6文科教535号
令和6年6月5日
各都道府県教育委員会教育長
各指定都市教育委員会教育長
各都道府県知事
各指定都市市長
附属学校を置く各国公立大学長
構造改革特別区域法第12条第1項の
認定を受けた各地方公共団体の長 殿
文部科学省総合教育政策局長
望月 禎
(公印省略)
通学路における交通安全の確保の徹底について(周知)
標記の件についてはこれまでも格段の御尽力を頂いているところですが、令和3年6月28日に千葉県八街市において発生した痛ましい事故を繰り返さないよう、事故からの教訓等を踏まえ、重要な観点を以下のように示しますので、引き続き通学路の交通安全の確保への取組にお役立てください。
記
1.通学路の合同点検結果を踏まえた対策必要箇所への措置について
令和3年6月の千葉県八街市の事故を受けて実施された合同点検結果を踏まえた通学路の安全対策については、令和5年12月末現在において、令和6年能登半島地震の甚大な影響を受けた石川県、富山県及び新潟県を除き、全体で72,568か所の対策必要箇所のうち66,203か所について対策が講じられ、教育委員会・学校の対策必要箇所については、39,398か所のうち、39,100か所について対策が講じられたところです。
令和5年度末における実施状況については集計中ですが、今後、暫定的な安全対策を講じた箇所においても最善の対応が取れるよう、道路管理者、警察との更なる連携・協力をお願いします。
2.各地域における関係機関等との連携による継続的な通学路の安全確保について
通学路の交通安全の確保については、「通学路の交通安全の確保に向けた着実かつ効果的な取組の推進について」(平成25年12月6日25ス学健第21号)に基づき、各市区町村単位での通学路の交通安全の確保に向けた推進体制(以下、「推進体制」という。)の構築をはじめ、各地域における関係機関の連携による継続的な取組が推進されるよう、お願いしているところです。
従来から、推進体制の構成は、通学路における安全対策の関係機関となる、教育委員会、学校、PTA、警察、道路管理者を含めることを基本とし、必要に応じて自治体代表者や学識経験者等を加えることとしてお示ししているところです。さらに、登下校の見守りをはじめとする児童生徒等を取り巻く学校安全上の課題に対して、学校と教職員がその全てを担うことは困難です。特に、平素からの学校と家庭・地域との連携・協働の推進が不可欠です。このため、例えば、地域学校安全委員会や学校警察連絡協議会等の設置・活用や、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)や地域学校協働活動などの学校と地域の連携・協働の仕組みを活用することにより、地域の関係者との情報共有や意見交換の日常的な実施や、地域ぐるみによる交通安全の取組の推進をお願いします。
これらについて、文部科学省では毎年度、学校を核とした地域力強化プランにおいて、「地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業」(令和6年度予算額3億2,900万円)を実施し、スクールガード・リーダーの育成やその活動の支援、スクールガード養成講習会の開催に係る経費の補助を、また、「地域と学校の連携・協働体制構築事業」(令和6年度予算額約70億5,000万円)を実施し、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動を一体的に推進する自治体の取組に係る経費の補助を行っているところです(補助率:国1/3、都道府県1/3、市区町村1/3、(都道府県等が直接実施する場合、都道府県等2/3))。今後もこれらの事業を御活用いただき、通学路の安全確保の推進をお願いします。
このほか、通学路における交通安全の確保に向けて地域住民等の協力を得るためにも、推進体制の構成及び基本的方針(通学路交通安全プログラム)の内容、合同点検によって抽出した対策必要箇所(対策箇所図及び対策一覧表)等について、適切に情報発信することが極めて重要であることから、これらの情報をホームページ等により公表するよう改めてお願いします。
3.地域の実情に合わせた児童生徒の通学手段の検討
(1) スクールバスの活用
現在、我が国では人口減少が進む中、各地で地域生活圏の在り方が変化しており、児童生徒の通学をめぐる事情も年々変わってきているところです。こうした状況を踏まえ、通学路の設定だけでなく通学手段の在り方も含め、各地域の実情に合わせて通学時における児童生徒の安全について定期的に検討することが重要です。
特に近年、人口減少・過疎化により各地で学校の統廃合が進んでおり、この状況を踏まえ、令和3年度現在、全国の公立小学校のうち17.4%、中学校のうち17.7%において児童生徒の通学のためにスクールバスが導入されています。この導入率は少しずつ上昇しており、学校の統廃合に伴う導入に加え、通学路の安全確保の手段の一つとしてスクールバスを導入する事例も見られるところです。
なお、学校の統廃合により遠距離通学となった児童生徒の通学条件の緩和を図るため、スクールバスの購入等の経費について補助を行っています。また、市区町村が運行するスクールバスの維持運営費については、地方財政措置が講じられています。スクールバスの活用事例を以下のとおり掲載していますので導入検討に当たっては御参照ください。
(参考)「国内におけるスクールバス活用状況等調査報告」(PDF:5043KB)(文部科学省)
(2) スクールバスと公共交通の一体的運用
地域の多様な関係者の連携・協働を通じ、地域交通のリ・デザイン(再構築)と地域の社会的課題解決を一体的に推進するため、文部科学省、国土交通省等の関係省庁が構成員となっている「地域の公共交通リ・デザイン実現会議」において、スクールバスの公共交通としての活用に加え、スクールバスの交通事業者への委託又は集約など、教育分野と交通分野が連携・協働して取り組む実施方策等について、5月17日にとりまとめを行ったところです。
通学手段を持続可能な形で確保していくためにも、地域の公共交通と一体となった運用を検討することは、有益なものと考えられます。同会議から、連携・協働指針も発出する予定ですので、自治体の交通担当部局や交通事業者をはじめ、地域の多様な関係者との連携・協働についても御検討ください。
なお、地域の多様な関係者が連携・協働して取り組む地域公共交通の実証事業に対しては、国土交通省が「共創・MaaS実証プロジェクト」(R5年度補正予算)による支援を実施しております。
(参考1)地域公共交通共創・MaaS実証プロジェクト(令和5年度補正予算事業)(※国土交通省ホームページが別ウィンドウで開きます)
※単にスクールバスの運行を交通事業者に委託する取組は対象ではありません。
なお、本事業の公募期間は、5月27日から6月12日までとなっております。
(参考2)地域の公共交通リ・デザイン実現会議(※国土交通省ホームページが別ウィンドウで開きます)
(参考3)地域公共交通のリ・デザイン(※国土交通省ホームページが別ウィンドウで開きます)
以上のことについて、各都道府県・指定都市教育委員会及び各都道府県知事・指定都市市長におかれては域内の市区町村教育委員会、所管又は所轄の学校及び学校法人等に対し、附属学校を置く国公立大学法人におかれては管下の学校に対し、構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体におかれては所轄の学校に対し、周知方よろしくお取り計らい願います。
安全教育推進室 交通安全・防犯教育係
電話番号:03-5253-4111(内線2695)