「独立行政法人国立高等専門学校機構の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性」における指摘事項を踏まえた見直し内容

平成25年12月20日
文部科学省

 独立行政法人国立高等専門学校機構(以下「本法人」という。)の事務及び事業については、「勧告の方向性」を踏まえ、独立行政法人として真に担うべきものに特化し、業務運営の効率性、自律性及び質の向上を図る観点から、国の財政支出の縮減にもつながるよう、以下の方向で見直しを行うこととする。なお、この見直しの考え方に従い、平成26年3月までの間に、本法人の特性を踏まえ、具体的な検討を行い、次期中期目標・中期計画の策定等を行うこととする。
 また、昭和36年より国立高等専門学校(以下「国立高専」という。)が順次設立され、平成16年の本法人発足に伴い、全ての国立高専が本法人の下に設置・運営されることとなった。以下の見直しを行うに当たっては、今後、社会状況の変化等に迅速に対応できるよう、本法人本部が更にイニシアティブを発揮し、ガバナンスの強化を図ることが重要であることを踏まえることとする。

第1 国立高等専門学校のミッションの再整理等

 国立高専は、高度経済成長期に中堅技術者の養成機関として順次設立されたが、その後、産業構造の変化、技術の高度化、少子化の進行、社会・産業・地域ニーズの変化等、社会状況が大きく変化している。また、「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」(平成23年1月31日中央教育審議会答申)において、「地域における産業界等との連携による先導的な職業教育の取組の促進等、教育内容・教育方法の充実や地域及び我が国全体のニーズを踏まえた新分野への展開等のための教育組織の充実等」が求められている。
 このため、次期中期目標等では、これらの社会状況の変化や中央教育審議会の答申を踏まえ、本法人本部がその機能を発揮し、イニシアティブを取って国立高専のミッションを再整理し、達成すべき目標の明確化を図るものとする。また、各国立高専及び各学科の特性に応じて、定量的かつ具体的な成果指標を設定することとする。
 さらに、本法人は、本科卒業後の編入学先として設置された国立の技術科学大学と連携を行っているが、国立高専と同大学との教育内容に一部重複があるとの指摘もある。技術科学大学としては、国立高専における科目内容を繰り返しつつ、内容を高度化することは有益であるとしていることから、同大学の設置趣旨を踏まえ、それぞれの役割分担を明確にした上で、より一層円滑な接続が図られるよう、本法人において必要な見直しを行うこととする。

第2 事務及び事業の見直し

1 社会状況の変化を踏まえた学校の配置の在り方の見直し及び学科再編

 国立高専は51校が個別に設置された経緯があるが、国立高専間でシナジー効果を発揮し、51校全体としてミッションを達成していくため、本法人は、産業構造の変化、技術の高度化、少子化の進行、社会・産業・地域ニーズ等を踏まえ、本法人本部がその機能を発揮し、イニシアティブを取って、51校の国立高専の配置の在り方の見直し及び学科再編を行うこととする。
 また、現在、社会・産業・地域ニーズの把握に当たっては、本法人本部がイニシアティブを取って統一的な手法を示していないため、各国立高専が独自に実施している。このため、今後の国立高専の再編を検討するに当たっては、本法人本部が社会全体のニーズを的確に把握する観点から、ニーズ把握の統一的な手法を示すこととする。

2 商船高等専門学校における船員としての就職率の向上

 「海洋基本計画」(平成25年4月26日閣議決定)において、「日本人外航船員の数を平成20年度から10年間で1.5倍に増加させるための取組を引き続き促す」、「高齢化の進展等に伴う内航船員の不足」との記載があるが、商船高等専門学校就職者における船員としての就職率をみると約6割から7割にとどまっている。商船高等専門学校は船員養成機関であることから、船員不足のニーズに応えるために、この原因を分析し、関係機関と協力して船員としての就職率を上げるための取組を行うこととする。

第3 業務運営の合理化・効率化等

1 スケールメリットを活用した業務の合理化・効率化

 本法人は、51校の国立高専を設置・運営しているスケールメリットをより活用し、業務運営の効率化を図る観点から、更なる共同調達の推進や一般管理業務の外部委託の導入等により、一層のコスト削減を図ることとする。

2 監事監査体制等の充実

 本法人は、国立高専が51校、非常勤職員を含めた職員数が約1万人という比較的規模の大きな組織であるため、監事による監査のより適切な実施を図る観点から、常勤監事を置き、監事監査体制を強化することとする。
 あわせて、本法人本部における監査体制の充実を図ることとする。

3 不正経理の再発防止及び内部統制の強化

 東京工業高等専門学校において、平成15年頃から22年までの間に約550万円の不正経理があったことが発覚し、内部調査を行った結果、「公的研究費等の不正使用に関する調査結果報告書」(平成24年2月14日)では、「東京工業高等専門学校における本事案以外に、不適正な会計経理(預け金・プール金)の事態はなかった。」とされていた。しかし、その後、「平成24年度決算検査報告」(平成25年11月7日会計検査院)では、23年度までの5年間で約1億7,000万円の不適正な会計経理(預け金・差替え・翌年度納入・前年度納入)があったと指摘されている。
 このため、本法人は、会計検査院の検査を受けた18校以外についても事実関係を早期に調査し、公表することとする。また、平成23年度に策定した「公的研究費等に関する不正使用の再発防止策」の確実な実施を各国立高専に徹底させるとともに、内部統制の強化を図ることとする。
 さらに、「研究における不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォース」(平成25年8月2日文部科学省設置)等の検討結果を受けて、必要に応じ平成23年度に策定した「公的研究費等に関する不正使用の再発防止策」を見直すこととする。

第4 業務全般に関する見直し

 上記第1から第3に加え、業務全般について以下の取組を行うこととする。

1 具体的かつ定量的な目標設定

 的確な評価を実施するため、次期中期目標においては、達成すべき内容や水準等を可能な限り具体的かつ定量的に示すとともに、定性的な目標とせざるを得ない場合であっても、目標の到達度について第三者が検証可能なものにすることとする。

2 内部統制の充実・強化

 内部統制については、更に充実・強化を図ることとする。その際、総務省の「独立行政法人における内部統制と評価に関する研究会」が平成22年3月に公表した報告書(「独立行政法人における内部統制と評価について」)、及び総務省政策評価・独立行政法人評価委員会から独立行政法人等の業務実績に関する評価の結果等の意見として各府省独立行政法人評価委員会等に通知した事項を参考にすることとする。

3 運営費交付金額算定の厳格化

 毎年の運営費交付金額の算定については、運営費交付金債務残高の発生状況にも留意した上で、厳格に行うこととする。

4 管理部門のスリム化

 次期中期目標期間においては、本法人の効率的な運営を図る観点から、給与計算、資金出納、旅費計算等の管理業務について、集約化やアウトソーシングの活用などにより、法人全体として管理部門をスリム化することについて検討することとする。 

5 決算検査報告指摘事項

 「平成24年度決算検査報告」(平成25年11月7日会計検査院)の指摘も踏まえた見直しを行うこととする。 

6 その他

 上記1から5のほか、既往の閣議決定等に示された政府方針に基づく取組について、着実に実施することとする。

お問合せ先

独立行政法人国立高等専門学校機構の見直し内容について

高等教育局専門教育課
電話番号:03-5253-4111(内線3347)

(大臣官房総務課行政改革推進室)

-- 登録:平成26年04月 --