産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業【テーマB】インターンシップ等の取組拡大(大学教育再生加速プログラム(インターンシップ等を通じた教育強化))(平成26年度採択)の最終評価について

「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業委員会」所見

 

平成28年8月

産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業委員会

 

1.事業の目的・背景について

 「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業【テーマB】インターンシップ等の取組拡大(大学教育再生加速プログラム(インターンシップ等を通じた教育強化))」(以下「本事業」という。)は、各地域の大学グループが、地域でインターンシップ等を推進する組織・団体等との連携のもとで、インターンシップ等のマッチングや専門人材の養成等に係る取組を実施することを通じ、地域全体へのインターンシップ等の普及・定着を図ることを目的として、平成26年度から平成27年度にかけて実施した事業である。

 平成25年6月に閣議決定された「日本再興戦略」において、キャリア教育から就職まで一貫して支援する体制の強化が提言されたことや、「キャリア教育やインターンシップへの支援を強化するとともに、中小企業の魅力を学生に発信する取組にも力を入れたい」旨の安倍総理の発言(平成25年4月の経済界との意見交換会)等を踏まえ、大学等において、地域の中小企業も含めたインターンシップ等の拡充を通じて、キャリア教育・就職支援体制を強化することが重要であるとの認識のもとで、各地域に企業、大学等、関係する諸々の行政機関からなる産官学によるインターンシップ等のマッチングのための組織(以下「地域インターンシップ推進協議会」という。)を整備し、主に以下のような事業に取り組む大学グループを、平成26年度に11件選定した。
 1:地域内でのインターンシップ等の受入れ企業の開拓や、受入れ企業に対する事前・事後を通じた実習内容等に関する指導・助言の実施
 2:インターンシップや産学連携教育(コーオプ教育、PBL等)等のマッチングの実施、手法・モデルの開発
 3:大学等や企業等においてインターンシップのコーディネートを行う専門人材の養成、手法・モデルの開発
 4:インターンシップに関わるステークホルダーによる情報交換会等、キャリア教育・就職支援に関する情報共有の実施

2.最終評価について

 今般、平成27年度に補助期間が終了したことに伴い、各大学グループにおける種々の取組について、これまでの成果報告会での報告内容や成果報告書の内容に基づいて書面審査を行い、各取組に対する最終評価を実施した。

 最終評価では、「S:当初の計画を超えた取組が行われた」と評価されたものが4件、「A:当初の計画と同等の取組が行われた」と評価されたものが3件、「B:当初の計画以下の取組であるが、一部で当初計画と同等又はそれ以上の取組も見られる」と評価されたものが4件であった。

 なお、「C:総じて当初の計画以下の取組である」と評価されたものは1件もない。

 総合評価結果と各大学グループ別の最終評価結果は下記4及び5のとおりである。

 

3.事業全体の評価と今後の課題

 大学間で連携して事業を行うことは、大学ごとの規模や学問分野等の違いにより連携が困難な部分もあるが、地域全体へのインターンシップ等の普及・定着という本事業の趣旨に則り、各大学グループとも地域の特徴を活かした様々な取組が行われた。

 特にS評価となった4件の大学グループでは、インターンシップが根付いていない地域における大学や県の枠を超えた連携体制の構築の在り方を示した事例や、幹事校のリーダーシップとともに連携校間での適切な役割分担のもとで、インターンシップを教育課程に明確に位置付けた事例、大学グループ全体での情報共有や状況把握が適切に行われ、参加学生数・受入れ企業数が目標を大きく上回った事例など、他の地域のモデルとなり得るような先進的な取組が行われた。

 こうした取組を通じ、大学間でのインターンシップのノウハウの共有や、協働でのプログラム開発などが生まれ、新たな知見を自大学で活用し、自大学で担う業務の幅を広げ、インターンシップの拡充につながったといった成果が見られた。

 一方で、グループ内の大学により成果にばらつきがあり、地域全体として協働できていないケースや、外部団体の取組に依存したり、実習内容の評価体制や方法が確立されておらず具体的な成果が見えにくいといった課題を抱える大学グループもあり、大学間連携の難しさも同時に見受けられたところである。

 補助期間が終了した平成28年度以降も、引き続き、各地域の特徴を活かしながら地域全体として事業の継続体制を整備し、より実効性のある取組へと進化させながら、大学間や地域間での活発な相互乗り入れや情報共有の拡大等に取り組んでいくことを期待したい。その際には、上記の課題を踏まえて取組を改善し、PDCAを機能させながら、大学等と産業界との連携・協力体制をより密にし、取組を一層充実させていくことを望みたい。

 先に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生基本方針2016」でも、地方創生の観点から、若者の地域定着等が掲げられており、本事業によって整備された地域インターンシップ推進協議会がインターンシップという教育手法を活用し、地域の将来を担う人材育成の中心となって機能していくなど、より発展的な役割も期待したいところである。

 また、文部科学省に対しては、「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」(平成27年12月一部改正)の内容を踏まえ、厚生労働省や経済産業省とも連携しながら、教育効果の高いインターンシップを、より普及させるための具体的な方策の検討、推進を求めたい。

4.総合評価結果

区分

グループ名

連携校名
(1番目が幹事校)

取組名称

最終評価

1

小樽商科大学グループ

小樽商科大学、札幌市立大学、旭川大学、北翔大学、千歳科学技術大学

循環型地域人材育成プラットフォーム[若者が育つ大地:北海道]

B

2

岩手県立大学グループ

岩手県立大学、山形大学、会津大学、盛岡大学、岩手県立大学盛岡短期大学部、桜の聖母短期大学

東北の「結い」で繋ぐふるさとインターンシップ等の拡充

S

3

青山学院大学グループ

青山学院大学、大妻女子大学、工学院大学、駒澤大学、芝浦工業大学、昭和女子大学、専修大学、拓殖大学、東京家政大学、東京電機大学、東京都市大学、東京未来大学、法政大学、明治学院大学、目白大学、東京家政大学短期大学

首都圏におけるインターンシップ等の拡充・高度化

B

4

電気通信大学グループ

電気通信大学、亜細亜大学、北里大学、創価大学、東京経済大学、神奈川工科大学、山梨英和大学

広域多摩中小企業インターンシップ推進事業

B

5

新潟大学グループ

新潟大学、茨城大学、共栄大学、駿河台大学、聖学院大学、西武文理大学、ものつくり大学、敬愛大学、千葉科学大学、千葉商科大学、新潟工科大学、新潟青陵大学、植草学園短期大学、聖徳大学短期大学部、新潟青陵大学短期大学部、[ 茨城キリスト教大学 ]

産学連携によるインターンシップ等の情報発信と専門人材養成

S

6

名古屋産業大学グループ

名古屋産業大学、金沢大学、福井大学、岐阜大学、静岡大学、三重大学、富山県立大学、椙山女学園大学、同朋大学、名古屋商科大学、日本福祉大学、名城大学、金沢工業大学、中部大学、富山国際大学、静岡理工科大学、愛知産業大学、豊橋創造大学、常葉大学、東海大学短期大学部、愛知大学短期大学部、金城大学短期大学部、静岡英和学院大学短期大学部

中部圏における産学連携教育(インターンシップ)の推進と普及

A

7

京都産業大学グループ

京都産業大学、滋賀大学、奈良女子大学、滋賀県立大学、京都府立大学、聖泉大学、長浜バイオ大学、京都外国語大学、京都学園大学、天理大学、奈良佐保短期大学

滋京奈地域における産学連携インターンシップ等による人材育成

S

8

和歌山大学グループ

和歌山大学、大阪府立大学、兵庫県立大学、追手門学院大学、大阪音楽大学、大阪成蹊大学、大手前大学、神戸学院大学、大阪音楽大学短期大学部

地域インターンシップの体制整備を通じたキャリア教育の充実

B

9

島根大学グループ

島根大学、愛媛大学、島根県立大学、岡山県立大学、尾道市立大学、岡山理科大学、倉敷芸術科学大学、くらしき作陽大学、広島修道大学、福山大学、山口東京理科大学、四国大学

中国・四国圏域での産官学協働によるインターンシップ等の推進

S

10

福岡県立大学グループ

福岡県立大学、福岡工業大学、西九州大学

中長期・実践型インターンシップ推進と教育的な指導体制の構築

A

11

琉球大学グループ

琉球大学、名桜大学、沖縄大学、沖縄キリスト教学院大学、沖縄国際大学

うりずんプロジェクト~「沖縄型」インターンシップの展開~

A

※評価について、「S:当初の計画を超えた取組が行われた」、「A:当初の計画と同等の取組が行われた」、「B:当初の計画以下の取組であるが、一部で当初の計画と同等又はそれ以上の取組もみられる」、「C:総じて当初の計画以下の取組である」とする。

5.産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業【テーマB】インターンシップ等の取組拡大(大学教育再生加速プログラム(インターンシップ等を通じた教育強化))(平成26年度採択) 最終評価結果

お問合せ先

高等教育局専門教育課教育振興係

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