国際バカロレアの普及促進に向けた検討に係る有識者会議(第4回)議事録

1.日時

令和5年3月14日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

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3.議題

(1) 国際バカロレアの普及促進に向けた検討に係る有識者会議における取りまとめ(案)について
(2) その他

4.議事

【岩崎座長】  
それでは、定刻になりましたので、国際バカロレアの普及促進に向けた検討に係る有識者会議の第4回を開催いたします。
 それではまず、事務局から議事と配付資料の確認をお願いします。
 
【事務局(出口)】 
 ありがとうございます。本日もよろしくお願いいたします。
 本日は議事次第にございますとおり、一つ目が国際バカロレアの普及促進に向けた検討に係る有識者会議における取りまとめ案についてでございます。
 二つ目はその他でございます。
 なお、2月1日付で国際課長の人事異動がございましたため、御紹介させていただきます。課長の北山でございます。
 北山課長、お願いします。
 
【北山課長】 
 2月1日付で大臣官房国際課長を仰せつかりました北山です。よろしくお願いいたします。
 これまで割とフランスで長く勤務することがあったのでバカロレアという言葉には非常に親しみがあります。バカロレアの季節になるたびに、まるで共通テストのような報道が行われていたものですから非常に親しみはあるんですけれども、インターナショナルバカロレアというのはちょっと違うものだと理解をしようとしているところです。
 これからの日本の学校の国際化や、考える力の育成を図っていくツールなのかなと想像しております。この有識者会議での議論も後追いになりますけれども、しっかりフォローして施策を考える際のヒントにしていきたいと思っております。
 自民党の教育・人材力強化調査会の提言の中でも、国際バカロレアの普及促進を図るという事項も盛り込まれておりますので、それにしっかり対応できるようにしていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【岩崎座長】  それでは、早速議事に入りたいと思います。
 まず、議題1の国際バカロレアの普及促進に向けた検討に係る有識者会議における取りまとめ(案)についてに移ります。
 事務局から資料1-1と1-2の説明をお願いします。
 
【事務局(出口)】 
 資料1-1を御覧ください。資料1-1が本体になります。全体的な御説明をさせていただきます。
 全体の構成といたしましては、一つ目が「はじめに」、二つ目が「我が国における国際バカロレア普及の取組と状況」、三つ目が「国際バカロレア推進の基本的な考え方」、四つ目が「国際バカロレアの今後の具体的な推進方策」と、このような柱でまとめさせていただきました。
 既に議論をしていただいた内容でございますので、かいつまんだ説明をさせていただきます。「はじめに」ということで、バカロレアの紹介をさせていただきます。三つ目の丸でございますけれども、我が国では平成25年度からIB認定校等を200校以上に増加させることを目標として推進してまいりました。そしてIB機構の協力の下、DPの一部科目を日本語でも実施可能とする日本語DPの開発も行ってまいりました。
 四つ目の丸ですけれども、平成30年度以降は学習指導要領等では、予測困難な時代においても自ら課題を見つけ、そして自ら学び、自ら考え、判断して、行動するという、生きる力を育むことが目標とされてございます。
 また、次期教育振興基本計画においてもグローバル化による社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成、こういった点が今後の教育政策の基本方針の一つとなってございます。
 このような状況において、五つ目の丸ですけれども、これまでの文科省におけるIB普及のための取組の成果や課題を改めて整理させていただきまして、今後の日本社会におけるIBの普及促進、意義、また必要な方策等について検討を行うため、皆様方に有識者会議において議論をしていただいてまいりました。
 この取りまとめはこれまでの議論を踏まえまして、文科省や各教育機関、そしてIB機構などが取り組むべき課題、そして今後の推進方策等を整理し、取りまとめたものでございます。
 2ページ目ですけれども、「我が国における国際バカロレアの普及の取組と課題」ということで、現状についても少し整理してございます。
 一つ目、1ポツ「我が国の目指す教育とIB」ということで、我が国の教育とIBとの関係について整理しております。学習指導要領等で目指す主体的・対話的で深い学びなどはIBの教育の理念と共通しているということ、また、二つ目の丸、IBでは生徒が自分の得意なことや好きなことなど、アイデンティティを理解し、自発的に学びをデザインして実行することを目指している。こういった点が子供の特性や関心に応じた学びと一致してございます。
 三つ目の丸、IBを国内に普及し、初等中等教育の好事例を形成する。そういったことが生きる力の育成に寄与すると考えます。
 二つ目、2ポツ「これまでの取組」として少し歴史を整理しておりますけれども、昭和54年から始まります、IBの資格を有する者については大学の入学資格があるとして認定されております。また、平成25年からは日本語DPの開発、導入を行ってまいりました。また、平成25年5月、こちら東京学芸大学を中心に日本語DPの導入に向けた情報共有のための国際バカロレア・デュアルランゲージ・ディプロマ連絡協議会というものが設置されました。こちらについては注書き2で書いてございますけれども、平成30年度からIB教育推進コンソーシアムの下に連絡協議会が設置されたことによって発展的に終了しております。
 次のページでございますけれども、平成26年、国際バカロレア日本アドバイザリー委員会において、日本におけるIBの導入拡大に向けた課題と対応方策について議論を行い、提言をまとめたということがございました。
 また、平成27年にはDPの科目と高等学校の学習指導要領の教科・科目等の読替えを行うため、教科・科目等のDP科目の対応関係を読み替えて整理するということを行ってまいりました。
 そして、この有識者会議の一つ前として平成29年、「国際バカロレアを中心としたグローバル人材育成を考える有識者会議」として中間まとめを行ったところでございます。この中間まとめを受けまして、IB教育推進コンソーシアムを設立いたしまして、様々な活動、有識者から成る関係者協議会、またIB導入サポーターによる導入支援、そしてホームページの設営、シンポジウムや各地域でのセミナーの開催、国内大学の入学者選抜における調査等々を行ってきたところでございます。
 このような取組があった上で、次のページの3ポツ「我が国におけるIBの普及状況と成果」でございます。
 (1)IB認定校等の状況。このような取組がございましたため、IB認定校等は年々増加しておりまして、令和4年12月時点において認定校等数は191校、認定校159校、候補校32校となっております。内訳については以下のとおりです。そして二つ目の丸、1条校のIB認定校は現在77校でございます。平成29年が20校だったものに比べると非常に増えてきたかなという印象です。このように学習指導要領等とIB教育を両立した形での普及というものも徐々に進んできたのではないかと思います。77校の内訳としては国立が5校、公立が17校、私立が55校となっております。
 また、このIB認定校のうち33校が日本語DPを実施しております。初めて日本語DPの修了生を輩出した平成29年3月から比べますと、第6期の卒業生が輩出されてきており、まだまだなところはありますけれども、徐々にIBの認知も進んできたのかなというようなところがあります。ここはまた後ほど触れますけれども、大学の入学者選抜に関しては、引き続き課題はあろうかと思います。
 そして(2)大学における活用状況ということで、現在、国内77の大学で総合型選抜や学校推薦型選抜という形でIBを活用した大学入学者選抜が実施されております。このうち40の大学では全学部で実施されております。また、39の大学ではIB認定校の生徒のみを対象としたような形のIB入試、大学入学者選抜も実施されているということになります。
 令和3年度に文科省IB教育推進コンソーシアムにおいて大学に対してアンケート調査をさせていただきました。アンケート結果などを先日御紹介させていただいておりますけれども、やはり導入目的としては、大学が求めるグローバル人材の獲得といったところへの期待が大きいと。そしてIB生に期待する資質・能力については「主体性、積極性、チャレンジ精神」、そして「語学力」、「課題発見・解決能力」など様々な点が期待されているということでございます。
 そして(3)IBの教員資格を持つ教員の養成状況です。IB認定校の教員になるための公式ワークショップがございますけれども、コロナ禍においては日本語でのオンライン受講が可能であったと。そして、平成26年に玉川大学大学院でIB教員養成課程が開設されて以来、令和5年1月現在、8大学で開設をされている状況ということになります。この教員の確保の問題も後ほど出てまいります。
 そして(4)IB普及の成果ということで、徐々にIB認定校等が増えてきたことで実績や事例が一定程度蓄積されてきた、そういうフェーズになってきたのかなと思います。そしてコンソーシアムで実施いたしますシンポジウム、地域セミナー等の普及促進イベント、情報共有のホームページのプラットフォーム等、こういうものも活用した上で、大都市だけではなく、いろいろなところで全国的にIB認定校が徐々に拡大しているということです。
 それによって国際的な視点、つまりまず身近なところからということになってまいりますけれども、SDGsに関する教育、そして地元・地域とのつながりといった点で深い教育が既に実践されてきていると思います。
 また、IB認定校が全国的に増えたことで、各地の大学においてもIBの認知度が徐々に上昇して、特に国立大学でのIBを活用した大学入学者選抜の実施が増えていると思います。平成28年の段階では14校だったものが令和4年12月においては24校となっております。
 そして4ポツ「IB普及の課題」についても整理しております。
 この有識者会議において様々な御意見をいただきまして、まだまだ対応するべき課題があると認識しております。対応すべき課題の柱としては「普及」と「理解促進」、そして「教員の確保」と「進路」と、大きく四つあると思います。
 7ページのIBの普及についての課題として、IB認定校になるための予算や、特にDPで外国人教員の方の確保がございます。この課題に対応するためには、長期的な検討を要するということがございますので、IBの導入促進だけではなくて、関心がある学校等に対してIBの好事例の波及が大事であるということを皆さん認識していただいたことと思います。
 そしてIB認定校がない地域への普及という点も課題でございます。そしてDPへの接続性やIBの裾野拡大ということで、DPからという学校も当然ございますけれども、全校生徒で取り組むPYP、MYPの普及がDPへの接続性という観点で有効だという御意見もいただきまして、PYP、MYP、DPの一貫したIBカリキュラムによる教育体制の構築も引き続き課題だと捉えております。
 そして、これは我々が努力しなければいけないところもございますけれども、文科省で実施している他のグローバル人材育成関係の施策、ワールド・ワイド・ラーニングやスーパーサイエンスハイスクールなど、こういうところとの連携もまだまだやらないといけないと考えております。
 そして、(2)IBに対する理解促進です。このIB認定校の教育実践事例の発信など一層の普及啓発活動や、ステークホルダーである幼小中高、教員、保護者、地方公共団体、大学等の皆さんとの理解促進ということが大事です。そしてIBの教育効果等の客観的な情報の蓄積、これも最後出てまいりますけれども、いろいろな人に理解していただくためには客観的なデータが大事であると思っております。
 そして(3)IB認定校における教員の確保、特に日本語DPでは言語以外の科目を英語で実施するための外国人の先生の獲得や、継続的な雇用というところがなかなか難しい。二つ目の特に公立校における学校間の人事異動に伴うIBを担う先生方の確保や育成、そして質の向上というところ。そして三つ目がIB教員養成のための公式ワークショップの必要な開催数の確保、数をもうちょっと増やしてほしい。また、日本語で、オンラインでというような声もあったかと思います。
 (4)がIB修了生の進路、大学入学者選抜のことで、IBの科目単位での履修の評価を含めた国内大学におけるIBを活用した大学入学者選抜の導入の促進ということ、そのためにはこちらからの情報発信も必要になってまいります。
 IB側の事情として、11月に最終試験があること、また8月から10月頃に課題の提出等があり、生徒さんたちが非常に忙しいという点を考慮してほしいといったことの情報発信を積極的に行っていかなければいけないと。また、海外大学進学のための適切な進路指導のノウハウ、奨学金等の負担軽減につながる情報の積極的な共有といった課題を認識しております。
 そして、3番目の柱が国際バカロレア推進の基本的な考え方です。今後に向けて課題を踏まえて、今後どういうふうな考え方でもって進めていけばいいのかという基本的な考え方を改めて整理しております。
 全体に係る部分としては最初の三つになりますけれども、実績や事例が一定程度蓄積された、大学入学者選抜におけるIBの活用も順調に拡大されてきた、ということを基に幼小中高・地方公共団体・大学等を対象として、IBの普及・調査研究・情報発信等の拡大を目指すという方針です。
 そして二つ目の丸、我が国の初等中等教育の発展に資するとともに、IBの導入促進につなげる。また、IB認定校がない地域でのIB導入を重点的に促進する。
 三つ目が教員養成課程において、IB教育の考え方を取り入れる。こういったことは探究的な学びの教育実践を行うことができる教員の輩出にも有効ではないかというような考え方が全体にかかってまいります。
 そして1ポツ「PYP、MYPでのIBの普及」、MYPの学びはDPに進学する上で継続性の観点から有効だと。また、DPに進学しない場合においても、IBの学習方法を身につけることはその後の学びに有効であると。二つ目、PYP及びMYPは学校全体で実施をいたしますので、全教員・児童・生徒がIBを学ぶことができる。それによって保護者や地域も巻き込みますし、IBの裾野の拡大になる。
 二つ目、2ポツ「高等学校段階(DP)でのIBの普及」、これも日本語DPの普及によって1条校でのIB導入が増加しており、今後も1条校での日本語DPの普及を推進していく。二つ目の丸、IB認定校内のIB以外のコースについて。コース制でIBを実施されている学校が多いので、IB以外のコースにおいても、IBを活用した授業やIBの科目の履修、IBの活用を促進するということになります。
 次のページ、こちらもワールド・ワイド・ラーニングやスーパーサイエンスハイスクールなど、ほかの施策と連携をすると。最後がIB認定校の実情に応じた海外大学への進学に係る指導を支援。IB生の進路の多様化を目指す。
 3ポツが「大学入学者選抜でのIBの活用促進」ですけれども、こちらもIB修了生の進学先の選択肢を拡充する必要がございますので、大学に対してIBの教育効果等をしっかり積極的に発信をすると。そしてIBに関する理解の増進、大学入学者選抜におけるIB活用の拡大を目指すというものです。そのあと二つも今まで説明したような内容ですので、割愛させていただきます。
 そして4ポツ「IBの教育効果等の把握・検証」でございますけれども、高校段階までの学校でのIBの普及とか、また大学入学者選抜でのIBの活用を広く促進するとともに、民間企業等の理解促進にもつながればと思っておりまして、IB機構とも連携しながらIBの教育効果等の客観的な情報を把握して広く各ステークホルダーに対して発信をしていくということが大事かと思っております。
 最後に、具体的な取組の一つとして教育効果を図る、把握をするというところが今後に向けて重要な点になってこようかと思います。その際、二つ目の丸ですけれども、適切な指標をどのように設定するのか。また、量的な把握に加えて好事例の蓄積、こういうものが国内の初等中等教育の発展にも資すると思っていますし、そういうことを目指すとなっております。
 11ページ以降が最後の柱になりますけれども、「今後の具体的な推進方策」となっております。柱としてはPYP、MYPという柱、そしてDP、三つ目が大学入学者選抜、最後が教育効果等の把握というような流れになっております。
 一つ目の丸の文章を少し読ませていただきますと「IBの教育効果や好事例をIB認定校以外の学校も含めて波及させることで、初等中等教育の発展に資するとともに、IBの導入促進につなげる。また、IBを活用した大学進学を拡大するほか、IBの教育効果として把握・発信することで、IBのさらなる普及につなげ、好循環をつくり出す」としております。これが全体にかかってまいります大きな考え方となります。
 二つ目の丸ですけれども、公式ワークショップを増やすことや、日本語での資料の提供などをコンソーシアムが中心となってIB機構と連携して必要な施策を行うということが重要というのが大きな方針でございます。
 1ポツ以降がPYP、MYPとなりますけれども、この青字の部分は後ほど出てくる再掲の文章と重なっているという意味で色を変えております。PYP、MYPと、DPでのIBでの普及、このように二つ目の2ポツの柱の中にも青字が出てくるというような構造になっております。
 1ポツの「PYP、MYPでのIB」の普及ということで一つ目の丸、こちらは引き続き普及も大事なんですけれども、まずそのIBの導入を希望するという学校さんには導入に向けた継続的な支援を行っていくことが重要であろうと思っております。
 二つ目の丸はネットワーク的な観点で、IB導入に関心のある学校や地方公共団体、また、既にIBを導入している学校、地方公共団体、IB認定校同士、既に様々なネットワーク形成が始まっていると思っておりますけれども、引き続きこのような形での様々なネットワークの効果的な形成というところは支援が必要かなと思っております。
 三つ目、四つ目は教員の観点になります。他校からIB認定校に異動されてきた先生がIBの手法を学ぶ。また、IB認定校から異動される先生方が異動された先でIBのノウハウを広めるというようなことについては、IB認定校を中心としたIB教員の輩出によるIB教員人材の確保が促進されることが期待されます。実際、議論の中でもございましたけれど、お二方で移動したほうが効果的だという話など様々な御意見があったと思うのですが、異動に伴う点についても、人材確保の観点から、また、それによって流出という観点もあると思うんですけれども、その両方の観点から重要なところかなと思っております。
 一番下のところですけれども、一般の教員養成課程においてもIBの要素を取り入れる、取り入れていらっしゃる大学等もあろうかと思いますけれども、IBの要素を取り入れるということで、IBに理解のある教員の育成が国内でも期待されるというのがあります。
 三つ目、一番上ですけれども、こちらも教員の関係です。教員のIBに関する理解促進のため、研修において好事例等を紹介すると。また、希望される先生方がなかなかIBの研修にアクセスできないというようなこともございますので、情報発信が必要だということです。
 二つ目の柱、DPになりますけれども、DPでのIBの普及、上三つは今、申し上げましたPYP、MYPと重複する部分ですので、割愛いたします。その下からです、「DPは一つのコースとして」と書いてあります四つ目の丸ですけれども、こちらIB認定校内においてもIBコース以外でIBのエッセンスを活用した教育実践や授業改善が行われることを期待する。そして、科目単位での履修が期待されると。
 次ですけれども、この下の二つは外国人教員の確保という観点になります。外国籍のIB教員の確保については、皆様非常に御苦労されていらっしゃると思いますけれども、特別免許状の活用など、各IB認定校でこちらの積極的な活用と都道府県における柔軟な運用を期待したいと思います。
 また、国内においてIB教員のマッチングを促進するため、国内のIB認定校の教員募集に関する情報をコンソーシアムのほうでも発信しておりますけれども、こちら引き続き実施してまいりたいと思います。
 次のページです。こちらも一つ目の丸ですが、外国人教員の方も様々な御事情で急遽御帰国をされるなど、せっかく雇ったのにというようなことをお思いの方もいらっしゃると思うんですけれども、ここはコミュニケーションが必要だという意味で書いておりますが、こういうような方々への十分な配慮、そのためには御事情を分かっていただくとか、コミュニケーションが必要と思っております。下二つは青の再掲部分なので、割愛させていただきます。
 その下の部分は文科省の他の施策と積極的に連携をしていこうという話です。その次の部分が進路に関する部分でして、その下二つが進路に関するものになってまいりますけれども、多くの学校では海外大学の進学を希望される生徒様のための進路指導体制の構築がなかなか困難だということで、学校を越えて情報やノウハウを共有する仕組みの構築が効果的であると。
 その下もう一つですけれども、これも進路の観点です。これは生活費を含めた経費ですね、学費等がかかってまいりますので、海外大学の学費や、また奨学金に関する情報、こういった充実も必要であろうと。そのためには、国内の奨学金支給団体に対してIBの認知や評価を高めるため、情報発信が必要だと。
 一番最後の丸でございますけれども、日本語DPにおいては外国語としての英語に加えて、1科目以上英語で履修することが必要となっております。その効果や負担等については様々な御意見を頂戴しておりますので、必要に応じて柔軟な対応を検討すると。そのためにも今後、調査等を行っていくことが必要としております。
 3ポツ「大学入学者選抜へのIBの活用促進」ということで、二つ目の丸にございますけれども、資質・能力との三つの柱、大学入学者選抜、この三つの柱が重視されている中、IBで育成を目指す力というものはそれらと親和性も高いことは皆様、御存じのとおりかと思います。
 三つ目の丸ですけれども、IBの教育効果やDPスコア等に関する客観的な情報、スコアの設定が高過ぎるなど、そういうような事例もあったと既に伺っております。そういう客観的な情報、また、IB修了生の受入れ実績から大学への好事例、幾つかお話を伺っておりますけれども、そういう好事例の蓄積というのも大事であろうと。
 その次は大学入学者選抜の実施時期等への配慮ということです。
 そしてその次、IB生にとっては対話型の授業やディスカッションにおいて、よりその能力を発揮できるという話がございますので、そういう機会を増やすとか、IB修了生の方が能力を発揮できるような環境づくりを促すというところですね。
 その次は施策との連携の話になります。そして最後、海外のIB修了生の受入れについて。ここまではずっと国内のIB生の話が多かったですけれども、海外のIB修了生の受入れ実績がある大学での入学者選抜実施の例を共有することで、海外の優秀な学生の獲得につなげることも重要だというふうにございます。
 そして最後、4ポツですけれども、「IBの教育効果等の把握・検証」になってまいります。IBの導入、好事例の波及及び大学入学者選抜における活用をさらに広く促進していくためには、IB導入の効果等に関する調査研究、こういうものを実施して教育効果とか事例等の客観的な情報を把握していきたいと思います。
 そのためには基礎的なIBに関する調査を行っていくと。そして国内での普及状況も正確に把握していきたいと思っております。調査の例としては、国内のIB認定校に対する実態調査、在籍生徒数、進学先等がございます。また国内外の大学でのIBを活用した入試に関する実態調査、また二つ目の丸になりますけれども、このような基礎調査を踏まえた上で、適切な調査対象だったり調査指標を定めて、継続的な調査を行うことも必要かなと思います。
 また、三つ目の丸ですが、IBを行うことで当然生徒への効果はございますけれども、教員の生涯学習的な側面ということで、先生方御自身が学ぶ喜びという教員の学びに関する調査研究ということも意味がある、効果的なのではないかという御意見。また、当然これらの調査は文科省やコンソーシアムでも行いますけれども、海外におけるIBの認知度や導入の状況、教育効果等、日本では得にくい情報などもIB機構と連携をしながら情報収集していくということでございます。
 駆け足になりましたけれども、このようにまだまだ課題はございますが、IBの導入等が進んできた状況を踏まえまして、最後に申し上げました客観的なデータの把握等も行いながら、幅広い関係者の方々とともに、IBの一層の普及促進に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上になります。
 1-2は概要としてまとめたものになっております。
 
【岩崎座長】 
 ありがとうございました。それでは、事務局から説明のありました資料1-1と1-2について、皆様から御意見等いただきたいと思います。
 黒田先生、お願いします。
 
【黒田委員】 
 ありがとうございます。
 これまでの議論を正確にまとめていただいたと思います。特に最後のこれからの取組については、これまでの議論の中で出てきた提案を網羅的にまとめていただいたと思いますので、全体としてすばらしいと思いました。
 ただ、大きな方向性として議論してきたことというのが、もちろんそれは取組にもきちんと表れているんですけれど、大きな方向性は、導入という認定校の増加というアプローチから日本の教育の発展のためにIBを使っていこうというような考え方だったのではないかと思います。
 そこは明確にはしていただいているんです。初等中等教育の発展とそれからもう一つ、導入の促進といいますか、二つを分けて書いてくださっていますので、そういう意味では明確になっていると思うんですけれど、文章を読んでみますとどちらが目的なのかといいますか、やっぱりどうしても導入のほうに重きが置かれたような形で見える部分があるかなと思います。これまでの政策はとにかく導入、認定校の増加というところにあったわけですけれど、これからは日本の教育全体に対してIBを活用してグローバル人材育成、世界に通用する教育をつくっていこうという、もしくは、IBに期待されていますようなアクティブラーニング的な要素でありますとか、そういったことを推進していくことを明確にしていくべきではないかなと思いました。それが全体についての意見です。
 もう一つ、IB教育の意義についてあまり多くは語ってらっしゃらない。今回それが必要なのかどうかというのがあるんですけど、例えばグローバル人材について議論した中にかなりあったかもしれないと思うんですけれど、この文章の中でももう少し具体的に、これから導入ということだけではなくて、日本の教育を変えていくためにもIBを活用していくことの意義は何なのかについて、もう少し具体的に書くといいのではないかなと思います。
 既に書かれているところとしては、「我が国の目指す教育とIB」というところで、まさに我が国の目指す教育をつくっていくためにもIBと共通している部分が多いので活用していく、生きる力の育成に寄与するというところが一番重要な、今回の検討会で議論をされたことだと思いますし、そこはもう中心に書いてくださっているわけですけれど、例えばグローバル人材の部分というのが今回の議論の中ではあまり大きくなかったのでということかもしれませんけれど、もともとIB教育を取り入れていこうという考え方の中にはグローバル人材育成が大きかったと思いますので、そこをもう一度確認するということも必要かもしれません。もう一つ、少し違った角度からなんですけれど、高度な外国人労働者の受入れのために日本の中にIB認定校を増やしていくということも考える必要があると思います。IB教育をなぜ地方に展開していかなくてはいけないのかということについては、それは拠点的な意味があるからということが一番大きいんだろうと思うんですけれども、今後考えられるのは世界からの頭脳獲得、高度人材受入れのためにもその子弟の教育のために日本にIB教育を各県ごとに行っていくというような観点も必要なのかなと思いました。
 以上、大きな方向性を明確にしていくということと、それから、その意義をもう少し強調されたほうがいいんじゃないかなということで、2点提案させていただきます。ありがとうございました。
 
【岩崎座長】 
 ありがとうございました。
 日本の教育の全体発展のためにIBを活用していくことを前面に打ち出すということと、4ページの「我が国の目指す教育とIB」のところにIB活用についてグローバル人材に関することと、高度な外国人労働者受入れに関することなどの具体的な内容を書き込んだらいかがかという御意見だったと思いますが、事務局、いかがですか。
 
【事務局(出口)】 
 ありがとうございます。黒田先生も御意見ありがとうございます。
 今、おっしゃっていただいた日本の教育に貢献するという点は、我々も大変重要な観点と思い入れさせていただいておりますが、今の御意見を踏まえて、追記を検討させていただきたいと思います。
 また、高度外国人材の受入れのためにというところでございますけれども、IBには日本語DPと英語DPがあるわけですけれども、英語DPのほうがより高度外国人の方々にとってはその効果があるかなと、お話を聞いて思いました。
 そういう意味では、日本語DPだけを推進しているわけでもないんですけれども、国際バカロレアを進める中で日本語DP、英語DPとも両方を補完するような形で推進するという観点で全体的な取組の追記を検討させていただければと思います。
 
【岩崎座長】 
 ありがとうございました。
 英語DPを活用した高度外国人労働者受入れという話は、英語DPを海外で取得した外国人への日本の大学における門戸を開放していくという話につながるのかと推測いたしました。
 黒田先生、積極的な御提言ありがとうございました。
 そのほか、どなたかございますでしょうか。竹内先生、お願いいたします。
 
【竹内委員】 
 細かい点で恐縮ですけれども、今後の具体的な推進方策についてというところで、14ページの3の大学入学者選抜でのIBの活用促進の2点目の丸のところは私が強調してこの会議で申し上げたところなので、そこを盛り込んでいただいて大変ありがたいなと思います。
 つまり、ここでは「学習指導要領で育成を目指す資質・能力の三つの柱」と書かれておりますけれども、学力の3要素とIBの10の学習者像、これは親和性が高いというところはすごく大事な要素だと思うので、そこを書いていただいて大変ありがたいなと思いました。
 また、もう1点その下の丸のところなんですけれども、最後のところで「IB修了生の受入れ実績がある大学の好事例等を蓄積し」と書いてあるんですけど、もちろんこれが全体を包含している表現だと思うんですが、私自身はより分かりやすい表現に変えるとすれば、「IBを学んだ卒業生が大学で活躍している」というところが非常に各大学の方に響くところだと考えますので、学生の活躍であるとか、そういう具体的な表現のほうがより望ましいのではないかと思いました。
 もちろんこの、好事例でその中に含まれていますので問題ないんですけれども、やっぱりIBで学んだ学生が活躍しているということがIB教育の成果・財産になるかと思いますので、非常に重要な要素かなと思いました。以上です。
 
【岩崎座長】 
 竹内先生。ありがとうございました。
 「好事例の蓄積」を「IBを学んだ学生が大学で活躍し」というふうに具体的に書き込むほうが大学を含むほかの方々に非常にインパクトがあるのではないかという御指摘でしたが、いかがでしょうか、事務局、お願いします。
 
【事務局(出口)】 
 ありがとうございます。
 私、先日静岡で開催したセミナーにも参加させていただいたんですけれども、そのときにもやはりIB卒業生の方が御活躍されているようなお話をされたところが会場としても一番盛り上がったなと思いました。そういう意味で、好事例というのはいろいろな好事例の形があろうかと思いますけれども、活躍されているというところがほかの大学の先生方、IB生をまだ受け入れていらっしゃらない大学から見ても、インパクトがあるということだと思いますので、表現の仕方を検討させていただきたいと思います。
 ありがとうございます。
 
【岩崎座長】 
 ありがとうございました。
 続きまして坪谷先生、いかがでしょうか。
 
【坪谷委員】 
 どうもありがとうございます。さすがよくまとまっているなということで感心しきりでございます。今後、やるべきことにも確実にタイムラインに沿って実行していかれるんだろうなということで期待をしております。
 ここで私、まとめの話ではないんですけれども、情報として各先生方御存じだと思いますけれども、国際バカロレアはヨーロッパで生まれたプログラムですのでもともとヨーロッパで広く話されている言語、英語以外もスペイン語とフランス語が公式の言語として始まっており、現在もそれが続いているわけです。
 したがいまして、もちろん全部の科目をフランス語で学ぶ、スペイン語で学ぶという生徒も一定数いるわけでございます。そういった生徒が自分の国以外の大学に進学する際は、例えば英語圏への進学だと英語力というのは決して国際バカロレアのスコアで測られるわけではなくて、米州の場合は主としてTOEFL、欧州の場合はIELTSを受けなさいと言っている大学が多数ございまして、そのスコアを提出することで英語圏ではその学生の英語力を測る。同じように、例えばドイツ語で指導する大学ですとドイツ語能力の検定試験があるのでその試験を受けて提出しなさいとか、日本ですと日本語能力の検定試験を受けてそのスコアを提出しなさいとか、そういった形で第2外国語の能力の検定をしていくというのが、私が見ている限り世界の大学で一般的かなと思う次第です。
 そこら辺がちょっと国際バカロレアの場合は誤解があるのかなと。日本語DPの導入前は、ほぼやっている学校が英語で教えているインターナショナルスクールや英語を表に出した数少ない私立の学校という立てつけでしたので、私たちの頭の中には、それが国際バカロレアなのではないかとインプットされているというところがございます。
 国際バカロレアは先ほど竹内先生が話したように日本の三つの柱で育てるようなグローバル人材としてどういった資質を持っている学生をつくっていきたいのかというところに特化したプログラムでございまして、決して国際バカロレアで英語能力、もしくはフランス語能力、スペイン語能力を評価する、もしくはほかの言語を特出して教えていくプログラムではないということをここで改めて私たちは分からなければいけないのかなと思う次第です。
 また、フランス語やスペイン語、英語で受けている生徒も第2外国語として他の言語を学んでいます。日本はほぼみんな英語を選ぶんですけれども、しかしながら他国の生徒はいろいろな言語を選んでおりまして、中国語を選ぶ生徒もいれば、ドイツ語を選ぶ生徒もいるという状況でございますので、そこら辺が日本の中では誤解されてインプットされている。それは仕方がないかというような、歴史がそうでしたので。
 従いまして、日本の大学側ももし英語の成績を検定したいのであれば、TOEFLにするのかIELTSにするのか、英検にするのか、私は判断つかないので、各大学の先生にお聞きしたいところではございますが、世界の大学に基準を合わせていくという形ももしかしたら望ましいのかなと私自身思っているところでございます。
 失礼いたしました。坪谷でございました。
 
【岩崎座長】 
 ありがとうございました。非常に重要な御指摘だったと思います。国際バカロレアは英語力に焦点が当てられがちですが、黒田先生がお話しになられたように優れた教育内容のプログラムであることを考えれば、英語力という道具的能力は別の形での検討が必要であり、国際バカロレアによってもたらされる生徒の資質・能力の育成という観点に注目して理解されるべきものであるという御意見だったと理解いたしました。
 この点についてはいかがでしょうか。事務局、お願いします。
 
【事務局(出口)】 
 ありがとうございます。
 重要な点、御指摘いただいて、また改めて御説明いただきまして、ありがとうございます。
 バカロレアは資質能力の向上、探究力など含めて、そこが重要というところがカリキュラム、プログラムとしての一番の魅力のポイントだと思っておりますので、その点はできるだけ書かせていただいておりますけれども、もし修正などがございましたらおっしゃっていただければとは思います。御指摘の点、事務局としてもしっかり認識はしております。
 また、言語的な観点で、そこは徐々に社会的な、また関係者の意識も含めて変化が今後あるのかなというところでは坪谷先生もおっしゃったとおりではあるんですけれども、大学からするとDPを取った方々についてはディスカッションなど積極性に加えて言語的なところも期待をしているというところが実情となっているので、そういう意味で大学側も御存じでよく分かっていただいている方もたくさんいらっしゃるとは思うんですけれども、まだまだ知っていただけていないところもあるので、国際バカロレアをアピールしていくときにはその良さという意味では資質・能力という話と言語的なところというのはまた別の測り方があるのではないか。
 そこはどういう選択をされるのかは各大学での御判断にもなってこようかと思いますけれども、そういう意味で一概に英語が非常にできる人だけを育てるというところは少し誤解があるかもしれないです。
 ただ、一方今の時点では2科目以上英語で受講されているという点では、英語以外の科目を英語で受けていると。それはほかの一般の高校の生徒さんに比べれば英語に触れている機会は多い。十分多いかというとそこはいろいろ御意見あるかと思いますけれども、多いと。その部分についても期待をされている部分もあると思いますので、今後どういうふうにしていけばいいのか、いろいろな情報を収集した上で関係者の方々と意見交換をさせていただくということが重要かなと思いました。
 
【岩崎座長】 
 ありがとうございました。
 それでは、そのほかにいかがでしょうか。
 髙野先生、お願いします。
 
【髙野委員】 
 ありがとうございます。高知国際高校の髙野です。
 報告書、本当によくまとめていただいて、ありがとうございます。
 報告書の7ページにIBECについて記載がございまして、今後PYP、MYPを普及していくという流れの中で、幾つかの市町村レベルでPYP、MYPにチャレンジしたいというような声があるというお話を幾つか聞くことがございます。
 その中で、実際、IBECの大学を卒業してIB教員の資格を取った学生さんたちが、公立の小学校や中学校、高等学校に勤務をしたいと言ったときに、その採用のシステムがいわゆる全体での募集であって、例えば本校だけをチョイスして教員採用試験にエントリーするということが現状ではできません。
 本校は県立学校なので、採用する県教委との連携が行いやすいんですけれども、市町村の教育委員会になりますと、恐らくどの県も県で採用して、採用された者が市町村の各学校に割り振られていくという流れになってくると。このシステムですと、IB教育に取り組みたいという学生がせっかく学んできたのに、それが公立の場合はあやふやであるので、やむを得ず私立に流れていくといったお話もIBECの大学の先生から聞いたことがございます。
 今後、市町村レベルでのPYP、MYPの普及ということを考えたときに、もちろん教員採用については各都道府県教委の所管事項でございますので、各都道府県で検討すべき内容ではあるんですけれども、ぜひ、国のほうからもそういった採用の在り方の見直し等について積極的に御助言をいただくことで、IBを学んだモチベーションの高い教員がどんどん今後育っていくのではないか。
 また、全国的にも、実は高知県も小中学校は教員不足で本当に困っておりますので、ぜひそういう志の高い方が、都会に集まるのではなくて、地方でしっかりと働くことができる、そういったことによって日本全体の教育力の向上であったり、あるいは日本全体の産業振興にもつながっていくのではないかと、そういう視点もぜひ盛り込んでいただけないかという御提案でございます。
 以上でございます。ありがとうございます。
 
【岩崎座長】 
 ありがとうございました。
 市町村の義務教育段階でPYP、MYPを導入したい場合に、IBECで養成された学生が公立学校に勤務しようとしてもIB認定校に必ずしもストレートに行くことはできないという現状にあって、IBの教員養成とIB校が接続できる仕組みについて御検討いただけないかという御意見だったと思いますが、事務局いかがでしょうか。
 
【事務局(出口)】 
 貴重な御意見ありがとうございます。
 教員不足の中、希望される先生方がもし来ていただければそれはウィン・ウィンになるのではないかということで、おっしゃるとおりだと思います。制度的なハードルというものを改めて時間をかけて整理していかないといけないのかなと、お話を伺って思いました。なので、すぐにということではないんですけれども、課題としてしっかり関係者で認識をしていくと。
 1点、お伺いできればと思いましたのが、制度的な課題として、公立の先生方は自治体のほうで採用されないといけないということにはなろうかと思いますけれども、何かこういうふうになればいいなどあれば、アイデアをいただければありがたいなと思います。
 
【岩崎座長】 
 荻野先生はアイデアという点でしょうか。
 
【荻野委員】 
 アイデアという立派なものかどうか分かりませんけれども、やはり前回もお話をさせていただいたんですけれども、今の若い先生たちは非常に自分が成長できる職場を求めているということをひしひしと感じております。
 そういった意味では、IBの教員になる志を立ててIBの学校に就職できる先生ばかりではありませんし、できたからといって公立の学校でずっとIBの学校にいれるわけでもないという厳しい掟がある中で、ディスカレッジされてしまうような部分も多いと思います。
 そういった情報が部分的に私どもの学校にも入ってきまして、私どもの学校に採用されたいという方がいらっしゃることも事実なわけです。ちょっと不合理な感じがいたします。IB教育を幅広く展開していくには、そういった先生に公立の学校で広めていただくということが重要だと思う一方で、そういったキャリアを一つ日本社会に用意されるということがIB教育の質を高めるという意味で必要なのではないかと思っているんです。
 当然ながら人事権は各都道府県の教育委員会なりにあるわけですけれども、もしかするとそういったところを突き抜けて、日本のIB教員育成のために大学を卒業するところから始まって次の入口である都道府県教育委員会がありまして、また、もしIBの学校で異動することを希望される先生がいるならば、そういった先生がIBの学校に異動していくような道も広げていくというところが私は重要ではないかと感じております。
 ですから、IB教員のなり方も何種類もあっていいのではないかと思います。教員になったときにその経験を踏まえて、別のIBではない学校に行って広げていくという生き方もありますし、また、IBの学校で教え続けるというキャリアも日本社会として保障してあげたらいいのではないか。制度的に難しいことは承知しておりますけれども、そういうニーズは確実にあるということを感じております。
 この件につきましては取りあえず以上です。
 
【岩崎座長】 
 ありがとうございます。
 成長を求める志の高いIB教員のキャリアパスをモデル的に示す必要がある、ニーズもあるということでした。
  IB校の教員としての職場を考えますと、それは都道府県を越え、地域を超える形で実現されるということでしょうか。この点についてほかの先生、何か追加でございますでしょうか。
 髙野先生、何かアイデアはございますでしょうか。
 
【髙野委員】 
 高知県では一時期特別採用ということで、IB資格を持った先生方を採用したことがございました。IBだけではなくて、スポーツであるとかいろいろな分野について教員募集しておりました。そういう中で積極的に地方で働きたいというような方がどうしても属人的になってきたときに採用の公平性という問題も当然ございます。
 もちろん、公募ということは前提であるんですけれども、ただ、特別採用という位置づけがいろいろな立場の方から見たときに不公平じゃないかという御意見も実際ございました。そういう意味で高知県ではスポーツの指導者については滞っているような状況がございます。
 なので、IBという広い枠組みの中であれば、国のお墨つきをいただいてそういった公平性をどういうふうに担保するかというようなところでの御助言をいただきながら取り組むことができれば、または、各都道府県の教育委員会同士で協定を結べば、例えば高知国際高校で異動になる教員が例えば札幌開成さんに異動していくとか、今後、IB校を持つ都道府県の教育委員会同士での連携等を進めていくのがまずは第一歩かなと考えますが、いかがでしょうか。
 
【岩崎座長】 
 国で公平性を担保するための支援策のお願いと、都道府県同士で人事交流を行っていくという御提案だったかと思います。
 坪谷先生、お願いします。
 
【坪谷委員】 
 坪谷でございます。
 私どもはインターナショナルスクールを運営しておりますので、その観点からの情報ということなんですけれども、私どものような学校はIB教員としてキャリアを育む人材のプールが既に世界の中にございまして、ウェブサイトや教員を対象としたリクルート団体みたいなものがあるわけです。
 したがって、そこの中から教員を採用することができるシステムになっているんですけれども、例えば日本の中でもそういったIB教員としてキャリアを育みたい人材のプールのようなものをつくるというのも一つの案かなと、実現可能かどうかは分からないんですけれども、思います。
 もう一つは公立の学校がどうしても人事異動というシステムがあると。これをIB教員に関しては人事異動の特例といいますか、そういったものを各自治体のほうでつくることができないのかということ。それでなければ、ほかのIB教育じゃない学校に回されたときはもうそこで辞めてしまうという事態が起きてしまう可能性もあるのではないかと思いますので、各行政のほうでそういった仕組みを検討することができるのかどうか、教えていただきたいなというところでもございます。
 以上です。
 
【岩崎座長】 
 各行政ということなので、荻野先生、髙野先生、もしくは宮田先生、いかがでしょうか。
 
【荻野委員】 
 では、私から知り得る範囲でよろしいでしょうか。
 
【岩崎座長】 
 荻野先生、どうぞ。
 
【荻野委員】 
 私も各県の人事行政に詳しいわけではありませんけれども、前職がたまたま東京都教育委員会で人事に関わっておりましたので、その範囲でお話をさせていただきますけれども、まずIB校だけ特例のルールを使って人事を行うことができるのか。これはやる気になればできると私は思っています。ただ、その施策は自治体の教員の人事行政にどういった影響を与えるのかということについては、注意深く考えているのが実際じゃないかなと思います。
 例えば、在職期間の6年を10年までとしても、じゃあ10年を超えたらどうするのかというところで、退職までその学校に置いておくことがその本人、また学校、その自治体にとってベストなのかどうかということの判断は別にあろうと思います。
 ただ、在職期間を引き延ばすということについては実際、東京都教育委員会も校長の意向を受けてしっかりやっているところではないかなと、既に退職しましたけれども推察をしております。
 ただ、私は国立に移ってまいりまして、幾つかの都道府県と人事交流をしているわけですけれども、今は、東京学芸大学はさいたま市と人事交流の協定がありまして、さいたま市の大宮国際の先生と人事交流をしております。とても両校にとって意味のある交流になっております。
 ただ、あくまでも人事交流で、3年すると双方元に戻っていきますので、キャリア形成という点では抜本的な解決にはなってないと。一時的にお互いのいいところを学び合うという関係にとどまっているというところです。もしかすると我が国におけるIB教員の大学卒業後の育成については、突き抜けたものがないと難しいのかなという気もしております。
 
【岩崎座長】 
 ありがとうございました。髙野先生、お願いします。
 
【髙野委員】 
 先ほど荻野先生もおっしゃったように、在職期間については教育委員会の判断になりますので、本校でもできるだけ長くというところではお願いをしています。
 それから人事交流につきましては、IBとは関係ないんですけど、例えば本県でしたら岐阜県さんとか、広島県さんとの人事交流をしていた実績がございますので、そういったことも十分可能だろうとは思います。
 特に私が申し上げたのは、今の教員というのは、本校でIBを導入するということが決まって、現職の教員を養成している状態なんですけれど、IBECを卒業されている方、特にその学部を出てくる学生さんというのは今の教員とはまた違う意識じゃないかなと思いますし、今は県レベルの話をしていますけれども、市町村レベル、例えば高知県では香美市の大宮小学校さんと香北中学校さんがそれぞれPYP、MYPの認定校なんですけれども、そこの教員は非常に母体が少ないわけです。なので、そういう中でどのようにIB教員を確保していくのかというところも実際かなりハードルが高いと思います。香美市さんがいくら受け入れたいと思っても、県での採用になってくる。
 私はコンソーシアムの導入サポーターもやらせていただいているんですけれども、町村レベルでPYPの導入を考えている教育委員会さんなんかも、教員確保が非常に悩みだと。所管する小学校や中学校が1校しかないと、ほかの市町村との人事異動になっていくので、そういった意味でのハードルの高さもあって、県立学校とはまた違うハードルがあると感じるところです。 以上でございます。
 
【岩崎座長】 
 ありがとうございました。
坪谷先生からインターナショナルスクールではIBのキャリアを持った方の人材プールがあり労働市場的には需給バランスが取れる形になっているとのお話、そして、荻野先生からは校長の意向でIBに従事した教員の在職期間を延長させること、人事交流で研修を実施することは行われているけれども、抜本的な解決法にはなっていないとのお話がありました。
 そして、髙野先生からは養成制度の拡充とともに養成された人材の受皿としてIB教員と学校との接続、需給バランスをどうするかとの特に市町村という1校しかないようなところでどうするかという問題提起がありました。
 
【岩崎座長】 
 宮田先生もお願いします。
 
【宮田委員】 
 まずは文部科学省の皆さん、取りまとめどうもありがとうございました。とてもよくまとまっていて、議論されたことが網羅されてとてもよかったかなと思います。
 今のお話の部分なんですけど、札幌市は政令市なので教員の採用は都道府県教育委員会ということではなくて、札幌市教育委員会のほうで行っています。大きい母体という形ではないので、割と小回りが利く人事をしていただいています。
 前の会議でもお話しさせていただいたんですけれども、例えば外国籍の教員はワークショップを受けているとか、IBのワークショップリーダーを行っているということを採用試験で加点していただいて、採用しやすくなっているところもあります。
 それから、IBの教員養成を受けた方の話ですけれども、私はちょっと皆さんと考え方が違っていて、本校のIBのいろいろな取組を他の学校に普及啓発をするという役割を担っています。今、ちょうど来年度に向けての人事異動の時期なんですけれども、今回も十数名の教員が他の学校に異動する形になっています。異動した後に従来型の指導方法に戻るのではなくて、IBの認定校でやっていきたいろいろなことを異動した先でも継続してやっていくんだよと背中を押しています。
 ただ、なかなか異動先に1人で行って何ができるのかという意見も聞いているので、実は今回、中等教育学校なので高校籍が3名異動になったんですけれども、同じ学校に異動して行きます。これは1人では難しいけれども複数人いればいろいろなことができる、一歩進めるという教員の意見があったので、教育委員会にお願いして、そのような形で配慮をしてもらっています。
 そういう観点からいうと、IBの教員養成課程を経た人がIB校に勤務するというのはもちろんなんですけれども、北海道でいえばIB校、公立でいうと本校しかありませんので、公立の人事異動を考えると、10年ぐらいはいれるかもしれませんけれども、その後は次の学校に行かなければいけないということを考えれば、学んだことをIB校でない学校でも進んで広めていく役割を担っていただきたいなというのが率直な感想です。
 IB教員養成課程を経た方がIB校だけで勤務するのではなくて、そのIBのノウハウを認定校でないところでも促進していくという役割も担ってもらえたらいいなという。そういう役割も多分担うんだろうなと既に思っています。
 
【岩崎座長】 
 ありがとうございました。
 今の御意見も含めて、事務局、いかがでしょうか。
 
【事務局(出口)】 
 ありがとうございます。
 様々な御意見、アイデアをいただきまして、ありがとうございます。具体的な取組も伺えたこと、大変参考になりました。
 既に髙野先生からお話ございましたけれども、特別採用というやり方や自治体間での連携、協定というやり方もあるということで、それをIBを対象としたような形で実施するときに何かしらお墨つきといいますか、国のほうでも全体的にIBを推進する上で、教員の確保だったり、今も文章の中には少し書いておりますけれども、もう一度見直した上で何か追記できることがないか検討させていただきたいと思います。
 抜本的な対応策が今はないというようなところで皆様、非常に苦慮されていると。荻野先生からもございましたけれども、3年間であれば人材交流ができると。交流と言った場合、双方で交流できる人がいないとその交流というのは成り立たないわけで、今、ちょっと人員が不足しています、足りてないですというところと交流となると人も出せないので、交流も難しいという現状があるのかなと思いました。なかなかすぐに解決策はないんですけれども、課題としては十分認識しておりますので、もう少し追記できることがないか検討させていただきたいと思います。
 受皿としてどんどん先生方を育成するのはいい、ぜひ育成してもらえばいいということを進める一方、その受皿とマッチングできるようなシステムがないというところを何かしらいい方法がないのかというところは投げかけていきたいと思います。
 坪谷先生からおっしゃっていただいた人材のプールには、資格もあるし、関心もあるし、また人によっては引っ越しなども大丈夫という人も中にはいらっしゃると思うので、それは今、住んでいるところと働くところが違うという住環境も含めて詳しく情報提供、各自治体さんであったり、学校であったりした上で、うまくいくマッチングという形が取れればベストかなと思います。ただ、ちょっと制度的な問題というところが今すぐに解消できないところではございますけれども、いただいたような案も参考にさせていただきたいと思います。
 また、宮田先生がおっしゃったIB教員に対して期待する点というのも非常に重要な点だなと思っております。ずっと働くというところもありますけど、広げていくというところで、これは報告書の中でも例えば「IBの知見を広めていく」、ページでいうと11ページのところになりますけれども、IB認定校以外のところに異動された方々がノウハウを広めると。これも非常に重要な点で、その一員としてもしIBECの方が来られたら、大学での経験を生かしながら、IB校でもそうだし、IB校以外のところでも広めていくというところを期待したいというところも一歩進んだ観点で非常に重要だなと思いました。
 いろいろ御意見いただきまして、ありがとうございます。事務局のほうでも検討させていただきます。
 
【岩崎座長】 
 ありがとうございました。
 一通りお話伺いまして、長谷川先生、全体を通じて何か御意見ございますでしょうか。
 
【長谷川委員】 
 長谷川です。皆さんの議論、大変ごもっともだと拝聴しました。また、取りまとめは極めて適切にまとめられていて、非常に感心しました。
 この会議の中で、私も知らなかった例えばPYPやMYPの重要性だとか、教育効果の可視化のことなどもきちんと書き込まれていて、非常に適切だと思っております。
 私自身は現場の人間ではないので、一歩引いた一市民といいますか、一国民といいますか、広い視野から意見を申し上げますと、やはりIBに対する理解促進、これは8ページのところに書き込まれていて、「国内におけるIBの認知度を一層高める」ということが当然うたわれているんですけれども、前回も言いましたが、国民全体に対する認知度はまだいまいちと思っております。
 前回以降、ユーチューブで国際バカロレアを検索してみたところ、コンソーシアムで作成したビデオはユーチューブに上がっているのですが、視聴回数は2,000回ぐらいで必ずしもよく見られているとは言えません。それから検索サイトで「国際バカロレア」と入れてニュース検索をしてみても、地方紙、京都新聞だとか信濃毎日などがそれぞれの地方大学とIBとの関係を報道しているのですけれども、全国紙では国際バカロレアの意義だとか、俯瞰する論説が載ることがありませんし、テレビも同様だと思います。
 ですから、IBに対する理解促進、この10年間で国際バカロレア全体がいろいろな成果を上げてきた中で、それらの材料をまとめて、国民に対して発信していくといろいろな意味で裾野がさらに広がると思います。この報告書の中でどこに書き込めるかはさておき、普及、理解の促進についてもぜひ、文科省のほうでお考えいただければと感じた次第です。
 以上でございます。
 
【岩崎座長】 
 どうもありがとうございました。
 国内の認知度を高めるために、IBの促進普及について国のほうで検討していただきたいという御意見でしたが、事務局、いかがでしょうか。
 
【事務局(出口)】
 長谷川先生からいただきましたユーチューブや、地方紙、全国市という形での広報について、目を向けていただきまして、本当にありがとうございます。
 今までの議論の中でも広報用の動画ということで御意見いただいていたかと思いまして、私のほうでもその後、改めて確認いたしましたけれども、長谷川先生からおっしゃっていただいた動画は地域セミナーなどでも流してございます。そういう意味では視聴者数が2,000と伸びない中ではございますけれども、こういう地域セミナーなど御関心がある方々にお集まりいただいた際には積極的に活用して御覧いただいているところでございます。引き続きその効果的な使い方なども含めて検討してまいりたいと思います。
 それから、報道等でも記事としてもう少し取り上げてもらえるようになったほうが全国的な国民、広い目線で見たときにバカロレアを知らないというようなことがないと。ネットだったり、記事だったり、新聞だったりであれば、単語として耳にする機会が増えるので、これって何だろうと思ってもらえる。そういうことが国際バカロレアをいろいろな人に知っていただくまず第一歩だと思います。
 そういう意味でまだまだ文科省として力不足なところがございますけれども、今までいろいろな事例が集まってまいりましたし、しっかり積極的に発信をしてまいりたいと思います。
 
【岩崎座長】 
 ありがとうございました。それでは荻野先生、よろしくお願いします。
 
【荻野委員】 
 取りまとめのほう、本当にありがとうございました。私も拝読させていただきまして、これまでの議論をとてもよくまとめていただいているなと思っておりました。本当にありがとうございました。御苦労さまでございました。
 とりわけ私が嬉しかったのは、海外進学について反映していただいたという点であります。13ページに海外進学を指導することの困難さ、そしてそれに伴う仕組みの構築、こういったところに具体的に言及していただいているのは同じような悩みを持っている、特にDPをやっている学校にとっては大きな励みになるんじゃないかなと感じました。
 併せまして、お金の問題、学費の問題についてもその後のところで言及していただいておりますので、これも大変多くの学校にとっては励みになると思います。今のDPを実施している学校の困難な部分を拾っていただいたという点は感謝しております。
 一方で、この会議、IB以外の学校にいかにIB的なもの、あるいはIBそのものを広げていくかというミッションもあったかと思いまして、そういった議論が前回からまた本日もなされているわけですけれども、一つはやはりIBを経験した教員がIB校以外のところに行くというところもIBを経験した教員のキャリアパスの一つとしてあり得ると思っております。
 こういった仕組みはたくさんつくっていくべきだろうと考えておりまして、例えば今回も14ページのほうにありますけれども、スーパーグローバル大学等を含めましてWWL、SSH、こういったところとの有機的な連携をこちらのほうも明記していただいたという点では、横展開という点で単にIB教員が違う学校に行くということ以外に制度的な支援をしていただいたという点では大きいと思っております。
 今年の年度末あたりから本校に地方自治体の教育委員会から教員の初任者研修、あるいは中堅研修を本校で開きたい、協力してもらえないか、という話が舞い込んでおります。特に本校が国立のIB学校というところがあるのかもしれませんけれども、公立の学校でも、あるいは私立の学校でもそういった機会は大いにあると思います。
 横展開をする上で学校を見てもらう。それも研修に組み込んでもらうと。こういったところは大いに「うちのミッションですから喜んでやりますよ」と。こういうところはIB校の一つの我が国におけるミッションなのかなという気もしております。そういった動きが本校でも見られるようになってきたというところであります。
 それから、先ほどのDP生の海外進学に関わるんですけれども、もちろん能力・資質論からいきますと外国語教育がIBのメインでないことは事実であるかもしれません。しかしながら、多くの日本の方がIB教育に期待するところは、外国の大学で勉強させるような道筋の一つとしたいというところだと思います。
 そういった意味では、外国語教育の充実というところもこのIBのミッションとして、我が国においてはそういった特殊事情もありますので、学校側は無視できないところだなというのが現実的なバランスです。その中で13ページの下のところ、日本語DPの問題ですけれども、外国語としての英語に加えて1科目以上今現在、英語で履修することになっております。これについては教員確保の関係から縛りがきついという議論も大いにあろうかと思いますけれども、一方で外国で、特に英語圏で大学教育を受けたいというニーズを踏まえたときに、これを外していくことはしっかりとした議論が必要なんじゃないかと感じています。
 そういった意味では何を大切にやっていくかというところはプライオリティーのつけ方が様々ありますので、なかなか議論がまとまらない中で、うまくまとめていただいたというところがIBに対する期待なのかなと。日本の国民の皆さんのIBに対する期待をいろいろな形で表現していただいたのかなという印象を受けております。
 本当にありがとうございました。雑駁ですが、全体的な印象はそのように持ちました。
 
【岩崎座長】 
 ありがとうございました。
 IBの学校の中だけで閉じるのではなくて、キーワードとしては横展開という言葉でしたが、IB校以外にどう普及、影響を与えていくかということ、具体的には初任者・中堅研修にIB校のミッションとしてどのような支援が可能か、組み込むのに関わっていくかということが上がっておりました。
 もう一つは外国の大学への進学の道筋ということは現実的問題としてあるということ、そして、今後、日本語DPの中で外国語、英語のネイティブの先生方をどの程度確保かするかということについての議論が今後、非常に必要だという御意見だったと思います。
 黒田先生お願いします。
 
【黒田委員】 
 ありがとうございます。先ほど来からの御議論、人事についても含めてなんですけれど、今、荻野先生から御発言いただいたように、どのようにこれからIB教育、IBの認定校、それからそのIB認定校を経験した先生方にほかの認定校でないところへの普及に御活躍いただくかということが非常に重要なのかなと思いました。
 最後の提言のところで、IB認定校同士、もしくはIB認定校と認定されていない学校の連携を促進してネットワークを拡大させていくというようなことと、それから先ほどお話のあった人事、認定校を経験された方々がそれ以外のところでも、ノウハウを広めていくことを見据えて人材の確保を図っていくというような形で書いてくださっているので、それがもう全てかなと。あと、ここではなくて別のところだったと思うんですけれども、教員養成課程の中でもIB教育を促進していくことも書いてくださっていましたので、もう十分かと思っていたんですが、もう少しここを具体的に書いて、先ほどの例えば採用のための特別枠であるとか、それから認定校の拠点的な在り方というような書きぶりといいますか、具体的な形というのを入れていただくことによって、よりこの検討会の趣旨というのは伝わるのかなと考えた次第です。
 よろしくお願いいたします。
 
【岩崎座長】 
 ありがとうございました。
 これまでの御発言を受けて、具体的に今回の提言のところに採用のための特別枠とか、あるいは認定校の拠点的役割の在り方などを入れていただくのがよいのではないかという御発言だったと思います。坪谷先生、お願いいたします。
 
【坪谷委員】 
 坪谷でございます、度々すみません。
 これも情報なんですけれども、米国とか日本というのは高等教育、大学のほうは4年で1年時に教養課程をやるという立てつけですけれども、先生方にこんなこと言うのは釈迦に説法で恥ずかしいんですけど、欧州は3年で高等教育に入ってくる学生は、既に教養課程の知見は学んでいるという立てつけと私は理解しているんです。
 まだ学んでいない生徒はファウンデーションコースに1年ほど入って、教養課程における学びをやってから本課のほうに入学するという手順であると。
 IBは欧州で生まれていますので、DPコースは日本の大学、もしくは米国の大学の1年の教養課程におけるアカデミックスキルといいますか、それは既に学んでいるという立てつけなんです。ですからDPを教える先生方というのは、どちらかというと日本の大学が1年の教養を教える先生方の手法と同じような手法を学んでいかなければいけないと私は理解しているんです。
 従いまして、先ほどの人事交流についてなんですけれども、各大学の先生方にお考えいただきたいのは、その教養課程の中でDPを教えているような先生が人事交流をしたり、研修を受けたり、そういったシステムというのができるとさらにいいのではないかなと思う次第でございます。よろしく御考慮のほどお願いいたします。
 
【岩崎座長】 
 ありがとうございました。荻野先生のお話を受けて、黒田先生の具体的な御提案、そして坪谷先生がおっしゃっているIBのDP教員というのは大学の教養課程を教えるようなステータスであるべきだということで、教員のキャリアという意味でも仕組みを考えるべきだという御提言だったと思います。事務局、いかがでしょうか。
 
【事務局(出口)】 
 ありがとうございます。
 いろいろ御意見いただいたところですけれども、まず、荻野先生からいただいた御意見について、海外進学の難しさということもしっかり今回レポートに書かせていただいて、そこはお褒めいただきまして、ありがとうございます。
 話題に出ましたほかの施策との連携なんですけれども、我々のほうでも取組としてしっかりやらないといけないと思っておりますのが、ワールド・ワイド・ラーニング、スーパーサイエンスハイスクールなどの施策との連携でございます。
 ただ、実際には例えばワールド・ワイド・ラーニングに採択されている学校さんの中にはIB校もいらっしゃいます。そういうようなところもありますし、黒田先生におっしゃっていただきました、大きな考え方としてはグローバル人材の育成というようなところで横串がしっかり通っておりますので、例えば何か大きなイベント、シンポジウムなどのようなものを一緒に声をかけながらというような形から始まるかもしれないですけれども、一緒に何かしら活動を行うということもできるかと我々としては考えております。
 また、研修などで積極的に受け入れていただいているということも、ありがとうございます。そういった中で、IB校でこういう取組があるんだなということを知って、また持ち帰って広めていただくという効果も期待できるのではないかと思います。そういう意味で研修をされている活動なども、いろいろな情報発信の1コンテンツとして取り入れていければ、他の自治体さんの参考にもなるのかなと思いました。ありがとうございます。
 あと、黒田先生からおっしゃっていただいた、例えば採用の特別枠、髙野先生のほうでもおっしゃっていただいた取組ですけれども、全国的にできるかどうかというところはその自治体さんによる事情もあるかと思います。今回のレポートの中で書くということについては、ほかの委員の方々の御意見もいただければなと思ったところです。もしそのIBに関する先生方を確保する取組事例として有効だなということであれば、その有効事例という形で記載することは可能かとは思うんですけれども、そこは少し御意見いただければと。
 あと、IB認定校がその地域において人事交流なども含めた上でですけれども、拠点的な役割を担うというところについては、これは宮田先生のほうでも先ほどお話ございましたので、その具体的な書き方については少し相談させていただければと思います。
 また、最後に坪谷先生からお話いただきました、DPの知識は学び方も含めてファウンデーションコースをクリアしたレベルになっているため、DPを受けている学生さんたちは大学に入学されたときにすぐに大学の授業にしっかり適用していけるのだろうなと、お話を聞きながら思いました。
 DPコースを教える先生方というのは高校の授業ではあるんですけれども、大学の授業を意識したような教え方になるということも先生方の間で意見交換をする、またキャリアパスとして変わっていくときにその点をしっかりインプットしていただきながらやっていただくといいのかなと思いました。ありがとうございます。
 
【岩崎座長】 
 ありがとうございます。では、髙野先生、お願いします。
 
【髙野委員】 
 特別採用については実際に何人か採用しておりますので、事実としてそういった例があるということをお書きいただくことには何ら問題ないと思っております。
 それから、ぜひ地方でIB教育をやっていく、東京とか、あるいは札幌市さんも高知県の2倍以上、2.5倍ぐらいの人口がある政令指定都市ですよね。で、今後、各県にIB校を増やしていくとなったときに、高知県なんかは68万人ぐらいの人口しかいないわけです。
 ですので、どうしても都会と地方での予算的なもの、人材的なもの、英語の例えばTOEFLとIELTSの話もありましたけれども、高知県の場合、TOEFLは高知大学で実施されているんですが、IELTSになると多分、岡山ぐらいまで行かないと受けられないんです。ですから、地方で今後認定校を増やしていくという観点でいくと、そのためにはどうするべきなのかという部分は常にお含みいただくことが大事なのかなと。
 もちろん、グローバル人材を育成するという観点では国際的な言語である英語は非常に大事なものだと私たちも十分承知をしておるんですけれども、ただ、その担保という話になると、地方では手が挙がりにくい現状が今までもあったのではないか。例えば四国では高知県以外はまだまだ手が挙がってないような状況。我が県以外はかなり教育県としても実績のあられる県だと思うんですけれども、そういう中で手が挙がらないというのはやっぱりいろいろな部分があると思うんですね。
 ですので、いろいろな部分でやはり地方でしっかり普及していくという観点は入れていただけるとうれしいです。よろしくお願いします。
 
【岩崎座長】 
 地方で普及するという観点を入れるということで事務局のほう、お含みおきいただければと思います。
 それでは、皆様御意見ありがとうございました。私からはお話を聞いていて、幾つか感じたことをお伝えして終わりにしたいと思います。まず、最初に4ページの「我が国の目指す教育とIB」というところで、グローバル人材の話を加筆するのがいいのではないかというお話がありました。
 グローバル人材の文脈では、変動する社会で生き抜くために自分のアイデンティティをしっかり確立して継続的に学ぶことが、これから必須であるとビジネス社会でよく言われております。自発的な学びを自分でできるということが、グローバル人材だけではなくて、社会の中で非常に求められており、初等中等教育の発展に資するという意味で「長寿化、グローバル化等変動する社会の中でのアイデンティティ、自発的な学び」というところは強調しても良いのではないかと思った次第です。
 先生方のお話を聞いていて非常に感じたのは、やはりIB教員のキャリアパスのモデルを提示するということ、それはIBの教員としてずっと生きていく方、あるいはIBと一般の学校との交互で生きていく方、幾つかのパターンがあると思いますが、そういったパターンを示すということも必要かと思いました。髙野先生、荻野先生などの話を聞いていて養成制度で輩出された学生のニーズと市町村、県などの学校種別の学校側のニーズをマッチングする仕組みが必要ということも思いました。
 それと、坪谷先生がおっしゃったお話から、やはりDPの教員というのは、IBを通じて日本の大学でいうとアカデミック・スキルズ等を教えているとも言えますので、大学の教養課程のスキルを教えるという意味でもIBの教員のステータスを確立するということが重要であるということを感じました。
 それ以外にはなりますが、事務局と私の間で修正をさせていただくということで御了承いただきたい点が一つあります。13ページの一番上の「外国人教員は、急遽帰国を希望する等様々な事情で退職することが想定されるため」というところですが、ここに関しては例えば「外国人教員は、様々な事情で長期的で安定した継続的勤務が難しい場合もあり、短期での補塡が必要となる事例も多く見られるため」などと、趣旨は同じですが、修正の相談をさせていただきたく思います。
 以上、先生方の活発な御議論を聞いて大変学ぶことが多くありました。先生方に御礼を申し上げたく思います。
 事務局に今後の対応について、お話いただきます。
 
【事務局(出口)】 
 事務局でございます。
 御意見いただいた点なんですけれども、おおむね皆様方のコンセンサスをこの場でいただけたかなと思いますので、修正の方向性については岩崎座長と事務局のほうで相談をさせていただいて、このような形で修正させていただきますということで事前にはお送りさせていただきますけれども、座長に一任いただくというような運びでいかがでしょうか。
 
【岩崎座長】 
 今、御説明のあったように皆さんの御意見を可能な範囲で修正させていただき、事務局から出てきたものを私が確認し、何かありましたら御意見をいただくという手順でご了承いただけますでしょうか。
 
 (委員一同異議なし)
 
【岩崎座長】 
 ありがとうございます。
 それでは、最後に北山課長から一言お願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
 
【北山課長】 
 先生方、非常に充実した御議論いただきまして、ありがとうございました。私は2月1日からということで、終着駅の一つ手前を走っている特急列車に飛び乗ったらもう終点にたどり着いてしまったような感じで、このような議論がずっと続いてきたのをフォローしたかったなということを残念にも思っているところでございますけれども、今、エッセンスをいろいろといただきましたので、こちらを踏まえ、しっかりと施策に取り組んでいきたいと思います。
 特に、理解促進をどうするのかということは、プレスなんかともしっかり関係をつくって知らせていかないといけないことかなと思いますし、それをやっていくためには冒頭竹内先生がおっしゃっていた学生の活躍といいますか、分かりやすい成功例みたいなものもしっかりと情報収集をし、発信できるような形にしていきたいなと思っております。
 また、日本が学習新指導要領で子供たちに育もうとしていることと、国際バカロレアで育もうとしていることというのが実は同じことなんだということもしっかりとPRできるよう整理をしていくことが必要なのかなとも思って、お伺いしておりました。
 あと人事、キャリアパスの関係についても非常に有益な御示唆をいただきました。これは、いくつかモデルをつくっていくようなことをしないと、なかなか各自治体もどういうふうに取り組んでいいのか分からないというところがあるのかなという、IB教育をやってきた人たちの人材プールをつくるといったようなお話もございましたので、どういったことが具体的にできるのか考えていきたいと思います。
 何より、その意思決定者である首長さんであるとか、教育委員会であるとか、あと、根本にあります保護者の皆さんにどのように分かりやすく伝えていくのかということは課題かと思いますので、そういった点についてこれからしっかりと取り組んでいきたいと思っております。
 これでこの会議は終わりますが、これから現場のほうにもお伺いしてお話聞かせていただきたいと思っておりまして、この会議に御参加いただきました先生方のところにもお邪魔させていただく機会があろうかと思いますが、どうぞ引き続きお世話になります。よろしくお願いいたします。
 
【岩崎座長】 
 続いて議題2のその他について、事務局からお願いいたします。
 
【事務局(出口)】 
 ありがとうございます。
 本日も様々な御意見いただきまして、本当にありがとうございました。昨年10月に第1回を始めて以来ですけれども、その後本日を含めて4回ということで、非常に熱心な御意見、また忌憚のない御意見をいただいて、本当に感謝申し上げます。ありがとうございます。
 オンラインではございますけれども、委員の皆様方にお集まりいただく機会というのは、年度末、今回取りまとめということで最後になります。先ほど簡単に御説明させていただきましたけれども、この後については座長の岩崎先生とよく御相談をさせていただいて、本日の御意見を取りまとめに反映し、委員の皆様方にメールでご確認したいと思います。そして3月中に取りまとめとして公表できればと考えております。
 
【岩崎座長】 
 よろしいでしょうか。
 それでは、以上で本日の会議を終了いたします。皆さん本当にありがとうございました。
 
―― 了 ――

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