【基本情報】
番号 |
2020-09 |
不正行為の種別 |
改ざん |
不正事案名 |
研究活動上の不正行為(改ざん)の認定について |
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不正事案の研究分野 |
神経科学 |
調査委員会を設置した機関 |
大学 |
不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名 |
元大学院生、教授 |
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不正行為と認定された研究が行われた機関 |
大学 |
不正行為と認定された研究が行われた研究期間 |
平成28年~令和元年 |
告発受理日 |
令和元年7月11日 |
本調査の期間 |
令和元年9月4日~令和2年6月22日 |
不服申立てに対する再調査の期間 |
- |
報告受理日 |
令和2年11月24日 |
不正行為が行われた経費名称 |
戦略的創造研究推進事業(CREST) |
【不正事案の概要等】
◆不正事案の概要 |
1.告発内容及び調査結果の概要 令和元年7月11日、海外の学術誌に掲載された論文の画像が差し替えられた疑いがある旨の内容の通報があった。予備調査の結果を受けて本調査を行うこととし、公正研究委員会の下に調査専門委員会を設置した。調査の結果、論文1編について特定不正行為(改ざん)を認定した。 2.本調査の体制、調査方法、調査結果等について (1)調査委員会による調査体制 4名(内部委員2名、外部委員2名) (2)調査の方法等 1)調査対象 ア)調査対象者:教授(責任著者)、元大学院生(筆頭著者) イ)調査対象論文:論文1編(海外の学術誌:2019年) 2)調査方法 ・本研究に関して投稿された初稿・修正原稿、並びに雑誌社と著者のコミュニケーションの精査 ・実験ノート・オリジナル画像ファイルの精査、関係者へのヒアリング・質問状に対する回答の精査 ・再現性を確認するための追加実験の実施、追加実験の報告書・実験ノート・オリジナル画像ファイルの精査 (3)本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論 (結論) 1)認定した不正行為の種別 改ざん 2)不正行為に関与したと認定した研究者 元大学院生 3)不正行為に関与していないものの、不正行為のあった研究に係る論文等の責任を負う著者として認定した研究者 教授 (認定理由) 調査対象の図の2枚の画像を「実験結果を正しく表現していない画像」であると判断した。 元大学院生は、意図的でないにせよ、「研究内容を正しく表現していない画像」と認定された画像を撮影することが科学的に正しくないと理解していたにもかかわらず、疑義を解消する手立てを取ることなく、当該画像を撮影して教授に提供した。これは、「研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによる行為」であり、改ざんを行ったものであると認定した。 教授は、責任著者及び研究責任者として、自らが実験等を行っていなくとも、論文を構成する理論及び実験結果等の内容の全てを把握しなければならないが、元大学院生が研究不正を行うことを防止する監督義務を怠っていたことから、不正行為に関与していないものの、責任があると認定した。 (不服申立て手続) 教授(責任著者)から異議申立てがあり、検討の結果、再調査(再審理)の必要性は認められないと判定された。 4.不正行為に関連する経費の支出 不正行為を認定した論文について以下の支出があった。 ・戦略的創造研究推進事業(CREST) 計594,915円(論文掲載料) |
◆研究機関が行った措置 |
1.論文の修正勧告 調査対象者の教授(研究責任者)に対して、研究論文が掲載された出版社に実験結果を代表する画像への訂正及び実験結果の正確な記述への修正を行うように勧告を行った。 2.被認定者に対する対応(処分等) 教授については、規則に則して、懲戒処分等に関する調査・審議を進めている。元大学院生は、既に大学の学生ではないため、大学の規則上処分の対象とはならない。 3.競争的資金の執行停止の措置 令和2年5月22日から戦略的創造研究推進事業(CREST)の使用を停止した。 |
◆発生要因及び再発防止策 |
1.発生要因 ・元大学院生には、論文発表のための画像提出という結果が求められ、相当のプレッシャーが加わっていたことが推認されること。 ・元大学院生は、どこからが不正行為に当たるかの認識が不十分であった可能性があること。 ・教授は、責任著者として、元大学院生が研究不正を行うことを防止する監督義務を怠っていたこと。 ・大学の規程で研究資料等の保存期間を論文公表後10年間と定めているが論文に掲載された画像が一部保存されていなかったことについては、教授・教員レベルでのデータ管理が十分でなかったこと。 2.再発防止策 ・特定不正行為に係る研究者が所属する研究室の教員及び学生を対象に、実験ノートの作成と保管及び生データを保管することの重要性を改めて周知徹底する。 ・責任著者は、論文公表にあたって共著者と協力して公表するデータの基となる生データ・実験ノートを再度確認し、公表しようとする内容の正確性を担保すること、部局の研究倫理教育責任者は、科学的な事実を解明する公正な研究が行われるよう定期的に研究資料等が適切に保存・管理されているかを確認し、その結果を研究倫理推進総括責任者に報告する仕組みを整備する。 ・大学院生が研究上の不安や不明な事項を副指導教授に気軽に相談できる環境を構築するとともに、すべての相談に関して一元的に対応出来る窓口を当該部局に設置する。 ・不正行為に関与したと認定した研究者が所属していた研究科において、大学院博士課程1年生に義務付けている生命倫理と研究倫理に関する講義において、本件も含む過去の事例等を使いどこからが不正行為に当たるのか認識させるように努める。 ・大学内に研究データ等の保存に努めること、不正行為を行うことによるリスクを伝え、研究者の不正行為防止への意識を高める。 |
◆配分機関が行った措置 |
特定不正行為(改ざん)が認定された論文は、戦略的創造研究推進事業(CREST)の成果として執筆された論文であり、かつ、戦略的創造研究推進事業(CREST)について改ざんと直接的に因果関係が認められる経費の支出があった。このため、資金配分機関である科学技術振興機構において、経費の返還を求めるとともに、当該資金への申請及び参加資格の制限措置(元大学院生:令和3年度~令和4年度(2年間)、教授:令和3年度(1年間))を講じた。 |
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