熱中症事故の防止について(依頼)

4教参学第2号
令和4年4月28日

各都道府県・指定都市教育委員会学校安全主管課長
各都道府県私立学校主管課長
附属学校を置く各国公立大学法人担当課長
構造改革特別区域法第12条第1項の認定を
受けた各地方公共団体の学校設置会社担当課長
各国公私立高等専門学校担当課長              殿
各都道府県教育委員会専修学校主管課長
専修学校を置く各国立大学法人担当課長
厚生労働省医政局医療経営支援課長
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課長
各都道府県・指定都市・中核市認定こども園主管課長
 

 文部科学省総合教育政策局
男女共同参画共生社会学習・安全課長
石塚  哲朗
(公印省略)

文部科学省初等中等教育局
教育課程課長
常盤木  祐一
(公印省略)


 

熱中症事故の防止について(依頼)


 

 熱中症事故の防止については、例年、各学校において御対応いただいていますが、別添1のとおり、令和3年度には学校の管理下において2千件を超える熱中症事故が発生しています。
 
 学校管理下における熱中症事故は前年よりも減少しているところですが、国内では近年熱中症が増加していること、今後の気候変動等の影響を考慮すると状況はますます悪化していくことが懸念されることから、政府においては令和4年4月13日に「熱中症対策行動計画」を改訂しました。
 また、昨年度から全国で運用が開催された「熱中症警戒アラート」(別添2参照)につきましては、本年度は4月27日より環境省のホームページにて情報提供されております。これは、熱中症の危険性が極めて高い暑熱環境が予測される際に発表されるものです。この情報も活用しながら、熱中症事故の防止につい て、下記の点に留意し、適切に御対応いただくようお願いします。

 また、環境省と文部科学省では、教育委員会等の学校設置者が作成する熱中症対策に係る学校向けのガイドラインの作成・改訂に資するよう、「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」(別添3参照)を昨年5月に共同で作成しており、同手引きの活用について昨年6月および今年2月にお願いしたところです。
 学校設置者におかれては、本手引きを活用し、学校医等や関係機関の協力を得て、熱中症警戒アラートも活用した熱中症対策に係るガイドラインを作成するなどし、熱中症の予防に努めていただくよう、改めてお願いいたします。
 なお、本件については、学校設置者等から相談があった時に対応いただけるよう、公益社団法人日本医師会ならびに全国養護教諭連絡協議会に対しても周知協力を依頼していることを申し添えます。
 各都道府県・指定都市教育委員会におかれては、所管の学校(専修学校を含む。以下同じ。)及び域内の市区町村教育委員会に対し、各都道府県私立学校主管課におかれては、所轄の学校法人及び学校に対し、各国公立大学担当課におかれては、所管の附属学校に対し、構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の学校設置会社担当課におかれては、所轄の学校設置会社及び学校に対し、厚生労働省の専修学校主管課におかれては、所管の専修学校に対し、各都道府県・指定都市・中核市認定こども園主管課におかれては、域内の市区町村認定こども園主管課及び所轄の認定こども園に対して、周知されるようお願いします。
 

 
1.適切な水分補給や処置を行うことができる環境の整備等について
 熱中症は、活動前に適切な水分補給を行うとともに、必要に応じて水分や塩分の補給ができる環境を整え、活動中や終了後にも適宜補給を行うこと等の適切な措置を講ずれば十分防ぐことが可能です。また、熱中症の疑いのある症状が見られた場合には、早期に水分・塩分補給、体温の冷却、病院への搬送等適切な処置を行うことが必要です。
 学校の管理下における熱中症事故は、ほとんどが体育・スポーツ活動によるものですが、運動部活動以外の部活動や、屋内での授業中、登下校中においても発生しており、また、暑くなり始めや急に暑くなる日等の体がまだ暑さに慣れていない時期、それほど高くない気温(25~30℃)でも湿度等その他の条件により発生していることを踏まえ、教育課程内外を問わずこの時期から熱中症事故の防止のための適切な措置を講ずるようお願いします。
 また、学校施設の空調整備については順次進められているところですが、普通教室、特別教室、体育館など場所により空調の整備状況に差があることも考えられます。活動する場所による空調設備の有無に合わせて活動内容を設定するなど、適切に熱中症防止を図っていただくようお願いします。
 さらに、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、学校教育活動においては、近距離での会話や発声等が必要な場面も生じうることから、飛沫を飛ばさないよう、児童生徒等及び教職員は、身体的距離が十分にとれないときはマスクを着用することが望ましいと考えられます。ただし、気候の状況等により、熱中症などの健康被害が発生する可能性が高いと判断した場合は、マスクを外すよう御対応ください。その際は、換気や児童生徒等の間に十分な距離を保つ、近距離での会話を控えるなどの配慮をすることが望ましいですが、熱中症には命に関わる危険があることを踏まえ、熱中症への対応を優先するようお願いします。

 また、体育の授業及び運動部活動におけるマスクの着用は必要ありませんが、感染リスクを避けるためには、児童生徒の間隔を十分に確保するなどの取扱いをしてください。
 なお、幼稚園においては、幼児がマスク着用によって息苦しくなっていないかどうかについて、教職員及び保護者が十分に注意することや、幼児の調子が悪い場合や持続的なマスクの着用が難しい場合には無理して着用させる必要はないことについて、特に御留意くださるようお願いします。
 具体的な取扱いは、「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~『学校の新しい生活様式」~(2022.4.1Ver.8)』で示している内容を御参照願います。
 
2.「熱中症予防強化キャンペーン」について
 政府においては、毎年4月1日~9月30日を実施期間として、時期に応じた適切な呼びかけを行い、住民の熱中症予防行動を促す取組として「熱中症予防強化キャンペーン」を実施しています。国民や関係機関への周知等を強化し、熱中症予防の取組を推進しているほか、各省庁も連携して熱中症の予防を推進しています。また、環境省では、令和4年度は4月27日から熱中症予防情報サイトにおいて暑さ指数(WBGT)を情報提供しています。
 各教育委員会等におかれては、「学校安全資料『生きる力』をはぐくむ学校での安全教育」(平成31年3月改訂文部科学省)、「『体育活動における熱中症予防』調査研究報告書」(平成26年3月独立行政法人日本スポーツ振興センター)、「熱中症環境保健マニュアル2022」(令和4年3月改訂環境省)及び上記の暑さ指数を参考として、関係者に対して熱中症事故の防止に必要な事項の理解を徹底されるとともに、「熱中症予防強化キャンペーン」についても、その趣旨を踏まえて熱中症予防に取り組むようお願いします。
 
3.夏季における休業日等の取り扱いについて
 夏季における休業日等については、別添4の関連規定を踏まえ、次の(1)から(3)までを参考として、適切に御対応いただくようお願いします。
 
(1)夏季における休業日等の検討に当たっては、2.に記載の資料及び本通知末尾の【参考】に記載の資料等も参考とし、学校及び地域の実態等を踏まえて判断すること。
(2)学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第63条に規定する「非常変災その他急迫の事情があるとき」には、熱中症事故防止のために必要がある場合も含まれることに留意すること。
(3)新型コロナウイルス感染症拡大に伴う臨時休業等の影響により、児童生徒の学習の遅れを補うため、夏季休業期間を短縮したり、夏季休業期間中に登校日を設けたりすることも考えられるが、各学校及び各学校設置者の検討に当たっては、気象状況等や学校施設(普通教室、特別教室、体育館等)における空調設備の有無に合わせた活動内容の設定等にも留意し、児童生徒等の健康確保に十分配慮すること。


【参考】
○環境省
熱中症予防情報サイト
「熱中症環境保健マニュアル2022」(令和4年3月改訂 環境省)
令和4年度「熱中症警戒アラート」の運用開始について
○気象庁
「熱中症警戒アラート」の全国での運用開始について
○文部科学省
「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」の作成について
令和2年5月21日付けスポーツ庁政策課学校体育室事務連絡「学校の体育の授業におけるマスク着用の必要性について」
学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」~(2022.4.1Ver.8)
学校安全資料「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育(平成31年3月改訂)

○独立行政法人日本スポーツ振興センター
「熱中症対応フロー」(ポスター)(平成31年3月)
「体育活動における熱中症予防」調査研究報告書(平成26年3月)

 

 

お問合せ先

総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課

安全教育推進室 学校安全係
 

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(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課)