将来、法律に関わる仕事を目指す方へ(法曹コース・法科大学院志望者向けページ)

法曹って何?

法曹とは

 裁判官・検察官・弁護士を示す総称です。

法曹の仕事って?

裁判官の主な仕事

 裁判官は、司法権の担い手として、憲法、法律と良心に従って裁判を行い、社会に生じた法的な紛争を解決します。裁判官が扱う事件は、人と人との間における権利の争いについて判断する民事事件や、罪を犯したとされる人について犯罪が成立するかを判断する刑事事件などがあります。

検察官の主な仕事

 検察官は、刑事事件について、捜査及び起訴・不起訴の処分を行い、裁判所に法の正当な適用を請求し、裁判の執行を指揮監督するなどの権限をもっているほか、公益の代表者として民法等各種の法律により数多くの権限が与えられています。

弁護士の主な仕事

 弁護士は、社会の中で起こる様々なトラブルを解決します。紛争に巻き込まれた人の権利を守るため、代理人として交渉や裁判を行ったり、犯罪をしたと疑われる人が適切な手続を受けられるように弁護するなどの活動を通して、基本的人権を擁護し、社会正義の実現のために活動します。

法曹(裁判官・検察官・弁護士)にはどうやってなるの?

 法曹になるためには、法科大学院を修了して(※1)司法試験に合格し、司法修習(※2)を終了する必要があります。
 法科大学院では、多様なバックグラウンドを有する法曹を輩出していくことが重要です。そのため、入学者選抜では、法律以外の専攻分野を修めた者や、社会人経験を有する者を対象にした特別な取組を行っている法科大学院もあり、法曹志望者の様々なニーズや背景に沿ったルートが設けられています。令和5年司法試験からは、法科大学院在学中に一定の要件を満たした者についても司法試験を受験することが可能となり、司法試験合格後に法科大学院を修了し、司法修習を終了することで、法曹資格を取得することが可能となりました。

(※1)経済的な事情から法科大学院への進学が困難な人などのために、司法試験予備試験に合格することで、法科大学院を経由せずに司法試験を受験することが可能となる制度もあります
(※2)司法修習とは、司法試験に合格した者が、法曹資格を得るために受ける研修です。

法曹コースって何?

法曹コースとは

法曹コースは、法科大学院との連携の下、学部段階から法曹資格を得るために必要な学識や能力を身につけられるように設計されたコース(課程)です。

 法曹コースは、法学部などの法学を学ぶ学部に設置されます。法曹コースを選択する方は、大学を最短3年間で卒業(早期卒業)して、法科大学院(既修者コース(2年間のコース))に進学し、法曹を目指すことが想定されています。なお、早期卒業をすることができない場合でも、その後1年間学修を続け、4年間で大学を卒業することも可能です。

学部段階から法科大学院1年次(法学未修者コース1年目)相当の学修に取り組みます。

 法科大学院と連携したカリキュラムを通じて、学部段階で法科大学院1年次(法学未修者コース1年目)に相当する学修を行います。法曹コースでは、法科大学院との連携の下、法曹を目指すにあたって必要となる基礎的な法律知識や能力などを早期に修得することができます。また、大学を3年で早期卒業し、法科大学院へ進学すれば、これまで大学入学から早くても8年程度を要していた法曹資格取得が、最短6年(法曹コース3年、法科大学院2年、司法修習1年)で可能になります。

 また、各大学は、下記のような創意工夫をし、連携する法科大学院との円滑な接続を図っています。

  • 授業で使用する教材の統一や少人数かつ双方向・多方向で行う科目の開設
  • 法科大学院における教育の導入としての科目の開設
  • 法律基本科目(※)について、法曹コースに開設された基礎科目の履修にとどまらず、連携する法科大学院が開設する応用科目の科目等履修や連携する法科大学院と法曹コースによる共同開講科目として開設された応用科目の履修ができるようにすること

※法律基本科目とは、憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法に関する法理論を学ぶ科目です。

なぜ法曹コースが出来たの?

 質の高い法曹を多数輩出するとともに法曹資格取得までの時間的負担や経済的負担を軽減するためです。法曹コースが出来る以前に法曹資格を取得するためには、法学部などで法律の基礎的な学修をした学生の場合、最短でも、大学を4年で卒業後、法科大学院を2年で修了し、司法試験に合格(受験から合格発表まで約半年)、1年の司法修習の合計約8年間の時間が必要でした。そのため、多くの学生にとって、経済的な負担や時間的な負担の大きさが、法曹を目指すことに対する不安や迷いの要因となっていました。

 そこで、これらの不安や迷いを解消するために学部を3年(法曹コース)で早期卒業し、法科大学院の教育に接続できる仕組みが創設されました。法曹コースは、学部の早期卒業(3年で卒業)を可能とするコースですので、4年間大学に通う場合よりも1年早く法科大学院に進学することが可能となります。そして、法曹コースの仕組みと合わせて創設された法科大学院在学中に司法試験を受験することができる仕組みによって、最短6年(法曹コース3年、法科大学院2年、司法修習1年)で法曹資格の取得が可能になりました。これにより、これまでよりも約2年分の経済的な負担や時間的な負担が軽減され、より早期に実務家として活躍できるようになりました。

法曹コースってこれまでと何が違うの?

従来の制度との違い

最短で約6年に≪法曹コース+在学中受験≫

 これまでの制度では、法曹となるまで原則として、8年間の時間が必要でした。法曹コースは、学部の早期卒業(3年で卒業)を前提とし、これまでよりも1年早く法科大学院に進学することが可能です。
 さらに、一定の要件を満たした希望者は、法科大学院在学中に司法試験を受験することも可能になるので、最短約6年間で法曹資格を取得することができるようになります。

法曹コースの特徴・メリット

★今までの制度より時間的負担と経済的負担が減少します。

 法曹コースは、学部の早期卒業(3年で卒業)を可能とするコースですので、4年間大学に通う場合よりも1年早く法科大学院に進学することが可能となります。
 そして、法曹コースの仕組みと合わせて創設された法科大学院在学中に司法試験を受験することができる仕組みによって、最短で6年(法曹コース3年、法科大学院2年、司法修習1年)で法曹資格の取得が可能になります。

★法科大学院と連携したカリキュラムを通じて、5年一貫型の充実した教育で法曹を目指すことができます!

 法曹コースのカリキュラムは、法科大学院のカリキュラムと一貫的・体系的に編成されるので、法曹コース3年と法科大学院2年の5年間を通じて、法曹になるための充実した学修が可能になります。

法科大学院ってどんなところ?

法科大学院とは

 法科大学院は、法曹養成に特化した専門職大学院です。そして、法科大学院を修了することで司法試験の受験資格を付与されるという特別な役割を担っています。
 法科大学院では、法曹として備えるべき資質と能力を育成するために、少人数で密度の濃い授業を基本としつつ、憲法、民法、刑法をはじめとする法理論教育に加え、弁護士の監督指揮の下に、法律相談、事件内容の予備的聴取り、解決案の検討等を具体的事例に則して学ぶ「クリニック」、法律事務所や企業法務部等で研修を行う「エクスターンシップ」や、裁判官・検察官・弁護士から裁判実務を学ぶ「模擬裁判」など実務教育の導入部分をも併せて実施するなど、実務との架橋を強く意識した教育が行われています。

法科大学院で学べること

法律基本科目 憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法に関する法理論を学ぶ科目です。
法律実務基礎科目 法曹としての技能及び責任その他法律実務に関する基礎的な分野を学ぶ科目です。具体的には、上記の「クリニック」、「エクスターンシップ」、「模擬裁判」のほかに、法曹として有すべき倫理を身に着ける「法曹倫理」、法的問題について判例や文献などの情報を調査する方法を学ぶ「法情報調査」、法的な文書の作成の仕方を学ぶ「法文書作成」などがあります。
基礎法学・隣接科目 基礎法学に関する分野又は法学と関連を有する分野を学ぶ科目です。具体的には、基礎法学、外国法、政治学、法と経済学などがあります。
展開・先端科目 先端的な法領域に関する科目その他の実定法に関する多様な分野の科目であって、法律基本科目以外のものをいいます。具体的には、倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際公法、国際私法などがあります。
 

法科大学院の教育の特徴・メリット

少人数・双方向性の授業で、考える力、伝える力を養えます。

 学部での大人数の授業と異なり、少人数制の授業のもと、法学の研究者・実務家教員や学生間での議論を通じて、法律の理論・実務を詳しく学ぶことができます。

大学よりも、より深く、より進んだ法的思考力・表現力を養えます。

 教育課程全体を通して、事案分析能力や事実認定能力、柔軟な思考力、説得や交渉の能力などの資質・能力を育成していきます。

実際に活躍している実務家の指導のもと実務の力を養えます。

 クリニックやエクスターンシップや模擬裁判などの実務型・ロールプレイ型の授業において、現役の裁判官、検察官、弁護士による、実務との架橋を強く意識した教育を受けることができます。

お答えします!よくある質問

法曹コース総論編

法曹コースに入るだけで法曹になれるのですか。

 法曹コースに入れば必ず法曹になれるというわけではありません。法曹コース修了後、法科大学院に進学し、司法試験に合格し、その後司法修習を終了することが必要です。法曹コースのメリットとしては、1年間早く大学を卒業できることや、学部段階で法科大学院1年次(法学未修者コース1年目)に相当する学修を行うことが可能ということなどが挙げられます。

法曹コースにはどのように入るのですか。

 法曹コースのある大学(学部※)に入学し、所定の時期(多くは2年次進級時)に法曹コースを選択することになります。

※法曹コースは大学の法学部などの法学を学ぶ学部に設置されます。

法曹コースを設置している大学や法科大学院は、どこにあるのですか。

 最下部のリンクに一覧をまとめております。詳しくはそちらをご確認ください。

法曹コース在学中・卒業編

法曹コースのある大学(学部)に入学したら必ず法曹コースに入れますか。

 法曹コースのある大学に入学した後は、法曹コースへ進む選択肢と、従来通りの法学部の課程に進む選択肢があります。そして、法曹コースに進むために、進路選択の時点で改めて試験や要件が課される場合があります。この場合、必ず法曹コースに入れるわけではありません。各大学の法曹コースの選抜がどのようになっているかは、各大学のHPなどでご確認ください。

大学により選択の時期が異なりますか。

 法曹コースの課程が1年次から始まる場合もあれば、2年次や3年次から始まる場合もあります。詳しくは、各大学のHPなどでご確認ください。

法曹コースと法曹コース以外で、大学の卒業について何か違うことはありますか。

 法曹コースは、早期卒業を前提としますので、3年間で4年分の単位を取得することが必要になります。早期卒業の認定要件は大学により異なりますので、各大学のHPなどでご確認ください。

法曹コースを選択し早期卒業した場合、学位は取れるのですか?

 法曹コースを修了して早期卒業をする場合、学位を取得することができます。また学修証明が得られる場合もあります。

法曹コースを3年間で修了できなかった場合、どうなりますか。

 早期卒業ができなかったとしても、通常の4年間の学部の卒業要件を満たし、学位を取得して大学を卒業後、法科大学院に進学することも可能です。

経済的な支援制度はどのようなものがありますか。

 法曹コースにおいても、日本学生支援機構や大学独自の奨学金制度や授業料減免の経済的な支援制度を利用することが可能です。また、法科大学院においても、日本学生支援機構の奨学金、法科大学院独自の給付型奨学金制度や授業料減免の経済的な支援制度、法科大学院生も利用可能な学内の給付型奨学金制度や授業料減免の経済的な支援制度を利用することが可能です。

進学・就職編

法曹コースに入ると、必ず法科大学院に行けるのですか。

 法曹コースを修了することのほか、法科大学院の入学者選抜に合格する必要があります。なお、法曹コースを設置する大学と「法曹養成連携協定」を締結している法科大学院では、入学者選抜において、法曹コース修了予定者を対象とした特別選抜を実施しています。入学者選抜の詳細は各法科大学院のHPなどでご確認ください。

法曹コースに入らないと、法科大学院には進学できないのですか。

 法曹コースに入らなくても、一般選抜を受験することで、法科大学院に進学することは可能です。 その場合には、法学部などで法律を学修した上で法学既修者として法科大学院に進学する方法(法学既修者コース)と、法律を学修したことがない法学未修者として法科大学院に進学する方法(法学未修者コース)があります。

法学未修者として法科大学院に進学するのと法学既修者として進学するのは何が違うのですか(法学未修者コースと法学既修者コースの違い)。

 法科大学院には、法学未修者コース(3年)と法学既修者コース(2年)があります。 法学未修者コースは、法律の学修をしたことがない人などを対象とする3年間のコースです。1年目は法曹を目指すにあたって必要となる基礎的な法律知識や能力などの修得から開始し、その後、理論と実務の架橋となる教育を行っていきます。法学既修者コースは、法律の基礎知識を修得している人を対象とする2年間のコースです。法学未修者コースの2年目と法学既修者コースの1年目が合流し、一緒に学修していくことになります。

法曹コースから法科大学院への進学にあたって、どのような試験が行われますか。

 法曹コースと協定を結んだ法科大学院(連携法科大学院)は、法曹コース修了予定者を対象として特別選抜を実施します。特別選抜には、①「5年一貫型教育選抜」と②「開放型選抜」とがあります。

 ①「5年一貫型教育選抜」  協定先の法曹コースとの教育課程の連続性を重視し、法曹コースの成績、面接など、法科大学院が適当と認める資料(選抜資料)により選抜する方法です。この選抜方法では、法律科目の論文式試験は課さないものとされています。

 ②「開放型選抜」  法曹コースの成績、面接など、法科大学院が適当と認める資料に加えて、法律科目の論文式試験により選抜する方法です。上記選抜資料以外に、どのようなものを選抜資料とするかは各法科大学院が定めることとなっておりますので、各法科大学院にご確認ください。  また、上記のほかに、法曹コース修了予定者以外の方と同様に一般選抜を受験することも可能です。

法曹コースと協定関係にある法科大学院以外の法科大学院にも進学できるのですか?

 法曹コース修了後に、協定先以外の法科大学院に進学することも可能です。当該法科大学院と協定関係にある法曹コース以外の法曹コース修了予定者も、開放型選抜の対象となる場合がありますが、必ず開放型選抜が実施されているとは限らないため、進学を希望する法科大学院に確認して下さい。なお、希望する大学が開放型選抜を実施していない場合には、一般選抜で受験することが可能です。

法曹コースに入った後にほかにやりたいことが見つかった場合、どうすればよいですか。

 法曹コースで学ぶ中で、ほかにやりたいことが見つかった場合は、法曹コースでの学びを活かして、法曹以外の分野に挑戦していくことも可能です。

法科大学院に行っても、司法試験に合格できるか不安です。司法試験は難しいイメージがあります。

 令和5年司法試験において、法学既修者コース修了直後の司法試験合格率は、55.5%に達しています。また、法科大学院(既修者コース)修了生の修了後5年以内での司法試験合格率は、約70%となっており、多くの学生が成果を出しています。法曹コースと法科大学院での5年間の法曹を目指した学修で、その合格率は更に高まることが期待されています。

法曹資格を取得しなかった場合の就職先にはどのようなものがありますか?

 法曹資格を取得しなくても、公務員、民間企業の法務部、法学の研究者などのさまざまな分野で、法科大学院で習得した思考や専門的な知識を活用して活躍している先輩が多数います。

お問合せ先

高等教育局専門教育課専門職大学院室

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(高等教育局専門教育課専門職大学院室)