SEAMEO-Japan ESD Award 受賞校概要

第1位

○学校名

クンジャンゴン郡立第一高等学校(ミャンマー・ヤンゴン市)

○生徒数

1,458名(1-11学年)
(初等レベル:116名、前期中等レベル:758名、後期中等レベル:584名)

○事業名

クンジャンゴン郡立第一高等学校防災計画・活動

○事業概要

 2008年5月に同校はサイクロンで被害を受け、生徒2名が死亡。同校は、防災活動を開始した。

 2012年度は、区役所・町役場、学校評議員会、PTA、生徒会、教員、生徒、保護者、警備担当者、地域住民の参加を得て、学校防災計画(SDMP)を策定し、関係者に共有した。防災教育活動は、学校行事カレンダーに盛り込まれ、定期的にモニタリングを実施予定。2012-2013年度は同計画に基づき活動を行う。

 1.学校防災計画(SDMP)

 (1)学校防災委員会(SDMC)の設立
 (2)学校防災計画(SDMP)の策定
 (3)生徒、教員、保護者、地域住民の自然災害への意識向上のための活動
 (4)生徒及び教員による、学校における危険要因や資源の特定
 (5)学校防災委員会委員のための防災教育オリエンテーション
 (6)防災準備や対応活動を計画する。
 (7)地域の役所、地域住民リーダーと計画を共有し、防災活動を頻繁に実施する。
  (8)学校やコミュニティに打撃を与える可能性のあるタイプの災害や既存の危険要因を示すため、また、損失を最小限にするため災害時にどこで支援を得られるかを示すため、地図を作成する
 (9)上記の学校防災計画活動のモニタリング、評価、改善を行う。

 2.防災活動

 (1)防災教育、トレーニング、意識向上
  (2)学校マップの作成
  (3)情報の普及
  (4)地域住民参加・協力
  (5)生徒のエンパワーメント
  (6)緊急チーム(早期警告チーム、避難チーム、捜査・救出チーム、救援・再定住・復旧チーム、医療チーム)の研修

○事業効果

  1. 学校防災計画(SDMP)の実施は、生徒、教員、地域住民にとって、学校や村における災害の危険を減らし安全性を高めるための行動を取るに当たって、自己救済の習慣を身につけることになった。
  2. 生徒が、校舎の補強を観察することにより、耐サイクロン構造の建設を促進しようとする意識を持つようになり、それは、保護者も同じ方向に関心が向くよう影響を与える。
  3. 生徒は、災害に対処するスキルと自信を身につけ、環境問題に関心を持つようになり、植樹に更に関わるようになった。
  4. コミュニティは、社会活動、資源動員、生徒のメッセージを通して恩恵を受け、そして、防災活動への活動が増えた。
  5. 生徒のエンパワーメントは、2010年10月の世界防災の日の1位、2位、特別賞の受賞に繋(つな)がった。

第2位

○学校名

イリラナン小学校(フィリピン・西ネグロス)

○児童数

439名(幼稚園~6学年)

○事業名

イリラナン防災教育プログラム(IDEP)及び学校及びコミュニティの防災準備・設備(SCAPED)

○事業概要

 イリラナン小学校は山岳地域にあるため、台風や大雨で地すべりが起きると、学校が崩壊する可能性がある。また、近隣住民は、山頂や高台、川岸に住んでおり、学校は彼らへのケアも行っている。

 同校は、2009年からイリラナン小学校防災会議を組織して、学校避難計画を策定し、毎年、防災意識向上のための活動を行っている。イリラナン防災教育プログラム(IDEP)は防災教育を強化し、学校内外の人  への災害への備え、再定住への支援運動を強化するためのものである。災害に関するセミナー、シンポジウ ム、映画鑑賞、冊子・パンフレット・ポスターの配布は、学校だけでなくコミュニティ全体で行っている。

 学校及びコミュニティの防災準備・設備(SCAPED)は、学校のイニシアティブで始まったが、支援運動が広がり、コミュニティの人々が災害に対する知識やスキルを身につけるようになった。このプログラムは、ドリルや研修等を提供する。

 学校は、イリラナン防災班(AIDS)を創設した。AIDSは5プロク(学校に属する小さなコミュニティ)から成り 、各プロクには、児童やコミュニティの人々、学校を救援する災害ボランティアがいる。

 この他に、学校は、地すべり、洪水、土壌浸食等を防ぐため、学校内外で植樹活動を行うとともに、リデュース、リユーズ、リサイクル、ゴミ分別や、海岸・道路清掃活動を実施し、大雨や台風のときに、病気やゴミ問題を避けるようにしている。

○事業効果

 児童、教員、コミュニティは、災害に常に警戒し備えるようになった。児童は、学校やコミュニティに貢献するようになった。薬や防災グッズを家に常備する世帯もある。「パニックにならない」ポリシーも適用されて、災害時の正しい態度も身に付いた。2012年2月6日にマグニチュード6.9の地震が起きたときも、学校及びコミュニティで負傷者は出なかった。地震のとき、全員が冷静でパニックを起こさず、机の下に隠れることができた児童もいた。また、教員は、児童を正しく誘導した。防災教育で教わったことをおうようできたことを示している。

 また、防災活動プログラムの最も重要な点は、学校が学校内外の関係者と強いリンケージを築いたことであり、これにより如何(いか)なる災害にも対応する準備ができた。

第3位

○学校名

ジェジェラン州立イスラム小学校(MINジェジェラン)(インドネシア・ジョクジャカルタ市)

○児童数

338名(1-6学年)

○事業名

災害は我々の敵ではない―MINジェジェランにおける防災活動実施に向けた学校コミュニティの動員

○事業概要

 2006年5月27日、ジョクジャカルタで地震があり、大惨事は殆(ほとん)どの人のトラウマになっている。当時は、防災活動に不慣れだったが、全ての人が学ばなければならない科目の一つと考え、同校は以下の活動を実施。

  1. 防災活動実施のための予算配分
  2. 防災教育の学校カリキュラムへの統合
  3. 教員及び関係者のためのワークショップ
  4. 避難訓練
  5. 児童防災キャンペーン
  6. 避難マップと非難サインの導入、消火器の獲得

○事業効果

 6年生は、防災時の姿勢に慣れ、緊急時に自分自身を守るために必要なスキルを身につけたと述べた。徐々に、防災の姿勢がコミュニティメンバーの日々の習慣に植え付けられてきている。例えば、児童、教員、学校職員は自分の乗り物(オートバイや自転車)を外側に面して駐車するようになった。同校は、応急処置・ 薬や消火器などの非常設備を整えている。避難マップやサインも導入され、児童は安全な場所や校内避難路を知らされている。保護者は同校の防災活動の一部であることに気がつき、防災活動の定期的な公開を通して、防災について学習し、姿勢を変化させることができると思う。

特別賞(150人以下の小規模学校に対する三菱東京UFJ銀行からの特別賞)

○学校名

ワット・スムポアトン学校(タイ・スパンブリ州)

○児童数

88名 幼稚園(1-2学年:4-5歳)、小学校(1-6学年:6-11歳)

○事業名

地域の技術に基づいて自然と共存する人生の幸福

○事業概要

 同校は、Mae Nam Thajee川の隣に位置し、毎年洪水被害を受けており、2010-2011年には同川の水位が高くなったことで70日間程度休校を強いられた。

 また、2011-2012年の洪水では、生徒及び教員の家が被災し、食料、水、自分たちで対処する方法を知らず、なすすべがなかった。

そこで、技術に基づいた方法で学習をすることとした。

(1)救出のための技術や新しいアイデアを研究する。
(2)地域の材料による技術モデルをインターネットで研究する
(3)自然及び、災害とともに幸せに生きる方法をテーマに、防災・技術学習及び教育モデルを創造する。
(4)ソーラーボックスエネルギー、簡易フィルター水、水栽培を実習用材料とする。

 上記の方法により、以下を実施する。
(1)学習計画:災害、ソーラーボックスエネルギー、簡易フィルター水
(2)児童及び保護者への技術モデルに基づいた学習を行う。
(3)保護者と意見交換をし、新しい方策を考える。
(4)児童及び保護者のための防災合宿を考案する。
(5)児童及び保護者の計画を評価する
(6)観察、インタビュー、地域考案内容分析による評価
(7)児童及び保護者による知識管理
(8)まとめと報告

 児童及び教員による地域の新しいアイデアの発表

 小グループの児童・保護者・教員による地域の新しいアイデアの実施

 概念・方法・事業の恩恵について発表し、地域の新しいアイデアを示す。

○事業効果

  1. 教員は、防災の統合計画を進める予定である。
  2. 児童は防災知識、技術、態度を修得する。
  3. 保護者は、災害と共に生きるための活動を実施できた。
  4. 教員、児童、保護者が参加。
  5. 全員がこの事業を実施する。

お問合せ先

大臣官房国際課国際協力政策室

(大臣官房国際課国際協力政策室)

-- 登録:平成24年12月 --