研究活動上の不正行為(盗用)について(2017-15)

【基本情報】

番号

2017-15

不正行為の種別

盗用

不正事案名

研究活動上の不正行為(盗用)について

不正事案の研究分野

社会福祉

調査委員会を設置した機関

大学

不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名

講師

不正行為と認定された研究が行われた機関

大学

不正行為と認定された研究が行われた研究期間

平成26年

告発受理日

平成29年7月28日

本調査の期間

平成29年9月22日~10月4日

不服申立てに対する再調査の期間

なし

報告受理日

平成30年3月30日

不正行為が行われた経費名称

該当なし

 

 

【不正事案の概要等】

◆不正事案の概要

1.告発内容及び調査結果の概要
 本件は、平成29年7月に学外(以下「告発者」という。)より教員(以下「被告発者」という。)が平成26年に雑誌に投稿した論文が、告発者所属教員が平成23年に学内紀要に投稿した論文に内容が酷似しているという指摘を受け、予備調査を経て、研究活動上の不正行為等への取扱い要項等関連規定に基づき平成29年9月に3名の外部委員を含む7名の委員会組織により研究活動上の不正行為に関する調査委員会を設置し、本調査を行ったものである。

 

 【告発者から告発のあった不正の態様及び不正行為であるとする理由】
(1)不正の態様
 被告発者が他者の論文を適切な引用なく流用した疑い。(盗用)


(2)研究活動における特定不正行為とする理由
 被告発者が投稿した論文1報のほぼ全てが他者の論文と一致したこと。

 

2.本調査の体制、調査方法、調査結果等について
(1)調査委員会における調査体制
  7名(内部委員4名、外部委員3名)
(2)調査の方法
 1)調査対象
  ア)対象者:講師
  イ)対象論文:告発者から内容が酷似していると指摘があった論文1報

 2)調査方法
  当該論文と盗用元とされた論文(以下、「原論文」という)の「比較対照表」を作成し、書面調査を行った。またその「比較対照表」を更に精緻化することで詳細な部分まで精査を行い、本人へ書面で確認を行ったところ、特定不正行為「盗用」の認定について弁明はなかった。

 3)本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論
  告発者から研究活動上の不正行為の疑いがあると指摘があった、被告発者が発表した1論文に関し、調査委員会による調査結果を踏まえた大学の結論は以下のとおりである。

 

 (結論)
 文献照合、対比表による精査及び被告発者からの意思確認書を総合的に検証し、研究活動上の不正行為等への取扱い要項及び「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(以下、「文部科学省ガイドライン」という。)で定義する研究活動における特定不正行為「盗用」(他人のアイデア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を、了解若しくは適切な表示なく流用すること)が行われたものと認定した。

 

(認定理由)
 被告発者の論文は原論文において他者執筆を明記している文言、言及等を徹底して回避していること、原論文が引用符を付して引用する文章を引用符を省略して引用し、被告発者自身の文章であるかのように引用していることなどがあるが、ほぼ全てが他者の論文と一致しており被告発者の独自の思想・見解を明確に表記する記述は見当たらない。

 

3.認定した不正行為に直接関連する経費の支出について
 特定不正行為「盗用」と認定された論文の作成過程において、直接的に関係する支出は認められなかった。

 

◆研究機関が行った措置

1.競争的資金等の執行停止等の措置
 競争的資金等の因果関係が認められる経費の支出はなかったことから、執行停止等の措置は講じていない。

 

2.被告発者に対する大学の対応(処分等)
 平成30年3月末で退職したため、処分は行っていない。

 

3.論文の取下げ
 被告発者に対し、論文の取下げ勧告を行った。

◆発生要因及び再発防止策

【発生要因】
 本件は、被告発者の研究者・教育者としての職業倫理が著しく欠如していることに起因し発生した事案である。大学は、文部科学省ガイドラインを踏まえ、平成27年4月1日付けで研究活動上の不正行為等への取扱い要項を見直し、研究者の行動規範を明確にするとともに、不正行為が生じた場合における措置等に関し必要な基本的事項を定めている。しかしながら、被告発者による特定不正行為が行われたのは平成26年であり、その当時は不正行為防止に対する取り組みが十分浸透していなかった。
 また、大学では、平成19年4月1日に大学における研究活動上の行動規範を制定し、研究活動における行動規範を定めるとともに、法令を遵守し、厳正で適切な研究活動の遂行に努めるよう啓発を行っているが、入職時のみの周知であり、被告発者に関しては、研究倫理に対する意識が希薄であったと言わざるを得ない。

 

【再発防止策】
 大学では、科学研究費助成事業の説明会時に研究倫理やコンプライアンス教育について資料を配布、説明し、応募する際には日本学術振興会の研究倫理e-ラーニングコース「e-Learning Course on Research Ethics[eL CoRE]」の受講及び修了証の提出を義務付けてきたが、従来の研究倫理教育に加えて、平成30年度より全教員にコースの受講及び修了証の提出を義務付けることとした。
 このたびの不正行為が行われた事実の発覚に際し、大学においての研究倫理の周知徹底が十分に成されていなかったことを真摯に受け止めた上で、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(平成26年8月26日文部科学大臣決定)を踏まえ、研究活動上の行動規範や関連する規程の見直しを早急に行うこととする。大学において定期的に研究倫理について理解を深める機会を設け、徹底した再発防止に取り組む。

 

 

 

 

◆配分機関が行った措置

 本件は競争的資金による経費の支出がなく、かつ平成26年に不正が行われた事実であることから、研究機関及び研究者に対する競争的資金の返還並びに研究者に対する競争的資金への申請及び参加資格の制限は行わない。

 

お問合せ先

科学技術・学術政策局人材政策課

研究公正推進室
電話番号:03-6734-3874

(科学技術・学術政策局人材政策課研究公正推進室)