【基本情報】
番号 |
2020-01 |
不正行為の種別 |
改ざん |
不正事案名 |
工学院大学教授による研究活動上の不正行為(改ざん)の認定について |
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不正事案の研究分野 |
工学 |
調査委員会を設置した機関 |
工学院大学 |
不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名 |
工学院大学 工学部 教授 |
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不正行為と認定された研究が行われた機関 |
工学院大学 |
不正行為と認定された研究が行われた研究期間 |
平成29年4月~平成31年3月 |
告発受理日 |
平成31年3月6日 |
本調査の期間 |
令和元年7月~令和2年1月 |
不服申立てに対する再調査の期間 |
- |
報告受理日 |
令和2年4月14日 |
不正行為が行われた経費名称 |
該当なし |
【不正事案の概要等】
◆不正事案の概要 |
1.告発内容及び調査結果の概要 平成31年3月に、研究不正行為の疑いに関する告発が学生からあった。この告発を受け予備調査を行い、その結果を同年4月27日に統括管理責任者(副学長)から最高管理責任者(学長)に報告した。これを受けて、学内規程に基づき研究不正行為調査委員会を設置し、本調査を実施した。調査の結果、令和2年1月17日に、論文2編について特定不正行為(改ざん)を認定した。 2.本調査の体制、調査方法、調査結果等について (1)調査委員会の構成 8名(内部委員3名、外部委員5名) (2)調査の方法等 1)調査対象 ア)対象研究者:工学院大学 工学部 教授、その他共著者2名 イ)対象研究論文等:2編 2)調査方法・手順 書面調査(調査対象論文の図表に関して、実験ノート、生データ、論文の図表作成に用いられた論文データとの照合)、関係者との面談(聞き取り調査)、現地調査により行った。 3)本調査委員会の開催内容等 調査委員会の開催3回、関係者への聞き取り調査7回、研究室実地調査1回 (3)本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論 (結論) 1)認定した特定不正行為の種別 論文2編について、実験データの「改ざん」を認定した。 2)特定不正行為に関する認定を行った研究者 「不正行為に関与した者」として認定した研究者: 工学院大学 工学部 教授 3)特定不正行為の手法及び内容 教授が、生データから論文データに加工する段階で、ある条件で測定した実験数値を、それを上回る条件の数値として書き換え、論文の主張にとって有利な方向になるよう改ざんを行った。 (認定理由) 調査対象論文に示されたデータに対応する研究データの存在が確認できなかったこと等から、当該論文に係るデータは記録上に記載のない研究結果であり、「改ざん」されたものであると認められる。 3. 不服申立ての概要、再調査結果 不服申立てがなされたが、新たな資料等の提出がないため、申立てを却下した。 4. 認定した不正行為に直接関連する経費の支出について 学内予算(大学院研究費)により研究され発表されたものであるが、特定不正行為と直接関連のある経費の支出は認められなかった。 |
◆研究機関が行った措置 |
1.論文の取下げ 対象研究者に対して、不正行為が認定された論文2編の取下げを勧告した。 2.対象研究者に対する大学の対応(処分等) 大学の懲戒規程により、懲戒処分とした。(当該規程により処分内容は非公表) |
◆発生要因及び再発防止策 |
1.発生要因 限られた時間でより多くの実験結果を得ようとしたこと等が動機と推察される。また、研究公正に対する意識の欠如に起因するもので、履修を義務付けていたコンプライアンス研修での指摘事項を真摯に受け止めていなかったこと、コンプライアンスの重要性を十分に認識していなかったことによる。 2.再発防止策 (1)倫理教育、コンプライアンス教育の徹底 研修プログラムにディスカッションを組み込むなど、研究者個人の理解を着実に定着させる機会を設ける。 (2)研究不正告発・相談制度の再整備 教員や学生に対し、告発・相談制度等を広く告知することに加え、匿名による告発やeメール、電話等による相談制度を採用し、研究不正が実行されることを防ぐ環境作りを進める。告発・相談等により告発者が不利益を被ることがないような体制や相談体制を整備する。 (3)規程の再整備 これまでの規程を見直すと同時に、具体的な例を示した要領、マニュアル等を整備し、一層の周知徹底を行う。 |
◆配分機関が行った措置 |
資金配分機関である文部科学省において、当該研究者に対して、競争的資金等の資格制限の措置(令和3年度~令和7年度(5年間))を講じた。 |
研究公正推進室
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