拠点構想等の概要(東北大学)

ホスト機関名 東北大学
ホスト機関長 井上 明久(東北大学総長)
拠点長 山本 嘉則(東北大学原子分子材料科学高等研究機構・教授)
事務部門長 櫻井 利夫(東北大学原子分子材料科学高等研究機構・教授)
拠点構想の名称 国際高等原子分子材料研究拠点
拠点名称 東北大学原子分子材料科学高等研究機構
拠点構想の概要  世界一線級の国際的融合組織体制の下、次世代をにらみ従来の既成概念を凌駕した斬新な原子分子制御法により、1)既存の材料を上回る優れた機能を発現する新物質・新材料の創製、2)新物質と新原理に基づくデバイスの構築、3)社会還元を軸とする材料システム構築を目指す。
 世界トップレベルにある新物質創製、物性・機能計測、構造解析・構造機能予測シミュレーション、プロセス・加工技術、システム構築・評価の研究グループを有機的に連結させることによって、革新的基盤材料を創出し、安全・安心、情報、エネルギー、環境、もの創りなどの広範な分野において、将来の豊かな人類生活の構築に絶大な貢献を果たす。
対象分野
  • 【対象分野】
    原子・分子材料科学
    (化学、材料科学、電子工学・情報学、精密・機械工学、物理学の融合領域)
  • 【対象分野として取り組む重要性】
     「もの創り」を産業基盤として成り立っている日本において、材料科学の基礎及び応用研究は国を支える基盤学術分野である。今後、我が国の産業・経済活動の持続的発展と当該学術分野における先端性・優位性を維持・進展させるためには、世界をリードする革新的材料科学国際研究拠点を構築することが必要である。そのためには、原子・分子レベルからの学理の深化と、分野融合(物理、化学、材料科学、工学)が必須である。材料科学分野における我が国の超優位性、科学技術・産業の基盤性、及び社会生活の根幹的重要性から本拠点形成は極めて重要である。
研究達成目標  実施期間終了時(10年後)の研究達成目標は、「革新的機能をもった高度実用材料の創出」と「社会貢献」に大別される。前者は、原子・分子レベルでの学理の深化と分野融合によって達成されると思われるが、革新的材料創出とともに新しい学術領域創成も期待される。具体的には、高水素吸蔵材料、燃料電池などの水素エネルギー材料、超弾性・高比強度材料、高度生体適合材料、超軟磁性、低鉄損、高エネルギー積、高密度記録などの磁性材料、分子性半導体、構造規制分子集合体、分子素子、高性能磁性デバイス、電子デバイス、センサー、金属・半導体スピントロニクス、スピン制御、情報処理デバイス、高性能固体照明材料、ユビキタス情報端末材料、光材料、集積化微小電気機械システム(MEMS)用材料などの革新的材料及び機能の創出を目標とする。これらに例示される材料創出と機能発現は、持続的に発展する現代社会を維持・形成するために必要不可欠な基盤技術であり、双方の相乗効果により、例えば、人類の健康(医療)やエネルギー問題に直結する課題の解決、安全・安心で豊かな社会生活、人材育成などの面において、目に見える形で広く一般国民に対して社会貢献することを目標とする。
拠点運営の概要  本拠点は、唯一無比の国際材料科学研究拠点の構築を目指していることから、本拠点形成以前からホスト機関に所属している主任研究者については、専任体制をとることとしている。
 本拠点の運営は、臨機応変で迅速な意思決定が行い得るよう、拠点長によるトップダウン型のものとし、拠点内に合議による意思決定機関は設置しない。
 さらに、拠点長によるトップダウン的な意志決定を助言するため、拠点長に直属のノーベル賞受賞者等で構成される「国際アドバイザリーボード」を設置する。
 また、本プログラム開始当初より、世界の主要大学等との間で「国際連携支援委員会」を設置し、国際ネットワークの下で研究展開できる体制を構築する。
 事務部門については、研究者が研究に専念できるよう、会計・人事・研究支援研究環境整備・渉外・広報・知財等の業務を強力にバックアップできるスタッフ機能を整備する。特に、研究者評価、国際的な研究コーディネーション、研究成果の円滑な展開、研究成果の広報、研究集会等の企画・支援等の分野で優れた経験を有する者を、プログラムオフィサー等として配置する。
 拠点運営に独立性を確保するため、ホスト機関側は、拠点長の選・解任の決定等の極めて限定的な重要事項についてのみの権限を有することとし、それ以外の人事や予算執行等について、拠点長が実質的に判断できることとする。
 なお、ホスト機関においても、拠点長から、機関内の制度の柔軟な運用、改正、整備等について要請があった場合には、その要請に対して早急に検討し対応できる体制を整える。
拠点を構成する研究者等
  • 主任研究者数30人(うち、外国人研究者数12人)、研究者総数120人(うち、外国人研究者数38人)、拠点(中核)構成員総数213人
  • 達成時期
    2008年10月
  • 主な主任研究者
    井上明久(東北大学ユニバーシティプロフェッサー)、高橋隆(東北大学大学院理学研究科・教授)、川崎雅司(東北大学金属材料研究所・教授)、江刺正喜(東北大学大学院工学研究科、マイクロ・ナノマシニング研究教育センター・教授)、西敏夫(東京工業大学大学院理工学研究科・教授)、橋詰富博(株式会社日立製作所基礎研究所・主任研究員)、Alain Reza YAVARI(グルノーブル国立総合研究所、リサーチプロフェッサー)、Alan Lindsay GREER(ケンブリッジ大学・材料科学教授)、Qi kun XUE(清華大学・教授)、Paul S. Weiss(ペンシルバニア州立大学・物理化学教授)
環境整備の概要  本拠点に参加する研究者が米国におけるDistinguished Professor並みに研究に専念できるような環境整備を行う。
 事務部門については、研究者が研究に専念できるよう、会計・人事・研究支援・研究環境整備・渉外・広報・知財等の業務を強力にバックアップできるスタッフ機能を整備するとともに、英語による職務遂行が可能な体制とする。また、特に、研究者評価、国際的な研究コーディネーション、研究成果の円滑な展開、研究成果の広報、研究集会等の企画・支援等の分野で優れた経験を有する者を、プログラムオフィサー等として配置する。
 研究者については、その研究成果等について外部評価委員会による厳格な評価を行い、給与へ反映する。さらに、5年毎に主任研究員を含め全て国際公募による採用を基本とする。なお、招へいした研究者に対しては、移籍当初に自らの研究を精力的に継続するために必要なスタートアップ資金を提供する。
 ポスドクについては、国際的な公募により採用するとともに、任期は原則1年とし、更新の際は厳格な評価を行うこととする。また、シニアメンテによる研究支援を行い、研究の有機的発展を促す。
 研究施設については、学内の既存の研究スペースに加え、拠点の活動の中核となる施設を新営する。
 研究者の能力に応じた俸給システムを導入するため、研究において先導的な役割を担う教授に対する給与面での優遇措置を行なう「フェロー教授(仮称)」制度や、ノーベル賞級の研究者を招へいする場合であって招へいのために必要不可欠の場合に支度金又は契約締結金を支給する新たな制度を導入する。
 さらに、拠点長によるトップダウン的な意志決定を助言するため、拠点長に直属のノーベル賞受賞者等で構成される「国際アドバイザリーボード」を設置する。
 また、東北大学が有する海外事務所・拠点の活用や、世界の大学間学術交流協定締結機関及び国際コンソーシアム加盟校等との連携を通して、研究者等の交流、国際共同研究の組織的連携等により国際展開の推進を図る。
世界的レベルを評価する際の指標等の概要  各研究者の評価は、論文被引用度及びESIのcitation analysisに基づくランキング、競争的研究費獲得額、国際的な賞の受賞、国際学会における招待講演や基調講演、その他当該学術分野における影響力(国際学会主催、学会役員、海外学会名誉会員、海外でのレクチャーシップ、影響力のある論文誌のエディター)などを指標とする。
 拠点としての評価は、ESIのcitation analysisに基づく機関別ランキング、実用に供する有用材料を世に出す社会貢献等、明確に目に見えるものを指標とする。
研究資金等の確保  拠点の活動の中核となる施設を、ホスト機関が新営する。
 また、研究者や事務スタッフ等の人件費の一部をホスト機関が負担する。さらに、研究費等の支援等、拠点の研究の円滑な遂行に必要な経費として、毎年約2億円の支援を行う。
 これらのホスト機関からの支援のほか、当該拠点に参加する研究者は、平成18年度実績で約13億円の外部資金を獲得しており、これと同等以上の研究資金の獲得が見込まれる。
したがって、本プログラムからの支援額と同程度以上のリソースを確保できる。
ホスト機関からのコミットメントの概要  本プログラムに基づく研究推進及び組織構築を重点的に行うことを、本学の中期計画に明確に位置付けて記載する。なお、平成19年4月に発表した東北大学アクションプラン「井上プラン2007」(世界リーディング・ユニバーシティに向けて)には、研究中心大学「東北大学」の研究基盤の強化策として、「世界トップレベル国際研究拠点形成促進プログラム」への挑戦を明確に打ち出している。
 また、拠点の活動の中核となる施設を、ホスト機関が新営するとともに、ホスト機関の既存施設においても研究スペースを確保し、拠点の研究組織の拡充や研究の進展に応じて必要な研究スペースを提供する。このほか、人件費負担や、拠点の研究者への研究費等の支援、拠点の研究に必要な設備等の設置、研究スペースの改修等の必要な支援を行う。
 拠点運営に独立性を確保するため、ホスト機関側は、拠点長の選・解任の決定等の極めて限定的な重要事項についてのみの権限を有することとし、それ以外の人事や予算執行等について、拠点長が実質的に判断できることとする。
 また、機関内研究者を集結させるための学内支援会議を設置し、ホスト機関内での調整を十分済ませているところであるが、本プログラム採択後においても、引き続き本会議を随時開催し、拠点の研究活動が一層活発に行われるように関係部局の協力を得るなど、拠点長を積極的に支援する。
 さらに、拠点長によるトップダウン的な意志決定を支援するため、拠点長に直属のノーベル賞受賞者等で構成される「国際アドバイザリーボード」を設置する予定であるが、この立ち上げに向け、ノーベル賞受賞者等がこれに協力してくれるよう、ホスト機関長としても必要な参加要請を行うとともに、必要な環境整備を行う。
 本拠点に参加する研究者に対しては、米国におけるDistinguished Professor並みに研究に専念できるような環境整備を行うとともに、拠点における英語による職務遂行が円滑に行われるよう、事務スタッフ等の配属に当たっては、会計・人事・研究支援・研究環境整備・渉外・広報・知財等の各業務における専門性に加え、英語が得意な職員を優先的に配置することとする。
処遇等に関しては、研究者の能力に応じた俸給システムを導入するため、研究において先導的な役割を担う教授に対する給与面での優遇措置を行なう「フェロー教授(仮称)」制度や、ノーベル賞級の研究者を招へいする場合であって招へいのために必要不可欠の場合に支度金又は契約締結金を支給する新たな制度の導入に向け、早急に検討を行う。これらのほか、拠点長から、機関内の制度の柔軟な運用、改正、整備等について要請があった場合には、その要請に対して早急に検討し対応できるよう体制を整え、拠点長のトップマネジメントが円滑になされる環境作りを行う。

-- 登録:平成21年以前 --