【基本情報】
番号 |
2019-10 |
不正行為の種別 |
盗用、二重投稿 |
不正事案名 |
研究活動上の不正行為(盗用等)の認定について |
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不正事案の研究分野 |
法学 |
調査委員会を設置した機関 |
大学 |
不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名 |
教授 |
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不正行為と認定された研究が行われた機関 |
大学 |
不正行為と認定された研究が行われた研究期間 |
- |
告発受理日 |
平成31年2月18日 |
本調査の期間 |
平成31年4月22日~令和元年7月30日 |
不服申立てに対する再調査の期間 |
- |
報告受理日 |
令和2年3月4日 |
不正行為が行われた経費名称 |
該当なし |
【不正事案の概要等】
◆不正事案の概要 |
1.告発内容及び調査結果の概要 学会の理事長及び理事に対して、同学会の学会誌に掲載されている調査対象者の論文について盗用及び二重投稿の疑いがある旨の通報があり、同学会において調査を行ったところ、一部について研究倫理違反が認められると判定され、同学会において戒告等の処分を行った。同学会の理事長及び理事から学部長へ研究倫理違反に関する報告があり、本件が発覚した。この報告を受け、研究活動の不正行為対策に関する内規に基づき、本調査を実施したところ、報告を受けた論文のほかに盗用及び二重投稿の疑義が生じ、調査の結果、特定不正行為(盗用)及び不適切な行為(二重投稿及び研究者倫理からの逸脱が甚だしい行為)を認定した。 2.本調査の体制、調査方法、調査結果等について (1)調査委員会による調査体制 4名(内部委員2名、外部委員2名) (2)調査の方法等 1)調査対象 a)対象研究者:教授1名 b)対象論文:学会において調査対象となった論文・研究会報告4編に、調査委員会が独自に調査対象とした論文5編を加えた、計9編の論文・研究会報告 2)調査方法 学会による調査結果の再検証、市販の剽窃(ひょうせつ)チェックソフトを用いた全対象論文に対する盗用・重複チェック及び調査委員会での照合・内容チェックを行うとともに、同教授から事情聴取を行った。 (3)調査結果 調査の結果、研究活動の不正行為対策に関する内規に定義する特定不正行為及び不適切な行為として以下のとおり認定した。 1)論文2編での3か所の記述を特定不正行為の「盗用」と認定した。 (認定理由) インターネット上の複数のホームページにおける記述からの無断転用が認められ、論文上に引用符がなく、出典も明記されていないため、あたかも同教授が考案した文章であるかのような体裁がとられている。 2)論文1編での1か所の記述を不適切な行為の「研究者倫理からの逸脱の程度が甚だしい行為」と認定した。 (認定理由) 同教授の論文の記述が他の研究者のホームページの記述とほぼ同一となっており、論文上に引用符がなく、出典も明記されていないが、出典を明記しなければという意識はあり、記述の転記に際して引用符が抜け落ち、その後もそのミスに気づかなかった。論文を作成するに当たり、他の研究者の記述を引用する時点で引用符をつけるなどして後に出典を補充することを遺漏せぬよう注意を払っていなかった。 3)論文3編を不適切な行為の「二重投稿」と認定した。 (認定理由) 各論文間において、大幅な記述の一致が見られるにもかかわらず、自身の先行論文からの引用であることについての説明・記載が一切見られない。 ※調査対象論文9編のうち、「盗用」と「二重投稿」の両方に該当する論文が2編、「研究者倫理からの逸脱の程度が甚だしい行為」と「二重投稿」の両方に該当する論文が1編あり、不正と認定されなかった論文が3編ある。 3.認定した不正行為等に直接関連する経費の支出について 特定不正行為(盗用)及び不適切な行為(研究者倫理からの逸脱の程度が甚だしい行為、二重投稿)と認定された論文の作成過程において直接的に関係する支出は認められなかった。 |
◆研究機関が行った措置 |
1.「盗用」が認定された論文2編、「研究者倫理からの逸脱の程度が甚だしい行為」が認定された論文1編及び「二重投稿」が認定された論文3編を自主的に取り下げる。 2.停職6か月の懲戒処分とする。 3.令和3年3月末日まで、学内経常的研究費について、受給を停止する。なお、既に配分されている研究費については、執行を停止し、経過報告書を提出する。 4.令和3年3月末日まで、学外研究費(委託研究費、研究寄付金等)について、受給を停止する。 5.令和3年3月末日まで、学外及び学内競争的資金の研究代表者及び研究分担者になれない。ただし、学外競争的資金について、「競争的資金の適正な執行に関する指針(競争的資金に関する関係府省連絡会申し合わせ)」による応募制限期間がこれより長い場合は、それに準ずる。 |
◆発生要因及び再発防止策 |
1.発生要因 同教授は平成28年度にAPRIN(当時は「CITI Japan」) eラーニングプログラムを受講済みである。しかしながら同教授が特定不正行為等を最近(平成29年度以降)に至るまで行っており、本件は、同教授の研究倫理の欠如によって引き起こされたものといえる。少なくとも、インターネット上に掲載された文章を「一般的な文章」と勝手に判断して盗用を行った点や、自身の研究活動について問題があるとの認識をもちながらも、「何とか論文の数、研究キャリアを示したいという研究者としての焦り」や「時間に追われる中で」二重投稿を繰り返した点で、同教授が研究倫理を十分に理解せず、事の重大性を理解していなかったことは明らかである。 また、当該学部の紀要等において、投稿された論文と他の論文(当該研究者の既発表論文を含む)等との類似性のチェックが必ずしも十分でなかったことも否定できない。 2.再発防止策 全学的な再発防止策として、研究に従事する全ての者に対し、研究倫理教育としてAPRIN eラーニングプログラムの定期的な受講を徹底する。また、各学部長から学長に対して受講状況を報告させ、受講率が低い学部の学部長に対して、受講率を向上するよう指導することにより研究倫理の意識向上に向けた取組を徹底する。また、当該学部においてはさらに、以下の再発防止策を行う。 (1)不正行為防止にかかる各委員会の役割を明確にするとともに、当該学部の公正な研究活動の推進について統括する学部長を筆頭に、執行部、事務局が一体となって不正行為防止、研究倫理教育に責任をもち、所属研究者が研究倫理に則って研究活動に従事することの徹底を図る。 (2)学部内において研究倫理・不正行為防止にかかる研修会等を実施し、所属研究者に対して研究倫理の向上及び不正行為防止を周知徹底する。 (3)新任教員に対しては、新任教員ガイダンス等において、研究倫理の向上及び不正行為防止を周知徹底する。 (4)当該学部の紀要等の編集に当たっては、投稿された研究論文につき、査読の際に不正行為が行われていないかどうかのチェックを徹底する。 |
◆配分機関が行った措置 |
資金配分機関である文部科学省において、当該研究者に対して、資格制限の措置(令和2年度~令和4年度(3年間))を講じた。 |
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