4文科教第1309号
令和4年12月28日
各都道府県知事
各都道府県教育委員会教育長
各指定都市教育委員会教育長
各国公私立大学長 殿
各国公私立高等専門学校長
構造改革特別区域法第12条第1項の
認定を受けた各地方公共団体の長
文部科学省総合教育政策局長
藤江 陽子
学校保健安全法施行規則の一部改正について(通知)
この度、「学校保健安全法施行規則の一部を改正する省令」(令和4年文部科学省令第41号)が別添のとおり公布され、令和5年4月1日から施行されることとなりましたので通知します。本改正の趣旨及び内容は下記のとおりですので、内容を十分御了知の上、貴管内の学校に対して遅滞なく周知をお願いするとともに、各都道府県知事、各都道府県教育委員会教育長及び構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の長におかれては、それぞれ所轄の私立学校、域内の市町村教育委員会及び所轄の学校設置会社の設置する学校に対し、本件につき御周知くださいますよう併せてお願いします。
記
第一 改正の趣旨
令和4年9月に静岡県牧之原市の幼保連携型認定こども園において、送迎用バスに園児が置き去りにされ、亡くなる事案が起きたことを受け、こども政策担当大臣を議長とする関係府省会議が開催され、幼児等の所在確認と安全装置の装備の義務付けを含む「こどものバス送迎・安全徹底プラン」が10月に取りまとめられた。
これを受け、学校保健安全法施行規則について、所要の改正を行うものである。
第二 改正の内容
1 本則
学校保健安全法施行規則において以下2点を義務付ける。
(1)学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校及び専修学校)において、児童生徒等の通学、校外学習等のために自動車を運行するときは、児童生徒等の自動車への乗降車の際に、点呼等の方法により児童生徒等の所在を確認すること。
(2)幼稚園及び特別支援学校においては、通学用の自動車(※1)を運行するときは、当該自動車にブザーその他の車内の児童生徒等の見落としを防止する装置を装備し、当該装置を用いて、降車時の(1)の所在確認をすること。
※1 安全装置を装備しなくても、確実に児童生徒等の所在確認が行われると考えられる2列以下の自動車等を除く。
2 附則
(1) 施行期日
令和5年4月1日とする。
(2) 経過措置
1(2)の規定については経過措置を設け、ブザーその他の車内の児童生徒等の見落としを防止する装置を備えることが困難である場合は、令和6年3月31日までの間、車内の児童生徒等の所在の見落としを防止するための代替的な措置を講ずることとして差し支えないこととする。
第三 留意事項
1 所在確認
第二1(1)の所在確認は、送迎用バスの運行に限らず、学校において校外学習等の際の移動のために自動車を運行するすべての場合が対象となる。
2 安全装置に係る義務付けの対象となる自動車
通学を目的とした自動車のうち、座席(※2)が2列以下の自動車を除く全ての自動車が原則として安全装置に係る義務付けの対象となる。
なお、座席が2列以下の自動車と同様に義務付けから除外される「その他利用の態様を勘案してこれと同程度に児童生徒等の見落としのおそれが少ないと認められるもの」については、例えば、座席が3列以上あるものの、児童生徒等が、確実に3列目以降が使用できないように児童生徒等が確実に通過できない鍵付きの柵を車体に固着させて2列目までと3列目以降を隔絶することなどが考えられるが、安全装置が義務付けられる経緯・趣旨に鑑み、その判断は十分慎重に行うこと。
※2 「座席」には、車椅子を使用する児童生徒等が当該車椅子に乗ったまま乗車するためのスペースを含む。
3 装備すべき安全装置
「ブザーその他の車内の児童生徒等の見落としを防止する装置」は、国土交通省が令和4年12月20日に策定・公表した「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のガイドライン」に適合するものであることが求められること。なお、本ガイドラインに適合する装置については、今後、内閣府において、国土交通省と連携し、一覧化したリストを作成・公表する予定であり、当該リストを参考に選定することが可能であること。
4 実効性の確保等
今回の省令改正で安全装置の装備が義務付けられる幼稚園と特別支援学校においては、上記のガイドラインに適合する安全装置の送迎用バスへの装備について遺漏ないよう取り組まれたいこと。
また、児童生徒等の所在確認については、各学校においてこれまでも教育活動の前提として必然的に実施されてきたものであるが、今回の省令改正によって法令上位置付けられたことに鑑み、学校安全の基本となるという認識を共有するとともに、自動車等への乗降の場合に限らず、学校生活の中で場面が変わる際の所在確認の在り方について見直す機会とされたいこと。
なお、具体の所在確認に当たっては、児童生徒等の年齢や発達段階に応じて適切な方法によって行われることが望ましいこと。
5 施行期日
本改正省令の、施行期日を令和5年4月1日としているが、所在確認は、法令上の直接的な規定の有無にかかわらず、徹底すべきであり、置き去りが生じないよう徹底されたいこと。
6 経過措置
装備すべき安全装置の導入が困難な場合も考えられるため、令和6年3月31日までの間、代替的な措置を講ずることとしているが、本義務付けの新設の趣旨に鑑み、可能な限り令和5年6月末までに導入するよう努めていただきたい。
なお、経過措置期間内において安全装置の装備がなされるまでの間についても、バス送迎における安全管理を徹底するとともに、例えば、運転席に確認を促すチェックシートを備え付けるとともに、車体後方に児童生徒等の所在確認を行ったことを記録する書面を備えるなど、児童生徒等が降車した後に運転手等が車内の確認を怠ることがないようにするための所要の代替措置を講ずること。
[本件連絡先]
文部科学省総合教育政策局
男女共同参画共生社会学習・安全課
安全教育推進室
電話03-5253-4111(内線2695)
安全教育推進室 学校安全係