1 各公立大学法人の特色ある取組(対象33法人)

1.効果的な法人運営

(1)理事長(学長)を中心とした意思決定システムの確立

  • ◇ 法人化に伴い理事長(学長)は法人の最終責任者としてリーダーシップを発揮し、機動的かつ自主的・自律的な法人運営を行うことが可能となり、迅速な意思決定を行うための学内組織の再編など、理事長(学長)を中心とした意思決定システムが確立されている。

    〔確立:32法人〕

〔取組事例〕

  •  理事会の議決を要する事項以外の法人運営に関する意志決定は、毎週1回学内理事(理事長を含む5名)による役員会を開催する中で決定される。

    (公立大学法人九州歯科大学)

  •  理事長(学長)の迅速な意志決定を補佐する体制として、役員を構成メンバーとした連絡会議を開催している。

    (公立大学法人島根県立大学)

  •  定款設置である役員会,経営審議会及び教育研究審議会を補佐するとともに,日常的な業務実施の調整などのため,常勤役員会を設置している。

    (公立大学法人県立広島大学)

  •  役員会を置かず、法人の重要な事項は、経営審議会(議長:理事長)又は教育研究審議会(議長:学長)の議を経て理事長が決定する。
     また、経営企画会議(議長:理事長、委員:常勤役員及び幹部職員)を設置し、全学的課題に係る事項の企画又は調整を行っている。

    (公立大学法人下関市立大学)

(2)理事長(学長)裁量による柔軟な資源配分

  • ◇ 法人化に伴い人員配置や予算配分等が法人の裁量によって可能となり、理事長(学長)裁量による定数管理や研究費の重点配分など、各法人の実情に応じた機動的かつ柔軟な資源配分が行なわれている。

    〔裁量による人件費・定員枠の設定:実施5法人、検討2法人〕
    〔研究費等の重点配分:実施29法人、検討2法人〕

〔取組事例〕

  •  教育・研究組織等の再編に柔軟に対応し、重要性と緊急性の高い組織に人的資源を戦略的に配分するため、教員定数の一定割合を「学長管理枠」として確保するものとし、平成18年度以降、各学部等から管理枠率(5パーセント)に応じた人数を供出することとした。
     平成19年度においては、これを踏まえた人事計画を作成するとともに、供出された学長管理枠により、全学的な視点から採用人事を行っている。

    (公立大学法人滋賀県立大学)

  •  教育・研究活動の活性化を図るとともに優れた人材を確保するため、学外からの新任教員への一般研究費の重点配分制度を導入するとともに、各学部における教育・研究活動を支援するため、学部長裁量の予算を措置した。

    (公立大学法人滋賀県立大学)

  •  大学が教員に配分する学術研究費のうち、学長競争枠を設け、大学の重点研究テーマを示した上で、公募制により実施している。

    (公立大学法人九州歯科大学)

  •  学内公募型研究費を学長裁量により配分した。このうち、科学研究費補助金や外部資金獲得のための準備経費に対しては「外部資金枠」として優先的配分を行い、「外部資金枠」を配分された教員に対しては、科学研究費補助金等の申請を義務づけた。

    (公立大学法人島根県立大学)

(3)学外有識者の積極的な登用

  • ◇ 法人運営に幅広く外部の視点を活かす観点から、役員、経営審議機関、教育研究審議機関などに外部人材の積極的な採用が行われている。

    〔実施:31法人〕

〔取組事例〕

  •  地域貢献や産学連携を担うOPIOpen Institute)を主に担当する客員教授を川崎重工業より招聘。

    (公立大学法人首都大学東京)

  •  学生の就職支援を担当する課長について、経験者を公募して採用した。

    (公立大学法人大阪市立大学)

  •  広報・広聴、産業界・地域との連携を担当する参与として、マスコミ関係者1名を委嘱した。

    (公立大学法人福井県立大学)

  •  経営審議会に6名(全体の50パーセント)の外部委員を登用し、民間の意見をいただくと共に、外部委員が経営する病院等における体験調査を実施。

    (公立大学法人奈良県立医科大学)

(4)法人経営のリスクマネジメントに関する取組体制の整備

  • ◇ 法人化に伴い、各法人が自らの判断と責任において活動を実施することとなるが、危機管理に対してはマニュアルの策定、損害保険制度の活用を図るなど、全学的な取組が行われている。

    〔実施19法人、検討8法人〕

〔取組事例〕

  •  様々なリスクに備えるとともに、実際にリスクが発生した際に、迅速かつ的確に対処するため、リスク管理対策の基本的指針及び枠組み(リスク管理ガイドライン)を定めた。

    (公立大学法人国際教養大学)

  •  キャンパスハラスメント防止規程を制定し、内部の人的リスクに対するマネジメント強化を図った。
     公的研究費の管理及び監査に関する規程を制定し、研究費の不正使用等の人的リスクに対するマネジメント強化を図った。
     自然災害時対応、人的リスクに対するマネジメントとして危機管理マニュアルを作成した。

    (公立大学法人札幌市立大学)

  •  学内における本学関係者の生命、身体等に重大な被害を及ぼす危機発生の未然防止と発生時における的確な対応等を図るため、平成19年においては18年度に策定した「危機管理マニュアル」を改定(2007年版)し、平成19年5月に国内の大学で流行した麻疹をはじめとする感染症に対する体制を追加するなど内容の充実を図った。
     また、本学が保有・管理する情報資産を保全するため、本学関係者が遵守すべき情報セキュリティに関する基本方針と対策基準からなる「情報セキュリティポリシー」を策定した。

    (公立大学法人熊本県立大学)

(5)理事長・学長の機能分担・連携による法人運営の推進

  • ◇ 法人の長(理事長)が学長となることを原則としつつも、各設立団体の判断により、学長とは別に理事長を任命することも可能である。理事長と学長それぞれの役割を分担し、又は連携し、理事長と学長が別れている法人においても円滑な運営が行われている。

    〔実施:10法人〕

(参考)理事長と学長を別にしている法人数:11法人

〔取組事例〕

  •  定期的に理事長・学長をはじめとする経営及び教育研究の責任者が出席する執行部会議を設置し、意志決定の迅速化や情報の共有を図っている。

    (公立大学法人福井県立大学)

  •  定期的に役員による協議及び理事長・学長をはじめとする経営及び教育研究の責任者が出席する経営企画会議を設置し、意思決定の迅速化や情報の共有を図っている。

    (公立大学法人下関市立大学)

  •  法人化に伴い、新たに発生した経営面の業務を理事長が担うことにより、学長には教学の責任者として教育研究活動の活性化を図ってもらう。

    (長崎県公立大学法人)

(6)1法人が複数大学を設置している法人での取組

  • ◇ 公立大学法人制度は、国立大学法人の場合とは異なり、各地方公共団体(設立団体)の選択と判断により、1法人が複数大学を設置することができる仕組みとなっており、設置校間での連携等が行われている。

    〔実施:5法人〕

(参考)1法人が複数大学・短期大学を設置している法人数:7法人

〔取組事例〕

  •  島根県立大学(浜田キャンパス)と島根県立大学短期大学部(松江キャンパス、出雲キャンパス)の3キャンパス間で一体的に教育研究活動を推進するため、目的ごとに業務を実施する全学運営組織を設置し、運営している。
    • アドミッションセンター(学生募集、入試、入試にかかる分析、調査等)
    • キャリアセンター(キャリア形成教育、就職、進学、留学、学生支援等)
    • FDセンター(ファカルティ・ディベロップメントの推進等)
    • 地域連携推進センター(総合相談窓口、産学公連携、生涯学習の推進等)
    • メディアセンター(図書館運営、情報システム管理等)
    • 保健管理センター(学生及び教職員の健康管理等)

    (公立大学法人島根県立大学)

(7)その他の取組

  • ◇ 理事長(学長)のリーダーシップの確立及び柔軟な資源配分等に関する各種取組事例については、先に述べてきたところであるが、このほか法人化を契機とした学内組織の機能強化、さらには職員能力開発等の取組を行うことによって、理事長(学長)のリーダーシップの確立等を行っている。

    〔実施:8法人〕

〔取組事例〕

  •  理事長・学長・副学長・事務局長のほか、全学組織の長などで組織する中期計画推進会議を設置し、中期計画の進捗状況、課題、後半3年間の実施内容等を検討しており、平成19年度中に報告を取りまとめる予定である。
     この結果を受け、平成20年度以降の年度計画に反映していくこととしている。

    (公立大学法人北九州市立大学)

  •  目標達成に向け教職員一丸となって取り組むため、年度当初に理事長、学長による平成19年度年度計画説明会を開催した。
     事務職員育成のためのSD(スタッフ・ディベロップメント)研修の一環として、大学職員としての意識改革、自己啓発のきっかけとするため、嘱託職員を含む全事務職員を対象に、理事長を講師とした研修会を実施した。

    (公立大学法人熊本県立大学)

  •  監査を専掌する組織を事務組織から独立して設置し、業務全般の合理性や効果の検討・評価を行っている。

    (北海道公立大学法人札幌医科大学)

2.新たな人事制度の導入

 法人化に伴い弾力的で多様な人事制度の導入が可能となり、各法人において任期制、法人独自の給与体系、年俸制、裁量労働制などの導入が行われている。

(1)教員の任期制の導入

  • ◇ 全教員、又は外部資金により採用する教員、法人化以降採用の助教や助手等特定の職など一部の教員や一部の学部を対象に、任期制を導入している。

    〔導入:25法人、検討:6法人〕

〔取組事例〕

  •  法人化に伴い、総ての教員に対し6年(労働契約は3年で、自動的に再任)の任期制への同意の求め、大半の教員について任期制を適用。6年目に教員評価を行い、再任の可否を判断する。また、法人化後に採用した教員は、総て6年の任期制を適用。

    (公立大学法人奈良県立医科大学)

  •  助教、助手(任期3年、再任は3年まで可)及び定年年齢を超えて雇用される教授(任期は最長3年以内、再任は2回まで可)について、任期制を導入した。

    (公立大学法人島根県立大学)

  •  キャリアセンター及び地域連携センターの専任教員の採用にあたり,再任可能な5年間の任期制度を19年度より導入している。なお、平成20年度から教員業績評価制度を導入する予定であり,評価結果の反映方法は検討中。

    (公立大学法人県立広島大学)

(2)法人独自の給与体系の導入

  • ◇ 法人化後に、設立団体の給与を基準として、法人として給与体系を設定。特定の職種を対象に法人が独自の給与体系の導入を行っている。

    〔実施:10法人、検討:4法人〕

〔取組事例〕

  •  設立団体の給与を基準に法人独自の給与体系を導入。

    (公立大学法人下関市立大学)

  •  看護師について独自の給料表を導入。

    (公立大学法人大阪市立大学)

  •  任期付事務職員について、独自の給与体系を導入した。

    (公立大学法人島根県立大学)

(3)年棒制の導入

  • ◇ 外部資金により採用する教員や任期制を導入している教員のほか、常勤役員について年俸制を導入している。

    〔実施:13法人、検討:4法人〕

〔取組事例〕

  •  法人化と同時に、教員の年俸制を導入した。

    (公立大学法人九州歯科大学)

  •  外部資金により任用される特任教員に年俸制を導入した。

    (北海道公立大学法人札幌医科大学)

  •  役員(理事長、理事3名)について、年俸制を導入した。

    (公立大学法人神戸市外国語大学)

(4)裁量労働制の導入

  • ◇ 法人化以後、業務の創造性や専門性が発揮できることを目的として、裁量労働制を導入している。

    〔実施:22法人、検討:5法人〕

〔取組事例〕

  •  平成19年7月1日から、専任教員を対象として「専門業務型裁量労働制」を導入している。

    (公立大学法人国際教養大学)

  •  教員の職務の特殊性を踏まえ、業務の創造性や専門性がより発揮できるよう平成19年4月1日から裁量労働制を導入した。

    (公立大学法人熊本県立大学)

  •  法人化に合わせて、原則、助教以上の全教員に裁量労働制を導入している。(一部の教員は1月単位の変形労働時間制。)

    (北海道公立大学法人札幌医科大学)

  •  教員のうち、臨床医学系教員を除く総ての教員(一般教育・基礎医学・看護学)について、裁量労働制を導入。

    (公立大学法人奈良県立医科大学)

  •  教員については全員裁量労働制を適用している。

    (公立大学法人下関市立大学)

(5)兼職・兼業の許可基準の弾力化

  • ◇ 産学連携や地域貢献に資する職員の学外活動を促進するため、兼業・兼職の許可基準の弾力化が行われている。

    〔実施:26法人、検討:2法人〕

〔取組事例〕

  •  教職員の地域貢献活動を促進する目的から、法人化に合わせて、営利企業の兼業の対象範囲を拡大した。(技術移転事業者の役員等兼業、株式会社・有限会社の監査役兼業など)

    (北海道公立大学法人札幌医科大学)

  •  地域貢献活動を促進するため、兼業に関する学内の手続を簡略化したほか、複数年にわたる兼業を可能とした。また、大学からの技術移転を活性化するため、営利企業の役員等の兼業も可能とした。

    (公立大学法人岡山県立大学)

  •  短期(1日、2日程度)の兼業については、許可ではなく、届出による従事を可能とした。

    (公立大学法人神戸市外国語大学)

  •  コメディカルについて、学会発表や養成学校での教育について、兼業制度を創設。また、医師が地域医療への貢献のために行う医療兼業の制限を緩和。

    (公立大学法人奈良県立医科大学)

  •  法人において独自の規定を定め、他大学での非常勤講師等については、依頼文書をもって申請書にかえるなど、円滑な運用を可能としている。

    (公立大学法人下関市立大学)

  •  兼業に関する規程を定め、申請に基づき理事長が許可している。勤務時間内の場合は、年間の制限時間を設定し、職務専念義務を免除することで許可している。

    (公立大学法人九州歯科大学)

(6)新たな人事考課制度、評価制度の導入

  • ◇ 職員の業績に対する厳正な評価制度、業績に対してインセンティブを付与する制度の導入が行われている。

    〔実施:14法人、検討:15法人〕

〔取組事例〕

  •  教員評価制度について、平成19年4月から全教員を対象とした制度とし実施を始めている。

    (公立大学法人横浜市立大学)

  •  教員について新たな評価制度を導入し、教員の質の向上、組織能力の向上に活用予定。但し、平成19年度はトライアル実施とし、平成20年度から本格実施予定
    • 評価の方法は、業務内容について、
      「教育」、「研究」、「臨床」、「組織貢献」、「地域・社会貢献」の5項目の評価項目を設定し、それぞれを点数化。
      自己評価、2次評価、評価委員会による評価を経て最終評価を決定。

    (公立大学法人和歌山県立医科大学)

  •  平成20年4月1日から全教員(外部資金により任用される教員を除く。)に対して、個別業績評価制度の導入を決定。

    (北海道公立大学法人札幌医科大学)

  •  各教職員および組織全体の業務改善を目的に、事務職員に目標管理制度を導入するとともに、教員には、「教育面」、「研究面」、「地域・社会貢献面」、「管理運営面」の業務実績を自己点検することを基本とした教員評価制度を導入した。

    (公立大学法人福井県立大学)

(7)事務職員のうち、プロパー職員の採用

  • ◇ 法人化する前までは、設立団体の職員が人事異動の一環として事務局職員として配置されてきたが、法人化後は、法人・大学の未来を担う人材を確保・育成する等の理由に基づき、いわゆるプロパー職員の採用が行われている。

〔実施:22法人、検討:6法人〕

〔取組事例〕

  •  事務職員62名中、独自採用職員44名(うち正職員18名、嘱託職員26名)、設置団体(秋田県)からの派遣職員15名、その他(派遣職員等)3名。(平成20年1月1日現在)
     独自採用職員(正職員)については、スタッフ以外に課長職、チームリーダー等の管理・指導部門にも配置している。
     教職員を対象としたFD/SDセミナーを実施しているほか、外部研修に積極的に参加させる等、職員の能力向上を図っている。

    (公立大学法人国際教養大学)

  •  全職員数375名中、独自採用職員163名(平成20年1月1日現在)
    • 採用状況
      平成17年59名、平成18年29名、平成19年75名
    • 担当職務
      法人の経営企画室(企画部門)に2名配置、産学公連携センター4名(事務)及びコーディネーター(9名)配置。大学の学生課に11名配置、など。
    法人固有職員の担当職務の内、正規職員(任期の定めのない職員)及び常勤固有職員(3年任期の更新2回まであり、最長9年)の担当職務については、ローテーションを組み、当初は各学部や教務部門等に配置し、その後企画や総務部門等中枢部門への配置を想定している。

    (公立大学法人首都大学東京)

  •  平成22年度までの中期計画期間内に一部の部署を除いて、市派遣職員を段階的に解消し、プロパー職員を採用。
    現時点(平成20年1月1日)での採用状況 事務 81名
    • (採用状況)
      平成18年 33名、平成19年 48名
    • (業務内容)
      経営企画、経理、人事、学内システム管理統括、学務(医学部事務含む)、入試、産学連携、知的財産、研究費、地域との連携、病院経営、医事業務、病院情報システム管理 等
    • 大学職員として必要となる知識や考え方を習得することを目的とした、本学大学専門職等によるSDStaff Development)研修を実施。

    (公立大学法人横浜市立大学)

  •  全職員数 55名中、プロパー職員 30名(平成20年1月1日現在)
    • 採用状況
      • 平成17年度 14人採用。平成18年度 7人採用
      • 平成19年度 11人採用、2人退職。
      • 平成20年度 4人採用予定
    • 担当職務
      法人 再編・統合準備担当に1名配置。
      大学 総務・財務担当に6名配置、企画広報担当に2名配置。
      計画評価担当に2名配置。
      学生支援・入試担当に9名配置、うち2名はリーダー。
      教務担当に7名配置、うち1名はリーダー。
      就職支援担当に3名配置、うち2名は課長、1名はリーダー。
      • 大学職員の一部の者は、法人事務局の業務も兼ねる。

    (長崎県公立大学法人)

  •  全職員数54名中、プロパー職員14名(平成20年1月1日現在)。
    • 上記内訳
      平成18年度4名、平成19年度10名
    • 担当職務
      総務課に5名配置、学生課に3名配置。
      経営企画課に4名配置(うち2名は課長職)
      桑園担当課に2名配置(桑園キャンパスにおく看護学部にかかる事務を担当する課)
    FDSD研修会等に適宜参加をし、能力向上に努めるとともに、公立大学協会等の行う外部研修等にも積極的に参加をしている。

    (公立大学法人札幌市立大学)

  •  法人職員(一般事務)の採用方針を策定し、第1期中期目標期間(平成18年~平成23年)において、8名の一般事務職員を採用することとした。
    1. 基本的な考え方
      • 一般事務職員については、県からの派遣を前提としながらも、大学に特有の業務に精通した職員を早期に育成するため、優秀な人材を法人職員として計画的に採用する。
      • 採用した職員の配置については、当面教育・研究分野を支援する部門を優先し、順次他の部門へも配置を行う。
      • 第1中期目標期間中には、原則として定数の増を行わないこととし、法人職員の採用に応じて県からの派遣職員を減ずる取り扱いとする。
      • 法人職員の採用に当たっては、職員の年齢階層の分散化を図るため、新規学卒者と実務経験のある社会人をバランスよく採用する。
      • 採用計画については、必要に応じて見直しを行う。
    2. 採用計画
      平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度
      採用2名
      (県派遣マイナス2)
      採用2名
      (県派遣マイナス2)
      採用2名
      (県派遣マイナス2)
      採用2名
      (県派遣マイナス2)

    (公立大学法人会津大学)

  •  全事務職員数149名中、独自採用職員18名(平成20年1月1日現在)
    • 採用状況
      平成18年3名、平成19年15名
    • 担当職務
      • 内部監査評価事務1名
      • 大学事務局:給与事務2名、経営企画事務1名、出納財産事務2名、学生支援事務1名、教務事務1名、図書館業務1名
      • 医学部附属病院:病院庶務事務2名、施設管理事務4名、診療保険事務(係長級)1名、医事事務2名
    年1回(4月頃)独自採用職員(技術系職員を含む)に職員研修を実施

    (公立大学法人名古屋市立大学)

  •  全職員数 56名中、独自採用職員 6名(平成20年1月1日現在)
    • 担当職務
      理事長補佐として1名配置。
      大学: 学生・就職支援グループ(学生担当)に1名配置。
      教務グループ(教務担当)に1名配置。
      地域貢献研究推進グループに3名配置。

    (公立大学法人滋賀県立大学)

  •  全職員数28名(うち事務局長を除く27名が県派遣職員)
    平成20年4月に独自採用職員5名を採用予定。うち1名については正職員転換制度に基づき、臨時職員から正職員に転換予定。

    (公立大学法人山口県立大学)

  •  大学事務経験者を対象とした職員採用試験を実施(平成20年4月1日採用)。
    採用予定人員 約5名(平成20年3月10日最終合格発表)
    • 第1次試験
      平成20年1月13日(日曜日)
      教養試験及び論文試験
    • 第2次試験
      平成20年2月12日(火曜日)
      口述試験及び適性試験
    • 第3次試験
      平成20年3月3日(月曜日)
      口述試験
    • 勤務予定先
      法人本務事務局、県立大学事務局、県立芸術大学事務局、県立看護大学事務局に勤務し、大学事務全般に従事

    (愛知県公立大学法人)

  •  全職員数70名(任期なし49名、任期あり21名)中、独自採用職員21名(任期3年)(平成20年1月1日現在)
    • 採用状況
      平成19年度 21名(任期3年)
    • 採用予定
      平成19年度 1名(任期3年)
      平成20年度 10名(うち3名任期なし うち7名任期3年)

    (公立大学法人島根県立大学)

  •  全職員数 47名中 独自採用職員(プロパー職員2名、有期雇用職員17名)
    • 採用状況
      平成19年度 19名
    • 担当職務
      プロパー職員2名(経営企画担当1名、就職支援担当1名)
      有期雇用職員17名(総務グループに10名配置、学務グループに7名配置)

    (公立大学法人下関市立大学)

(8)その他の取組

  • ◇ 法人化後の取組として、新たな教員制度の創設、目的に応じた新たな人事任用制度の導入などをしている。

〔取組事例〕

  •  特定の教育・研究プロジェクトを牽引する人材の登用を図るために昨年度中に「プロジェクト型任期制」を整備し、今年度より教員の採用を実施し、9名の採用を行った。

    (公立大学法人首都大学東京)

  •  臨床能力の高い附属病院教員について、「病院教授」称号制度を創設した。

    (公立大学法人福島県立医科大学)

  •  現代GP採択事業の推進のため、国立大学から事務職員1人を出向により受け入れた。

    (公立大学法人福岡女子大学)

  •  特別教員制度(客員教授、特任教授、特別講師)の規定を整備し、平成19年度から施行した。特に、客員教授については、8月1日付けで3名に委嘱し、特別講義やシンポジウムでの講演など、本学の教育研究の充実と大学の活性化に貢献している。
     平成20年度からのカリキュラム改定に合わせ、非常勤講師担当科目数の10パーセント減を目標として、非常勤講師の採用を見直した。
     大学院の教育・研究体制の充実を図るため、研究科長を配置した。

    (公立大学法人熊本県立大学)

  •  法人化後は、多様な採用制度を導入し、診療報酬審査専門員、病院安全管理担当専門員といった専門職員を任用した。また、学術の進展や道民のニーズを踏まえた教育研究の重点化に取り組むために研究支援者といった研究職員を任用した。

    (北海道公立大学法人札幌医科大学)

  •  法人化を契機に特任教授の制度を導入した。本学を定年退職した教授及び外部資金によるプロジェクト研究その他本学の研究の推進に必要と認められる者を特任教授として任用できるようにした。

    (静岡県公立大学法人)

  •  サバティカル研修制度を設けた。
    • 目的
      教員に国外又は国内において自主的調査研究活動に従事する機会を与えることにより、教員の資質向上及び教育研究の発展を図る。
    • 取得資格
      継続勤務7年(外部資金による研修の場合は3年)以上
    • 期間
      原則として6ケ月~1年
      今後は、実施のための細則の策定を予定している。

    (公立大学法人島根県立大学)

3.効果的な財務運営と業務の効率化

 法人化に伴い柔軟な会計制度の導入が可能となり、各法人の工夫を活かした様々な取組が行われている。また、業務を見直すなど効率化に取り組んでいる。

(1)設立団体からの財政措置に関するルールの設定

  • ◇ 各法人の財源は、設立団体の運営費交付金、施設費補助金等により財源措置がなされており、算定ルールついては、各法人の実情等に応じて設定されている。

    〔設定:29法人、検討:3法人〕

〔取組事例〕

  •  財政措置に関するルールの設定は以下の通り。
    「運営交付金」及び「施設整備補助金」
    運営交付金の算定ルール
    原則として、「運営交付金」イコール「支出予算」ひく「大学自己収入」
    但し、支出予算の内、施設整備補助金の対象部分を除く。
     なお、職員人件費及び管理的経費(学舎の維持管理等に要する経費)については効率化係数の対象となり、中期計画期間中において法人化当初に比して5パーセントを削減する。教員人件費についても同様に効率化係数の対象となり、中期計画期間中において法人化当初に比して8パーセントを削減する。

    (公立大学法人大阪府立大学)

  •  財政措置に関するルールの設定は以下の通り。
    • (1)標準運営費交付金
       法人の運営に係る経常的な経費に対する財源として、使途を特定せずに交付される。毎年度、効率化係数2.5パーセントずつ減額して交付される。法人が自ら経営努力を行うことにより、生じた剰余金を財源として、新たな事業展開を図ることが可能となる仕組みが設けられている。法人は、こうした制度の趣旨を生かし、中長期的な視点に立った効率的な財務運営を行うこととしている。
      『標準運営費交付金算定ルール』
      標準運営費交付金 U(y)イコール1かける(1-α)x
      U(y) 当該年度の標準運営費交付金
      1 17年度の標準運営費交付金
      α 効率化係数 0.025
      x 乗数(yひくy0、y0イコール17)
      • yは当該年度、17は17年度
    • (2)特定運営費交付金
       特定の期間に限定される事業、あるいは法人職員の退職金など年度の事情により経費が変動する事業の財源に充てるため交付される。毎年度予算要求において、所要額を精査。
    • (3)施設費補助金
       法人が所有する施設整備の大規模改修に要する経費に対する財源を補助。毎年度予算要求において、所要額を精査。

    (公立大学法人首都大学東京)

  •  学部完成前につき、算定ルールは定めていないが、算定にあたっては、設立団体から指示された中期目標に基づき当法人が定めた中期計画にある予算、収支計画、資金計画に基づき、各年度毎に札幌市の査定を受け、算定される。

    (公立大学法人札幌市立大学)

  •  財政措置に関するルールの設定は以下の通り。
    運営費交付金額イコール支出ひく収入
    • 支出
      直接教育費等経費Aたすその他教育費等経費Bたす人件費Cたす特殊経費D
      •  Bは前年度算定額かける効率化係数(プラス1パーセント)
    • 収入
      授業料Eたす入学料Fたす入学検定料Gたす受託収入Hたす国・県補助金Iたすその他収入J

    (公立大学法人秋田県立大学)

  •  運営費交付金・施設整備費補助金の考え方について。
    1. 運営費交付金
       設立団体である市が、法人に対し、その業務の財源に充てるために必要な金額を交付するもの。
       算定された交付金の範囲内で、自主的・自律的な大学運営を行う。
      〔算定ルール〕
      運営費交付金イコール1たす2たす3ひく4
      • 1【人件費】
        • 役員及び教職員に係る人件費相当額
          平成18年度 定数配分後所要額
          平成19年度~ 経費削減率 マイナス1パーセント
          • 経費削減率は、自己収入充当分を除いたものを対象
      • 2【教育研究経費】【診療経費】【一般管理費】
        • 大学の教育研究及び病院の診療活動に係る経費、施設の維持管理費等
          平成18年度 実績を基に積算した見込額
          平成19年度~20年度 経費削減率 マイナス10パーセント
          平成21年度~ 経費削減率 マイナス5パーセント
          • 経費削減率は物件費、補助費等の自己収入充当分を除いたものを対象
      • 3【法人化新規発生経費】
        • 法人化に伴い新たに発生する経費(役員報酬・システム経費等)
          平成18年度 所要額
          平成19年度 18年度かける1/2
          • 18、19年度のみの経過的な措置
      • 4【自己収入】
        外部研究資金を除く法人の収入
    2. 施設整備費補助金
      • 法人の施設整備のため、運営費交付金とは別に交付される補助金
      • 個々の施設整備に必要な財源(毎年度査定)

    (公立大学法人名古屋市立大学)

  •  設立団体からは、運営費交付金と、施設の新設や大規模修繕等に要する経費として施設整備費補助金が措置される。
     運営費交付金については、基本的には従来どおりの積上げ方式、(人件費たす教育研究費たす一般管理費ひく自主財源)という考え方で算定される。ただし、県の財政構造改革プログラムに基づく削減が課せられている。

    (公立大学法人滋賀県立大学)

  •  法人化初年度は、事業費ひく自己収入イコール運営費交付金の算定式を基本として運営費交付金が措置されている。
     次年度以降は、(運営費交付金ひく退職手当分)かける99パーセントに退職手当分を加えたものが措置される予定。

    (公立大学法人和歌山県立医科大学)

  •  『運営交付金算定ルール』
    運営費交付金イコール普通交付金たす特別交付金
    普通交付金イコール標準的支出額ひく標準的収入額(授業料、入学金、受験手数料等)
    特別交付金イコール標準的支出を上回る人件費や大規模修繕等に要する経費

    (公立大学法人福岡女子大学)

  •  事業費ひく自己収入イコール運営費交付金の算定式を基本として運営費交付金が措置されている。なお施設費は、今期中期計画であらかじめの予定はない。
    『運営交付金算定ルール』
    • 平成18年度
      積み上げ方式(平成17年度ベース)
    • 平成19年度以降
      人件費たす運営費かける0.99たす特殊要因
      (平成18年度ベース)

    (公立大学法人大分県立芸術文化短期大学)

  • 〔運営費交付金の算定方法〕
    運営費交付金イコール標準運営費交付金たす特定運営費交付金
    • 【標準運営費交付金】
      法人運営における標準的な経費・収入を算定し、その財源不足を補うもの
      • 平成19年度は、平成18年度予算額を基準として次のように算定
        標準運営費交付金イコール1たす2ひく3
        • 1人件費
          役職員に係る給料、報酬、諸手当、事業主負担等の人件費
        • 2運営費
          人件費以外の大学運営費、教務運営費、法人化新規経費等
        • 3自己収入
          外部研究資金を除く授業料、入学検定料、入学料等の収入
      • 平成20年度から平成24年度までは、それぞれ前年度の標準運営費交付金の額の1パーセントを削減して算定
    • 【特定運営費交付金】
      標準運営費交付金で対応できない特定目的の経費
      • 退職手当および特別研究経費の所要額については、各事業年度の予算編成過程において算定される(上記運営費交付金の額には含まれていない。)

    (公立大学法人福井県立大学)

  •  【運営費交付金の算定ルール】
     本中期計画期間中における運営費交付金は、標準的に見込まれる支出及び収入を基に決定した平成19年度の金額を基準とし、平成20年度以降は、毎年度、以下の算定ルールに基づき試算したものであるが、各事業年度の運営費交付金については、予算編成過程において決定される。
    (運営費交付金)イコール(A(y)たすB(y)たすC(y)たすD(y)たすE(y)ひくF(y))
    • A(y):人件費 A(y)イコールA(yひく1)
    • B(y):管理運営費(事務局経費、施設管理費等) B(y)イコールB(yひく1)かけるα
    • C(y):教育研究費(教員) C(y)イコールC(yひく1)かけるα
    • D(y):教育研究費(学生) D(y)イコールD(yひく1)かけるβ
    • E(y):特殊経費(当該年度の退職手当見込額等)
    • F(y):自己財源(外部研究資金を除く当該年度の学納金見込額等)
    諸係数
    α 効率化係数マイナス1パーセント
    β 毎年度の予算編成過程において決定
    y 当該年度
    yひく1 当該年度の前年度

    (静岡県公立大学法人)

  •  老朽改修施設・設備及び退職手当に係る経費については、各年度個別に協議する。その他の経費に係る運営交付金については、中期計画期間中に段階的な削減を行う。

    (公立大学法人神戸市外国語大学)

  •  運営費交付基準及び運営費補助基準が以下のとおり設定されている。
    • (1)運営費交付基準イコールたすたすひく
      • ア 附属病院
        政策医療たす法人化前の既発行県債の元利償還金(1/3)たす退職手当(県職員の勤務年数分)
      • イ 大学
        運営費たす法人化前の既発行県債の元利償還金たす退職手当(県職員の勤務年数分)
      • ウ 医療機器
        医療機器整備費(1/4)
      • エ 法人化前の既発行県債元利償還金
    • (2)運営費補助基準イコールたすたすひく
      • ア 法人化により新たに発生する経費
        雇用保険事業主負担たす銀行手数料
      • イ 法人化により、法人が負担すべき経費(従来は一般会計で負担)
        建物等損害保険料たす公務災害補償基金負担金たす互助会負担金
      • ウ 外的要因により負担増となる経費
        共済長期給付負担金率上昇分たす地域手当率上昇分
      • エ 譲渡債権(未収金等)相当額

    (公立大学法人奈良県立医科大学)

  •  事業費ひく自己収入イコール運営費交付金の算定式を基本として、運営費交付金が措置されている。
    • 〈事業費〉
      • 一般分(教員給与、教育研究費、一般管理費等)
        平成19年度は、人件費を除く既定の経費についてマイナス3パーセント抑制する。平成20年~21年度は、改訂第三次岡山県行財政改革大綱に沿った各年度の予算編成方針に準じて、経費の抑制を図る。平成22年度以降は、それまでの数年間の経営状況をふまえ今後検討する。
      • 特殊分(県派遣職員、退職手当、大規模修繕費等)
        各年度ごとに、必要額を精査し積算する。

    (公立大学法人岡山県立大学)

  •  運営費交付金は下記算定方法に基づき算定されている。但し、臨時的経費
    (施設の大規模整備費、中途退職手当等)については、所要額を個別に算出した上、その都度設立団体側と協議し、財源措置する。
    運営費交付金イコール1たす2たす3たす4たす5ひく6
    1 一般管理費、2 人件費、3 教育経費、4 研究経費、5 教育支援経費、6 収入

    (公立大学法人下関市立大学)

(2)法人(大学)全体としての予算編成プロセス確立のための取組

  • ◇ 法人化に伴い運営費交付金の算定方法、予算編成や外部資金の獲得について、各法人等の編成が可能となり、トップマネジメントを発揮することにより、全学的な視点に立った予算編成プロセス確立の取組が行われている。

    〔実施:23法人、検討:6法人〕

〔取組事例〕

  •  予算編成プロセスについては下記の通り。
    1. 運営費交付金の削減割合を考慮し、全体のシーリング割合、新規事項予算枠を決定する(予算編成方針の決定)。
    2. シーリング枠を各学部に通知及び、新規事項の募集を行う。
    3. 新規事項のヒアリングを役員により行う。
    4. 各学部の調書及び新規事項をとりまとめ役員会に諮る。
    5. 経営審議会において審議し、役員会で議決し予算を決定する。

    (公立大学法人大阪市立大学)

  •  全学的に統一された方針のもとに予算を編成するために、以下のプロセスを採用している。
     理事長は、経営審議会の審議を経た後、役員会の審議を経て、予算編成方針を決定。
     予算管理者(大学予算及び病院予算の予算単位ごとの管理者)は、予算編成方針に基づき予算単位(大学・病院)の予算案を作成し、予算責任者(経営担当理事)に提出する。
     予算責任者は、予算単位の予算案を各予算管理者と調整し、理事長の査定を経た後、予算案を作成し、経営審議会に提出する。
     経営審議会は、予算案を審議し、役員会に提出する。
     役員会は、予算案を審議し、理事長が予算を決定する。

    (北海道公立大学法人札幌医科大学)

  •  下記のとおりの予算編成としている。
    当初予算協議(要求) から 財務企画課長調整 から 役員会承認 から 経営審議会・教育研究審議会承認 から 復活予算協議(要求) から 総務経営担当理事調整 から 役員会承認 から 経営審議会・教育研究審議会承認 から 予算成立
    • 財務企画課長調整は経常的事業、総務経営担当理事調整は政策的事業。

    (公立大学法人奈良県立医科大学)

(3)外部資金獲得による増収の取組

  • ◇ 新たな規程の制定や学内周知など、外部資金を獲得するために向けた取組が行われている。

    〔実施:28法人、検討:4法人〕

〔取組事例〕

  •  中期目標の中に外部資金獲得に関する目標額を設定しており、定期的に開催する全教職員を集めた全学説明会などで周知を図っている。

    (公立大学法人九州歯科大学)

  •  科学研究費補助金等に関する若手研究者向けの説明会の実施、メールマガジンやホームページによる各種助成金等に関する情報を迅速に周知している。国などの重点施策事業等の獲得に向け、情報収集・企画立案を行う委員会を設置し、全学的な検討体制を整備している。

    (北海道公立大学法人札幌医科大学)

  •  共同・受託研究の間接経費について、規程、契約で間接経費割合を明記し、またその使途についても、大学全体と学部への配分方針を決めた。

    (公立大学法人福井県立大学)

  •  効率的に競争的資金を獲得するため、寄附金規程、受託研究規程を制定し体制の整備を図った。

    (公立大学法人下関市立大学)

(4)業務効率化の取組

  • ◇ 法人化のメリットを活かした経費節減のための工夫など、財務内容の改善に向けた取組が行われている。

    〔実施:31法人、検討:2法人〕

  • ◇ 法人の財政基盤確立のため、定員・人件費などの抑制に関する取組が行われている。

    〔実施:24法人、検討:6法人〕

〔取組事例〕

  •  入札の積極的な活用や、複数年契約導入により、購入価格を引き下げている。また、省エネ推進による光熱水費の削減などに努めている。

    (公立大学法人大阪市立大学)

  •  法人化後の事務事業の簡素化・合理化を推進するため、事務局が担当する302事業を対象に、事務事業の総点検(各職員による自主点検)を実施した。その結果、縮小、省力化等の見直しが可能な29事業について直ちに取り組むこととし、改善に向けて検討等が必要な25事業については、更に検討等を行うこととした。

    (公立大学法人熊本県立大学)

  •  施設管理、給与計算事務の民間委託化。

    (公立大学法人神戸市外国語大学)

  •  施設・設備の維持管理経費や保守点検経費については、長期継続契約への移行により、経費の削減を図っている。
     指名競争入札における指名業者の範囲の拡大に取り組んでいる。
     医薬品については、ジェネリック薬品の導入、診療材料については、低コスト品目への切り替えについて取り組んでいる。

    (公立大学法人奈良県立医科大学)

  •  事務改善に係る研修会を理事長自ら職員に対し行い(6月、12月の2回実施)意識改革を図った。

    (公立大学法人下関市立大学)

  •  経費節減のため、立替払ができる範囲を拡大した。(個人名義のクレジットカードを利用してインターネットで物品調達を行うことを可能とした。)

    (長崎県公立大学法人)

  •  中期計画期間において、正規職員に係る人件費総額の5パーセント削減を掲げ、総人件費の抑制に取り組んでいる。

    (公立大学法人奈良県立医科大学)

(5)学内のスペースや施設の有効活用に関するマネジメントの実施

  • ◇ 法人経営の観点から全学的な視点に立った施設の有効活用が行われている。

    〔実施:22法人、検討:10法人〕

〔取組事例〕

  •  学内の空きスペースの把握に努めるとともに、施設の有効活用を進めるために、休日などに外部の諸団体への貸し出しなどを積極的に展開している。

    (公立大学法人大阪市立大学)

  •  施設の長期保全計画書を策定し、効果的・効率的な運用を図っている。

    (北海道公立大学法人札幌医科大学)

  •  地域の学習交流拠点を整備するとともに、学内施設の整備及び施設周辺の安全環境の整備等を行った。

    (公立大学法人岡山県立大学)

  •  施設の有効利用を図るため、「施設配置見直し検討部会」「固定資産活用推進ワーキンググループ」を設置し検討した結果、共同研究室の改築、講座転用、病院内へのコーヒーショップ、コンビニの導入等を実現した。

    (公立大学法人福島県立医科大学)

(6)その他の取組

  • ◇ 様々な取組を通じて法人化のメリットを活かした効果的な業務運営が行われている。

    〔実施:6法人、検討:1法人〕

〔取組事例〕

  •  一般財源研究費の弾力的な使用のために、年度を単位とする配分の例外として「研究費立替制度」を実施した。

    (公立大学法人首都大学東京)

  •  電話料金の支払を納付書払いから口座引き落し払いに変更し、事務手続きを効率化した。また、研究費での日々雇用職員(短期間のアルバイトなど)の申請手続きを財務会計システム内に取り込んで支払事務の効率化を図るべく、システム変更に着手した。なお、高額備品の共有化を図るべく保有リストを学内ネットワークで公開し、研究費執行マニュアルでその周知を行った。

    (公立大学法人滋賀県立大学)

4.地域貢献・産学連携の促進

 大学の教育研究成果の普及・活用を行うための組織の設置や自治体・地元企業等との包括協定の締結など、地域貢献、産学連携に関する積極的な取組が行われている。

(1)設立団体や産業界、他の大学や学校種との連携による取組

  • ◇ 全公立大学法人において、地域貢献や産学連携の促進を目的とした取組が行われている。

    〔実施:33法人(全法人)〕

〔取組事例〕

  •  設立団体である東京都が、自然環境保全を担う新たな人材育成・認証制度(一定の基準を満たす課程を「ECO-TOPプログラム」として認定し、当該プログラム修了者を登録する制度)を平成20年度から創設するに当たり、大学が協力してカリキュラム内容の検討を行った。また、本学が平成20年4月から開設する「自然・文化ツーリズムコース」と大学院「観光科学専修」は、この「ECO-TOPプログラム」第1号の認定を受けた。

    (公立大学法人首都大学東京)

  •  日本の産業・社会等に関する分野の教育研究をより充実させるため、関係団体(社団法人日本物流団体連合会及び財団法人ファッション産業人材育成機構)からの寄附を受け、関係企業及び省庁等から講師を招き、当該産業の現状や課題についてオムニバス形式により講義を行う寄附講義を開講した。

    (公立大学法人首都大学東京)

  •  地域の中等教育機関との教育内容・方法の研究の一層の連携・協力を進めるために、「横浜市立大学と横浜市立高等学校との連携協議会」ならびに2つの専門委員会を設置した。協議会の設置により、教育の接続の改善に向けた協力体制が明確化し、平成21年度に開設予定の「横浜市立サイエンスフロンティア高等学校」のカリキュラム策定における連携等の取組が進展した。

    (公立大学法人横浜市立大学)

  •  化学災害が発生した場合、専門家の現場への派遣、現場活動に対する助言、起因物質を特定するための分析支援、訓練時における専門家としての助言等の協力等を行う旨の協定(NBC協定)を北九州市と平成20年1月21日付で締結した。

    (公立大学法人北九州市立大学)

  •  長崎県立大学及び県立長崎シーボルト大学と新上五島町で、相互の発展のため、地域振興、教育、健康福祉及び学術等の分野で協力することを目的として相互協力協定を締結した。

    (長崎県公立大学法人)

  •  地域の活性化のため、本学が中心となり、地元市に立地する国公私立の3大学と地元市、地元商工会議所および地元企業が「大学を活かした地域活性化のための包括協定」を締結するとともに、連携推進のための拠点として「大学サテライト・プラザ彦根」を開設した。

    (公立大学法人滋賀県立大学)

  •  地域貢献や産学連携をより強力に推進し、優れた人材の育成と地域社会の発展に寄与すべく、大阪府立大学との間で包括連携協定を締結した(平成19年4月26日)。
    • 共同組合関西ファッション連合と大学院経営学研究科との間で交流協定を締結し、関西のファッション産業振興に関する教育・調査研究等の分野における協力関係を推進するため、共同調査研究、シンポジウム等の交流事業を行う。(平成19年5月15日締結、2年の有効期間を有する。)
    • 授業の充実を図り、産業界との連携を進めるため、経済学部企画講座として平成19年度後期に日本生命提供講座「生命保険論」を開講した。

    (公立大学法人大阪市立大学)

  •  財団法人北九州産業学術推進機構(FAIS)を母体とする「北九州TLO」と連携し、技術移転を推進してきているが、これを更に積極的に取り組むこととしている。
     今年度からは、財団法人福岡県産業・科学技術振興財団(ふくおかIST)が実施する「地域科学技術推進事業委託事業」にも取り組み、技術開発及び開発された技術移転を推進している。
     平成17年度から、九州工業大学、北九州市立大学及び産業医科大学と連携して、4大学スクラム講座を実施し、生涯教育の推進に努めるとともに、法人化により更に地域に開かれた大学の姿を示している。

    (公立大学法人九州歯科大学)

  •  設立団体と連携し、不登校やひきこもりに悩む子どもたちへの専門的な支援を行う組織として「不登校・ひきこもりサポートセンター」を学内に設置した。

    (公立大学法人福岡県立大学)

  •  高校教育と大学教育双方の充実改善に資することを目的として、熊本県教育委員会と高大連携に関する協定を締結した。また、協定に基づき選定した高大連携のモデル高校5校と、高大連携の先行モデルとなる取組を実施した。さらに、モデル高校だけでなく広く県内等の高校生等を対象に行う高大連携事業として、「高大連携“SUMMER COLLEGE”」を開催した。

    (公立大学法人熊本県立大学)

  •  平成18年度から企業・自治体との間でかわす「包括協定制度」を整備しており、その一環として、平成19年度には、各種研究プロジェクト、自治体職員研修の実施やフォーラムの開催などの活動に取り組んでいる。
    • 里山再生の取組への協力
       熊本県玉名郡和水町において地元協議会を中心に行われる里地里山再生活動に、本学・企業・和水町が協定に基づき支援を行っている。平成19年度は、本学が進める「もやいすと」育成プログラムにおいて同地区をフィールドに学生が体験実習を行ったほか、本学環境共生学部の学生100名が実施した現地実習についても同地区に協力を求めて行うなど、里山再生による地域づくりと学生の教育を併せた取り組みを進めている。

    (公立大学法人熊本県立大学)

  •  地元市と「連携協力協定」を締結し、各種委員会への委員派遣や記念式典等への教員学生の派遣、共同研究の実施など各種事業を進めている。
     初等教育機関並びに高等学校と協力協定を締結し、教育課程上の連携を深めている。
     また設立団体と将来的な地域人材育成について積極的な議論を行うと共に、GPをはじめとする各種事業を実施する際には設立団体である島根県と連携した活動を行っている。
     産公学をコラボレーションするNPO法人の活動運営に積極的な支援・活動協力を行っている。

    (公立大学法人島根県立大学)

  •  包括協定を結んでいる広島県内の5自治体がそれぞれ抱えている地域課題を解決するために,「地域戦略協働プロジェクト事業」を自治体と大学が協働して展開している。実効性のある政策提言に向けて,調査研究・シンポジウムを行っている。

    (公立大学法人県立広島大学)

  •  秋田県八峰町との行政協定を締結し、本学の学生(日本人、外国人)を同町の小・中学校に派遣し、当該児童、生徒等の交流を通して、国際化、異文化理解への涵養を高める取り組みを行っている。

    (公立大学法人国際教養大学)

  •  大学の研究開発力と学生パワーを活かし大学周辺にIT企業の集積を推進するため、岩手県立大学では、IT産業集積構想(岩手県産業成長戦略に位置づけ(平成18年11月))を策定し、平成19年8月から本学地域連携研究センターに貸し研究室を設置したところ、平成20年1月現在IT企業が4社入居した。
     この取組の結果、大学が立地する地元自治体の滝沢村が、大学敷地内にIT企業入居用施設((仮称)滝沢村IPUイノベーションセンター)の建設を決定(平成19年9月、平成21年2月開所予定)。
    施設概要 延べ床面積 1,000平方メートル、入居用貸室 10室(予定)

    (公立大学法人岩手県立大学)

  •  出願特許の技術移転を促進するためにJST(科学技術振興機構)と連携して、企業を対象とした『新技術説明会』を開催した。

    (公立大学法人首都大学東京)

(2)地域の住民に対する大学開放の取組

  • ◇ 多数の法人において地域の住民に対して、公開講座や市民セミナーの開催など積極的な大学開放を行い、地域のまちづくりへの貢献を目指している。

〔実施:30法人、検討:1法人〕

〔取組事例〕

  •  産業技術に関するアップトゥデイトな話題を取り上げつつ、広く一般からの参加者を募り交流を図るAIITADVANCED INSTITUTE OF INDUSTRIAL TECHNOLOGY)マンスリーフォーラムを開催。

    (公立大学法人首都大学東京)

  •  大阪府と連携し、中高年齢者を対象とした「アクティブシニア府立大学連携セミナー」を実施。

    (公立大学法人大阪府立大学)

  •  本学では、地域住民(「初黄・日ノ出町環境浄化推進協議会」)及び中区役所と協力しながら、初黄・日ノ出町地区にある旧特殊飲食店の空き店舗を活用した「まちづくり活動拠点(通称:Kogane-X Lab.[コガネックスラボ])の運営を行っている。当該活動拠点の運営を通じて、本学では、エリアマネジメント研究や社会起業実験のほか、商品開発やマーケティングプログラムの開発に取り組み、当該地区のまちづくりに貢献している。

    (公立大学法人横浜市立大学)

  •  18年度から実施している市民向けの公開講座/セミナーを、数ならびに内容面で充実させ組織的に実施している他、外部からの講師派遣依頼に対し教員を積極的に派遣している。

    (公立大学法人札幌市立大学)

  •  全研究科において、市民向けの連続講座を実施した。人間文化研究科においても、Human & Social サイエンス・カフェ(人文社会系の話題について市民と教員が喫茶店で話し合う市民公開講座)を開催した。

    (公立大学法人名古屋市立大学)

  •  地域住民を対象とする心理教育相談や臨床心理士、教員等の専門家を対象とする専門的相談を行う組織として「心理教育相談室」を学内に開設した。

    (公立大学法人福岡県立大学)

  •  従来、夏季休業中のみ実施していた図書館の市民開放を、授業期間中は制限があるが、通年実施とした。提供するサービスも従来の閲覧・複写に加え、貸出も可能とした。

    (公立大学法人神戸市外国語大学)

(3)地域貢献や産学連携を行うための学内組織の整備

  • ◇ 多数の大学において、地域貢献や産学連携を行うために、何らかの学内組織の整備を行っている。

    〔整備:30法人、検討:2法人〕

〔取組事例〕

  •  出願特許の審査請求を実施するか否かの判断を行う『審査委員会』を設置、審査基準、異議申立等運営についての規程整備を行い円滑な審査を実施した。

    (公立大学法人首都大学東京)

  •  横浜市立大学医学部地域医療貢献推進委員会を設置(平成19年5月1日)し、地域医療に関する調査・企画・立案、市民医療講座の企画・実施及び地域医療機関等への医師の紹介・応援などについて審議を行っている。

    (公立大学法人横浜市立大学)

  •  本学の社会貢献施策を総合的に推進するため、新たに「社会貢献推進本部」を設置するとともに、社会貢献施策に関する企画・立案等、戦略的な推進策について審議するため、「社会貢献推進委員会」を設けた。

    (公立大学法人滋賀県立大学)

  •  平成19年度に大学院文学研究科内に「地域貢献推進委員会」を設置し、これまで各教員が個人レベル・教室レベルで行ってきた活動を一元的に把握し、今後は中長期的、戦略的にこれらの活動を行っていくこととした。平成20年度には同委員会の事業として、高校生を対象にした「市大授業」を実施する予定。
     大学院生活科学研究科では文部科学省の現代的教育ニーズ取組支援プログラム「QOLプロモーター育成による地域活性化」の実施のために「地域交流室」を設けた。また、同プログラムの相談業務を行なうために、「児童・家族相談所」を設置している。

    (公立大学法人大阪市立大学)

  •  法人役員に渉外企画担当理事設置。事務局に産学官連携を担当する単独の係(「産学連携係」)を設置。

    (公立大学法人奈良県立医科大学)

  •  法人化を契機に、学内組織であった地域連携推進委員会を改組し、新たに「地域連携推進センター」を立ち上げ、地域と大学の窓口機能として活動している。

    (公立大学法人島根県立大学)

(参考)平成19年度(2007年度)における共同研究、受託研究の件数(見込み)
  • 共同研究
    • 743件(平成18年度(2006年度):711件)
      共同研究数が増加した法人数:16法人、減少した法人数:9法人
  • 受託研究
    • 1,126件(平成18年度(2006年度):1,261件)
      受託研究数が増加した法人数:17法人、減少した法人数:12法人

(4)その他の取組

〔取組事例〕

  •  治験審査委員会のない病院等のため、治験代行審査受託事業を開始した。

    (公立大学法人福島県立医科大学)

  •  教員を特定しない大学の活動に対する寄附金の規程も整備し、平成19年度から受入を行っている。

    (公立大学法人熊本県立大学)

  •  地元企業等への貢献、産学連携推進のため、地元商工会議所に加入した。

    (公立大学法人神戸市外国語大学)

  •  大学院GP「実践的北東アジア研究者の養成プログラム」のもとで市民研究員との共同研究を実施している。島根県中山間地域研究センターと共同で連携大学院の設置を進めている。

    (公立大学法人島根県立大学)

5.教育・研究機能の活性化

 学生による授業評価、単位上限制、GPAの導入、FDなどを活用した授業の質を高めるための組織的な取組や研究支援組織の整備等研究活性化に向けた取組が図られている。

(1)学生による授業評価の実施

  • ◇ 調査の対象となった全公立大学法人において、学生による授業評価を実施しており、授業改善等に役立てている。

    〔実施:33法人(全法人)〕

〔取組事例〕

  •  対象科目を全授業科目(全学共通教育科目,専門教育科目,及び前期・後期・通年開講科目)に拡大して,学生による授業評価を実施。同評価結果を各担当教員にフィードバックし,自己評価・改善計画等の提示を求め,報告書を作成。

    (公立大学法人県立広島大学)

  •  学生による授業評価アンケートを実施、その結果に対するコメントを各教員が作成した。その後それぞれが所属する学科会議にコメントを持ちより授業改善のための方策を検討した。

    (公立大学法人下関市立大学)

(2)単位上限制(CAP制)の導入

  • ◇ 学生の履修過多を防ぐため、学生の履修要件に一定の上限を設定している。

    〔導入:11法人、検討:4法人〕

〔取組事例〕

  •  平成19年度入学生より各学科で設定した単位の上限制を導入した。
     セメスター毎の履修登録可能な単位数は卒業要件のうち、国際文化学部27単位、社会福祉学部28単位、看護栄養学部看護学科26単位、看護栄養学部栄養学科25単位

    (公立大学法人山口県立大学)

  •  単年度における履修登録の上限を40単位としている。

    (公立大学法人島根県立大学)

(3)厳格な成績評価(GPA)制度の導入

  • ◇ 厳格な学生の成績評価制度として、授業科目ごとに段階別に成績評価を行い、単位あたりの平均値(GPA:グレート・ポイント・アベレージ)を出す取組をしている。

    〔導入:8法人、検討:11法人〕

〔取組事例〕

  •  本学では学則上、所定の単位を優れた成績をもって修得した学生に対しては、次年度に単位数の上限を超えて履修登録を認めることができるとしており、その「優れた成績」を決定する基準として、GPAを利用した。具体的には、19年度について、18年度の履修登録科目において4段階の成績判定(A判定3点、B判定2点、C判定1点、D判定0点)を行い、GPA2.7以上である学生(2年次学生数の8.6パーセント)に対して、1年間に履修登録できる単位数(46単位)を超えて、さらに8単位を上限として履修登録を認めることとした。

    (公立大学法人札幌市立大学)

(4)ファカルティ・ディベロップメント(FD)の実施

  • ◇ 多くの公立大学法人において、ファカルティ・ディベロプメント(FD)を実施しており、教員の授業改善に向けた取組を行っている。

    〔実施:31法人、検討:2法人〕

〔取組事例〕

  •  「学生の授業参加意欲を高めるための実践方法」と題するワークショップ形式の講習会を全学部及び研究科教員の参加により実施。現代の学生の実態を把握するとともに、基本提案に従って学習意欲を高めるための教育実践方法について討議。

    (公立大学法人名古屋市立大学)

  •  これまでは、外部講師による講演会などを中心としたFDを実施してきたが、今後は、グループ討議などの参加型研修を計画している。

    (公立大学法人九州歯科大学)

  •   FD委員会では、年に1回以上学内研修会を開催すると共に、FD委員会の委員がかならず1回以上学外での研修会に参加し、その研修内容を取りまとめた上で、授業アンケート結果に対するコメントも含めてFD報告書を作成している。

    (公立大学法人島根県立大学)

  •  全学FD研修会の外に,新たにFD講演会を実施。授業改善に関する実践事例等をまとめた資料「授業改善のためのヒント」及び「遠隔講義マニュアル(暫定版)」を発行。

    (公立大学法人県立広島大学)

(5)研究活動の活性化を図るための学内の取組

  • ◇ 柔軟な組織編制を可能とする法人化のメリットを活かした研究支援のための全学組織の新設や研究費に関するインセンティブ制度の制定など、研究の活性化に向けた取組が行われている。

    〔実施:27法人、検討:4法人〕

〔取組事例〕

  •  研究推進部門を持つ地域連携研究センターを平成19年4月に設置し、全学組織的に研究活動の活性化に取り組んでいる。具体的な取組み内容は、昨年度から設けている学内競争的研究費(学術奨励研究費、共同研究費)の運用、学部間共同研究を促進するための研究交流会の実施、科研費申請等に係る説明会の実施など。

    (公立大学法人札幌市立大学)

  •  学内における高度研究機器の共同利用の実態調査を行い、共同利用を促進する。共同利用可能な高度研究機器を学内向けホームページに掲載する予定(平成20年1月)。

    (公立大学法人名古屋市立大学)

  •  学内の研究奨励交付金制度の中に、大学独自の戦略課題を研究するためのプロジェクト研究費を措置した。
     また、学部間の共同研究を応募要件とするなど、学際的研究を推進する取組みを行った。

    (公立大学法人福岡県立大学)

  •  法人役員に教育研究担当理事設置。TARA制度導入。国における教育研究助成を一層獲得するため、学内に検討グループ設置。

    (公立大学法人奈良県立医科大学)

(6)その他の取組

  •  国際総合科学研究科では、これまでの独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)、独立行政法人物質・材料研究機構(NIMS)に加え、19年度にはNTT物性科学基礎研究所とも連携大学院協定を締結し、大学院の教育機能の充実を図っている。

    (公立大学法人横浜市立大学)

  •  平成19年度入学生より、教育の充実を図るため共通教育基礎科目(全学必修4単位)の基礎セミナー12を開講した。教員・学生ともに学部横断的編成で導入教育としてのスキルを環境・健康をテーマに展開している。
     学生の付加価値をつける目的として社会的ニーズの高い分野を専門的に学ぶ副専攻制度を検討し、平成20年度より稼働する予定。
     教育充実の一環として、各学部学科においてシラバスや実習内容の改善にむけた検討を行っている。
     シラバスに具体的学習目標、授業外学習課題、成績評価法等を記載し、学習意欲の向上と成績評価の明確化を図っている。
     学生が学習相談等で教員を訪ねやすいようにオフィスアワーのWEB上での公開を実施。

    (公立大学法人山口県立大学)

  •  協定を締結した地域の企業等が実際の講義を担当し、企業の持つ実践的知識をもとに「理論」と「実践」を学ばせる「協力講座」制度を創設した。 平成19年度は、2社と協定を締結し、3科目の授業科目を開講した。平成20年度は、協定企業4社、5科目の開講を予定している。

    (公立大学法人熊本県立大学)

6.学生支援の充実

 大学独自の奨学金制度や授業料減免制度の導入、学習指導や就職支援、キャリア教育等の充実に関する取組が行われている。

(1)大学独自の奨学金制度の導入

〔導入:14法人、検討:8法人〕

〔取組事例〕

  •  真摯に勉学に取り組み優秀な成績を納めた学生上位4パーセントに対して、経済要件なしに、表彰するとともに奨学金10万円を授与する制度を創設した。

    (公立大学法人名古屋市立大学)

  •  授業料の納付が困難な学生に対して授業料相当額を融資した金融機関に在学期間中の利子を補給する「授業料奨学融資利子補給制度」を導入した。

    (公立大学法人島根県立大学)

  •  火災・地震・風水害等の災害により著しい被害を受けた学生に対し、10万円を限度とする災害見舞金を給付する、災害見舞金制度を創設。

    (公立大学法人横浜市立大学)

(2)大学独自の授業料減免制度の導入

  • ◇ 多数の大学において大学独自の授業料減免制度を導入しており、経済的に困難な学生に対する負担軽減制度が導入されている。

    〔導入:31法人、検討:2法人〕

〔取組事例〕

  •  経済的な理由で授業料の納付が特に困難な学生に対する新たな授業料減免制度を導入した。

    (公立大学法人島根県立大学)

  •  減免制度の適用にあたっては、従来の経済的な事情に加え、成績をも加味することにより、特に優秀な学生に対しては全額免除するなど、学生の学習意欲の向上が図られるようにした。

    (公立大学法人下関市立大学)

  •  大学として、特に、大学院生を獲得するため、入学料の減額や授業料の減免制度についての検討を開始。

    (公立大学法人奈良県立医科大学)

(3)キャリア教育や就職支援の充実に関する取組

  • ◇ 学生に対して具体的な就職に関する指導・相談を行ったり、1年次から、学生に対するキャリア教育を行うなど、各法人が学生に対する取組を積極的に行っている。

    〔実施:24法人、検討:3法人〕

〔取組事例〕

  •  
    求人情報検索システムの新規導入
    学内・学外を問わず、本学に届いた求人情報を検索・閲覧できるシステムを導入。
    アセスメントソフトの導入
    進路検討の一助として性格検査、職業興味検査ソフトを新規導入し、提供中。
    大規模な合同企業研究会の実施(2回)
    ブース形式により140社の企業参加のもと、企業の説明会だけでなく、各種セミナー、無料模擬試験、カウンセリングなど多彩な内容のイベントを同時開催する。
    エントリーシート添削指導の実施
    専門家による個人指導でエントリーシートの添削を行う。
    個人面接ロールプレイトレーニングの実施
    グループワークでの個人面接会を行う。面接対策の実践編である。
    イングリッシュカフェの実施
    毎週2回開催。英語ネイティブスピーカーとカフェ形式で自由に語り合うことにより英会話能力の向上を図る。

    (公立大学法人大阪府立大学)

  •   OBとのつながりを強固なものにするためにキャリアサポーター制度を導入しているが、10月に「キャリアサポーターと学生の集い」を開催。
     キャリアサポーターも256名まで登録を増やし、サポーター同士の連携も始まっている。

    (公立大学法人横浜市立大学)

  •  1年生を対象としたキャリアオリエンテーションを実施。さらに、キャリアコンサルタントによるキャリアガイダンスも実施。1年生から自分のキャリアを考えるようすすめている。
     また、キャリアワークショップ実習として、キャリアサポーターの協力の下、事前の調査を徹底させ業界や仕事を理解するための企業訪問を行う。さらに、その業界での仕事を理解することを目的に実際に働くキャリアサポーターを訪問する。グループワークの形式をとるため、チームワークも図られる。

    (公立大学法人横浜市立大学)

  •  地区別相談会(出身地へのUターン就職希望者対象)、就活ファッション講座(生協協力:服の選び方やよく見せる方法などの講座)、グループディスカッション対策講座(ジョブカフェ協力:実践指導)、面接基礎講座121入退室、姿勢、2自己PR)など、就職支援のための取り組みに力を入れた。

    (長崎県公立大学法人)

  •  19年度現代GPに選定された取組「男女共同参画社会をめざすキャリア教育」を実施している。専門教育も含めて大学4年間全体を女子高度教養教育として構築する。具体的には、職業キャリア導入教育・学問キャリア導入教育・男女共同参画関連教育等の実施、オンデマンド学習システムの整備等。

    (公立大学法人福岡女子大学)

  •  1年生全員にポートフォリオ(学習履歴の記録)を作成するためのファイルを配付し、インターンシップ、就職支援・資格試験対策などのキャリアサポートとカリキュラムとを、ポートフォリオを活用して有機的に結びつけるキャリアデザイン教育システムの取組を開始した。
     また、平成20年度からの新カリキュラム導入に併せて、教養教育において、学生が大学生活を通して主体的に自らのキャリアを構築していくための方法の習得を目的とする「キャリアデザイン」科目群及び全学共通科目「キャリア形成論」を新設することとした。

    (公立大学法人熊本県立大学)

  •  法人化により既存の3つの大学が統合されたことに伴い、キャリア(就職、進学等)支援に関しては、全学運営組織としてキャリアセンターを設置して、3キャンパスのキャリア支援事業の効率的な実施に向けた企画調整を行った。また、キャリアセンターにキャリアアドバイザーを配置して、学生の進路選択や就職相談にきめ細かく対応する体制を整えた。

    (公立大学法人島根県立大学)

(4)学習指導の充実に関する取組

  • ◇ 学生が休退学などに陥らないよう、学生の出席状況を把握するなど、大学全体で適切な相談体制を築くような取組をしている。

    〔実施:20法人、検討:7法人〕

〔取組事例〕

  •  学生が休退学に陥ることを未然に防止するために、大学全体で組織的に支援する「早期支援システム」を新入生に対し実施。内容は特定の科目で3回連続して欠席した学生を呼び出し、教職員が面接、指導を行い、継続してフォローしていくもの。

    (公立大学法人北九州市立大学)

  •  テュートリアル教育のカリキュラムを導入した。また、学務システムを導入して、教員だけではなく事務局においても学生の出席状況を把握することが可能となり、適切な指導の時期を得ることが可能となった。また学生自身も、自ら出席状況を把握することができるようになり、自己管理能力及び学修に対する意識の向上が期待されている。

    (公立大学法人九州歯科大学)

  •  学生に、早期から、医師となることに対する自覚を持たせるため、第1学年から「医学特別講義」を行う等、6年一貫教育に向けた新しい教育プログラムを推進。

    (公立大学法人奈良県立医科大学)

  •  平成19年度から学部カリキュラムを大幅に見直し、学生が卒業後のキャリアイメージを描きながら、ディシプリンを意識して学習できるように2年次からの5つの履修モデルを設けると共に、1人の教員が2年次から卒業時まで演習を通じて本学の教育の目的である「諸科学を統合し実践できる力」と「知的体力」を養えるように教育する10人程度の少人数で行なう「総合演習」をカリキュラム上に配置した。

    (公立大学法人島根県立大学)

  •  高等学校退職教員の協力を得て,推薦入試合格者を対象とする入学前教育を1学部で試行的に開始。また,外部のソーシャルワーカーの活用や学生支援研修会の開催等により,学生相談体制の強化を図っている。

    (公立大学法人県立広島大学)

  •  学生も利用できる学内託児所で24時間保育を開始した。

    (公立大学法人福島県立医科大学)

  •  平成19年8月から健康サポートセンターの保健師を1名増員(1名から2名)し、学生相談の1次対応者である保健師が年間を通じて常駐できる体制とした。また、2名体制としたことにより、開設時間を18時30分まで延長するなど、学生の利便性の向上を図った。

    (公立大学法人山口県立大学)

  •  多様な学生相談体制を構築することにより学生がより相談しやすい環境となるよう、学生が相談員となって他の学生から相談をうける「ピア・サポート事業」を平成19年10月から実施している。

    (公立大学法人岩手県立大学)

  •  事務局に学生相談室を新設(課)。学生のサポートを実践する場として、就職支援を行うキャリアセンターと、相談ごとや悩みの解決に向けた支援を行う学生相談室の二つからなる「学生プラザ」を整備した。

    (公立大学法人北九州市立大学)

7.国際化や情報発信の取組

(1)国際交流の推進

  • ◇ 海外の大学との学術交流協定締結の促進、留学生受入支援の充実、海外事務所の設置など、国際化への取組が行われている。

〔取組事例〕

  •  学術交流協定を結んでいる西安交通大学(中国)の学生ならびに教員を招聘し,「海の道による日中文化融合-瀬戸内海の歴史と文化-」というテーマで10日間のセミナーを実施した。

    (公立大学法人県立広島大学)

  •  本学に留学してくる外国人留学生への全ての分野に関するサポート、本学から海外協定校に留学する日本人学生へのサポート、地域の国際化推進のための各種活動として、国際交流センターを開設した。

    (公立大学法人下関市立大学)

  •  中期計画に掲げた「海外英語習得プログラム・海外留学の活用」に基づき、
     協定校である韓国・仁川大学校と平成19年9月11日に学生交流協定(交換留学)を締結した。(これまでは仁川大学校からの留学生受入のみ実施)来年度以降、まず交換留学生の受入を開始し、準備が整い次第派遣も開始する。
     また、中国・北京語言大学と平成19年11月2日に友好校協定を締結、平成20年2月~3月の春期休業期間を利用し現地で一ヶ月間の語学研修を実施する。

    (公立大学法人北九州市立大学)

  •  留学生及び海外からの教員の宿舎用に民間アパート1棟借上げた。また、国際交流イベントの会場として活用するため、国際交流会館を新設した。又、地域の私立大学と共同運営でもう1棟開設し、会館を利用しての相互に単位認定できる講義の開講、相互の留学生による商店街でのアンテナショップの開店などの実現を目指すため、協議会を立ち上げた。

    (公立大学法人下関市立大学)

  •  国際農業研究機関である「国際トウモロコシ小麦改良センター」(CIMMYT、本部;メキシコ)と国際的レベルの研究・教育の推進に向けた協力関係を構築するため、包括的基本協定を締結した(平成19年11月22日)。グローバルな共同研究と、世界的な農業研究活動を展開し、国際貢献に取り組んでいく。

    (公立大学法人横浜市立大学)

  •  米国シリコンバレー地区に、横浜市立大学カリフォルニアオフィスを設置し、国際的な産学連携支援の推進、教育支援へ向けた取り組みを検討中。

    (公立大学法人横浜市立大学)

  •  ネパールにおいて国際歯科保健医療協力活動に取り組む等、「国際交流協力室」を設けて活動を推進している。
     法人化後は、ネパール国ラリトプール郡の8つの村で地域歯科保健医療協力事業を展開している。主なプロジェクトは、歯科診療、学校歯科保健、フッ素洗口、12歳児虫歯の早期発見・早期充填、口腔保健専門家の養成、母子保健、母子歯科保健などである。事業は、ネパール人口腔保健専門家による自立型活動を目指している。

    (公立大学法人九州歯科大学)

  •  首都大学東京経営・教学戦略委員会において大学の将来像の検討を開始し、首都大学東京における国際化の在り方について検討部会を設置して議論を行っている。

    (公立大学法人首都大学東京)

(2)法人役員への外国人の登用(平成19年度現在3法人)

  •  公立大学法人は一般地方独立行政法人であり地方公務員法の適用がなくなることに伴い、役員等への外国人の採用が可能となり、副理事長、理事への採用が行われている。具体的には、横浜市立大学ではブルース・ストロナク氏を副理事長(学長)に、会津大学ではニコライ N.ミレンコフ氏を副理事長に、国際教養大学ではグレゴリー・クラーク氏を理事に採用している。

(3)情報発信機能の向上に関する取組

  • ◇ 法人として社会への説明責任を果たすことに加え、地域貢献などに資するため、広報活動を行うための全学的組織の設置や広報内容・方法の工夫など、情報発信機能の向上に向けた取組が行われている。

    〔実施:28法人、検討:4法人〕

〔取組事例〕

  •  法人Webサイトを、豊富な情報をより見やすく、迅速に提供することを目的にリニューアルした。
    • トピックス、プレスリリース、イベントの各情報のRSS配信を開始
    • 大学の話題を写真とともに紹介するコーナー「SPOTLIGHT」や、学生の功績やユニークな活動など、話題の学生達の活動をピックアップするコーナー「活躍する市大生」を新設。

    (公立大学法人横浜市立大学)

  •  情報発信機能の向上を図り、広報・情報委員会を組織した。
     附属図書館ニュースレターの発行を開始した。
     年報の作成を開始した。
     英語版パンフレットを作成した。

    (公立大学法人札幌市立大学)

  •  学内外からのニーズに的確に対応した、より戦略的・重点的な広報が可能となるよう、平成19年8月に「広報基本方針」を定め、学内コンセンサスを形成し、全学的な広報活動を展開している。
     具体的な取組としては、毎月の大学紹介ビデオの制作を実施しているほか、動画配信を含めた大学ホームページの充実や、大学広報誌の創刊に向けて取り組んでいるところである。

    (公立大学法人山口県立大学)

-- 登録:平成21年以前 --