指導をしている大学等が確認された。
教職課程は、各学科等の目的・性格と免許状の教科等との相当関係について審査の上、その学科等において免許状の教科等専門性が担保されることが確認されて認定されるものである。課程認定制度の趣旨に鑑みて、このような状況は適正といえないため、速やかに改めるべきである。
○ 多くの大学等において、教育委員会等と連携し、学校現場体験やボランティア活動を推進していた。
○ 教職に関心のある学生が、早い段階から学校におけるボランティア活動等を通じて、教職の魅力や教員としての適性等を把握した上で、教員免許状の取得を目指すことは重要であることから、各大学等においては、学生が教育実習以外にも学校現場等での体験機会を得ることができるよう、地元教育委員会や学校との連携・協働に努めていただきたい。
○ 各大学等において、教員養成に必要な施設・設備、教育機器等は、学生数の規模に応じて概ね整備されていた。
○ ただし一部の大学等においては、特に図書について、十分に整備されているとは言い難い場合もあり、教職を志す学生が適切な教育を受けられるよう整備を求めた。
○ 平成22年度から「教職実践演習」が導入され、また、教員免許状を取得しようとする者に対する教職指導の努力義務が定められたことにより、今後はより一層、教職を志す学生が体系的・計画的に教職課程を履修することができるような配慮が求められている。
また、そのために、教職課程の運営や教職指導を、全学的に責任を持って行う体制の構築や、教員養成を目的とする学科等の有する資源・機能の全学的活用の取組の推進が不可欠である。
○ 今回、実地視察を受けた大学等の中には、実地視察への準備を通じて、教員養成の現状、カリキュラム・各科目の現状等について評価・分析をし、十分実施できている点、課題・改善点及び今後の検討課題点の洗い出しを行うなど、自大学等の教員養成の在り方の自己検証・改善方策の検討の契機とした大学等もあった。
○ 本部会としては、このように、実地視察が各大学等における教員養成の質向上の契機となるような仕組みとしていくことが重要と考えている。
○ 一方、教職課程に係る各種改革が進められている中で、実地視察対象大学等のみならず、全ての課程認定大学等が、自ら、法令や教職課程認定基準に照らしながら教職課程を適切に運営することは、教員養成を担う大学等の当然の責務であり、社会に対する最低限の約束であることを、全ての課程認定大学等が十分に認識することが必要である。
○ 各課程認定大学等においては、学長及び各学部長はもとより、教職課程に関係する担当教員・担当職員全員が、主体的に、本実地視察報告書の指摘内容を理解した上で、教育職員免許法その他の関係法令や各種答申で提言されている内容を再度確認し、教職課程の改善を不断に行うことにより、教職課程の質的水準の維持と向上を図っていくことを期待する。
○ なお、特に通信教育の課程では、教育課程及び教員組織等について、法令及び基準違反など早急に改善すべき点が多く確認された。教職課程認定基準においては、「通信教育の課程において、教育課程及び教員組織については、通学教育の課程に準ずる」とされており、詳細な基準が明示されていない。今後、通信教育の課程に特化した教職課程認定基準を策定するなど、通信教育の課程の質向上に向け、検討を進めることが必要である。
○ また、指定教員養成機関においては、教育課程、教員組織、施設・設備、指導大学の状況について、改善すべき点が多く確認されたため、引き続き、各指定教員養成機関における教職課程の運営状況について、教員養成部会として実地視察を行っていくことが必要である。
平成25年 |
5月22日 |
秀明大学 |
5月30日 |
獨協大学 |
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6月10日 |
駿河台大学 |
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6月11日 |
埼玉学園大学 |
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6月17日 |
有明教育芸術短期大学 |
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6月19日 |
京都精華大学 |
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6月20日 |
同志社大学 |
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6月25日 |
日本橋学館大学 |
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6月28日 |
宇都宮大学 |
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6月28日 |
了徳寺大学 |
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7月1日 |
常葉大学・常葉大学短期大学部 |
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7月1日 |
聖園学園短期大学 |
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7月2日 |
秋田県立大学 |
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7月2日 |
静岡大学 |
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7月3日 |
福岡教育大学 |
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7月4日 |
関西学院大学 |
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7月5日 |
大手前大学 |
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7月9日 |
帝京科学大学 |
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7月10日 |
羽衣国際大学 |
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7月10日 |
道都大学 |
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7月11日 |
室蘭工業大学 |
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7月24日 |
環太平洋大学 |
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7月25日 |
比治山大学・比治山大学短期大学部 |
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8月4日 |
星槎大学 |
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8月9日 |
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10月18日 |
東京未来大学 |
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10月25日 |
福岡大学 |
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11月18日 |
近畿大学豊岡短期大学 |
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12月9日 |
お茶の水女子大学 |
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12月9日 |
大阪府立大学 |
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12月10日 |
大阪体育大学 |
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12月11日 |
日本福祉大学 |
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12月12日 |
名古屋学院大学 |
(計32大学)
平成25度 |
6月25日 |
東京保育専門学校 |
7月2日 |
福岡教員養成所 |
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12月6日 |
蒲田保育専門学校 |
(計3機関)
総合教育政策局教育人材政策課
-- 登録:平成26年03月 --