科学技術基本計画 第2章 重要政策 2.優れた成果の創出・活用のための科学技術システム改革 3.地域における科学技術振興のための環境整備

 経済社会のグローバル化の進展や情報通信技術の急速な進展・普及の影響は、地域にも直接及んでいる。今や、地域の産業は、単に国内にとどまらず、世界の中での競争にさらされている。一方、優れた科学技術の成果を活用することにより、地域の産業が迅速かつ容易に世界市場に参入することも可能である。
 このような状況の下、地域の研究開発に関する資源やポテンシャルを活用することにより、我が国の科学技術の高度化・多様化、ひいては当該地域における革新技術・新産業の創出を通じた我が国経済の活性化が図られるものであり、その積極的な推進が必要である。
 このため、以下の取組を行う。

(1)地域における「知的クラスター」の形成

 「知的クラスター」とは、地域のイニシアティブの下で、地域において独自の研究開発テーマとポテンシャルを有する公的研究機関等を核とし、地域内外から企業等も参画して構成される技術革新システムをいう。
 具体的には、人的ネットワークや共同研究体制が形成されることにより、核をなす公的研究機関等の有する独創的な技術シーズと企業の実用化ニーズが相互に刺激しつつ連鎖的に技術革新とこれに伴う新産業創出が起こるシステムである。このようなシステムを有する拠点を発展させることにより、世界水準での技術革新の展開が可能であり、国としてもその構築を促進することが必要である。
 地域のイニシアティブの下での知的クラスター形成を、効果的・効率的に実現するため、国は、共同研究を含む研究開発活動の推進、人材の養成・確保、技術移転機能等の充実を図る。
 また、国や独立行政法人等の研究開発機能については、地方公共団体と連携を図りつつ、地域展開を図ることが必要である。

(2)地域における科学技術施策の円滑な展開

 科学技術の多様な展開を図るためには、地域の大学等の公的研究機関が独自の研究ポテンシャルを発揮するとともに、研究成果の企業化・実用化を図っていくことが重要である。
 このため、地域の研究開発活動に対して、技術の活用について評価を行う、いわゆる「目利き」などの人材の養成・確保やコーディネート機能の強化、地域間の連携も視野に入れた技術移転の推進等科学技術施策の地域における円滑な展開を図る。
 地方公共団体のイニシアティブの下で進める科学技術振興に際して、地元の国立大学等の公的研究機関と地方公共団体とが一層の連携・協力を進められるように努め、地域主導の産学官連携の更なる推進を図る。

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科学技術学術政策局計画官付

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