研究活動上の不正行為(改ざん、盗用)の認定について(2017-07)

【基本情報】

番号

2017-07

不正行為の種別

改ざん、盗用、二重投稿、不適切なオーサーシップ

不正事案名

研究活動上の不正行為(改ざん、盗用)の認定について

不正事案の研究分野

教育工学、科学教育、教科教育

調査委員会を設置した機関

大学

不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名

教授(当時)

不正行為と認定された研究が行われた機関

大学

不正行為と認定された研究が行われた研究期間

平成8年~平成23年

告発受理日

平成23年6月2日、同6月9日(2件)、同6月17日、7月22日、8月8日、8月22日、9月26日、10月11日、10月13日、10月17日

本調査の期間

平成23年7月1日~平成23年12月20日

不服申立てに対する再調査の期間

なし

報告受理日

平成29年12月22日

不正行為が行われた経費名称

該当なし

 

 

【不正事案の概要等】

◆不正事案の概要

1.告発内容及び調査結果の概要
 本件は、学内及び学外の研究者(以下「申立者」という。)から平成23年6月から10月にかけ、教授(当時)(以下「被申立者」という。)を著者とする単著論文及び被申立者をファーストオーサー及び責任著者とする共著論文の計12編の論文について、「改ざん」、「盗用」等の研究不正行為を含む研究倫理違反の疑いがあるとの11件の申立てがあった。この申立てを受け、大学における研究活動への不正行為への対応に関する規程に基づき、調査委員会を設置し、調査委員会において、被申立者の入手可能な研究業績28編を取り寄せ、不正行為と疑われる業績については、それを裏付ける資料を取り寄せ調査を行ったものである。
 調査の結果、調査対象となった論文28編のうち、研究活動における不正行為である「改ざん」、「盗用」が17編(改ざん論文11編、盗用論文6編)の論文で行われていたと認定した。

 

 【申立者から申立てのあった研究不正の様態及び不正行為であるとする理由】
(1)不正の様態
 1)被申立者が、データ分析結果を「改ざん」、他の研究者の論文の同一の内容の文章や図表の全部又は一部を「盗用」した疑い。
 2)被申立者が、共著者に無断で論文を投稿、自らの既発表・投稿中論文と本質的に同じ内容の論文を複数の学会等に投稿、他者を当人の承諾なしに著者に加えた疑い。

 

(2)研究活動における不正行為であるとする理由
 1) 被申立者が第一著者である論文3編において、被申立者が過去に執筆した論文と同じデータを用いながら実験期間、被験者が異なると記されていること。
 2) 被申立者が第一著者である論文6編において、申立者らが執筆した論文からの盗用箇所があること。
 3) 被申立者が第一著者である論文5編において、共著者である申立者に無断で投稿が行われていること。
 4) 被申立者の単著論文3編、被申立者が第一著者である論文7編において、内容等がほぼ同じである二重投稿が行われていること。
 5)被申立者が第一著者である論文6編において、申立者の承諾なしに共著者に加えていること。

 

2.本調査の体制、調査方法、調査結果、特定不正行為と認定した理由
(1)調査委員会における調査体制
  6名(内部委員5名、外部委員1名)

 

(2)調査の方法等
 1)調査対象
  ア)対象研究者:教授(当時)
  イ)対象論文等:申立者から不正行為の疑いがあると指摘のあった論文を含む、被申立者に係る入手可能な論文28編、被申立者が配分を受けた競争的資金
 2)調査方法
  申立者及び被申立者への聞き取り調査、書面調査(申立書、対象論文、研究計画書、収支簿等)

 

(3)本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論
  申立者から不正行為の疑いがあると指摘のあった論文を含め、被申立者が著者となっている論文28編に関し、調査委員会による調査結果を踏まえた大学の結論は以下のとおり。

 

 (結論)
  調査対象論文のうち11編の論文において大学における研究活動の不正行為への対応に関する規程に定める不正行為の「改ざん」(研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工すること)及び6編の論文において「盗用」(他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を、当該研究者の了解若しくは適切な表示なく流用すること)が行われたと認定した。なお、17編の不正行為を行ったと認められる論文には、9編の共著論文が含まれるが、共著論文の執筆はすべてファーストオーサー及び責任著者である被申立者が一人で行っており、不正行為に関与した研究者は被申立者のみであると認定した。

 

 (認定理由)
 1)11編の論文において、実際に行った調査データ分析結果を、自分が過去に執筆した他の論文の調査データ分析結果に変更し、変更した調査データ分析結果に係る調査実施時期や調査対象について虚偽の記載を行っていた事実が確認されたこと。
 2)6編の論文において、他の研究者の論文から、当該著者の了解なく、適切な表示なく文章、図表を流用していることが確認されたこと。
 3)申立者及び被申立者への聞き取り調査により、被申立者自身が不正行為を行ったことを認め、共著者はデータや分析アイディアの提供等を行っていたが、不正行為に一切関与していないことが確認されたこと。

 

 (調査の過程で判定した、特定不正行為ではないものの研究者倫理に反する不適切な行為)
  対象論文を調査した結果、上述の「改ざん」、「盗用」以外に、以下の研究者倫理に反する不適切な行為を、被申立者が行っていたと判定した。
 1)他者を当人の承諾なしに著者に加える不適切なオーサーシップについて
  調査対象論文のうち7編の共著論文において、申立者及び被申立者への聞き取り調査により、被申立者が、他者を当人の承諾なしに著者に加える不適切なオーサーシップを行ったことが確認された。
 2)共著者の同意を得ない無断投稿について
  調査対象論文のうち8編の共著論文において、申立者及び被申立者への聞き取り調査により、被申立者が、他の共著者から投稿の了解を得ていない無断投稿を行ったことが確認された。
 3)重複投稿について
  調査対象論文のうち4編の共著論文と2編の単著論文において、業績を裏付ける資料や申立者及び被申立者への聞き取り調査により、オリジナリティが要求されているにも関わらず、自己の既発表又は投稿中の論文と本質的に同じ内容の原稿を新たなオリジナル論文として投稿を行ったことが確認された。なお、共著者は、重複投稿には一切関わっていないことが確認された。

 

3.認定した不正行為に直接関連する経費の支出について
  「改ざん」、「盗用」を認定した論文は、競争的資金ではなく、大学が配分する教員が常日頃行う活動に対する経費(運営費交付金)により行われた研究活動の中で作成されたものである。また、当該論文の作成過程において、直接因果関係が認められる経費の支出は確認されなかった。

 

◆研究機関が行った措置

1.競争的資金の執行停止等の措置
  被申立者は本件研究不正の申立があった平成23年度から科学研究費補助金の助成を受けていたが、事業廃止承認申請を行い助成金の返還を行った。

 

2.不正行為を認定した者に対する大学の対応(処分等)
  調査委員会からの調査報告を受け、職員就業規則に基づき、審査会の審議を経て、平成24年5月20日付けで被申立者を諭旨解雇処分とした。

 

3.論文の取り下げ
  不正行為と認定及び研究者倫理に反する不適切な行為と判定した論文18編の取り下げ勧告を行い、取り下げ手続きを行った。

 

◆発生要因及び再発防止策

1.発生要因
 大学では平成20年3月に大学における研究者等の行動規範を策定し研究者倫理向上のための啓発活動を行うとともに、「研究活動の不正行為への対応のガイドライン」(平成18年8月8日研究活動の不正行為に関する特別委員会報告書)に沿った体制を整備し、大学における研究活動の不正行為への対応に関する規程の制定、不正行為の申立窓口や調査体制の整備、調査の手順等を確立した。その後、ホームページへの掲載、説明会等での周知など、研究者倫理の向上や不正行為の防止対策に努めてきたところであるが、研究上の倫理意識に欠ける一部の研究者が存在していたことは否めなく、本事案が発生した要因としては、被申立者の研究者倫理の欠如により引き起こされ、同氏の研究者としての自覚が不足していたことが発生要因であったと考えられる。

 

2.再発防止策
 学長より、学内研究者に対して研究者倫理に基づく研究の実施について、メール配信するとともに、大学HP上に学長告示を掲載した。
 また、大学教員は、高い研究者倫理に基づき自由な発想で研究活動を行っているが、本事案は、被申立者のモラルの欠如に起因するものであり、再発防止のため、教授会において、役員より、研究活動における不正行為をしない、加担しないなど、責任ある研究活動に向けての研究者倫理に係る注意喚起を行うとともに、研修会等により継続して研究者倫理教育を徹底することとした。
 現在では、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(平成26年8月26日文部科学大臣決定)を踏まえ、平成28年4月、新たに大学における公正な研究活動の推進に関する規程を制定し、研究者の責務として研究者等に求められる倫理規範を修得させるための教育を受けなければならないと明記し、研究者等に以下の研修等の受講を徹底し、研究者倫理を遵守し、絶対に研究活動上の不正行為を行わないように強く注意を促し、研究活動の不正行為防止に取り組んでいる。
  ・研究倫理教材「科学の健全な発展のために」の配布・読了報告書の提出
  ・「研究倫理e-ラーニングコース(e-Learning Course on Research Ethics[eL CoRE])」の受講・修了証の提出
  ・研究者倫理セミナーを実施し、研究者倫理の向上及び不正行為防止の周知徹底
  ・学部学生・大学院学生への授業の際に教員による研究倫理教育の実施
 また、本事案を受け、教員の採用・昇任時の研究業績審査をより厳格に行うよう、平成24年度に候補者推薦手続及び資格審査手続等の見直し、在職期間中の業績及び資格審査報告書の保管の明文化など、教員選考規程等の一部改正を行った。

 

 

 

 

 

◆配分機関が行った措置

 本件は競争的資金による経費の支出がなく、かつ平成8年から平成23年に不正が行われた事案であることから、研究機関及び研究者に対する競争的資金の返還並びに研究者に対する競争的資金への申請及び参加資格の制限は行わない。

 

お問合せ先

科学技術・学術政策局人材政策課

研究公正推進室
電話番号:03-6734-3874

(科学技術・学術政策局人材政策課研究公正推進室)