革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)について

【目次】 
  1. スーパーコンピュータの開発意義
  2. 革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の概要
  3. フラッグシップマシンにまつわるこれまでのプロジェクト
  (1) スーパーコンピュータ「京」
  (2) スーパーコンピュータ「富岳」
  4. HPCIの利用促進
  スーパーコンピュータ「富岳」の利用の枠組み
  5. 将来のHPCI計画に向けた検討
  6. 衆議院決算行政監視委員会における行政監視に基づく事業の見直しに関する決議について   

1.スーパーコンピュータの開発意義

 スーパーコンピュータによるシミュレーションは、理論、実験と並ぶ科学技術の第3の手法として、最先端の科学技術や産業競争力の強化に不可欠な基盤となっています。例えば、シミュレーションにより、研究やものづくりに要する時間やコストの削減が図れるとともに、これまで実験や観測では解明できなかった現象を解析し新しい科学的知見を得ることが可能となることから、様々な分野の科学技術や産業の発展に大きく貢献することができます。
 また、その開発は、低消費電力半導体技術の獲得など、今後、我が国において継続的にスーパーコンピュータを開発していくための技術力の維持・強化を図ることができ、産業競争力強化の観点からも極めて重要であると考えます。
 諸外国でもスーパーコンピュータの開発・利用に力を入れており、我が国としても長期的な視点から継続的に進めていくことが必要です。

スーパーコンピュータの開発・利用の意義

2.革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の概要

 HPCIは、「富岳」(令和元年8月までは「京」)を中核とし、全国の大学・研究機関が保有する様々なアーキテクチャを持ったスーパーコンピュータや大規模ストーレジシステムを高速ネットワーク(SINET)で結ぶとともに、これらのスーパーコンピュータ等を一つのユーザアカウントにより利用することができるようにシステムを構築するもので、平成24(2016)年9月28日より運用を開始しました。
 これにより、全国の利用者が当該ネットワークを通じて「富岳」や様々なアーキテクチャを持ったスーパーコンピュータ等を利用できるようになり、HPCI上のスパコンで計算したデータを共有したり、共同で分析したりすることができるようになるなど、多様なニーズに応えられる利用環境を構築し、多くのユーザの利用に供しています。
 また、HPCIシステムの整備・運用については、計算科学技術に関わる開かれた場である、「一般社団法人HPCIコンソーシアム」と協力しながら実施していきます。

革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の概要

一般社団法人HPCIコンソーシアム 

 計算科学技術に関わるコミュニティの幅広い意見集約の場として、HPCIシステムの整備・運用方針や我が国の計算科学技術の振興策並びに将来のスーパーコンピューティング等について検討し、国や関係機関に提言することを目的として、平成24年4月2日に「一般社団法人HPCIコンソーシアム(※一般社団法人コンソーシアムのウェブサイトへリンク)別ウィンドウで開きます」が設立されました。

<経過>
平成22年7月HPCI準備段階コンソーシアム発足
HPCIの構築・運用とコンソーシアムの形成に向け検討
平成24年1月30日最終報告をとりまとめ
平成24年4月2日一般社団法人の設立

3.フラッグシップマシンにまつわるこれまでのプロジェクト

(1)スーパーコンピュータ「京」(平成24年9月28日~令和元年8月16日)

●スーパーコンピュータ「京」の概要

 スーパーコンピュータ「京」は、高性能・低消費電力のCPUや超大規模構成を可能とするネットワークなど、数々の先端技術を結集して高性能・高信頼を追求した我が国のフラグシップコンピュータとして、平成24年9月28日から令和元年8月16日まで、兵庫県神戸市に所在する理化学研究所計算科学研究センター(R-CCS)で運用されました。「京」は、平成23年11月に世界に先駆けて演算性能10ペタフロップス(=1秒間に1京回の計算が可能な性能)達成し、同年6月と11月のスパコンランキングのTOP500において二期連続で世界1位を獲得したほか、HPCGでも3期連続の世界1位を獲得するなど、実用性の面でも高い評価を得ました。また、運用期間中は、延べ1万人を超える国内外の研究者や企業の方々に利用され、医療・創薬、ものづくり等の様々な分野で画期的な成果を生み出しました。

スーパーコンピュータ「京」(※「富岳」の設置に伴い撤去)

スーパーコンピュータ「京」(※「富岳」の設置に伴い撤去)
提供:理化学研究所計算科学研究センター

<「京」の特長> 

  • 演算性能:世界に先駆けて10ペタフロップスを達成
  • 信頼性:7年間の稼働率は93.6%と極めて安定的な運用を実現
  • 実行効率:TOP500において、世界トップ10の平均が76%のところ「京」では93%

※実行効率とは理論性能に対する実施の性能の比率のこと。

<「京」の経過> 

  • 平成23年3月に一部稼働。平成23年11月に性能目標のLINPACK10ペタフロップス達成
  • 平成24年6月にシステムが完成。平成24年9月28日共用開始
  • 令和元年8月16日共用終了

●スーパーコンピュータ「京」の実績

・心疾患のマルチスケール・マルチフィジックスシミュレーション 
 心臓の動きについて、これまで細胞・組織・臓器の部分的にしか再現できなかったものを、細胞・組織・臓器を全て含めた統合シミュレーションで心臓全体を再現。心臓の難病の一つである肥大型心筋症の病態をサルコメア・タンパク質という分子レベルの変異から細胞、心臓の動きまでを計算して解析することに成功。

・10分ごとに更新する気象予測-「京」と気象衛星ひまわり8号による天気予報の革新-(強調) 
 シミュレーションと実測データを融合する「データ同化」による数値天気予報において、気象衛星「ひまわり8号」の10分ごとの赤外放射輝度データを直接利用することに成功。これまで1時間ごとに更新されていた気象予測が10分ごとに更新できるようになり、将来の天気予報に革新をもたらすと期待される。

・世界最大規模のダークマターシミュレーションによるダークマターの進化過程の解明 
 宇宙初期から現在に至る約5500億個のダークマター粒子の重力進化を一辺が約54億光年の空間サイズでシミュレーション。2015年当時において、世界最高分解能、世界最大規模であった。これにより、まだ観測できていない範囲の宇宙における銀河や活動銀河核などの所在を推定し、観測チームに公開

●スーパーコンピュータ「京」の産業利用

 産業界における利用については、スーパーコンピューティング技術産業応用協議会等を通じ、産業界の意見も聞くことにより、スーパーコンピュータの利用についての情報提供や支援体制の不足、ネットワークが不便等の課題があることを把握するとともに、これに対応して、一元的な情報提供や事前相談等を行う体制の構築、「京」とネットワークでつながるアクセスポイントを東京と神戸に設置、産業利用課題枠の設定など、産業界に配慮した環境を構築。
 なお、当初、産業利用課題には「京」の計算資源の5%をあてることを目安としていましたが、利用の状況も踏まえた柔軟な見直しを実施し、徐々に増加し、平成29年度後半以降は、一般利用枠45%の内数として設置されました。

<産業利用の成果例> 

 ・SPring-8、J-PARC、「京」を連携活用させた新材料開発技術を採用したタイヤの製品化 
 SPring-8、J-PARC、「京」を活用した高度なシミュレーション解析により、低燃費性能とグリップ性能を高次元で維持しながら耐摩耗性能を向上することに成功し、実際に製品化された。

 ・燃料電池として有力な水素電池の電解質膜の構造の解明 
 名古屋大学と旭硝子が連携し、水素電池の電解質膜における原子の挙動を「京」を通じて1,000万個レベルでシミュレーションし、多孔質な複雑な構造を持つこと確認。この結果が、企業においてより理想的な電解質膜の開発に活用されている。

●スーパーコンピュータ「京」の開発に至るまでの主な経緯

「次世代スーパーコンピュータ・プロジェクト」の立ち上げ経緯 

 平成17年8月、科学技術・学術審議会情報科学技術委員会計算科学技術推進ワーキンググループ(※国立国会図書館ホームページへリンク)別ウィンドウで開きますでとりまとめられた第二次中間報告書(※国立国会図書館ホームページへリンク) 別ウィンドウで開きますにおいて下記の事項などが提言されスーパーコンピュータプロジェクトが立ち上がりました。

  • 我が国のスーパーコンピュータ開発をリードする最高水準の汎用システム(NLS(ナショナル・リーダシップ・システム))の開発を、長期ロードマップに従い戦略的に行うこと
  • 物質・材料、ライフサイエンス、ものづくり、防災などの8つの幅広い分野においてペタスケール・コンピューティングを実現することにより大きな成果が期待できること
  • 米国のスーパーコンピュータ戦略、半導体技術トレンド等も勘案しつつ、10ペタフロップス級の汎用スーパーコンピュータの研究開発プロジェクトを平成18年度には開始させる必要があること

この報告書を踏まえ、文部科学省において、

  • 計算科学技術を更に発展させ、広範な分野の研究及び産業における幅広い利用のための基盤を提供することにより、我が国の競争力の強化に資すること
  • ライフサイエンス、物質材料、防災・減災など多様な分野で社会に貢献する研究成果を挙げること
  • 我が国において、継続的にスーパーコンピュータを開発していくための技術力を維持及び強化すること

を目的とし、世界最先端・最高性能の次世代スーパーコンピュータを開発・整備する「次世代スーパーコンピュータ・プロジェクト」を立ち上げました。

 平成17年11月、本プロジェクトについて、総合科学技術会議の事前評価(※内閣府のウェブサイトへリンク)別ウィンドウで開きます を受け、システム構成について再検討を行うべき等のいくつかの指摘を受けましたが、「本プロジェクトは実施することが適当」とされました。
 また、平成18年3月に策定された第三期科学技術基本計画(※内閣府のウェブサイトへリンク)別ウィンドウで開きますにおいて、本プロジェクトは世界最高水準の科学技術の発展基盤として、国家的な目標と戦略の下に集中的に投資すべき大規模プロジェクトとして国家基幹技術に位置づけられました。
 これらを踏まえ、平成18年4月に「次世代スーパーコンピュータ・プロジェクト」が始まりました。

次世代スーパーコンピュータ「京」のシステム構成と検討経過

(複合型での検討着手) 

 次世代スーパーコンピュータ「京」のシステム構成については、開発主体である独立行政法人理化学研究所(理研)において検討を行い、その結果、スカラ型・ベクトル型両方の特徴を勘案し、スカラ・ベクトル複合型にすることにより、

  • スカラプロセッサ向けに開発された多くのアプリケーションと、地球シミュレータに代表されるベクトルプロセッサ向けに最適化されたアプリケーションの両方を容易かつ発展的に利活用でき、ソフトウェア資産のより多様な有効活用が可能となる。
  • スカラ型・ベクトル型の両者を同時に用いた複合シミュレーションを実行できるシステム環境を構築することにより、気象観測データのリアルタイム解析での連携計算など、より複雑な問題に対するシミュレーションの革新を先導できる。
  • 世界的主流となっているスカラプロセッサに演算加速機構を付加したプロセッサと、我が国が強みを持つベクトルプロセッサの改良型となる新しい汎用プロセッサを同時に開発することにより、将来の我が国のスーパーコンピュータ開発の技術力、国際競争力等の向上に一層貢献する。

 等の利点があると考え、複合型システムを選択しました。このことについては、平成19年6月の「科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 情報科学技術委員会 次世代スーパーコンピュータ概念設計評価作業部会」(概念設計評価報告書) や同年9月の「総合科学学術会議別ウィンドウで開きます」(「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」について(※内閣府のウェブページへリンク)別ウィンドウで開きます) の評価において妥当との評価を得ています。

(複合型から単一型への変更) 

 平成21年4月、「科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 情報科学技術委員会次世代スーパーコンピュータプロジェクト中間評価作業部会」で実施した中間評価(中間評価報告書(※国立国会図書館ホームページへリンク)別ウィンドウで開きます)において、

  • 米国のスーパーコンピュータ開発が加速しており、従来の計画では世界に先駆けて10ペタフロップス級の汎用計算機を開発・整備するという目標を達成することが困難
  • 複合システムとしての性能が十分でなく、一定の見直しが必要

との評価を受け、複合システムの在り方を含め、プロジェクトの目標達成を念頭に置いた最適なシステム構成を再検討することとされ、これを踏まえ、理研において、システム構成の再検討を開始しました。

 そうした中、平成21年5月、当該企業等のうち、ベクトル部の開発を担っていたNECが経営環境の悪化等を理由に「京」の製造には参加しない旨表明しました。
 これを受けて、理研において、複合型ではなくスカラ部のみで構成されるシステム構成案へと見直しを行い、これについて、同審議会において中間評価を受け、平成21年7月、

  • スカラ部のみでもシステム全体としての性能目標を達成する可能性がある
  • ベクトル部の利用を想定していたアプリケーションに対する影響については、プログラムの書換え等の支援を行うことにより限定的なもの

 との結論を得て、複合型ではなくスカラ型単一システムとして10ペタフロップス級のスーパーコンピュータを開発・整備することとしました。

(HPCI計画への展開)  

 その後、「次世代スーパーコンピュータ・プロジェクト」は、平成21年11月の政府の事業仕分けの評価結果等を経て、同年12月、引き続き世界最高水準を目指しつつ、利用者側の視点に立った多様なユーザーニーズに応える「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ」を構築する計画(HPCI計画) へと進化・発展することとなりました。 ※HPCI計画については「2.HPCIの構築」参照.

~次世代スーパーコンピューター計画変更の経緯~

平成21年11月13日 
事業仕分け:「来年度の予算計上の見送りに限りなく近い縮減」との評価

12月 9日 
総合科学技術会議における見解付け:「10ペタ級の目標は達成できるものと評価されており確実に推進すべき」「国民の十分な理解を得ることが重要」等の評価

12月16日
4大臣(財務大臣、行政刷新大臣、国家戦略担当大臣、文科大臣)合意:「計画を変更した上での予算案への計上を認める」との結論

  • スパコン開発側(供給者)視点から利用者側視点へ
  • ナンバーワンの性能を引き続き目指しつつ、多様なユーザーのニーズに応える「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラの構築」を目指す。
  • 次世代スーパーコンピュータの開発スケジュールを変更
    (10ペタフロップス達成時期を平成23年11月→平成24年6月)

→平成22年度予算において国庫債務負担行為として、平成24年度までの3年間のシステム製造費を措置することを、国会にて議決(開発加速のための経費110億円を削減)

HPCI戦略プログラム(平成23年度~平成27年度)

 HPCI戦略プログラムは、社会的・学術的に大きなブレークスルーが期待できる分野(戦略分野)において、HPCIを活用した成果の創出と、研究推進・研究支援や人材育成等を進めていくための体制整備を進めていくものです。
 具体的には、「京」を中核とするHPCIを最大限活用し、①画期的な成果創出、②高度な計算科学技術環境を使いこなせる人材の創出、③最先端コンピューティング研究教育拠点の形成を目指し、戦略機関を中心に戦略分野の「研究開発」及び「計算科学技術推進体制の構築」を推進。
 平成21年に文部科学省において戦略分野として、以下の5つを決定し、各戦略分野における研究開発等を牽引する機関(戦略機関)を中心に先端的なシミュレーション研究や人材育成プログラムが実施されました。

戦略分野 戦略機関
戦略分野1
予測する生命科学・医療および創薬基盤別ウィンドウで開きます
理化学研究所
戦略分野2
新物質・エネルギー創成
東京大学物性研究所、分子科学研究所、東北大学金属材料研究所
戦略分野3
防災・減災に資する地球変動予測別ウィンドウで開きます
海洋研究開発機構
戦略分野4
次世代ものづくり別ウィンドウで開きます
東京大学生産技術研究所、宇宙航空研究開発機構、日本原子力研究開発機構
戦略分野5
物質と宇宙の起源と構造別ウィンドウで開きます
筑波大学、高エネルギー加速器研究機構、国立天文台

HPCI戦略プログラム推進委員会
 ・HPCI戦略プログラム中間評価委員会
 ・HPCI戦略プログラムの概要と成果

(2)スーパーコンピュータ「富岳」(令和3年3月9日より本格運用開始)

●スーパーコンピュータ「富岳」の概要

 我が国が直面する社会的・科学的課題の解決に貢献するため、平成26年に「京」の後継機である「富岳」を開発するプロジェクトを開始。令和3年3月に整備を完了し、共用を開始しました。「富岳」は、設計段階からシステムとアプリケーションの協調的開発(co-design)を実施することにより、高い演算性能と幅広いアプリケーションに対応できる汎用性を兼ね備えています。

「京」が設置される計算科学研究機構

スーパーコンピュータ京

スーパーコンピュータ「富岳」
提供:理化学研究所計算科学研究センター

「富岳」が設置されている理化学研究所計算科学研究センター
(兵庫県神戸市ポートアイランド)

<最近の主な動き> 

  • 平成26年4月 ポスト「京」(「富岳」)開発プロジェクト始動
  • 平成30年11月 総合科学技術・イノベーション会議における中間評価を実施
  • 令和元年8月 「京」運用終了
  • 令和元年11月 「富岳」プロトタイプ(A64FX)がスパコンランキングGreen500で1位獲得
  • 令和2年4月 「富岳」を活用して新型コロナウイルス感染症対策に資する研究課題を緊急的に実施
  • 令和2年6月 「富岳」が世界で初めてスパコンランキング4つの項目(TOP500,HPCG,HPL-AI,Graph500)で1位を獲得
  • 令和2年11月 「富岳」が6月のスパコンランキングに引き続き、2期連続となる1位を獲得
  • 令和3年3月9日 共用開始

スーパーコンピュータ「富岳」の開発

 平成24年4月からシステムの高度化に必要な技術的知見の獲得を目的とした調査研究に着手するとともに、有識者からなる「今後のHPCI計画推進のあり方に関する検討ワーキンググループ」 を設置し、今後10年程度を見据えたHPCI計画の推進のあり方に関する調査・検討を進め、平成25年6月に中間報告書、平成26年3月に最終報告書「今後のHPCI計画推進の在り方について」をとりまとめました。
 この中で、我が国の計算科学技術インフラの開発・整備に係るグランドデザインが検討され、我が国を代表し、世界トップレベルの高い計算性能と幅広い分野における適用性を有する一つのフラグシップシステムとフラグシップシステムを支える複数の特徴あるシステムを、国が戦略的に整備していくことが重要とされています。

 さらに、平成25年12月の総合科学技術会議(CSTP)において、「我が国の競争力の源泉となる最先端の研究成果を創出する強力なツールであり、国として主導的に開発に取り組むべき。」と認められ、平成26年度より開発に着手いたしました。一方、本評価においては、①ターゲットアプリケーションおよび開発目標等の設定、②システム構成および行程表の具体化、③co-designに基づく開発の推進体制、④共用後の広汎な利活用の促進、⑤人材育成の取組、⑥その他の6点について、指摘事項として意見が付され、平成26年秋ごろを目途に総合科学技術会議において評価を実施することとされました。

重点的に取り組む社会的・科学的課題(重点課題・萌芽的課題)アプリケーション開発 

 重点的に取り組む社会的・科学的課題や早期の成果創出に向けた研究開発体制等の検討を行うため、平成26年4月に、HPCI計画推進委員会の下に、「ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題についての検討委員会」を設置し、平成26年8月に報告書をとりまとめました。
 重点課題の解決に資するアプリケーションとポスト「京」のシステムアーキテクチャ、システムソフトウェア等を協調的に設計開発(コデザイン)するとともに、これらのアプリケーションを利活用して行う重点課題に関する研究開発に対し、ポスト「京」の計算資源を重点的に配分することを通じて戦略的に成果の早期創出及び最大化を図る。
 重点課題については、「社会的・国家的見地から高い意義があり,「京」からの発展として世界を先導する成果の創出が期待できる先進的な課題。」として、創薬、防災・環境、エネルギー、ものづくり、宇宙など9つの課題を選定。
 その他、「ポスト「京」で新たに取り組むチャレンジングな課題。」を萌芽的課題とし、4つの課題を選定。「調査研究・準備研究フェーズを通じて,その具体化を検討・精査の上,調査研究・準備研究フェーズ終了時に,その後のアプリケーション開発・研究開発の実施について,判断を行う。」としています。

 平成28年度から令和元年度にかけて、最大で「京」の100倍のアプリケーション実行性能を目指して、重点分野の解決に資する9つのアプリケーションの開発を実施しました。令和2年度からは、成果創出フェーズとして、開発したアプリケーションを活用した成果の創出に向けて、「富岳」成果創出加速プログラム(後述)を開始しました。

システム開発 

 平成25年度にHPCI計画推進委員会の下に設置した「今後のHPCI計画推進のあり方に関する検討ワーキング」及び「システム検討サブワーキンググループ」において、開発主体(候補)の提案するシステムイメージの技術的妥当性について評価を実施し、「基本設計に着手することは妥当」と認められたことから、平成26年度より基本設計が開始されました。
 一方で、①フラグシップシステムに求められる性能を、適切な根拠に基づいて明確化するとともに、解決すべき社会的・科学的課題の妥当性や十分性を検証し、優先順位をつける必要がある。②加速部について、有効に機能するアプリケーションの見積もりや精査等を含め、引き続き必要性・有効性を検討する必要がある。③社会的・科学的課題が要求する性能、将来展望も含めた課題の妥当性・十分性、コストやシステム設計の詳細は基本設計の中で引き続き検討していく必要がある。と指摘を受け、理研が引き続き検討を続けた上で、その結果について、平成26年度前半を目途にHPCI計画推進委員会において、改めて評価することとされました。

 こうした状況を踏まえつつ、次期フラグシップシステムのシステム構成の詳細等を検討するため、平成26年6月にHPCI計画推進委員会の下に「次期フラグシップシステムに係るシステム検討ワーキンググループ」を設置し、平成26年10月に最終報告書(評価)をとりまとめました。
 基本設計の評価としては、「①課題解決型システムとする。②国際競争力のある汎用システムを実現する。③国際協力を活用する。④「京」の資産を継承する。⑤性能拡張できるシステムを実現する。の5点を次期フラグシップシステムの開発方針とし、エクサスケールを目指すという方向性は妥当であり、この基本方針のもと、基本設計を継続していくことが適当」と認められました。一方、「成果を最大化できるシステムとなるよう、また、国際競争力のあるシステムとなるよう、要素技術、コストの詳細等について、開発主体において基本設計の中で検討を進める必要がある。その上で、基本設計の終了した段階で、HPCI計画推進委員会等において改めてその検討結果について評価する。」こととなりました。

 先の事前評価(平成25年12月)の指摘内容などを踏まえ、平成26年秋に総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)において改めて評価が行われ、平成27年1月に、総合評価として「世界最高水準の汎用性のあるスーパーコンピュータの実現を目指すものであり、意義・必要性は改めて認められる。」と、認められました。一方、開発の意義、有効性が一般国民も実感できるよう、アウトカムをさらに具体化、明確化すべきとの指摘を受けました。
 また、こうした検討を踏まえつつ、公募を実施した結果、平成26年10月に基本設計担当企業として富士通株式会社が選定され、本格的な基本設計が進められ、平成27年9月に理化学研究所において基本設計がとりまとめられました。

   基本設計の評価を受けるにあたり、平成27年8月に、HPCI計画推進委員会の下に「次期フラグシップシステムに係るシステム検討ワーキンググループ(平成27年度)」を設置し、基本設計について開発主体よりヒアリングを実施し、平成28年1月に、「基本設計の評価に係る報告書」をとりまとめました。この中で、「基本設計については、予算等の様々な制約条件がある中で、課題解決型であり、国際競争力のある、世界最高水準の汎用性のあるスーパーコンピュータの実現という開発目的に向けた設計がなされており、概ね妥当である。」と認められました。
 ・報告書:基本設計に係る報告書(平成28年1月6日)
 これらを踏まえ、平成28年3月の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)評価専門調査会の基本設計評価結果の確認において、開発目標の達成に向けて、基本設計内容は概ね妥当なものと認められました。一方で、①計算科学の研究基盤となることを毅然と示すべき。②電力性能の向上が主要開発課題であることを明確に示すべき。③アウトカムの更なる具体化・明確化を図るべき。④総合力を国際的に比較検証する方法を検討すべき。⑤産業界との更なる協働など、利活用の促進を検討すべき。との指摘を受けました。

   基本設計評価後に、ポスト「京」のシステム開発に必要な最先端の半導体の設計・製造について、微細化の進展に伴う加工技術開発の困難さや製造コストの上昇により、国際的な競合相手も含め世界的な遅延が生じていました。
 これを受けて、平成28年8月にHPCI計画推進委員会において、ポスト「京」の国費総額、開発目標及び開発スケジュールについて検証を行い、新たな技術を採用して、国費総額を変更せずに、当初の開発目標を達成する見込みが得られました。一方、開発スケジュールについては、12か月から24か月間の遅延が生じることとなりました。遅延によって生じた期間は、ユーザの利便性や使い勝手の良さをさらに向上するため、新たな付加価値の創出に向けた取り組みを行うこととしました。

 平成29年9月に、HPCI計画推進委員会の下に、「ポスト「京」に係るシステム検討ワーキンググループ」を設置し、ポスト「京」の詳細設計に基づくこれまでの開発の状況を踏まえ、コスト及び性能の見通しについて評価を行うとともに、評価等の際の指摘事項への取組状況の確認を実施し、平成29年10月に「コスト及び性能の評価に係る報告書」を取りまとめました。この中では、「詳細設計に基づくポスト「京」システム及びアプリケーションの全体として、所与のコスト制約の中で、プロジェクトの性能目標である最大で「京」の100倍の実行性能及び30~40MW以下の消費電力を達成する見込みであり、世界最高水準の汎用的な計算機システムの実現に向けた開発が着実に進展していることから、コスト・性能評価の結果は概ね妥当である。」と認められました。
 ・報告書:コスト及び性能の評価に係る報告書(平成29年10月)

 平成30年9月に、「ポスト「京」に係るシステム検討ワーキンググループ」において、システム開発に係る中間評価を実施し、10月の科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会での審議を経て、11月の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の評価により、製造・設置を遅延なく推進していくことが適当と認められました。

 その後、平成29年2月~4月の名称募集を経て5月に「富岳」という名称を決定しました。
“「富岳」は"富士山"の異名で、富士山の高さがポスト「京」の性能の高さを表し、また富士山の裾野の広がりがポスト「京」のユーザーの拡がりを意味します。また"富士山"が海外の方々からの知名度も高く名称として相応しいこと、さらにはスーパーコンピュータの名称は山にちなんだ名称の潮流があること、また海外の方からも発音しやすいことから選考しました。”(理化学研究所報道発表資料より抜粋)

 平成29年4月からは、石川県かほく市の富士通ITプロダクツ(FJIT)の工場で「富岳」の製造を開始。同年12月から兵庫県神戸市の理化学研究所計算科学研究センター(R-CCS)への搬入、設置作業が開始され、令和2年には新型コロナウイルス感染症の全国的な感染拡大という状況にありながら、令和2年5月に432台の筐体の搬入が完了しました。設置後のシステム調整作業を実施しながら、令和2年4月から試行的利用(新型コロナウイルス感染症対策に資する研究、「富岳」成果創出加速プログラム)を開始し、令和3年3月9日に全ての調整を終えた「富岳」が全面的に共用を開始しました。

重点・萌芽課題(平成26年度~令和元年度)

 「富岳」のアプリケーション開発においては、「富岳」が重点的に取り組むべき社会的・科学的課題を選定し、これらの課題解決に資するアプリケーションをシステムと協調的に開発(co-design)することで高い実行性能を実現しました。
 なお、課題の選定にあたっては、我が国の経済社会及び科学技術に深い知見を有する有識者から構成される「ポスト「京」で重点的に取り組む社会的・科学的課題についての検討委員会」を設置し、①社会的・国家的見地から高い意義があり、②「京」からの発展として世界を先導する成果の創出が期待できる、③ポスト「京」(「富岳」)で取り組むべき先進的な課題の3つの観点から、9つの重点課題を選定するとともに、ポスト「京」(「富岳」)で新たに取り組むチャレンジングな課題として4つの萌芽的課題を選定しました。

<重点課題> 

カテゴリー 重点課題名 選定実施機関
健康長寿社会の実現 生体分子システムの機能制御による革新的創薬基盤の構築別ウィンドウで開きます 理化学研究所生命機能科学研究センター
(課題責任者:奥野 恭史・客員主管研究員)
京都大学、東京大学、横浜市立大学、名古屋大学、産業技術総合研究所、量子科学技術研究開発機構
個別化・予防医療を支援する統合計算生命科学別ウィンドウで開きます 東京大学医科学研究所
(課題責任者:宮野 悟・教授)
京都大学、大阪大学、株式会社UT-Heart研究所、自治医科大学
防災・環境問題 地震・津波による複合災害の統合的予測システムの構築別ウィンドウで開きます 東京大学地震研究所
(課題責任者:堀 宗朗・教授)
海洋研究開発機構、九州大学、神戸大学、京都大学
観測ビッグデータを活用した気象と地球環境の予測の高度化別ウィンドウで開きます 海洋研究開発機構
(課題責任者:高橋 桂子・センター長)
理化学研究所、東京大学、東京工業大学、東北大学、京都大学
エネルギー問題 エネルギーの高効率な創出、変換・貯蔵、利用の新規基盤技術の開発 別ウィンドウで開きます 自然科学研究機構 分子科学研究所
(課題責任者:岡崎 進・教授)
神戸大学、理化学研究所、東京大学、物質・材料研究機構、名古屋大学、岡山大学、北海道大学、早稲田大学
革新的クリーンエネルギーシステムの実用化 別ウィンドウで開きます 東京大学大学院工学系研究科
(課題責任者:吉村 忍・教授)
豊橋技術科学大学、京都大学、九州大学、名古屋大学、立教大学、日本原子力研究開発機構、宇宙航空研究開発機構、物質・材料研究機構、自然科学研究機構核融合科学研究所、みずほ情報総研株式会社、株式会社風力エネルギー研究所
産業競争力の強化 次世代の産業を支える新機能デバイス・高性能材料の創成 別ウィンドウで開きます 東京大学物性研究所
(課題責任者:常行 真司・教授)
筑波大学、大阪大学、自然科学研究機構分子科学研究所、東京工業大学、産業技術総合研究所、東北大学、横浜国立大学、名古屋工業大学、東京理科大学
近未来型ものづくりを先導する革新的設計・製造プロセスの開発 別ウィンドウで開きます 東京大学生産技術研究所
(課題責任者:加藤 千幸・教授)
神戸大学、東北大学、山梨大学、九州大学、宇宙航空研究開発機構、理化学研究所、東京理科大学
基礎科学の発展 宇宙の基本法則と進化の解明別ウィンドウで開きます 筑波大学計算科学研究センター
(課題責任者:青木 慎也・客員教授)
高エネルギー加速器研究機構、京都大学、東京大学、理化学研究所、大阪大学、自然科学研究機構国立天文台、千葉大学、東邦大学、広島大学、神戸大学

<萌芽的課題> 

萌芽的課題名 選定実施機関
萌芽的課題(1)
基礎科学のフロンティア - 極限への挑戦
東北大学 金属材料研究所別ウィンドウで開きます
(課題責任者:久保 百司・教授)
他9機関
東京女子大学 現代教養学部
(課題責任者:荻田 武史・准教授)
他3機関
東京大学 大学院工学系研究科
(課題責任者:松下 雄一郎・助教)
萌芽的課題(2)
複数の社会経済現象の相互作用のモデル構築とその応用研究
理化学研究所 計算科学研究センター
(課題責任者:伊藤 伸泰・チームリーダー)
他12機関
東京理科大学 工学部
(課題責任者:藤井 孝藏・教授)
他3機関
萌芽的課題(3)
太陽系外惑星(第二の地球)の誕生と太陽系内惑星環境変動の解明
神戸大学 大学院理学研究科
(課題責任者:牧野 淳一郎・教授)
他8機関
萌芽的課題(4)
思考を実現する神経回路機構の解明と人工知能への応用
沖縄科学技術大学院大学 神経計算ユニット
(課題責任者:銅谷 賢治・教授)
他4機関
東京大学 先端科学技術研究センター
(課題責任者:神崎 亮平・センター長・教授)

「富岳」成果創出加速プログラム(令和2年度~)

 システムとアプリケーションの協調的開発(co-design)によって開発されたアプリケーションを最大限活用し、早期に成果を創出することを目的として、①人類の普遍的課題への挑戦と未来開拓、②国民の生命・財産を守る取組の強化、③産業競争力の強化、④研究基盤の4領域を設け、それぞれで成果の創出に向けた研究課題を実施しています。

領域 課題名
領域①
人類の普遍的課題への挑戦と未来開拓
量子物質の創発と機能のための基礎科学 ―「富岳」と最先端実験の密連携による革新的強相関電子科学
今田 正俊(早稲田大学理工学術院総合研究所)
全原子・粗視化分子動力学による細胞内分子動態の解明
杉田 有治(理化学研究所生命機能科学研究センター)
シミュレーションで探る基礎科学:素粒子の基本法則から元素の生成まで別ウィンドウで開きます
橋本 省二(高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所)
宇宙の構造形成と進化から惑星表層環境変動までの統一的描像の構築別ウィンドウで開きます
牧野 淳一郎(神戸大学理学研究科)
大規模データ解析と人工知能技術によるがんの起源と多様性の解明
宮野 悟(東京医科歯科大学M&Dデータ科学センター)
脳結合データ解析と機能構造推定に基づくヒトスケール全脳シミュレーション※別ウィンドウで開きます
山﨑 匡(電気通信大学大学院情報理工学研究科)
核燃焼プラズマ閉じ込め物理の開拓別ウィンドウで開きます
渡邉 智彦(名古屋大学大学院理学研究科)
領域② 国民の生命・財産を守る取組の強化 プレシジョンメディスンを加速する創薬ビッグデータ統合システムの推進別ウィンドウで開きます
奥野 恭史(理化学研究所医科学イノベーションハブ推進プログラム)
防災・減災に資する新時代の大アンサンブル気象・大気環境予測別ウィンドウで開きます
佐藤 正樹(東京大学大気海洋研究所)
マルチスケール心臓シミュレータと大規模臨床データの革新的統合による心不全パンデミックの克服別ウィンドウで開きます
久田 俊明(株式会社UT-Heart研究所)
大規模数値シミュレーションによる地震発生から地震動・地盤増幅評価までの統合的予測システムの構築とその社会実装別ウィンドウで開きます
堀 高峰(海洋研究開発機構海域地震火山部門・地震津波予測研究開発センター)
領域③
産業競争力の強化
省エネルギー次世代半導体デバイス開発のための量子論マルチシミュレーション
押山 淳(名古屋大学 未来材料・システム研究所)
「富岳」を利用した革新的流体性能予測技術の研究開発
加藤 千幸(東京大学 生産技術研究所革新的シミュレーション研究センター)
航空機フライト試験を代替する近未来型設計技術の先導的実証研究
河合 宗司(東北大学大学院 工学研究科)
次世代二次電池・燃料電池開発によるET革命に向けた計算・データ材料科学研究別ウィンドウで開きます
館山 佳尚(物質・材料研究機構 エネルギー・環境材料研究拠点)
環境適合型機能性化学品別ウィンドウで開きます
松林 伸幸(大阪大学 大学院基礎工学研究科)
大規模計算とデータ駆動手法による高性能永久磁石の開発
三宅 隆(産業技術総合研究所 材料・化学領域 機能材料コンピュテーショナルデザイン研究センター)
スーパーシミュレーションとAI を連携活用した実機クリーンエネルギーシステムのデジタルツインの構築と活用別ウィンドウで開きます
吉村 忍(東京大学大学院工学系研究科)
領域④
研究基盤
全脳血液循環シミュレーションデータ 科学に基づく個別化医療支援技術の開発※
和田 成生(大阪大学院基礎工学研究科)

※計算資源のみ配分

4.HPCIの利用促進

スーパーコンピュータ「富岳」の利用の枠組み 

 「富岳」は、「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律」(平成6年法律第78号)(以下、「共用法」という。)に基づき、国で定めた方針の下、登録施設利用促進機関(一般財団法人高度情報科学技術研究機構)が中立・公正の立場から、利用者の選定等を行う枠組みを構築しています。
 具体的には、登録機関の下におかれた選定委員会が選定方針の策定、利用者の選定等を行い、課題審査委員会が課題の審査等を行います。
 なお、「富岳」及びHPCIの利用に関する詳細については、HPCIポータル(※一般財団法人高度情報科学研究機構ウェブサイトへのリンク)別ウィンドウで開きますをご覧ください。

5.将来のHPCI計画に向けた検討

 令和3年3月26日に閣議決定された第6期科学技術・イノベーション基本計画(令和3年度~7年度)においては、「スパコン計算資源については、2021年よりスーパーコンピュータ「富岳」の本格的な共用を進めるとともに、国内の大学、国立研究開発法人等のスパコン計算資源について、全国の研究者の多様なニーズに応える安定的な計算基盤として増強する。加えて、次世代の計算資源について、我が国が強みを有する技術に留意しつつ、産学官で検討を行い、2021年度までに、その方向性を定める。この検討の結果を踏まえ、必要な取組を実施する。」とされており、次世代の計算基盤の在り方について、必要な議論と取組を進めていく方針が示されています。
 具体的な検討については、科学技術学術審議会 情報委員会の下に次世代計算基盤検討部会を設置し、令和2年11月から将来の計算基盤の在り方について議論を開始しました。今後、有識者へのヒアリングを経て、令和3年夏ごろまでに中間とりまとめを実施する予定です。
 本部会の開催資料及び議事録は下記に掲載しておりますので、ご参照ください。
 ・科学技術学術審議会 情報委員会 次世代計算基盤検討部会

6.衆議院決算行政監視委員会における行政監視に基づく事業の見直しに関する決議について

衆議院決算行政監視委員会における行政監視に基づく事業の見直しに関する対応状況について

関連するリンク先 

HPCI計画推進委員会
・ 今後のHPCI計画推進のあり方に関する検討ワーキンググループ
 ✓ 今後のHPCI計画推進のあり方に関する検討ワーキンググループ システム検討サブワーキンググループ
 ✓ 今後のHPCI計画推進のあり方に関する検討ワーキンググループ 産業利用アプリケーション検討サブワーキンググループ
(「富岳」のシステム開発)
・ 次期フラグシップシステムに係るシステム検討ワーキンググループ
(「富岳」のアプリケーション開発)
・ ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題についての検討委員会
・ ポスト「京」重点的課題推進ワーキンググループ
 ✓ 萌芽的課題サブワーキンググループ
(「富岳」の利活用促進)
・ ポスト「京」利活用促進・成果創出加速に関するワーキンググループ
・ 「富岳」課題推進ワーキンググループ(※今後、ページを作成予定)
(その他)
・ 次世代ハードウェアの利活用・新課題の推進に係るワーキンググループ
●科学技術・学術審議会情報委員会
・ 情報委員会
 ✓ 次世代計算基盤検討部会
●HPCIの構築
・ HPCIポータルサイト(※一般財団法人高度情報科学研究機構ウェブサイトへのリンク)別ウィンドウで開きます
・ 一般社団法人HPCIコンソーシアム(※一般社団法人HPCIコンソーシアムのウェブサイトへリンク)別ウィンドウで開きます
●重点・萌芽的課題
・ 国立研究開発法人理化学研究所計算科学研究センター(※計算科学研究センターウェブサイトへリンク)別ウィンドウで開きます
●「富岳」成果創出加速プログラム
・ 国立研究開発法人理化学研究所計算科学研究センター(※計算科学研究センターウェブサイトへリンク)別ウィンドウで開きます
●過去の委員会など
・ コンピュータアーキテクチャ・コンパイラ・システムソフトウェア作業部会(※戦略的高性能計算システム開発に関するワークショップのウェブサイトへリンク)
・ スーパーコンピュータ「京」事後評価委員会
・ 次世代スーパーコンピュータプロジェクト中間評価作業部会
・ 情報科学技術委員会 次世代スーパーコンピュータ概念設計評価作業部会
・ 情報科学技術委員会 次世代スーパーコンピュータ作業部会
・ 情報科学技術委員会 計算科学技術推進ワーキンググループ(※国立国会図書館ホームページへリンク)別ウィンドウで開きます
・ 次世代スーパーコンピュータ開発実施本部(※効率研究開発法人理化学研究所次世代スーパーコンピュータ開発実施本部ウェブサイトへリンク)別ウィンドウで開きます
【その他】
・ 「小学校を中心としたプログラミング教育ポータル」 別ウィンドウで開きます
・ 文科政策ワンポイント講座 第3回 次世代スパコン(※文部科学省動画チャンネルMEXT chにリンク) 別ウィンドウで開きます

お問合せ先

研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室

電話番号:03-6734-4275

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(研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室)

-- 登録:平成23年06月 --