「独立行政法人日本学生支援機構の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性」における指摘事項を踏まえた見直し内容

平成25年12月20日
文部科学省

 独立行政法人日本学生支援機構(以下「本法人」という。)の事務及び事業については、「勧告の方向性」を踏まえ、独立行政法人として真に担うべきものに特化し、業務運営の効率性、自律性及び質の向上を図る観点から、国の財政支出の縮減にもつながるよう、以下の方向で見直しを行うこととする。なお、この見直しの考え方に従い、我が国の大学等において学ぶ学生等に対する適切な修学の環境を整備し、もって次代の社会を担う豊かな人間性を備えた創造的な人材の育成に資するとともに、国際相互理解の増進に寄与することを目的とする我が国唯一の学生支援ナショナルセンターとしての機能に鑑み、具体的な検討を行い、平成26年3月までの間に、次期中期目標・中期計画の策定等を行うこととする。

第1 事務及び事業の見直し

1 奨学金貸与事業の見直し

(1) 貸与基準等の見直し

 奨学金貸与基準のうち収入基準については、(一)昭和59年度に定めた基準を基に、消費者物価上昇率等を掛け合わせて改訂を重ねており、最新のデータに基づく奨学金の対象となる世帯所得の根拠を明確にできない、(二)第二種奨学金の基準額は、平成24年度の「家計調査」(総務省)の勤労者世帯の所得と比較しても、また、「平成21年全国消費実態調査」(総務省)の勤労者世帯のうち大学生の親世代に相当する50歳代の年間世帯収入と比較しても高い、(三)基準を満たす者の収入限度額の積算内訳のうち給与所得世帯への給与所得控除額分の上乗せ額が、所得税の給与所得控除額と比較して高いといった状況が見受けられる。
 このため、最新のデータを基に奨学金の対象となる世帯所得の根拠を明確にしつつ、奨学金貸与基準の収入基準について見直すこととする。
 また、第一種奨学金の単独貸与者よりも、多額の奨学金の貸与を受けることになる第一種及び第二種奨学金の併用貸与者の延滞率が高く、また、同一の所得水準の世帯において、貸与金額の多い併用貸与者の延滞率が、貸与金額の少ない併用貸与者より高くなっている。
 このため、第一種及び第二種奨学金の併用貸与を行う場合、修学を行う上で真に必要な額となるよう、貸与基準の細分化及び貸与上限額の引下げについて検討するとともに、より厳格な審査を行うこととする。

(2) 適格認定制度の着実な実施

 奨学生が継続して奨学金の貸与を受ける場合は、年1回、本人が「奨学金継続願」を提出し、大学等は、提出された「奨学金継続願」の内容に加え、学修状況等を厳格に審査の上、奨学金継続の可否等を認定し、本法人に報告している。
 この大学等の審査に関して、平成23年度適格認定で「警告」認定を受けた1万2,329件に対し、大学等において本法人の定める「適格基準の細目」に沿った認定が行われているか本法人が調査を実施した結果、不適切なケースが586件認められた。
 不適切と認められた認定は、本法人が厳格な審査の実施について周知を図ってきたにもかかわらず、大学等における認定基準に対する理解不足が主な原因で発生している。
 このため、本法人は、大学等が適切な認定を行えるよう、当該調査結果等を踏まえて「適格基準の細目」をより明確化、具体化するとともに、大学等に周知を徹底することとする。
 また、これらの措置をとったにもかかわらず、継続的に不適切な認定を行った大学等があった場合には、大学等の名称を公表する等により再発の防止を図ることとする。

(3) 回収に係る成果指標の見直し

 本法人の債権について、現行中期目標で成果指標として用いている総回収率では、過去の延滞債権の状況に大きく影響され、新規の延滞債権や既延滞債権の実態を評価することができないことから、次期中期目標において、総回収率に代わる適切な成果指標を設定することとする。
 また、成果指標の目標値を設定する際には、現行中期目標期間における回収促進の取組により、回収率が改善傾向にあることを踏まえて適切な数値を設定することとする。

(4) 機関保証の検証方法の見直し

 本法人は、「「独立行政法人日本学生支援機構の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性について」における指摘事項を踏まえた見直し案」(平成18年12月24日行政改革推進本部決定)を踏まえ、機関保証の妥当性を毎年度検証するため、奨学金貸与事業に関して識見を有する学識関係者、金融関係者、法曹関係者等により構成される「機関保証制度検証委員会」を設置しており、平成20年度以降毎年度検証を行っている。
 しかしながら、同委員会では、債務保証の収支、代位弁済・回収状況等の検証は行われているが、公益財団法人日本国際教育支援協会の将来の事業コスト等を踏まえた十分な検証は行われていない。
 このため、本法人に対し、将来の事業コスト等を踏まえた事業計画を明らかにさせた上で、同委員会等で当該計画の実効性、妥当性も含めて毎年度検証することとする。
 また、その際には、保証料率について、その水準を他の保証機関と比較した上で、その合理性を明らかにすることとする。

2 留学生支援事業の見直し

(1) 文部科学省外国人留学生学習奨励費に係る基準の見直し

 文部科学省外国人留学生学習奨励費については、「外国人の受入れ対策に関する行政評価・監視 -技能実習制度等を中心として- 結果に基づく勧告」(平成25年4月19日総務省)において、教育機関から発生する不法残留者数等を踏まえた推薦依頼数・採用数の削減等に係る基準を策定することが求められていることから、当該勧告内容を踏まえた明確な基準を策定するとともに、その基準を厳格に運用することとする。

(2) 日本留学試験の見直し

 日本留学試験については、「「留学生30万人計画」骨子」(平成20年7月29日文部科学省ほか関係府省)を踏まえ、応募者数及び受験者数を拡充するとされているが、事業収支に継続的な欠損が生じていることから、その原因を分析した上で、費用縮減、受験料の改定などの事業収支改善に向けた取組を行うこととする。

3 学生生活支援事業の見直し

 学生生活支援事業については、大学等における支援体制が一定程度整備されてきたことから、大学等における主体的な取組に任せ、今後は、全体を通じた問題の把握・分析、先進的取組の共有などについて、政策上特に重要性の高いものや、大学等の取組が不十分なものに厳選して実施することにより業務の縮小を図ることとする。

第2 業務全般に関する見直し

 上記第1に加え、業務全般について以下の取組を行うこととする。

1 具体的かつ定量的な目標設定

 的確な評価を実施するため、次期中期目標においては、達成すべき内容や水準等を可能な限り具体的かつ定量的に示すとともに、定性的な目標とせざるを得ない場合であっても、目標の到達度について第三者が検証可能なものにすることとする。

2 内部統制の充実・強化

 内部統制については、更に充実・強化を図ることとする。その際、総務省の「独立行政法人における内部統制と評価に関する研究会」が平成22年3月に公表した報告書(「独立行政法人における内部統制と評価について」)、及び総務省政策評価・独立行政法人評価委員会から独立行政法人等の業務実績に関する評価の結果等の意見として各府省独立行政法人評価委員会等に通知した事項を参考にすることとする。

3 運営費交付金額算定の厳格化

 毎年の運営費交付金額の算定については、運営費交付金債務残高の発生状況にも留意した上で、厳格に行うこととする。

4 管理部門のスリム化

 次期中期目標期間においては、本法人の効率的な運営を図る観点から、給与計算、資金出納、旅費計算等の管理業務について、集約化やアウトソーシングの活用などにより、法人全体として管理部門をスリム化することについて検討することとする。 

5 その他

 上記1から4のほか、既往の閣議決定等に示された政府方針に基づく取組について、着実に実施することとする。

お問合せ先

独立行政法人日本学生支援機構の見直し内容について

高等教育局学生・留学生課
電話番号:03-5253-4111(内線3081)

(大臣官房総務課行政改革推進室)

-- 登録:平成26年04月 --