北極域は、温暖化の影響が最も顕著に現れている地域であり、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の「1.5℃特別報告書」においても、世界全体の年間平均より2~3倍高い昇温が指摘されているとともに、急激な海氷の減少や氷床融解の加速などの急激な変化は地球全体の環境や生態系に大きな影響を与えることが科学的に指摘されており、将来への深刻な懸念が国際的に共有されています。
その一方で、北極域の海氷の減少は、北極海航路の利活用や海底資源開発などによって経済活動の飛躍的な拡大につながることが期待されており、北極圏国だけでなく、非北極圏国も強い関心を抱くようになっています。このような開発等の経済活動の拡大は、北極域の環境や生態系に不可逆的なダメージを与えるのみならず、全球的な環境変化を拡大させるリスクも有するものです。
そのため、これまでグリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス(GRENE)事業から北極域研究推進プロジェクト(ArCS)、北極域研究加速プロジェクト(ArCSⅡ)と実施してきた北極域の観測・研究を継続的に進めるとともに、観測データの空白域・空白時期を解消に向けて、「みらい」や「みらいⅡ」等を活用した観測・研究の継続を推進することが必要となっています。また、北極域の環境変動による地球規模課題に対処するための国際貢献、国際的な場で活躍する人材育成や国際連携の強化、先端的な技術等も積極的に取り組んだ観測・研究をさらに戦略的かつ強力に進めるため、北極域研究強化プロジェクト(ArCSⅢ)を実施します。
気候変動などの地球規模課題や北極域の変動が我が国を含む人間社会に与える影響等の解明を目指すとともに、観測・研究成果を国内外のステークホルダーに提供することにより、北極域の利用等に関する国際的ルール形成に資する等、我が国が強みを有する科学力に基づいた国内外社会への貢献を行い、我が国のプレゼンス向上を図ることを目指します。
審査結果について
事業の募集について(募集期間 1月6日~2月6日)
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