第1章 地方独立行政法人(公営企業型を除く)に適用される会計基準及び注解 第12節


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12節 連結財務諸表

1款 連結財務諸表の作成目的及び一般原則

90 連結財務諸表の作成目的
 連結財務諸表は、地方独立行政法人とその出資先の会社等(以下「関係法人」という。)を公的な資金が供給されている一つの会計主体として捉え、地方独立行政法人が関係法人集団(地方独立行政法人及び関係法人の集団をいう。以下同じ。)の財政状態及び運営状況を総合的に報告するために作成するものである。(注59)

注59>連結財務諸表の作成目的及び性格について
1  地方独立行政法人が行う出資等は、法人の設立目的を達成するために業務として行われるものであり、地方独立行政法人と関係法人の間に必ずしも支配従属関係が認められるわけではないが、地方独立行政法人と関係法人を公的な資金が供給されている一つの会計主体とみなして、公的な主体としての説明責任を果たす観点から、連結財務諸表の作成、開示を行うものである。
2  このような観点から作成される連結財務諸表は、公的な資金がどのように使用されているかを示すことを主たる目的としており、地方独立行政法人の評価は、個別財務諸表により行われる必要がある。
3  関係法人には、地方独立行政法人が出資を行っている民間企業のほか、法人と一定の関係を有する公益法人等が含まれる。

91 連結財務諸表一般原則
1  連結財務諸表は、関係法人集団の財政状態及び運営状況に関して真実な報告を提供するものでなければならない。
2  連結財務諸表は、関係法人集団に属する地方独立行政法人及び関係法人が準拠すべき一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成された個別財務諸表を基礎として作成されなければならない。
3  地方独立行政法人の会計は、連結財務諸表によって、住民その他の利害関係者に対し必要な会計情報を明瞭に表示し、関係法人集団の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない。(注60)
4  連結財務諸表作成のために採用した基準及び手続は、毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。

注60>重要性の原則の適用について
1  連結財務諸表を作成するに当たっては、住民その他の利害関係者の関係法人集団の状況に関する判断を誤らせないようにするため、金額的側面及び質的側面の両面からの重要性を勘案して、適切な会計処理及び表示を行わなければならない。
2  なお、連結財務諸表は、関係法人集団の財政状態及び運営状況を住民その他の利害関係者に総合的に報告するために作成するものであることから、その判断を誤らせない限り、連結の範囲、特定関連会社の決算日が連結決算日と異なる場合の仮決算の手続、連結のための個別財務諸表の修正、特定関連会社の資産及び負債の評価、未実現利益の消去、連結財務諸表の表示等に関して重要性の乏しいものについては、本来の会計処理によらないで合理的な範囲で他の簡便な方法によることも認められる。

92 連結の範囲
1  地方独立行政法人は、原則としてすべての特定関連会社を連結の範囲に含めなければならない。(注61)
2  特定関連会社とは、地方独立行政法人が政策目的のため法令等で定められた業務として出資する会社であって、次のいずれかに該当する場合には、当該会社は特定関連会社に該当するものとする。
(1) 会社の議決権の過半数を所有しているという事実が認められる場合
(2) 会社に対する議決権の所有割合が百分の五十以下であっても、高い比率の議決権を保有している場合であって、次のような事実が認められる場合
 議決権を行使しない株主が存在することにより、株主総会において議決権の過半数を継続的に占めることができると認められる場合
 役員、関連会社等の協力的な株主の存在により、株主総会において議決権の過半数を継続的に占めることができると認められる場合
 役員若しくは職員である者又はこれらであった者が、取締役会の構成員の過半数を継続的に占めている場合
 重要な財務及び営業の方針決定に関し地方独立行政法人の承認を要する契約等が存在する場合
3  地方独立行政法人及び特定関連会社が、他の会社に出資又は投資を行い、多大な影響力を与えていると認められる場合における当該他の会社も、また、特定関連会社とみなすものとする。

注61>連結の範囲からの除外について
 特定関連会社であって、その資産、収益等を考慮して、連結の範囲から除いても関係法人集団の財政状態、運営状況及び公的資金の使用状況等に関する合理的な判断を妨げない程度に重要性が乏しいものは、連結の範囲に含めないことができる。

93 連結決算日
1  連結財務諸表の作成に関する期間は一年とし、地方独立行政法人の会計期間に基づき、毎年三月三十一日をもって連結決算日とする。
2  特定関連会社の決算日が連結決算日と異なる場合には、特定関連会社は、連結決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続により決算を行わなければならない。(注62)

注62>決算日に差異がある場合の取扱いについて
 決算日の差異が三か月を超えない場合には、特定関連会社の正規の決算を基礎として、連結決算を行うことができる。ただし、この場合には、決算日が異なることから生ずる地方独立行政法人及び連結される特定関連会社間の取引に係る会計記録の重要な不一致について、必要な整理を行うものとする。

94 会計処理の原則及び手続
1  同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、地方独立行政法人及び特定関連会社が採用する会計処理の原則及び手続は、「第11節地方独立行政法人固有の会計処理」に定めるものを除き、原則として地方独立行政法人の会計処理に統一しなければならない。(注63)
2  会計処理の原則及び手続で地方独立行政法人及び特定関連会社との間で特に異なるものがあるときは、その概要を注記しなければならない。

注63>会計処理の統一について
1  資産の評価方法及び固定資産の減価償却の方法についても、本来統一することが望ましいが、事務処理に多大の時間と労力を要するため、統一が困難な場合には、統一をしないことができる。
2  特定関連会社に対する地方独立行政法人の出資が、当該特定関連会社が行う研究開発事業等に要する資金の供給として他の民間会社と共同して実施される場合であって、当該特定関連会社が、当該他の民間会社の持分法適用会社に該当するため、当該特定関連会社の会計処理が当該他の民間会社の会計処理に統一されており、地方独立行政法人の会計処理に統一することが困難な場合等合理的理由がある場合には、関係法人集団の財政状態及び運営状況に関する住民その他の利害関係者の判断を誤らせない限りにおいて、会計処理の統一を行わないことができる。
3  上記の場合においては、会計処理の統一が困難な理由、統一されていない会計処理の概要を注記しなければならない。

95 連結財務諸表の体系
 地方独立行政法人の連結財務諸表は、次のとおりとする。
(1) 連結貸借対照表
(2) 連結損益計算書
(3) 連結キャッシュ・フロー計算書
(4) 連結剰余金計算書
(5) 連結附属明細書

2款 連結貸借対照表の作成基準

96 連結貸借対照表作成の基本原則
 連結貸借対照表は、地方独立行政法人及び特定関連会社の個別貸借対照表における資産、負債及び資本の金額を基礎とし、特定関連会社の資産及び負債の評価、地方独立行政法人及び連結される特定関連会社(以下「連結法人」という。)相互間の出資と資本及び債権と債務の相殺消去等の処理を行って作成する。

97 特定関連会社の資産及び負債の評価
1  連結貸借対照表の作成に当たっては、特定関連会社に該当することとなった日において、特定関連会社の資産及び負債のすべてを、特定関連会社に該当することとなった日の時価により評価しなければならない。(注64)
2  特定関連会社の資産及び負債の時価による評価額と当該資産及び負債の個別貸借対照表上の金額との差額は、特定関連会社の資本とする。

注64>特定関連会社に該当することとなった日が、特定関連会社の決算日以外の日である場合の取扱いについて
 特定関連会社に該当することとなった日が特定関連会社の決算日以外の日であるときは、当該日の前後いずれか近い決算日において特定関連会社に該当することとなったものとみなして処理することができる。

98 出資と資本の相殺消去
1  地方独立行政法人の特定関連会社に対する出資とこれに対応する特定関連会社の資本は、相殺消去しなければならない。
2  地方独立行政法人の特定関連会社に対する出資とこれに対応する特定関連会社の資本との相殺消去に当たり、差額が生ずる場合には、当該差額は発生した事業年度の損益として処理しなければならない。
3  特定関連会社相互間の投資とこれに対応する資本とは、地方独立行政法人の特定関連会社に対する出資とこれに対応する特定関連会社の資本との相殺消去に準じて相殺消去しなければならない。

99 少数株主持分
1  特定関連会社の資本のうち地方独立行政法人に帰属しない部分は、少数株主持分とする。
2  特定関連会社の欠損のうち、当該特定関連会社に係る少数株主持分に割り当てられる額が、当該少数株主の負担すべき額を超える場合には、当該超過額については、当該特定関連会社との関係を勘案して処理するものとする。(注65)

注65>特定関連会社の欠損が当該特定関連会社に係る少数株主持分に割り当てられるべき額を超える場合の処理について
1  例えば、特定関連会社に対する地方独立行政法人の出資が、当該特定関連会社が行う研究開発事業等に要する資金の供給として他の民間会社と共同して実施される場合等であって、特定関連会社の欠損金について地方独立行政法人と当該他の民間会社がその出資割合に応じて負担することが合理的な場合には、次のように処理することが考えられる。
(1) 地方独立行政法人が当該特定関連会社の債務保証を行っている等、契約等による義務を負っている場合には、特定関連会社の欠損のうち、当該特定関連会社に係る少数株主の負担すべき額を超える額(以下「少数株主持分超過欠損額」という。)のうち、地方独立行政法人が負担すべき義務の金額の範囲内で地方独立行政法人の持分に負担させる。
(2) 地方独立行政法人が契約等による義務を負っていない場合の少数株主持分超過欠損額及び少数株主持分超過欠損額が契約等により地方独立行政法人が負担すべき義務の金額を超える場合の当該超過欠損額は、少数株主持分に割り当てるものとする。
2  上記1(1)の場合において、その後特定関連会社に利益が計上されたときは、地方独立行政法人が負担した欠損が回収されるまで、その利益の金額を地方独立行政法人の持分に加算するものとする。

100 債権と債務の相殺消去
1  連結法人相互間の債権と債務とは、相殺消去しなければならない。
2  連結法人相互間での債務保証に関し計上されている保証債務損失引当金は、その全額を消去しなければならない。

101 関連会社等に対する持分法の適用
1  連結の範囲に含めない特定関連会社及び関連会社に対する出資については、原則として持分法を適用しなければならない。(注66)
2  関連会社とは、地方独立行政法人及び特定関連会社が、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、特定関連会社以外の会社の財務及び営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該会社をいう。
3  次の場合には、特定関連会社以外の会社の財務及び事業運営の方針決定に重要な影響を与えることができないことが明らかに示されない限り、当該会社は関連会社に該当するものとする。
(1) 特定関連会社以外の会社の議決権の百分の二十以上を実質的に所有している場合
(2) 会社に対する議決権の所有割合が百分の二十未満であっても、一定の議決権を有しており、かつ、次のような事実が認められる場合
 地方独立行政法人の役員若しくは職員である者又はこれらであった者であって、財務及び営業又は事業の方針決定に関して影響を与えることができる者が、代表取締役又はこれに準ずる役職に就任している場合
 地方独立行政法人が、重要な融資(債務保証又は担保の提供を含む。)を行っている場合
 地方独立行政法人が、重要な技術を提供している場合
 地方独立行政法人との間に、重要な販売、仕入その他の営業上又は事業上の取引がある場合
 地方独立行政法人が、財務及び営業又は事業の方針決定に対して重要な影響を与えることができることが推測される事実が存在する場合
4  関連会社株式の売却等により当該会社が関連会社に該当しなくなった場合には、残存する当該会社の株式は、個別貸借対照表上の帳簿価額をもって評価する。なお、特定関連会社株式の売却等により当該会社が特定関連会社及び関連会社に該当しなくなった場合には、上記に準じて処理する。

注66>持分法適用の範囲からの除外について
 持分法の適用により、連結財務諸表に重要な影響を与えない場合には、持分法の適用会社としないことができる。

102 表示区分
1  連結貸借対照表は、資産の部、負債の部、少数株主持分及び資本の部に区分するものとする。資産の部は、流動資産、固定資産及び繰延資産に区分し、固定資産は、有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産に区分して記載するものとする。負債の部は、流動負債及び固定負債に区分して記載するものとする。少数株主持分は、負債の部の次に区分して記載するものとする。資本の部は、資本金、資本剰余金、連結剰余金に区分して記載するものとする。
2  流動資産、有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産、繰延資産、流動負債及び固定負債は一定の基準に従い、その性質を示す適切な名称を付した科目に明瞭に分類して記載するものとする。(注67)

注67>繰延資産について
1  「第8資産の定義」により、地方独立行政法人においては、繰延資産を計上してはならないことにされており、連結貸借対照表に計上される繰延資産は、特定関連会社の貸借対照表に計上されている繰延資産に限られる。
2  特定関連会社の貸借対照表に社債発行差金が繰延資産として計上されているときは、当該社債発行差金は、投資その他の資産として連結貸借対照表に計上するものとする。

3款 連結損益計算書の作成基準

103 連結損益計算書作成の基本原則
 連結損益計算書は、地方独立行政法人及び特定関連会社の個別損益計算書における費用、収益等の金額を基礎とし、連結法人相互間の取引高の相殺消去及び未実現損益の消去等の処理を行って作成する。

104 連結法人相互間の取引高の相殺消去
 連結法人相互間における役務の提供その他の取引に係る項目は、相殺消去しなければならない。

105 未実現損益の消去
1  連結法人相互間の取引によって取得したたな卸資産、固定資産その他の資産に含まれる未実現利益は、その全額を消去しなければならない。
2  未実現損益の金額に重要性が乏しい場合には、これを消去しないことができる。
3  売手側の特定関連会社に少数株主が存在する場合には、未実現損益は地方独立行政法人と少数株主の持分比率に応じて、地方独立行政法人の持分と少数株主持分に配分するものとする。

106 表示区分
1  連結損益計算書は、経常損益計算及び純損益計算の区分を設けなければならない。経常損益計算の区分は、連結法人の業務活動から生じた費用及び収益等を記載して経常損益を表示するものとする。純損益計算の区分は、経常損益計算の結果を受けて、臨時利益及び臨時損失を記載して税金等調整前当期純利益を表示し、これに法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額及び少数株主持分損益を加減して当期純損益を表示するものとする。純損益計算の結果を受けて、目的積立金取崩額等を表示し、当期総利益を表示するものとする。
2  業務活動から生じた費用及び収益、臨時利益及び臨時損失は、一定の基準に従い、その性質を示す適切な名称を付した科目に明瞭に分類して記載しなければならない。

4款 連結キャッシュ・フロー計算書の作成基準

107 連結キャッシュ・フロー計算書作成の基本原則
 連結キャッシュ・フロー計算書は、地方独立行政法人及び特定関連会社の個別キャッシュ・フロー計算書を基礎として、連結法人相互間のキャッシュ・フローの相殺消去の処理を行って作成する。

108 表示区分及び表示方法
1  連結キャッシュ・フロー計算書の資金の範囲、表示区分及び表示方法については、「第22キャッシュ・フロー計算書の資金」及び「第7節キャッシュ・フロー計算書」に準じるものとする。
2  なお、連結範囲の変動を伴う特定関連会社株式の取得又は売却に係るキャッシュ・フローは、「投資活動によるキャッシュ・フロー」の区分に独立の項目として記載する。この場合、新たに特定関連会社となった会社の資金の額は、株式の取得による支出額から控除し、特定関連会社でなくなった会社の資金の額は株式の売却による収入額から控除して記載するものとする。

5款 連結剰余金計算書の作成基準

109 連結剰余金計算書作成の基本原則
1  連結貸借対照表に示される連結剰余金については、その増減を示す連結剰余金計算書を作成する。
2  連結剰余金の増減は、地方独立行政法人及び特定関連会社の損益計算書及び利益処分に係る金額を基礎とし、連結法人相互間の配当に係る取引を消去して計算する。
3  地方独立行政法人及び特定関連会社の利益処分については、連結会計期間において確定した利益処分を基礎として連結決算を行う方法による。

110 表示方法
1  連結剰余金計算書は、連結剰余金期首残高、連結剰余金増加高、連結剰余金減少高及び当期総利益を示して、連結剰余金期末残高を表示しなければならない。
2  連結剰余金減少高は、設立団体納付及び役員賞与に区分して記載するものとする。

6款 関連公益法人等の取扱い

111 関連公益法人等の情報開示
 関連公益法人等については、地方独立行政法人との出えん、人事、資金、技術、取引等の関係を「第7節連結財務諸表の附属明細書、連結セグメント情報及び注記」に定めるところにより開示するものとする。(注68)

注68>関連公益法人等について
 地方独立行政法人と関連公益法人等との間には資本関係が存在しないが、地方独立行政法人を通じて公的な資金が供給されている場合も多いことから、公的な会計主体である地方独立行政法人は関連公益法人等との関係を開示し説明する責任を有している。

112 関連公益法人等の範囲
1  関連公益法人等とは、地方独立行政法人が出えん、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、財務及び事業運営の方針決定に対して重要な影響を与えることができるか又は地方独立行政法人との取引を通じて公的な資金が供給されており、地方独立行政法人の財務情報として、重要な関係を有する当該公益法人等をいう。(注69)
2  次の場合には、公益法人等の財務及び事業運営の方針決定に重要な影響を与えることができないことが明らかに示されない限り、当該公益法人等は関連公益法人等に該当するものとする。
(1) 理事等のうち、地方独立行政法人の役職員経験者の占める割合が三分の一以上である公益法人等
(2) 事業収入に占める地方独立行政法人との取引に係る額が三分の一以上である公益法人等
(3) 基本財産の五分の一以上を地方独立行政法人が出えんしている財団法人
(4) 会費、寄附等の負担額の五分の一以上を地方独立行政法人が負担している公益法人等
3  関連公益法人等の特定関連会社又は関連会社である会社は関連公益法人等とみなすものとする。
4  次に掲げる場合は、関連公益法人等に該当しないものとすることができる。
(1) 地方独立行政法人の役職員の福利厚生を目的として設立されている公益法人等であって、上記2(2)に該当しない場合
(2) 地方独立行政法人が交付する助成金等の収入が事業収入の三分の一を占めることにより、上記2(2)に該当することとなるが、上記2の(1)、(3)及び(4)に該当しない公益法人等であって、当該助成金等が、地方独立行政法人の審査に付された上で、継続的、恒常的でない形態で交付される場合

注69>公益法人等の範囲について
 公益法人等とは、財団法人、社団法人のほか、社会福祉法人、特定非営利活動法人、技術研究組合等の法人も含まれる。

7款 連結財務諸表の附属明細書、連結セグメント情報及び注記

113 連結財務諸表の附属明細書
 地方独立行政法人は、連結貸借対照表及び連結損益計算書等の内容を補足するため、附属明細書を作成しなければならない。なお、附属明細書は、「第76附属明細書」に準じるほか、次の事項を明らかにしなければならない。
(1) 特定関連会社、関連会社及び関連公益法人等の概要
 名称、業務の概要、地方独立行政法人との関係及び役員の氏名(地方独立行政法人の役職員経験者については、地方独立行政法人での最終職名を含む。)
 特定関連会社、関連会社及び関連公益法人等と地方独立行政法人の取引の関連図
(2) 特定関連会社、関連会社及び関連公益法人等の財務状況
 特定関連会社及び関連会社の当該事業年度の、資産、負債、資本金及び剰余金の額、並びに営業収入、経常損益、当期損益及び当期未処分利益又は当期未処理損失の額
 関連公益法人等の当該事業年度の、貸借対照表に計上されている資産、負債及び正味財産の額、並びに収支計算書に計上されている当期収入合計額、当期支出合計額及び当期収支差額
(3) 特定関連会社及び関連会社株式並びに関連公益法人等の基本財産等の状況
 地方独立行政法人が保有する特定関連会社及び関連会社の株式について、所有株式数、取得価額及び貸借対照表計上額(前事業年度末からの増加額及び減少額を含む。)
 関連公益法人等の基本財産に対する出えん、拠出、寄附等の明細並びに関連公益法人等の運営費、事業費等に充てるため当該事業年度において負担した会費、負担金等の明細
(4) 特定関連会社、関連会社及び関連公益法人等との取引の状況
 特定関連会社、関連会社及び関連公益法人等に対する債権債務の明細
 地方独立行政法人が行っている関連会社及び関連公益法人等に対する債務保証の明細
 特定関連会社及び関連会社の総売上高並びに関連公益法人等の事業収入の金額とこれらのうち地方独立行政法人の発注等に係る金額及びその割合

114 連結セグメント情報の開示
1  連結法人における開示すべきセグメント情報は、当該連結法人が異なる事業を運営している場合等には、その事業内容等に応じた適切な区分に基づくセグメント情報とする。
2  開示すべき情報は、連結法人の事業収益、事業損益及び当該セグメントに属する資産総額その他の財務情報とする。(注70)

注70>連結セグメント情報の開示について
1  連結法人においても、その業務の内容が多岐にわたる場合、説明責任の観点から、その業務ごとのセグメントに係る財務情報を開示する必要がある。
2  また、開示すべき情報についても、住民その他の利害関係者に対する説明責任を果たすため、連結法人の主要な資産項目、主要な事業費用の内訳等を積極的に開示する必要がある。
3  セグメントの区分については、運営費交付金に基づく収益以外の収益の性質や複数の業務を行っている連結法人の業務区分を参考にしつつ定めていくこととする。

115 連結財務諸表の注記
 連結財務諸表には、次の事項を注記しなければならない。
(1) 連結の範囲等
 連結の範囲に含めた特定関連会社、関連会社に関する事項その他連結の方針に関する重要事項及びこれらに重要な変更があったときは、その旨及び変更の理由
(2) 決算日の差異
 特定関連会社の決算日が連結決算日と異なるときは、当該決算日及び連結のため当該特定関連会社について特に行った決算手続の概要
(3) 会計処理の原則及び手続等
 重要な資産の評価基準及び減価償却の方法並びにこれらについて変更があったときは、その旨、変更の理由及び当該変更が連結財務諸表に与えている影響の内容
 特定関連会社の採用する会計処理の原則及び手続で地方独立行政法人及び特定関連会社との間で特に異なるものがあるときは、その概要
 特定関連会社の資産及び負債の評価方法
(4) その他の重要な事項
 関係法人集団の財政状態及び運営状況を判断するために重要なその他の事項


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