第1章 地方独立行政法人(公営企業型を除く)に適用される会計基準及び注解 第7節


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7節 キャッシュ・フロー計算書

64 表示区分
1  キャッシュ・フロー計算書には、業務活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローの区分を設けなければならない。(注39)
2  業務活動によるキャッシュ・フローの区分には、投資活動及び財務活動以外の取引によるキャッシュ・フローを記載する。(注40)
3  投資活動によるキャッシュ・フローの区分には、固定資産の取得及び売却、投資資産の取得及び売却等によるキャッシュ・フローを記載する。(注41)
4  財務活動によるキャッシュ・フローの区分には、資金の調達及び返済によるキャッシュ・フローを記載する。(注42)
5  設立団体納付に係るキャッシュ・フローは、業務活動によるキャッシュ・フローの区分に記載する。
6  受取利息、受取配当及び支払利息に係るキャッシュ・フローは、いずれも業務活動によるキャッシュ・フローの区分に記載する。ただし、公立大学法人については、受取利息及び受取配当金は投資活動によるキャッシュ・フローの区分に記載し、支払利息は財務活動によるキャッシュ・フローの区分に記載する。(注43)

注39>キャッシュ・フロー計算書の表示区分について
1  キャッシュ・フロー計算書においては、一会計期間におけるキャッシュ・フローを業務活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローの三つに区分して表示する。
2  業務活動によるキャッシュ・フローの区分には、地方独立行政法人の通常の業務の実施に係る資金の状態を表すため、サービスの提供等による収入、原材料、商品又はサービスの購入による支出等、投資活動及び財務活動以外の取引によるキャッシュ・フローを記載する。
3  地方独立行政法人に対して地方公共団体から交付される運営費交付金については、法人がその業務を行うことを前提に、そのための財源として交付される資金であり、損益計算においても法人の業務の遂行によって最終的に収益計上されるものであるので、その収入額を業務活動によるキャッシュ・フローの区分に表示する。
4  国又は地方公共団体等から交付される補助金等については、地方独立行政法人が行う業務の財源として交付される資金であり、損益計算書においても法人の業務の遂行によって最終的に収益計上されるものもあるので、その収入額を業務活動によるキャッシュ・フローの区分に表示する。
5  なお、サービスの提供等により取得した手形の割引による収入等、業務活動に係る債権・債務から生ずるキャッシュ・フローは、業務活動によるキャッシュ・フローの区分に表示する。
6  投資活動によるキャッシュ・フローの区分には、固定資産の取得等、将来に向けた運営基盤の確立のために行われる投資活動に係る資金の状態を表すため、地方独立行政法人の通常の業務活動の実施の基礎となる固定資産の取得及び売却、投資資産の取得及び売却等によるキャッシュ・フローを記載する。
7  地方独立行政法人に対して地方公共団体から交付される施設費については、その収入額を投資活動によるキャッシュ・フローの区分に表示する。
8  財務活動によるキャッシュ・フローの区分には、増減資による資金の収入・支出及び借入れ・返済による収入・支出等、資金の調達及び返済によるキャッシュ・フローを記載する。
9  地方独立行政法人が行う出資は、主として政策目的の資金供給として行われるほか、長期借入れによる資金の調達も法人の業務財源として必要性が認められる場合に限られている。また、法第43条で余裕金の運用先を安全資産に限る等、本来実施すべき業務以外の資産運用等によって収益を上げることは期待されておらず、これらの活動から生ずる受取利息、受取配当及び支払利息はいずれも法人の業務に起因するものである。このため、損益の算定に含まれる受取利息、受取配当及び支払利息はいずれも業務活動によるキャッシュ・フローの区分に記載する方法に限定する。
10  9にかかわらず、公立大学法人の場合、外部資金による資産運用等により利息収入等を見込める場合があることから、利息の表示区分としては、損益の算定に含まれる受取利息及び受取配当金は投資活動によるキャッシュ・フローの区分に記載し、支払利息は財務活動によるキャッシュ・フローの区分に記載する。

注40>業務活動によるキャッシュ・フローの区分について
 業務活動によるキャッシュ・フローの区分には、例えば、次のようなものが記載される。
(1) 原材料、商品又はサービスの購入による支出
(2) 人件費支出(職員及び役員に対する報酬の支出)
(3) その他の業務支出
(4) 運営費交付金収入
(5) 受託収入、手数料収入等サービスの提供等による収入((4)、(6)及び(8)に掲げるものを除く。)
(6) 補助金等収入
(7) 補助金等の精算による返還金の支出
(8) 寄附金収入(「第82寄附金の会計処理」により資本剰余金として計上されるものを除く。)
(9) 利息及び配当金の受取額(公立大学法人以外の地方独立行政法人に限る。)
(10) 利息の支払額(公立大学法人以外の地方独立行政法人に限る。)
(11) 設立団体納付金の支払額

注41>投資活動によるキャッシュ・フローの区分について
 投資活動によるキャッシュ・フローの区分には、例えば、次のようなものが記載される。
(1) 有価証券の取得による支出
(2) 有価証券の売却による収入
(3) 有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出
(4) 有形固定資産及び無形固定資産の売却による収入
(5) 施設費による収入
(6) 施設費の精算による返還金の支出
(7) 利息及び配当金の受取額(公立大学法人に限る。)

注42>財務活動によるキャッシュ・フローの区分について
 財務活動によるキャッシュ・フローの区分には、例えば、次のようなものが記載される。
(1) 短期借入れによる収入
(2) 短期借入金の返済による支出
(3) 長期借入れによる収入
(4) 長期借入金の返済による支出
(5) 金銭出資の受入による収入
(6) 利息の支払額(公立大学法人に限る。)

注43>利息の表示について
利息の受取額及び支払額は、総額で表示するものとする。

65 表示方法
1  業務活動によるキャッシュ・フローは、主要な取引ごとにキャッシュ・フローを総額表示する方法により表示しなければならない。
2  投資活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローは、主要な取引ごとにキャッシュ・フローを総額表示しなければならない。
3  資金に係る換算差額は、他と区別して表示する。

66 キャッシュ・フロー計算書の様式
1  キャッシュ・フロー計算書の標準的な様式は、次のとおりとする。(PDF:11KB)
2  公立大学法人のキャッシュ・フロー計算書の標準的な様式は、1にかかわらず、次のとおりとする。(PDF:11KB)

67 注記事項
 キャッシュ・フロー計算書については、次の事項を注記しなければならない。
(1) 資金の期末残高の貸借対照表科目別の内訳
(2) 重要な非資金取引(注44)
(3) 各表示区分の記載内容を変更した場合には、その内容

注44>重要な非資金取引について
 キャッシュ・フロー計算書に注記すべき重要な非資金取引には、例えば、次のようなものがある。
(1) 現物出資の受入による資産の取得
(2) 資産の交換
(3) ファイナンス・リースによる資産の取得
(4) PFIによる資産の取得


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