【基本情報】
番号 |
2019-06 |
不正行為の種別 |
盗用、二重投稿 |
不正事案名 |
研究活動上の不正行為(盗用)の認定について |
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不正事案の研究分野 |
商学、経済政策 |
調査委員会を設置した機関 |
大学 |
不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名 |
准教授 |
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不正行為と認定された研究が行われた機関 |
大学 |
不正行為と認定された研究が行われた研究期間 |
- |
告発受理日 |
令和元年6月19日 |
本調査の期間 |
令和元年7月26日~令和元年10月10日 |
不服申立てに対する再調査の期間 |
- |
報告受理日 |
令和元年10月11日 |
不正行為が行われた経費名称 |
基盤的経費 |
【不正事案の概要等】
◆不正事案の概要 |
1.告発内容及び調査結果の概要 令和元年6月19日、匿名の第三者から教員が発表した論文に「盗用」の疑いがある旨の通報を受けたと、文部科学省から大学に回付された。その後、令和元年7月17日にも、匿名の第三者から、同教員が発表した別の論文に「盗用」の疑いがある旨の通報を受けたと、文部科学省から大学に回付された。 予備調査後に調査委員会を設置し、調査の結果、研究活動上の不正行為である「盗用」及び「二重投稿」が行われたものと認定した。 2.本調査の体制、調査方法、調査結果等について (1)調査委員会における調査体制 4名(学内委員2名、学外委員2名) (2)調査の方法等 1)調査対象 ア)対象者:准教授 イ)対象論文:通報者から不正行為の疑いがあると指摘を受けた論文2編の他、予備調査委員会等で不正行為の疑いがあるとされた論文4編、計6編 2)調査方法 通報を受けた論文及び被通報者が執筆した不正行為が疑われる論文について対応表を作成し、詳細に照合・精査した。 8月5日に開催した調査委員会において、被通報者本人から通報内容等に関する異議の有無のほか、不正行為を行った経緯や当時の状況等について直接聞き取り調査を実施し、その内容も併せて検証を行った。 (3)本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論 (結論) 調査を行った論文6編のうち5編について、研究活動上の不正行為である「盗用」及び「二重投稿」が行われたものと認定した。 (認定理由) ア)インターネット上の記事からの転記を多岐にわたり行い、本文中への明示など、適切な表記をしないまま引用を行っていた。 イ)過去に被通報者自身が執筆した論文(盗用があったと認定される論文を含む)の一部を、不適切な引用方法でそのまま転記しているなどの二重投稿も見られた。 ウ)被通報者は、自身の倫理観の欠如から不適切な引用を行ったことを認めている。 3.認定した不正行為に直接関連する経費の支出について 不正行為を認定した論文について以下の支出があった。 大学の基盤的経費 20,000円(研究論文の査読・抜刷印刷代) |
◆研究機関が行った措置 |
1.論文の取下げ 不正行為を認定した論文の取下げ勧告等を行った。 2.競争的資金等の執行停止の措置 競争的資金等の因果関係が認められる経費の支出はなかったものの、本調査委員会を設定した時点で、不正行為が行われた経費として疑われる大学の基盤的経費について、今年度予算の一時的な支出停止を通知した。調査の結果、今年度配賦した研究費による不正行為は認められなかったことから、懲戒処分を行った際に一時的支出停止処分を解除した。 3.被告発者に対する大学の対応(処分等) 就業規則に基づき、停職1か月の懲戒処分とした。 |
◆発生要因及び再発防止策 |
1.発生要因 本件は、被通報者の研究活動上の基本的なルール(引用など)に関する認識及び理解不足、並びに研究倫理意識の欠如が要因となり起こった事案である。 大学では、以前から研究活動及び研究費の適正管理に関する規程を制定するなど学内体制を整備していた。平成26年には、不正行為防止ハンドブックを作成し配布することで研究倫理意識の醸成に努め、平成27年度からは毎年1回、全教員・全大学院生及び関係事務職員を対象とした研究倫理研修会を開催し、研究倫理の重要性を周知してきた。また、平成29年4月には、研究活動上の不正行為及び研究費の不正使用に係る調査等に関する細則を定めるとともに、関連ルールについて上記研修会の場で説明してきた。 しかしながら、今回こうした事案が発生したことから、被通報者については研究活動上の基本的なルールへの理解が不十分であり、研究倫理に関する意識が希薄だったといえる。 2.再発防止策 今回の事案を厳粛に受け止めるとともに、二度とこうした研究不正行為が起こらないよう、以下の取り組みを実施していく。 (1)研究倫理研修会を今後も継続するとともに、今回の事案を含め具体事例を紹介し問題点を理解させるなど内容の見直しを行い、研究倫理と研究不正に対する認識を更に深める。 (2)研究者としての自覚を促すため、上記研修会の出席確認に際し、研究倫理を守り研究不正行為等を行わない誓約書を提出させる。 (3)上記研修会対象者に義務付けている研究倫理eラーニング(eLCoRE、eAPRINなど)の受講について、定期的な再受講を検討する。 (4)学内の研究紀要、年報等の査読及び編集の厳格化を進め、不適切な行為の早期発見に努める。 |
◆配分機関が行った措置 |
資金配分機関である文部科学省において、当該研究者に対して、資格制限の措置(令和2年度~令和4年度(3年間))を講じた。 |
研究公正推進室
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