5教参学第28号
令和5年9月15日
各都道府県・指定都市教育委員会学校安全主管課長
各都道府県私立学校主管課長
各文部科学大臣所轄学校法人担当課長
構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた 殿
各地方公共団体の学校設置会社担当課長
附属学校を置く各国立大学法人担当課長
文部科学省総合教育政策局
男女共同参画共生社会学習・安全課長
安里 賀奈子
学校安全の推進に関する計画に係る取組状況調査(令和3年度実績)
の結果及びこれを踏まえた取組の推進について
この度、学校安全の推進に関する計画に係る取組の各状況について、令和3年度実績の調査結果を取りまとめ、公表しましたのでお知らせします。調査結果の概要は別添資料のとおりです。また、公表資料は文部科学省ウェブサイトに掲載していますので、以下URLから御覧ください。
学校安全の推進に関する計画に係る取組状況調査
学校安全<調査サイト>
令和3年度実績においては、学校安全の取組はおおむね前回調査(平成30年度実績) よりも充実していることがうかがえましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、学校における諸活動が制約を受ける中、避難訓練や関係機関との協議などの取組が困難 であった状況も浮き彫りになりました。学校の働き方改革の観点からも、学校安全の分野 においても学校が地域や関係機関等と連携することは有効です。今回の調査結果を踏まえた、調査項目ごとの留意点は下記のとおりです。これらを踏まえ、引き続き、子供たちの安全な学びの環境の確保に向けた取組を推進していただくようお願いします。
本件について、各都道府県・指定都市教育委員会におかれては域内の市区町村教育委員会、所管又は所轄の学校及び学校法人等に対し、各都道府県私立学校主管課におかれては、所轄の学校法人及び学校に対し、各文部科学大臣所轄学校法人担当課におかれては、設置する学校に対し、構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体におかれては所轄の学校に対し、附属学校を置く国立大学法人におかれては管下の学校に対し、周知方よろしくお取り計らい願います。
記
1.学校安全計画について
各学校における学校安全計画の策定状況については、前回調査から1.6ポイント増加し、作成している学校の割合は 97.9%であった。また、学校安全計画について教職員の研修に盛り込んでいる学校の割合は92.3%(前回87.8%)であった。今後は、学校安全を担う校内組織の整備(今回調査86.9%)や、学校安全を意識化する機会の設定(今回調査79.5%)など、計画の着実な実施に向けた取組の充実が求められる。
2.学校施設及び設備の点検について
学校の施設及び設備の安全点検を実施している学校の割合は99.8%(前回調査98.6%)となっており、また、安全点検の実施者(複数回答)は学校の教職員の割合が最も多く98.2%、次いで有識者や専門業者が20.4%であった。安全点検の実施に当たっては、学校 教職員以外の外部人材の活用などの方法も有効である。なお、安全点検の充実については、現在、文部科学省の有識者会議(学校安全の推進に関する有識者会議)において検討中であり、こうした状況も注視しつつ、取組を進めることが期待される。
3.通学路・通園路の安全について
通学路・通園路(以下「通学路等」という。)を設定している学校のうち、通学路等の安全点検を実施している学校の割合は99.2%(前回調査98.8%)であった。登下校中の安全確保を実施している学校の割合は98.3%(前回調査 95.2%)であり、その具体的な方策としては、児童生徒等への安全指導(85.7%)、保護者や地域の人々、ボランティア等による同伴や見守り(60.9%)、スクールバスによる送迎(25.5%)などであった。こうした取組の多くは、学校外部の協力によって実現できるものであり、学校現場の働き方改革の観点からも、各地方公共団体における首長部局との連携に加え、外部の関係者と の連携は、より積極的に推進することが期待される。
4.安全教育の実施について
学校において実施されている安全教育の内容については、いわゆる学校安全の3領域については、生活安全(防犯を含む)の割合が 92.8%、交通安全の割合が 95.7%、災害安全の割合が94.9%となっており、おおむね実施されている状況がうかがえた。一方で、性犯罪や性暴力防止が35.8%、新たな危機事象(弾道ミサイル発射等への対応等)が 15.8%となっており、こうした学校安全をめぐる現代的課題については一層の着実な実施が求められる。
5.校内外における研修について
教職員を対象とした学校安全に関する校内研修を実施した学校は94.0%(前回調査 91.3%)となっており、研修が推進されている様子がうかがえた。また、校内で起きたヒヤリハット事案を共有している学校の割合は94.2%であり、研修の内容も実効性あるものになるよう、工夫されている様子がうかがえた。学校事故の未然防止にはヒヤリハッ ト事案の共有は有効であり、引き続きこうした取組の推進が期待される。
6.危険等発生時対処要領(危機管理マニュアル)の作成状況について
いわゆる「危機管理マニュアル」を作成している学校の割合は、99.1%(前回調査97.0%)となっており、その整備は着実に進められているところである。今後は定期的に危機管理マニュアルの内容を見直していくことが重要である。その際、学校内外の視点から検証することが有効であり、この点について、今回の調査では見直しに学校設置者(教育委員会等)が47.2%の割合で関わっているほか、地域住民が関わっている割合は16.0%、関係機関が関わっている割合が37.6%となっているなど、一部にこうした取組が進められていることがうかがえる。引き続き、学校外部との連携を通じた危機管理マニュアルの実効性ある見直しが期待される。
7.地域の関係機関との連携等について
地域の関係者との協働により避難訓練を実施している学校の割合は83.0%、不審者の学校侵入を想定した防犯訓練等を実施している学校の割合は60.4%であった。また、学校の安全管理の推進に当たり、地域学校安全委員会やコミュニティ・スクール等の仕組みを活用している学校の割合は59.2%であった。平素からの地域等との関係づくりは非常時において児童生徒等の生命・身体の安全を守ることにつながるものであり、また、教職員の負担の軽減と学校安全の向上を同時に実現する取組となると期待できることから、コミュニティ・スクール等の活動の中に学校安全の分野を盛り込むなど、地域との活動と学校安全を連携させる取組の一層の推進が期待される。
安全教育推進室 学校安全係