法科大学院制度の経緯

<平成11年7月 司法制度改革審議会を設置(~平成13年7月)>
 内閣の下に委員として法曹三者(最高裁判所、日本弁護士連合会、法務省)が参加して設置されました。

平成13年6月 司法制度改革審議会意見書>(首相官邸ホームページへリンク)
 司法制度改革審議会のとりまとめた意見書で、法曹人口・法曹養成のあり方について以下の提言がなされました。

【司法制度改革審議会意見書の内容】

 1. 法曹人口の拡大
 平成22年ころには新司法試験合格者数の年間3,000人達成を目指す。おおむね平成30年ころまでには、実働法曹人口は5万人規模へ。
 2. 法曹養成制度の改革
(1)法科大学院
 法科大学院(仮称)を中核とした法学教育・司法試験・司法修習を有機的に連携させた「プロセス」としての法曹養成制度の整備。
 法科大学院は法曹養成に特化した実践的な教育を行う学校教育法上の大学院。
 法科大学院の設置認可は広く参入を認める仕組みとする。
 適切な機構を設けて法科大学院に対する第三者評価(適格認定)を実施する。
(2)司法試験
 司法試験は、法科大学院の教育内容を踏まえた新たなものに切り替える。
 法科大学院の修了者は、新司法試験の受験資格を有する。
(3)司法修習
 司法修習は、修習生の増加や法科大学院での教育内容に応じ、実務修習を中核として位置付けつつ、内容を適切に工夫する。


<平成13年12月 司法制度改革推進本部設置(~平成16年11月)>
 内閣総理大臣を本部長、全閣僚が構成員として設置されました。

平成14年3月 司法制度改革推進計画(閣議決定)>(首相官邸ホームページへリンク)
 司法制度改革審議会のとりまとめた意見書を踏まえ、政府が講ずべき措置について定めた「司法制度改革推進計画」が閣議決定されました。

 【司法制度改革推進計画の内容】

 法曹人口の大幅な増加が急務となっていることを踏まえ、司法試験の合格者の増加に直ちに着手することとし、平成22年ころには司法試験の合格者数を年間3,000人程度とすることを目指す。
 法曹養成に特化した教育を行う法科大学院を中核とし、法学教育、司法試験、司法修習を有機的に連携させた新たな法曹養成制度を整備する。

  
<平成14年8月 中央教育審議会「法科大学院の設置基準等について(答申)」>
法科大学院の設置基準の在り方等について提言されました。

<平成14年11月 「学校教育法の一部を改正する法律」及び「法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律」の成立>
大学院の目的規定に高度専門職業人を養成することを追加し、「専門職大学院」制度を創設し、法曹に必要な学識及び能力を培うことを目的とする専門職大学院を「法科大学院」と位置づけました。

<平成15年3月 専門職大学院設置基準の制定>
専門職大学院設置基準の中に、法科大学院に関する1章を規定しました。

<平成16年4月 法科大学院開設>

<平成24年8月 法曹養成制度関係閣僚会議設置>

<平成25年7月 法曹養成制度関係閣僚会議決定「法曹養成制度改革の推進について」>

【「法曹養成制度改革の推進について」の内容】

 合格者3,000人程度との数値目標は現実性を欠く。当面数値目標は立てない。


<平成25年9月 法曹養成制度改革推進会議設置> https://www.kantei.go.jp/jp/singi/hoso_kaikaku/

<平成26年6月 法曹養成制度改革顧問会議にて「ギャップターム」の問題の指摘>
  「ギャップターム」……3月に法科大学院修了後、5月に司法試験合格を経て、11月末に司法修習開始するまで、8か月程度の期間が空いてしまうこと

<平成27年6月 法曹養成制度改革推進会議決定「法曹養成制度改革の更なる推進について」> https://www.kantei.go.jp/jp/singi/hoso_kaikaku/pdf/honbun.pdf

【「法曹養成制度改革の更なる推進について」の内容】

 1. 法曹有資格者の活動領域の拡大
 活動領域の拡大に向けた取組を継続(環境整備等)【法務省】【日弁連、弁護士会に期待】【最高裁に期待】
 2. 法曹人口
 当面、1,500人程度は輩出されるよう必要な取組を進める。更にはこれにとどまることなく関係者が最善を尽くし、より多くの質の高い法曹が輩出され、活躍する状況になることを目指す(なお、質の確保にも留意)。
 3. 法科大学院
(1)改革の基本的な考え方
 平成27年度から平成30年度までの期間を法科大学院集中改革期間と位置付け、累積合格率が概ね7割以上となるよう充実した教育を目指す。
 法科大学院生に対する経済的支援の更なる充実や優秀な学生を対象とした在学期間の短縮により、法科大学院課程修了までに要する経済的・時間的負担の縮減を図る。
(2)具体的方策
ア 組織的見直し
 公的支援の見直し強化策の継続【文科省】、教員派遣見直し方策の継続【法務省】【最高裁に期待】
 客観的指標を活用した認証評価の運用【文科省】
 教育の実施状況等に関する調査手続の整備【文科省】
 設置基準の見直しの検討等【文科省】
イ 教育の質の向上
 実務家教員等の活用、未修者教育の充実、先導的取組の支援【文科省】
 共通到達度確認試験(仮称)の試行/その状況に応じ、司法試験短答式試験の免除と関連させるに足りる実態を有することを前提に、制度設計等の検討【文科省】【法務省】
 適性試験等の在り方の検討【文科省】
ウ 経済的・時間的負担軽減
 奨学金制度・授業料減免制度による経済的支援の充実【文科省】
 学部早期卒業・飛び入学による在学期間短縮【文科省】
 ICT を活用した法科大学院教育の実施の検討【文科省】
 4. 予備試験
 予備試験の結果の推移等や法科大学院修了との同等性等を検証+必要な方策を検討【法務省】
 合格判定に当たり、法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成制度の理念を損ねることがないよう配慮【司法試験委員会に期待】
 法科大学院改革の進捗に合わせ、趣旨に沿う者の受験を制約せず、かつ、法曹養成制度の理念を阻害せぬよう、必要な制度的措置を検討【法務省】
 5. 司法試験
 選択科目の廃止の是非(引き続き検討)【法務省】
 方式・合格基準等(検証を通じて一層適切な運用)【司法試験委員会に期待】
 6. 司法修習
 導入修習等の着実な実施により司法修習内容の更なる充実【最高裁に期待】
 経済的支援(司法修習の実態、法曹の収入等の経済状況、合理的な財政負担の在り方等を踏まえ、検討)【法務省(最高裁等と連携)】
 7. 今後の検討について
 法務省及び文部科学省は、連絡協議等の環境を整備し、両省における前記各取組を進める。


<平成30年3月 中央教育審議会大学分科会 法科大学院特別委員会「法科大学院等の抜本的な教育の改善・充実に向けた方向性」>
 法学部に「法曹コース」を設置することを奨励し、法学部が自校又は他校の法科大学院と連携して体系的・一貫的な教育課程を編成し、法曹志望者や法律の学修に関心を有する学生に対しては学部段階からより効果的な教育を行うこととする。

<令和元年6月26日 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第44号)公布>

<令和2年4月 法曹コース開始>