休業日明けの時期等における熱中症事故の防止について(依頼)

事務連絡
令和5年8月23日

各都道府県・指定都市教育委員会学校安全主管課
各都道府県私立学校主管課
附属学校を置く各国立大学法人担当課
構造改革特別区域法第12条第1項の認定を
受けた各地方公共団体の学校設置会社担当課
各文部科学大臣所轄学校法人担当課
各国公私立高等専門学校担当課                      御中
各都道府県教育委員会専修学校主管課
専修学校を置く各国立大学法人担当課
厚生労働省医政局医療経営支援課
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課
各都道府県・指定都市・中核市認定こども園主管課

 
 
文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課
文部科学省初等中等教育局教育課程課
スポーツ庁政策課企画調整室
スポーツ庁地域スポーツ課
 

休業日明けの時期等における熱中症事故の防止について(依頼)

 

日頃より、熱中症事故の防止について様々な御対応をいただきありがとうございます。
今年度は全国的に平年よりも気温の高い日が続いており(参考1)、熱中症による全国の救急搬送者数は7月31日時点で47,439人(参考2)、うち18歳未満の数は5,773人という状況です。
この先も、全国的に平年よりも気温は高くなる見込み(参考3)となっており、児童生徒等の健康被害を防ぐために、引き続き適切な対応をとることが重要です。
 
特に休業日明けの時期は、子供たちが暑さや運動等に体が慣れていない場合があり、熱中症事故の発生リスクが高い時期と考えられます。
ついては、各学校や学校設置者等において御留意いただきたい点を改めて周知しますので、熱中症事故の防止について引き続き適切に対応いただきますようお願いします。
 
各都道府県・指定都市教育委員会におかれては、所管の学校(専修学校を含む。以下同じ。)及び域内の市区町村教育委員会に対し、各都道府県私立学校主管課におかれては、所轄の学校法人及び学校に対し、各国立大学法人担当課におかれては、所管の附属学校に対し、構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の学校設置会社担当課におかれては、所轄の学校設置会社及び学校に対し、各文部科学大臣所轄学校法人担当課におかれては、設置する学校に対して、厚生労働省の専修学校主管課におかれては、所管の専修学校に対し、各都道府県・指定都市・中核市認定こども園主管課におかれては、域内の市区町村認定こども園主管課及び所轄の認定こども園に対して、周知されるようお願いします。
 

 
1.熱中症事故を防止するための環境の整備等について
・ 活動前に適切な水分補給を行うとともに、必要に応じて水分や塩分の補給ができる環境を整えること。
・ 活動中や活動終了後にも適切に水分や塩分の補給を行うこと。
・ 熱中症の疑いのある症状が見られた場合には、早期に水分・塩分補給、体温の冷却、救急搬送等適切な処置を行うこと。
・ 学校の管理下における熱中症事故は、多くが体育・スポーツ活動中に発生しているが、運動部活動以外の部活動や、屋内での授業中、登下校中においても発生していることにも十分留意すること。
・ 休業日明け等の体がまだ暑さや運動等に慣れていない時期は熱中症事故のリスクが高いことや、それほど高くない気温(25~30℃)でも湿度等その他の条件により発生していることを踏まえ、教育課程内外を問わず熱中症事故の防止のための適切な措置を講ずること。
・ 活動の前や活動中に、必要に応じて暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature )を計測する等し、熱中症事故の危険度の把握に努めること。
・ 学校施設の空調設備を適切に活用すること。
・ 普通教室、特別教室、体育館など場所により空調の整備状況に差があることも考えられることを踏まえ、活動する場所の空調設備の有無に合わせて活動内容を設定すること。
・ 室内環境の向上を図る上では、空調、建物の断熱・気密性能の向上、必要な換気を組み合わせることが有効であり、「環境を考慮した学校施設づくり事例集」(令和2年3月)を参考にしつつ、施設・設備の状況に応じて、夏の日差しを遮る日よけの活用、風通しを良くする等の工夫をすること。
・ 幼児等が送迎用バスに置き去りにされた際、命の危険に関わる熱中症事故のリスクが極めて高いことに十分留意し、幼児等の所在確認を徹底し、置き去り事故を防止すること。なお、送迎用バスに設置された安全装置については、あくまでヒューマンエラーの防止を補完するものであるということを十分理解し、置き去り防止について万全を期すこと。
・ 学校におけるマスクの着用については、「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」において、「学校教育活動においては、児童生徒及び教職員に対して、マスクの着用を求めないことが基本」、「幼児については、マスクの着用を求めない」等としていることを踏まえ、適切に対応すること。
 
 
2.各種活動実施に関する判断について
熱中症防止のためには、暑熱環境において各種活動を中止することを想定し、その判断基準と判断者を、各学校における危機管理マニュアル等において予め具体的に定め、教職員間で共通認識としておくことが有効であり、熱中症の危険性を判断する基準としては、暑さ指数を用いることが有効です。(参4)
暑さ指数については、環境省の「熱中症予防情報サイト」で地域ごとの実況値・予測値を確認することができます。また、同サイトでは、環境省・気象庁による熱中症警戒アラート(熱中症の危険性が極めて高くなると予測される際(暑さ指数が33を超える場合)に、国民に対し危険な暑さへの注意を呼びかけ、熱中症予防行動をとっていただくよう促すための情報。)も確認することができます。
なお、域内の実況値・予測値、熱中症警戒アラートの発表の有無に係わらず、実際に活動する場所における熱中症の危険度を、暑さ指数等を活用して把握し、適切な熱中症予防を行うことにも十分留意してください。
環境省と文部科学省では、教育委員会等の学校設置者が作成する熱中症に係る学校向けのガイドラインの作成・改訂に資するよう、「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」を令和3年5月に共同で作成しています。
スポーツ活動における熱中症事故の防止については、公益財団法人日本スポーツ協会が「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」を作成しています。
これらの情報等を活用し、各種活動の実施等に関して適切に判断していただくようお願いします。
暑さ指数や熱中症警戒アラートに基づいて活動中止の判断に至らない場合においても、児童生徒等の様子をよく観察する等し、熱中症事故の防止に万全を期していただくようお願いします。
 
 
3.児童生徒等への熱中症防止に関する指導について
熱中症を防止するためには、登下校時も含め、児童生徒等が自ら体調管理等を行うことができるよう、発達段階等を踏まえながら適切に指導することが必要です。
以下のような点をはじめとして、児童生徒等への指導について御留意いただくようお願いします。
・ 暑い日には帽子等により日差しを遮ること、通気性・透湿性の悪い服装等を避けること
・ 運動するときは前後も含めて適切に水分を補給し休憩をとること、自分自身でもよく体調を確認すること
・ 児童生徒等同士で互いに水分補給や休憩の声掛け等を行うこと
・ 運動等を行った後には、気象状況も踏まえつつ、十分にクールダウンする等体調を整えたうえでその後の活動を行うこと
・ 下校前に運動等行っていた場合にも、十分にクールダウンする等体調を整えたうえで下校すること
・ 体調不良等により下校やその他活動が困難だと感じた場合にはためらうことなく教職員等に申し出ること
 
なお、児童生徒等への熱中症防止に関する指導の観点から、保護者に対しても熱中症対策についての情報提供を行う等、必要な連携を図るようお願いします。
 
 
4.休業日等の取り扱いについて
休業日等については、参考資料2の関連規定を踏まえ、次の(1)及び(2)を参考として、適切に御対応いただくようお願いします。
 
(1)各設置者及び学校等におかれては、気象状況等や学校施設(普通教室、特別教室、体育館等)における空調設備の有無等を踏まえ、児童生徒等の健康確保に十分配慮した上で、必要に応じて、夏季における休業日延長又は臨時休業日の設定、それに伴う冬季、学年末及び学年始休業日の短縮等をはじめとした対応について検討すること。
その際、本通知末尾の別添に記載の資料等も参考とし、学校及び地域の実態等を踏まえて判断すること。
   
(2)学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第63条に規定する「非常変災その他急迫の事情があるとき」には、熱中症事故防止のために必要がある場合も含まれることに留意すること。

 
 
【参考サイト】
 
○環境省
熱中症予防情報サイト
 
「熱中症環境保健マニュア2022」(令和4年3月改訂)
 
令和5年度「熱中症警戒アラート」の運用開始について
 
 
○文部科学省
学校の「危機管理マニュアル」等の評価・見直しガイドライン (PDF)
 
学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き
 
環境を考慮した学校施設づくり事例集
  
○独立行政法人日本スポーツ振興センター
熱中症の予防(学校等での事故防止対策集)

○公益財団法人日本スポーツ協会
熱中症を防ごう

 

参考資料

お問合せ先

総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課

安全教育推進室 学校安全係
 

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(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課)