(参考資料)国際バカロレア日本アドバイザリー委員会における質問に対する回答集(Q&A)

1.IBのカリキュラムと学習指導要領との対応関係について

  1. 一条校でIB(DP)を導入している学校は、学習指導要領とIBカリキュラムの組み合わせはどのようにやっているのか。それは生徒にとって可能なことなのか。
  2. 学習指導要領とIBのカリキュラムの整合性が重要。必修科目があるはずだが、それをどのようにカリキュラムとして組み込んでいるのか。
  3. 文部科学省において、学習指導要領とIBのカリキュラムを比べたことはあるか。
  4. 学習指導要領との整合性について、どこをどれくらい変えてもよいのか、国で基準を出してもらえるとよい。
  5. IBのカリキュラムを履修することによって、通常の教育課程でやることとどういった違いが出てくるのか、どのスキルが伸びているのかという対比をきちんとする必要がある。

(答)

  • 現状では、IB(DP)を導入している一条校においては、例えば、以下のような形で対応がなされていると聞いています。
  • 英語を用いて授業を行うことについては、教育課程特例校として文科大臣から認定を受ける。
  • その学校で開設するDPの科目を、各学校において、その内容事項に該当する学習指導要領上の科目として読み替えて扱う。
  • DPの学習を学校設定科目※として開設する。
    ※各学校において、学校の実態や学科の特色等に応じて、学習指導要領上の科目以外に最大20単位まで設定可能。
    なお、以上の具体的対応については、各学校が、それぞれの指導計画を編成する中で判断されています。
    いずれにせよ、高等学校としての卒業要件とDPのプログラムの両立を適切に満たすことができるよう、各学校において十分な指導計画を作成し、取り組んでいただく必要があります。
  • また、IBの導入促進に向けては、国がこれらの対応関係について整理を行い、一定の考え方を示すことが重要と考えています。
  • このため、現在文部科学省においては、国際バカロレア機構の協力も得ながら学習指導要領とDPのカリキュラムとの対応関係についての考え方の整理を行っており、今後速やかに整理作業を終え必要な対応を検討し、一定の考え方を示すこととしています。(文部科学省回答)

2.IBのカリキュラムと諸外国のナショナルカリキュラムとの関係について

諸外国でも、オリジナルのカリキュラムを持つところがあるはずだ。その国々ではIBカリキュラムをどのように組み合わせているのか。

(答)

  • PYP、MYPのような義務教育の年齢に相当する部分と異なり、DPに相当する部分については、多くの国で、通常、大学入学の準備コースに相当する扱いとなっており、そのカリキュラムも、国によって程度は異なるものの、義務教育と比べると緩やかなケースが多いようです。このため、例えば英国、オーストラリア、インド等においては、IBのコースを修了することでその国の高校に相当する課程を修了したと判断されます。また、それ以外の国(米国、メキシコ、シンガポールなど)に関しても、DPで学ぶ内容は各国のナショナルカリキュラムと共通した部分も多いことから、DPとナショナルカリキュラムのいずれかのうち、必ずしも共通していない部分については学ぶ必要はありますが、両立は可能です。IBはどのように教え、どのように学ぶかというところに特徴があり、IBの科目の内容のほとんどが世界の様々な国のフレームワークと重複しています。(国際バカロレア機構回答)

3.外国人指導者に対する教員免許状の円滑な授与について

  1. 外国人教員の確保のための教員免許制度の課題について、国で対応して欲しい。
  2. IBに対応可能な教員の確保に関し、教員免許法の改正を検討することも必要なのではないか。

(答)

  • 普通免許状を所有していない(大学の教職課程を経ていない)者であっても、特別免許状等の免許状の授与を受ければ、国際バカロレア機構が主催するワークショップ等を受講することでIB校において指導に当たることが可能となります。特別免許状の授与に係る審査基準等は都道府県教育委員会によって異なるので、より円滑な交付が行なわれるよう、文部科学省では、平成25年12月に各都道府県教育委員会に対し、制度の趣旨や法令の基準に則り、適切に基準を定め、積極的に特別免許状の授与を行うよう要請を行いました。今後、文部科学省では、基準の設定の考え方について、速やかに指針を示すこととしています。(文部科学省回答)

4.国内におけるIB教員の養成・確保について

教員の養成・確保はどのように行うのか。200校にするためには、どのくらいの人数が必要なのか。

(答)

  • 国内におけるIBに対応可能な教員の確保に向けては、「日本語DP」の導入により、日本人教員の活用をしやすくするほか、国際バカロレア機構と文部科学省の協力により、国内においてIB教員養成のためのワークショップ等を随時開催しています。
  • さらに、玉川大学において、IB教員やIB研究者としての資格が取得できる「IB研究コース」が平成26年4月から大学院修士課程に開設されたほか、現在、筑波大学、東京学芸大学においても、IB教員養成課程の設置について検討していくことになっています。
  • また、必要な教員は、国内、海外から様々なルートで確保することになりますが、200校になるために必要な人数については、IBを実施しようとする学校ごとの運営体制、教育内容、生徒数等により異なるため、一概に申し上げることは困難です。(国際バカロレア機構/文部科学省回答)

5.IB教員に関する要件について

  1. IBカリキュラムに対応する教員は、特別な免許が必要なのか。IB教員養成コースはどのような内容なのか。
  2. 大学が教員養成課程プログラムを作成した場合、国際バカロレア機構の教員向けワークショップは受ける必要があるのか。

(答)

  • IBの教員は、IBの理念やプログラムの内容について精通している必要があるため、国際バカロレア機構からは、IBの教員に対し、次のいずれかを求めています。
  • 国際バカロレア機構主催のワークショップに参加し、修了証を得ること、又は、
  • 国際バカロレア機構が認定した大学等のIB研究コース(教員養成課程プログラム)を修了すること等により認定書を得ること
  • このため、大学等のIB研究コースを修了すれば、国際バカロレア機構主催のワークショップの修了証は必要ありません。日本では、平成26年4月から、玉川大学においてIB研究コースが大学院修士課程に開設されました。このほか、現在、筑波大学、東京学芸大学においても設置について検討していくことになっています。
  • なお、国際バカロレア機構主催のワークショップには、初級・中級・上級と段階があり、昇級するには、一定の指導経験が必要です。
  • また、IBの教員は、他の一般教員にIBカリキュラムの教授法について教えることができます。一般教員はそれによってIBカリキュラムを教えることはできますが、修了証等は授与されません。
  • ただし、IB教育の成否は、教員の質に大きく左右されるものであり、教員の質を高い水準に保つことも重要です。このため、国際バカロレア機構では、学校がIB校に認定された後も、定期的(少なくとも5年に1回)に認定を継続するかの審査訪問のシステムがあり、きちんとIBの指導ができる体制が維持されていない場合は、認定の取消しもあり得ます。(国際バカロレア機構回答)

6.日本語DPについて

現在の日本語DP科目(経済、歴史、生物、化学、課題論文、TOK、CAS)が選定された理由如何。また、将来的に全ての科目を日本語でも実施可能にしていくのか。

(答)

  • 日本語DPの対象科目は、平成24年に文部科学省が実施した、教育委員会や国・私立高校等を対象とした日本語DP等に関する意向調査の結果等を踏まえつつ、文部科学省と国際バカロレア機構との間の協議を経て決定されたものです。
  • 現在、日本語DP科目の開発が進められており、今後、更に複数の日本語対象科目が追加される可能性もありますが、この場合でも、現時点で、全ての科目について日本語で授業等を行えるようにするといった具体的な予定等はありません。(文部科学省回答)
  • なお、DPを日本語で履修しても、IBの成績証明書としてのスコアの評価に他言語との差異はありません。学校は、生徒がどの大学に進学するか、進学を希望する大学が入学審査としてどのようなことを要求しているかによって、生徒が何語で選択するのかを決定するための助言を行うことが望ましいと考えられます。各大学がそれぞれどのような審査基準を用いているかは、国際バカロレア機構のホームページに掲載されている国別の大学より、希望の大学を選択すると詳細が閲覧できます(参照:https://www.ibo.org/recognition/university/)。一般的に、欧米の有力大学の場合は、専攻する学部に関係する科目は、IBの上級レベル科目(HL)を英語で選択するという規定がある所が多いようです。(国際バカロレア機構回答)

7.IB導入校に対する支援について

  1. IB導入については各校に大きなコストがかかる。このような負担は理事会や保護者に説明が難しい。
  2. IBを導入することは、高校にとっての負担も大きい。例えば、いくつかの学校がジョイントして、プログラムを運営していくことは可能か。
  3. 公立学校がIBプログラムに取り組むには経済的な問題等が大きい。国が支援してくれればよりやりやすいが、どうか。

(答)

  • IBの導入に伴う、経済面や学業面での負担の増加を、理事会・保護者等に理解いただくためには、IBが有する教育的意義について、導入を目指す学校における関係者間で理解が深まり、認識を共有いただけることが重要と考えております。文部科学省では、国際バカロレア機構と連携し、IBの教育プログラムとしての意義や可能性について、今後、様々な場面でより積極的な広報周知を図っていきたいと考えます。
  • なお、経済的な問題等に関しては、今後の課題として、どのような対応が可能か引き続き検討していきたいと考えています。御指摘のジョイントによるプログラム運営については、個々の学校の状況等に応じて様々な形態があり得るところ、現時点で一概に申し上げることは困難ですが、いずれにせよ、実際の運営に当たっては、プログラム運営の責任関係や教員の身分の取扱い等について、具体的なケースに即して検討する必要があると考えます。(文部科学省回答)

8.海外進学支援について

IB資格を取得して海外大学への進学を希望したとしても、高校生にとっては経済的な負担も大きい。これに対する支援も考えられないか。

(答)

  • 「日本再興戦略-JAPAN is BACK」(平成25年6月14日閣議決定)においては、2020年までに日本人留学生を6万人から12万人に倍増させる目標が掲げられています。
  • 文部科学省では、高校卒業後、海外大学での学位取得を目的とする長期留学を希望する学生に対しても、貸与型奨学金(有利子)による支援を実施しています。
  • なお、大学等に在学中に、海外大学等に短期留学・長期留学する学生等に対しても、給付型奨学金による支援を実施しており、平成26年度予算において、予算額を大幅に拡充(平成25年度予算額35億円→平成26年度予算額68億円)したところです。(文部科学省回答)

9.米国の大学入試におけるIBの活用について

米国においてはSATやTOEFLといった試験を全て受けた上で、IBは参照資料としているケースが多いと聞くが、実際の取扱いはどうか。

(答)

  • 米国においては、米国の共通入学テストであるSATの受験を求める大学が多い一方、特に有力大学の場合、SATなどでは、有力な志望者間で決定的な判断材料とならず、高校での学びの状況をより見定めるため、追加的に提出されるIBやAPなどの成果を重要な資料として考慮することが多いと聞いています。(文部科学省回答)
  • 米国においては、IB認定校は増加し続けていますが(現在、米国においてDPは約800校で実施)、米国の学校が積極的にIBを導入しようとしている背景として、IB修了生による米国の大学への合格率等が平均と比べ高いとされていることなども挙げられるのではないかと考えられます。
  • 例えば、国際バカロレア機構が米国のIB修了生を対象に実施した調査によると、Ivy League(Princeton, Yale, Brown, Harvard, Columbia, Cornell, Dartmouth, University of Pennsylvania)においては、IB修了生の合格率は、当該大学における全体の合格率と比べて3~13%ポイント高いほか、IB修了生によるSAT, ACTといった米国の共通テストについても、IB修了生のスコアが米国全体の平均値と比べ高い(SATのスコアは、全国平均が1,500点に対し、IB履修生の平均スコアは1,953点)というデータが得られています。(国際バカロレア機構回答)

10.IBを入試で活用する際の学力の担保について

  1. IBを活用した入試の導入に当たり、一番の懸念事項は、一般の受験を経てくる日本の他の学生と同様の基礎的な学力があるかということである。IBが広がっていったとき、学力の保証があるのか。
  2. IB生が日本の大学を受験する際に塾に通うケースがあったと聞いたが、基礎学力の担保に関しての大学の考え方や方法についても整理しないと、こうしたミスマッチが続いてしまうのではないか。
  3. IBを履修した学生は、高等学校の学習指導要領をどのように学んでいるのか、また、抜けているところはないのか。大学における学力観や基礎学力に対する不安感についての何らかの対応が必要。

(答)

  • IBは、生徒に知識を学ばせるのみならず、主体的に学び考える力を育成する上でも有益なプログラムとして、国際的に評価されています。
  • 例えば英国やオーストラリア等では、IBのスコアと当該国の共通テスト等の点数との換算表が作成されているなど、IBは、客観的な学力証明として国際的に広く活用されているところです(なお、英国では、例えばオックスフォード大学の場合、入学オファーの対象となり得るIBのスコアの目安を38~40と設定するなど、大学ごとの基準もあります。)。
  • また、海外大学では、特に自然科学系の学部学科等を中心に、生徒に求められる全体スコアの目安を設定することに加え、生徒が、6つの選択科目中どの科目を上級レベル科目(HL)として選択しているか、また、そのスコアはどうかについても一定の基準等を設定し、当該学部学科等において必要な学力をチェックしているケースも多く見られます(例えば、大学の物理学科において、生徒が6つの選択科目のうち、少なくとも「数学」と「物理」を上級レベル科目として選択していることを求めるとともに、これらの科目ごとに必要なスコアのレベルも設置するケースなど)。
  • 以上のような点について、今後も関係者への周知に努めるとともに、日本の大学においても、IBによって育まれる生徒の能力を適切に評価いただき、その入試への積極的な活用に取り組んでいただけることが今後重要と考えております。(国際バカロレア機構/文部科学省回答)

11.国内大学入試におけるIBの活用の在り方について

  1. IBについては、基本的にはAO入試等の枠組みの中で扱うのが一般的と思われるが、それ以外にIBを生かせる入試方法はないのか。
  2. 新しい達成度テスト(発展レベル)(仮称)が行なわれることが議論されている。その試験によって学生はますます多様になる。IB枠を設けなくても、個別の試験の在り方によっては、IB学生への対応が可能ではないか。
      
  3. IBのスコアを取ることや、センター試験でAランクを取ることは、それぞれが一つの資格のようなものであって、IB枠を設けなくても、その後の試験で判断可能ではないか。
     
  4. IBを海外大学への進学ツールの一つとして考えた際に、国内入試を受けようとすると二重の手間がかかる。このような過重負担を避けるためどのように考えているか。

(答)

  • IBの導入促進に向け、国内進学と海外大学進学の双方の可能性を検討する場合、IBの学びの成果を元に、海外のみならず国内大学への進学にもつながるような大学入学者選抜の在り方や入学後のカリキュラムが整備されることが重要です。
  • 今後、入学者選抜は入学志願者の能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価するものに転換されることから、IBについても、AO入試に限らず、出願要件の一つに設定したり、一般入試における総合評価の対象としたりすることなどが考えられますが、IBをどのように評価し、入学者選抜で活用するかについては、各大学が入学後の教育課程と入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)に基づき、判断することが必要です。
  • 教育再生実行会議第四次提言(平成25年10月31日)や「中央教育審議会高大接続特別部会審議経過報告」(平成26年3月25日)においても、国内の大学入学者選抜におけるIB資格やその成績の活用が提言されたところであり、文部科学省として、国内の大学に対して、その促進に向け積極的に働き掛け等を進めていきます。(文部科学省回答)

12.IB生の進学先について

  1. IB生の進学先に、どのような選択肢があるのか。
  2. IBを履修した学生は海外大学への志向が強いと思われるが、日本の大学にどの程度進学を希望するのか。
  3. 日本の大学がIB資格を取得した学生を受け入れるのか。インターナショナルスクール出身のIB生は、どのくらい日本の大学に入学したか。

(答)

  • IBは世界140か国以上で学ばれており、2013年5月の試験では127,000人以上の生徒がIB資格を取得しました。IBは世界の多くの大学で入学要件として認められており、生徒の進学先は多岐にわたります。世界で最も多くの生徒を受け入れている大学はカナダのトロント大学及びブリティッシュコロンビア大学です。最も多くのIB生を輩出しているアメリカでの生徒の進学先上位5大学は、フロリダ大学、ヴァージニア大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、ジョージ・メイソン大学、コロラド大学ボルダー校、ノースカロライナ大学チャペルヒル校となっています。また、IB生の大学における専攻分野としては、生命科学及び医学が最も多く、次いで工学、ビジネスの順となっています。(国際バカロレア機構回答)
  • IBは必ずしも海外進学のみを目的としたものではなく、特に国内の一条校であるIB校の場合、インターナショナルスクール等とは異なり、国内の大学進学も当然視野に入っています。特に、「日本語DP」の導入等によりIB校が増加するにつれて、海外の大学だけでなく、国内の大学への進学を希望する傾向はますます強くなると推定されます。また、海外の大学への進学に当たっては、国内の大学に比して高額な費用負担が発生することなどもあり、日本国内の大学への進学を希望する生徒も相当数見込まれると考えています。(文部科学省回答)
  • なお、過去10年間の記録では、471名の生徒が日本の大学に願書を出した記録はありますが、それ以上の詳しい記録はありません。今までの日本からの学生の進学先としては、1位米国、2位英国、3位カナダです。(国際バカロレア機構回答)

13.秋に入試を実施する際のIBスコアの活用方法について

日本の一条校では、3年次の11月にIB試験を行い、そのスコアが確定するのが翌年の1月になるとのことだが、大学が推薦入試等を11月に実施する場合、スコアの提出が間に合わないのではないか。

(答)

  • 11月のIB試験を受ける場合、その最終スコアは1月5日に出ますが、11月の推薦入試等の時点では、大学の判定等において「予測スコア」を活用することが可能です。
  • 例えば英国や米国、カナダの大学等では、この予測スコアを活用して、受験者に対し、まず「条件付」合格を出し、最終スコアが出た時点で最終的に合否を判断するという方法が広く採られています。
  • なお、IBの予測スコアは、各学校による評価に基づいて出されるため、結果的に、最終スコアと若干の誤差が生ずることも考えられますが、大学が、受験者の学校の予測スコアの過去5年間の傾向(例えば、最終スコアに対し、予測スコアが高めに出ている傾向がある、又は低めに出ている傾向があるなど。)を見ることも可能です。具体的には、大学が希望すれば、受験者の学校に関する過去5年間の予測スコアと最終スコアの比較データについて、国際バカロレア機構から提供を受けることが可能になっており、判定等において、これらのデータも併せて活用することが可能です。
  • 手続としては、大学が受験生の学校に対してデータの提出を求めると、学校から国際バカロレア機構に連絡が行き、国際バカロレア機構が大学に対してデータをお渡しすることになります。(国際バカロレア機構回答)

14.IBと大学入試センター試験との換算表の作成の在り方について

  1. 国際バカロレア機構、文部科学省、大学が協力して、換算表を作っていけば、まずはセンター試験とIBのスコアとの互換性が得られる。それを試験的に使い、更にその後で個別の選抜試験を行うというのが自然な流れではないか。
  2. 仮に換算表を作る場合でも、IBの魅力を損なわない形とする必要があることに注意してもらいたい。
  3. IBとセンター試験との換算表を作るのは、両者の問題が本質的に違うのだから意味がないのではないか。むしろ、センター試験の内容がIBに近づくようにならない限り、新しい人材を育成することにならないのではないか。

(答)

  • 現在の大学入試センター試験については、一回の試験で高等学校の学習成果を評価するのに対し、IBのスコアは最終試験だけではなく教師による内部評価も加味したものであるなど、自ずとそれぞれの性格は異なってくる側面もあると考えられます。
  • 現時点では、アドバイザリー委員会報告書にもありますように、これまで日本でIBを活用した入試を行っている大学では、AO入試や特別入試等の一環として、IBスコアを勘案する例が一般的である現状を踏まえると、当面は、各大学のアドミッションポリシーに基づき、いわゆる「IB枠」の設定を含め、IBの活用を促していくことから始めることが現実的と考えています。
  • なお、教育再生実行会議第四次提言(平成25年10月31日)では、現在の大学入試センター試験に代わる発展レベルの達成度テストを創設し、その結果を段階的に示すなど、一点刻みの選抜から脱却できるよう利用の仕方を工夫するとともに、受験生が持てる力を存分に発揮できるよう、複数回の受験機会を設けることとしており、具体的な制度設計については、現在、中央教育審議会高大接続特別部会において、議論を行っているところです。(文部科学省回答)

15.学生の厳格な成績評価及び定員管理の在り方について

今後、新たな入試を導入する場合、最初の数年間は、結果的に大学教育についていけないような学生も入学する可能性も考えられる。現在の国立大学法人運営費交付金の算定ルールでは、4月1日時点の1年生の人数をベースにしているが、学生を厳格に評価していく上で、例えば、学生を数える時点を1年次ではなく2年次にするなど、弾力的な定員管理ができないか。

(答)

  • 「中央教育審議会高大接続特別部会審議経過報告」(平成26年3月25日)においては、新たな入試の導入にかかわらず、大学教育の質保証の観点から、各大学においてこれまで以上に厳格な成績評価が必要であること、その結果として留年等が増加する可能性があることについて言及されており、厳格な成績評価による留年者の増加については、「国において一定の条件の下に留年者を定員超過のカウントから除外するなど、定員管理の弾力化を行うべきである」とされているところです。(文部科学省回答)

16.国内大学入試におけるIBの活用に向けた大学への働き掛け等について

  1. 2018年に200校という目標を達成するためには、大学入学者選抜においてもIBの活用を進める必要があるが、大学への働き掛けはどこが担うのか。
  2. 受け入れる大学の目標数についても設定する必要があるのではないか。

(答)

  • 大学入学者選抜におけるIBの活用については、教育再生実行会議第四次提言(平成25年10月31日)や「中央教育審議会高大接続特別部会審議経過報告」(平成26年3月25日)において、IB資格及びその成績の活用が提言されたところであり、現在、文部科学省が中心となって、大学への働き掛け等を積極的に進めているところです。
  • このような中、これまで日本において、IBスコア等を活用した入試は、限られた大学でしか行われてきませんでしたが、昨年末以降、慶應義塾大学、筑波大学、東京大学、京都大学、上智大学、大阪大学から、IBを活用した入試を新たに導入又は拡大する方針等が示されるなど、各大学においてIBの入試活用に向けた動きが広がってきています。
  • 受け入れる大学の目標設定については、今後の周知状況や大学への浸透状況等も見つつ、必要に応じ検討していきたいと考えています。(文部科学省回答)

 <以上>

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-- 登録:平成27年06月 --