今年の夏は全国的に気温の高い日が続いており、この先も気温の高い日が続く見込みです。
特に休業日明けの時期は、子供たちが暑さや運動等に体が慣れていない場合があり、熱中症事故の発生リスクが高い時期と考えられますので、このことにも十分御留意のうえ、引き続き熱中症事故の防止について適切に対応いただきますようお願いします。
事務連絡
令和6年8月22日
各都道府県・指定都市教育委員会学校安全主管課
各都道府県私立学校主管課
附属学校を置く各国立大学法人担当課
構造改革特別区域法第12条第1項の認定を
受けた各地方公共団体の学校設置会社担当課
各文部科学大臣所轄学校法人担当課
独立行政法人国立高等専門学校機構担当課 御中
高等専門学校を置く各公立大学法人担当課
各都道府県教育委員会専修学校主管課
専修学校を置く各国立大学法人担当課
厚生労働省医政局医療経営支援課
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課
文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課
文部科学省初等中等教育局教育課程課
スポーツ庁政策課企画調整室
スポーツ庁地域スポーツ課
休業日明けの時期等における熱中症事故の防止について(依頼)
今年の夏は全国的に気温の高い日が続いており(参考1)、この先も、全国的に平年よりも気温は高くなる見込み(参考2)となっています。
7月~8月にかけては休業日を設定している学校も多いと思いますが、休業日明けの時期は、子供たちの体が暑さや学校等における様々な活動に慣れていないこともあり、命に係わるケースもある熱中症事故のリスクが高い時期と考えられることから、学校教育活動等の実施に当たっては、実施体制や指導内容等に一層の注意が必要です。
ついては、各学校や学校設置者等において御留意いただきたい点を改めて周知しますので、熱中症事故の防止について引き続き適切に御対応いただきますようお願いします。また、熱中症対策に関連して、児童生徒等が水筒を持ち歩く際の事故に関する注意喚起資料(消費者庁作成)を別添1にお送りしますので併せて御確認願います。
なお、学校における働き方改革の観点から、別添2のチェックリスト(令和6年4月に送付したものと同一)を効果的に周知・活用いただくなど、各学校の設置者等においては各学校における対応に配慮のうえ御対応いただけますと幸いです。
記
※ 以下、6教参学第5号(令和6年4月30日)からの追記・更新点や、休業日明けの時期等に特に御留意いただきたい点に下線を付けています。(このページでは下線部を太字で示しています。)
1.熱中症事故を防止するための環境整備等について
・ 休業日明け等の子供たちの体がまだ暑さや学校における様々な活動等に慣れていない時期は熱中症のリスクが高いことや、それほど高くない気温(25~30℃)でも湿度等その他の条件により熱中症事故が発生していることを踏まえ、教育課程内外を問わず熱中症事故防止のための適切な措置を講ずること。
・ 熱中症対策には、暑熱順化(暑さに徐々に慣らしていくこと)も有効であることから、暑さに慣れるまでの順化期間を設ける等、適切に取り入れること。(暑熱順化を含むスポーツ活動における熱中症事故のポイントについては別添3を参照)
・ 活動の前や活動中に暑さ指数を計測する等し、熱中症事故の危険度の把握に努めること。(暑さ指数に応じた活動実施の目安の例は別添4を参照)
・ 活動中やその前後に適切な水分・塩分補給や休憩ができる環境を整えること。
・ 熱中症の疑いのある症状が見られた場合には、速やかに体を冷却できるよう備えるとともに、ためらうことなく一次救命処置(AEDの使用を含む)や救急要請を行うことのできる体制を整備すること。
・ 学校施設の空調設備を適切に活用すること。
・ 普通教室、特別教室、体育館など、場所により空調の整備状況に差がある場合には、活動する場所の空調設備の有無に合わせて活動内容を設定すること。
・ 室内環境の向上を図る上では、空調、建物の断熱・気密性能の向上、必要な換気を組み合わせることが有効であり、「環境を考慮した学校施設づくり事例集」(令和2年3月)を参考にしつつ、施設・設備の状況に応じて、夏の日差しを遮る日よけの活用、風通しを良くする等の工夫をすること。
・ 幼児等が送迎用バスに置き去りにされた際、命の危険に関わる熱中症事故のリスクが極めて高いことに十分留意し、幼児等の所在確認を徹底し、置き去り事故を防止すること。なお、送迎用バスに設置された安全装置については、あくまでヒューマンエラーの防止を補完するものであるということを十分理解し、置き去り防止について万全を期すこと。
・ 学校の管理下における熱中症事故は、多くが体育・スポーツ活動中に発生しているが、運動部活動以外の部活動や、屋内での授業中、登下校中においても発生していることにも十分留意すること。
・ 運動会、遠足及び校外学習等の各種行事、部活動の遠征など、特に教職員等の体制が普段と異なる環境で活動する際には、事故防止の取組や緊急時の対応について、児童生徒等も含めた事前の確認及び備えをしておくこと。
・ 感染症の流行時における児童生徒等のマスクの着用に当たっても、熱中症事故の防止に留意すること。
2.各種活動実施に関する判断について
熱中症防止のためには、暑熱環境において各種活動を中止することを想定し、その判断基準と判断者及び伝達方法を、各学校における危機管理マニュアル等において予め具体的に定め、教職員間で共通認識を図ることが重要です。なお、熱中症の危険性を判断する基準としては、暑さ指数を用いることが有効です。(別添4)
暑さ指数は、環境省の「熱中症予防情報サイト」で地域ごとの実況値・予測値を確認することができます。また、同サイトでは、環境省による熱中症警戒アラート(暑さ指数予測値に基づき、前日17時及び当日5時頃、熱中症による人の健康に係る被害が生ずるおそれがある場合(予測値が33に達する場合)に発表)や熱中症特別警戒アラート(暑さ指数予測値に基づき、前日14時頃、熱中症による人の健康に係る重大な被害が生ずるおそれがある場合(予測値が35に達する場合)に発表)の発表状況等も確認することができます。
なお、域内の暑さ指数の実況値・予測値、熱中症警戒アラート・熱中症特別警戒アラートの発表の有無に係わらず、実際に活動する場所における熱中症の危険度を、暑さ指数等を活用して把握し、適切な熱中症予防を行うことに十分留意してください。
環境省と文部科学省では、教育委員会等の学校設置者が作成する熱中症に係る学校向けのガイドラインの作成・改訂に資するよう、「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」を令和3年5月に、この手引きの追補版を令和6年4月に共同で作成しています。これらの資料の詳細は後述(5.)します。
また、スポーツ活動における熱中症事故の防止については、公益財団法人日本スポーツ協会が「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」を作成しています。
これらの資料を活用するなどし、各種活動の実施等に関して適切に判断いただくようお願いします。
なお、暑さ指数に基づいて活動中止の判断に至らない場合においても、児童生徒等の様子をよく観察し、熱中症事故の防止に万全を期していただくようお願いします。
3.児童生徒等への熱中症防止に関する指導について
熱中症を防止するためには、登下校時を含め、児童生徒等が自ら体調管理等を行うことができるよう、発達段階等を踏まえながら適切に指導することが必要です。以下のような点をはじめとして、児童生徒等への指導について御留意いただくようお願いします。
・ 休業日明け等の体がまだ暑さや学校における様々な活動等に慣れていない時期は熱中症のリスクが高いことを伝えること
・ 暑い日には帽子等により日差しを遮ること、通気性・透湿性の悪い服装等を避けること
・ 運動するときはその前後も含めて適切に水分を補給し休憩をとること、児童生徒等自身でもよく体調を確認し、活動中に不調が感じられる場合にはためらうことなく教職員に申し出ること
・ 児童生徒等同士で互いに水分補給や休憩の声掛け等を行うこと
・ 児童生徒等の腹部に水筒がある状態で転倒した場合、内臓を損傷する等重篤な事故が発生するリスクがあること等を踏まえ、1.水筒はなるべくカバン等に入れて腹部に抱えないようにすること、2.水筒を首や肩にかけた状態で走らないこと、3.活動の際には水筒を置くようにすること(詳細は別添1のとおり)
・ 運動等を行った後は、気象状況も踏まえつつ、十分にクールダウンするなど、体調を整えたうえでその後の活動(登下校を含む)を行うこと
・ 体調不良等により下校やその他活動が困難だと感じた場合にはためらうことなく教職員等に申し出ること
なお、児童生徒等への熱中症防止に関する指導の観点から、保護者に対しても熱中症対策についての情報提供を行う等、必要な連携を図るようお願いします。
4.休業日等の取り扱いについて
休業日等については、別添5の関連規定を踏まえ、次の(1)及び(2)を参考として、適切に御対応いただくようお願いします。
(1)各設置者及び学校等におかれては、気象状況等や学校施設(普通教室、特別教室、体育館等)における空調設備の有無等を踏まえ、児童生徒等の健康確保に十分配慮した上で、必要に応じて、夏季における休業日延長又は臨時休業日の設定、それに伴う冬季、学年末及び学年始休業日の短縮等をはじめとした対応について検討すること。
その際、本通知末尾の資料も参考とし、学校及び地域の実態等を踏まえて判断すること。
(2)学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第63条に規定する「非常変災その他急迫の事情があるとき」には、熱中症事故防止のために必要がある場合も含まれることに留意すること。
5.学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き(令和6年4月追補版)について
環境省・文部科学省は、教育委員会等の学校設置者が作成する熱中症対策に係る学校向けの熱中症対策ガイドライン等の作成・改訂に資することを目的として、令和3年5月に「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き(以下、「手引き」と言う。)」を作成しています。
今年4月には、当初版の手引きを作成してから約3年が経過し、気候変動適応法等の一部を改正する法律が施行されるなど、熱中症対策をめぐる状況について動きがあったことを踏まえ、その内容を一部追補する資料(令和6年4月追補版)を取りまとめました。
追補版は、気候変動適応法等の一部を改正する法律の施行による制度の概要や最近の事故事例及び教訓、学校等における熱中症事故対応に関する事例を掲載するとともに、各学校等における熱中症事故防止に必要な取組や留意点が一覧できるチェックリストを収録しています。(別添2)
各学校設置者におかれては、本追補版の内容や地域の特性等を踏まえつつ、設置する学校等において熱中症対策の推進が図られるよう、よろしくお取り計らいいただきますようお願いします。
・学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き・チェックリスト
【参考サイト】
○文部科学省・スポーツ庁
・熱中症・水難事故防止関連情報
・学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き
・学校の「危機管理マニュアル」等の評価・見直しガイドライン (PDF)
・環境を考慮した学校施設づくり事例集
・スポーツにおける熱中症 対策&予防編(室伏長官による熱中症対策の解説動画)(※YouTubeが別ウィンドウで開きます)
・スポーツにおける熱中症 対策&対処法編(室伏長官による熱中症対処法の解説動画)(※YouTubeが別ウィンドウで開きます)
○環境省
・熱中症予防情報サイト(※環境省ホームページが別ウィンドウで開きます)
・「熱中症環境保健マニュアル2022」(令和4年3月改訂)(※環境省ホームページが別ウィンドウで開きます)
○独立行政法人日本スポーツ振興センター
・熱中症の予防(学校等での事故防止対策集)(※日本スポーツ振興センターホームページが別ウィンドウで開きます)
○公益財団法人日本スポーツ協会
・熱中症を防ごう(※日本スポーツ協会ホームページが別ウィンドウで開きます)
○消費者庁
・こども安全メール from 消費者庁
「Vol.635 水筒を持ち歩くときの転倒事故に注意!」(2023年8月25日配信)(※消費者庁ホームページが別ウィンドウで開きます)
【担当】
総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課
安全教育推進室学校安全係
電話:03-5253-4111(内線:2966)
安全教育推進室 学校安全係