「独立行政法人日本原子力研究開発機構の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性について」における指摘事項を踏まえた見直し内容

平成21年12月18日

文部科学省

 「勧告の方向性」を踏まえ、次期中期目標においては、以下の事項を掲げることにより、事務及び事業の改善を図る。なお、この見直しの考え方に従い、平成22年3月までの間に、独立行政法人日本原子力研究開発機構(以下「原子力機構」という。)が我が国唯一の原子力の総合的な研究開発機関であることを踏まえ、具体的な検討を行い、次期中期目標・中期計画を策定することとする。

第1 事務及び事業の見直し

1 高速増殖炉サイクル研究開発の見直し

 高速増殖原型炉「もんじゅ」については、平成7年12月のナトリウム漏えい事故を発端として現在まで約14年の長きにわたり運転を停止しており、施設の維持管理等に多額の経費が費やされている一方で、当初予定していた「もんじゅ」における高速増殖炉サイクル研究開発が行われていない状況にあり、国民の期待と信頼を大きく損ねる結果となっている。
 このため、今後、高速増殖炉サイクル研究開発の実施に当たっては、以下の措置を講ずることとする。

(1) 国民に対する十分な説明
 高速増殖原型炉「もんじゅ」については、運転を停止していた期間に、事故の原因究明、施設の改善等が実施されており、その結果について公表はされているが、必ずしも国民に対して十分な説明がなされているとは言えないことから、
 (a) 停止期間中にどれだけの経費を投じたのか、
 (b) 停止期間中にどのような研究成果が得られたのか、
 (c) 停止により高速増殖炉サイクル研究開発にどのような影響を与えたのか
についてとりまとめた上で、国民に分かりやすい形で公表することとする。

(2) 研究計画・研究成果の明確化
 運転再開後の研究開発について、進行管理の徹底を図る観点から、次期中期目標・中期計画等において、いつまでにどのような研究開発を行い、どのような成果を得るのか等、今後の研究開発の取組方針・計画等について具体的かつ明確に示すこととする。

(3) 事故等による研究開発の遅延の防止
 事故等による研究開発の遅延を防止するためのシステムの適切な運用を図るとともに、その運用状況、改善すべき事項の有無等について評価・検証し、必要な改善等を実施することとする。
 また、十全な研究成果を得られるマネジメント体制を整備し、マネジメント機能が十分に発揮されているか否か常に確認し、必要に応じ適切な見直し等を行うこととする。
 以上の実施状況については、国民に分かりやすい形で公表することとする。

2 研究施設・設備の在り方の見直し

 原子力機構では、43の研究施設・設備に係る廃止措置実施計画を策定し、順次着手してきているが、廃止措置対象となっていない研究施設・設備については、民間研究機関や大学等において同種の機能を有する研究施設・設備を有している場合や機構内の研究施設間で同種の設備を有している場合等もみられる。このため、重複の排除の観点から、更なる研究施設・設備の廃止も含め、その在り方について継続的に見直すこととする。

3 展示施設等の効率的な運営

 以下の措置を講ずることにより、展示施設等の効率的な運営に努めることとする。

(1) 原子力機構では、地域住民による正しい原子力の理解増進に資すること等を目的として9展示施設等を運営しているが、これらについては、コストに見合った効果が上がっているとは考えにくい。例えば、平成20年度における展示施設等の収支をみると、収入は料金を徴収している4施設分の約1,700万円に対し、支出は全施設における業務委託費、維持費等の約6億2,600万円となっている。また、入館者一人当たりの運営費をみると、高いところでは4,500円に上っており、さらに入館者数が少なく、同一地域に複数の施設が存在する場合等については、効率的な運営とは言えない。したがって、展示施設等以外の手段による地元理解の促進を図る方法の検討も含め、低コストで効果が上がる方策を検討することとする。

(2) 原子力機構では、アクションプランを策定し、展示施設等の利用効率の向上等に努めていることについては一定の評価はできるが、平成21年度のアクションプランをみると、経費の削減目標や入館者数の目標が20年度のアクションプランにおける当該目標よりも低い水準となっている。展示施設等の更なる利用効率の向上等を図る観点から、目標設定も含めアクションプランを見直すこととする。

(3) 「テクノ交流館リコッティ」の設置目的は「研究開発成果の普及」、「情報公開」、「リスクコミュニケーションの活動拠点及び地域交流の場の提供」とされており、多目的ホールにおける国際会議や会合、作業ブースや会議室を利用した会合等を行っている。しかし、当該施設の稼働率は低調となっており、目的に対して過大な設備となっていると考えられるため、効率的な運営を進める観点から、同施設の在り方について抜本的に見直すこととする。

4 自己収入の確保

 原子力機構では、自己収入の増加等に資するため、施設・設備の供用制度により外部の研究者等が原子力機構の17施設等を利用することができることとしている。それら以外の施設・設備においても、民間研究機関や大学等からの利用ニーズが高いものについては、施設供用の対象とすることとする。

第2 保有資産の見直し

1 分室の在り方の見直し

 原子力機構では、職員の出張者用宿泊施設、原子力機構内外の事故・トラブル等緊急時対応施設等として8分室を管理運営しているが、以下のとおり在り方を見直すこととする。

(1) 青山分室については、機構内外の事故・トラブル等の緊急時の対応が必要となる施設に該当することから今後も存続させるとしているが、近郊に原子炉施設や大規模な研究施設を有していないことから、緊急時に必要とされる機能やその位置付けが明確となっていない。
 このような状況を踏まえ、緊急時に必要とされる機能や分室の位置付けについて国民に納得の得られる説明ができない場合、廃止することとする。

(2) 東海分室と阿漕ヶ浦分室のように近隣に複数の分室が存在する場合については、緊急時やトラブル対応等のための必要性は認められるものの、そのためにはいずれか一方を存続させることで足りると考えられる。原子力機構では、今後、東海村の原子力機構施設を利用する者の増加が望めることから両分室を存続させる必要があるとしているが、緊急時やトラブル対応の必要性から一方の分室を存続させることとしても、もう一方の分室については宿泊施設に供することのみが目的となり、原子力機構自らが管理運営しなければならない理由としては乏しい。このため、売却等を含めその在り方について抜本的に見直すこととする。

第3 その他業務全般に関する見直し

 上記第1及び第2に加え、業務全般について以下の措置を講ずることとする。

1 効率化目標の設定

 一般管理費及び事業費に係る効率化目標について、これまでの効率化の実績を踏まえ、同程度以上の努力を行うとの観点から具体的な目標を設定することとする。

2 給与水準の適正化等

 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律(平成18年法律第47号)に基づく平成18年度から5年間で5%以上を基本とする削減等の人件費に係る取組を引き続き着実に実施することとする。
 また、給与水準については、目標水準・目標期限を設定してその適正化に計画的に取り組んでいるところであるが、引き続き着実にその取組を進めるとともに、その検証結果や取組状況を公表することとする。

3 契約の点検・見直し

 契約については、「独立行政法人の契約状況の点検・見直しについて」(平成21年11月17日閣議決定)に基づき、競争性のない随意契約の見直しを更に徹底して行うとともに、一般競争入札等(競争入札及び企画競争・公募をいい、競争性のない随意契約は含まない。以下同じ。)についても、真に競争性が確保されているか、点検・検証を行うこととされている。

この取組により、契約の適正化を推進し、業務運営の効率化を図ることとする。

お問合せ先

大臣官房総務課行政改革推進室

(大臣官房総務課行政改革推進室)

-- 登録:平成22年01月 --