横浜市立大学における研究活動上の不正行為(捏造)の認定について

【基本情報】

番号

2019-04

不正行為の種別

捏造

不正事案名

横浜市立大学における研究活動上の不正行為(捏造)の認定について

不正事案の研究分野

生化学、分子生物学

調査委員会を設置した機関

横浜市立大学

不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名

横浜市立大学 大学院博士後期課程学生

横浜市立大学 教員

不正行為と認定された研究が行われた機関

横浜市立大学

不正行為と認定された研究が行われた研究期間

告発受理日

平成30年11月21日

本調査の期間

平成31年2月14日~平成31年3月8日

不服申立てに対する再調査の期間

報告受理日

令和元年6月20日

不正行為が行われた経費名称

学術研究助成基金助成金

 

 

【不正事案の概要等】

◆不正事案の概要

1.告発内容及び調査結果の概要
 本件は、平成30年10月に横浜市立大学の大学院生が筆頭著者として発表した論文1編(以下「当該論文」という)について、図表に捏造又は改ざんの疑いがあることを、当該論文の責任著者である大学教員が発見し、自己申告があった。これを受けて、「公立大学法人横浜市立大学研究活動の不正行為及び研究費の不正使用防止等に関する規程」(以下「規程」という)に基づき、予備調査及び本調査を実施した。
 調査の結果、研究活動における不正行為である「捏造」が行われたものと認定した。

 

2.横浜市立大学における本調査の体制、調査方法、調査結果等について
(1)調査委員会による調査体制
  5名(内部委員2名、外部委員3名)

 

(2)調査の方法
 1)調査対象
  ア)対象研究者
    横浜市立大学所属学生:筆頭著者
    横浜市立大学所属教員:責任著者
  イ)対象論文
    不正行為が疑われる当該論文1編
    責任著者が大学に着任後、責任著者として公表した論文4編
 2)調査方法
  ア)書面調査:当該論文1編・他4編・実験ノート・学会発表資料・実験結果の確認、不適切な箇所の照合
  イ)調査対象者への聞き取り調査:対面による事情聴取
  ウ)調査対象者の周辺学生へのアンケート調査


(3)本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論
 (結論)
  実験ノート等の関連資料の確認及び調査対象者への聞き取り調査の結果、当該論文1編が特定不正行為の「捏造」に該当すると認定した。
 (認定理由)
  ア)当該論文の5つの図表に、異なる実験結果で得た画像・データが流用されていることを確認し、「捏造」と認定した。
  イ)聞き取り調査において、筆頭著者は故意に図表を操作したことを認めた。また、筆頭著者からはほとんどオリジナルデータが提出されず、不正行為の疑いを覆すに足る客観的証拠は出されなかったことから、筆頭著者を「不正行為に関与した者」として認定した。
  ウ)責任著者の不正行為への関与は一切なかったものの、責任著者としての注意義務を怠った点から、「不正行為があったと認定した研究に係る論文等の内容について責任を負う者」として認定した。

 

3.認定した不正行為に直接関連する経費の支出について
 不正行為を認定した論文について以下の支出があった。
  ・学術研究助成基金助成金 48,592円(学会参加旅費)

◆研究機関が行った措置

 大学の「学生懲戒規程」及び「職員懲戒規程」に基づき、学生及び教員の処分を行った。
 当該論文は自己申告を受け付ける以前の平成30年10月29日付で撤回されているため、大学規程第35条3項にもとづき当該不正行為等に関与した者の氏名・所属は公表しないものとする。

◆発生要因及び再発防止策

1.発生要因
 筆頭著者は、学位取得のための限られた期間で研究成果を出さなければならないというプレッシャーや、進路に対する不安による焦燥感が背景にあったことから、短期的に成果を上げるため、ある程度結果が予測される実験について、実験結果より論文内容の論理的整合性を優先させてしまった。eラーニングによる研究倫理教育を受講していたものの、それだけでは十分ではなかった。
 責任著者は、筆頭著者を優秀な共同研究者として認め、実験を任せており、オリジナルデータの確認が十分ではないまま論文投稿に至り、結果として研究不正行為を防止することができなかった。大学では研究データの保存について規程により定めているが、その徹底と周知は十分ではなかった。

 

2.再発防止策
 ・学術雑誌への論文投稿に際する学内投稿基準等の策定
  論文を投稿する際の注意事項やオリジナルデータの管理方法について一定の基準を示すことを検討する。これにより、論文投稿前のオリジナルデータの確認と、実験ノートの記載やオリジナルデータ保存の基本原則について学内に周知徹底する。
 ・研究倫理教育の強化
  eラーニングの受講徹底と合わせて、研究不正についてケーススタディを取り入れたFD・SD研修の実施を検討する。特に研究室を運営する教員間で具体的な事例を共有することで、未然に不正を防止する風土を醸成する。
  また、学内の定例会議において研究不正事例を紹介する等、研究不正行為に関する繰り返しの周知を図ることや、基本的なルールの理解と遵守について公正な研究活動に関するガイドブック等を活用し、教職員及び学生への周知徹底を図る。

 

 

 

 

◆配分機関が行った措置

 科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)について、捏造と直接的に因果関係が認められる経費の支出があったため、返還を求めるものであり、また、科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)の成果として執筆されたものであることから、当該資金への申請及び参加資格の制限の対象となる。このため、資金配分機関である日本学術振興会において、経費の返還を求めるとともに、資格制限の措置(学生:令和2年度~令和5年度(4年間)、教員:令和2年度(1年間))を講じた。

 

お問合せ先

科学技術・学術政策局人材政策課

研究公正推進室
電話番号:03-6734-3874

(科学技術・学術政策局人材政策課研究公正推進室)