スーパープルームが地球を変える ‐地球変動原理の解明に向けて‐[第217号]

文部科学省
‐第217号‐
平成13年3月26日

 平成7年度より科学技術振興調整費総合研究において地球変動原理の解明を目的として「全地球ダイナミクス:中心核に至る地球システムの変動原理の解明に関する国際共同研究」を実施してきました。本研究では、地震観測及びその解析、地質調査及び岩石学的研究、シミュレーションを行い、億年単位で地球が変動する原理をマントル全体及びその下の核まで考慮して総合的に解明してきました。

 「プルームテクトニクス理論」は本研究の代表者である東工大理学部丸山茂徳教授が平成6年に提唱した理論で、「プレートテクトニクス理論」では説明ができなかったプレート運動など地球表層で起こる地学現象の原動力を説明するものです。本研究の成果により、初めて、「プルームテクトニクス理論」が検証・確立されました。平成11年度から教科書に本理論が掲載されるなど、一般的にも広く認知されつつあります。

 本研究の終了に当たり、研究活動の普及広報の一環として、成果をわかりやすくまとめ、ビデオ等をはじめとする資料をまとめましたのでお知らせいたします。

 なお、本成果については本年10月目途に東京で開催予定の全地球ダイナミクスに関する国際ワークショップや国際論文誌の特集号などを通じて、発表される予定です。

平成13年3月26日
文部科学省

スーパープルームが地球を変える ‐地球変動原理の解明に向けて‐

 文部科学省は平成7年度より科学技術振興調整費課題『全地球ダイナミクス:中心核に至る地球システムの変動原理の解明に関する国際協同研究』を実施してきました。これまで、地球の変動は主にプレートテクトニクスによって説明されてきましたが、プレートテクトニクスは地球半径6300キロメートルのうちの表層600キロメートルほどを説明するものでしかありません。この計画の目的は、地球が変動する原理をマントル全体(深さ2900キロメートルまで)やその下の核までを考慮して総合的に解明することです。ここでの「地球の変動」とは火山が噴火したり、地震が起きたり、我々が生活する地球環境が異常に乾燥したり、寒冷化したり、極端に温暖化したり、生物の大量絶滅や進化が急激に進行することなどを意味します。
 研究グループはプルームテクトニクス理論(マントル深部に根をもつ超巨大なマントル上昇流が地球変動を支配するという考え)を平成6年に提唱し、『全地球ダイナミクス』(平成7~12年)においてその理論の検証を行いました。主な研究成果としては、(1)現在の地球内部の地震学的構造とそれに基づく温度推定、(2)スーパープルームの化学組成の解明、(3)マントル遷移層、コア・マントル境界での化学反応の再現、(4)スーパープルームの過去10億年の活動の解明、が挙げられます。これらの成果に基づいて、研究グループは地球の内部及び表層環境の変動にスーパープルームが大きく関わってきたことを明らかにしました。この総合研究によって明らかになったスーパープルームのメカニズムは、地球の変動のみならず、地球型惑星、特に火星と金星の変動の理解にも大きな役割を果たすと思われます。

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