研究活動上の不正行為(改ざん)の認定について(2017-02)

【基本情報】

番号

2017-02

不正行為の種別

改ざん

不正事案名

研究活動上の不正行為(改ざん)の認定について

不正事案の研究分野

細菌学(含真菌学)

調査委員会を設置した機関

大学

不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名

教授

不正行為と認定された研究が行われた機関

大学、研究所(ドイツ)

不正行為と認定された研究が行われた研究期間

告発受理日

平成24年2月28日

本調査の期間

平成24年4月10日~平成26年7月18日

不服申立てに対する再調査の期間

報告受理日

平成29年9月19日

不正行為が行われた経費名称

科学研究費補助金

 

 

【不正事案の概要等】

◆不正事案の概要

1.告発内容及び調査結果の概要
  本件は、平成24年2月28日、外部者から顕名で教授が発表した論文4編5項目6箇所に不正行為の疑いがある旨の申立てがあったものである。この申立てを受け、大学における研究活動上の不正行為への措置等に関する規程に基づき、申立てで不正行為が疑われた論文4編5項目6箇所に対する同教授から提出された陳述書及び証拠資料の検証、同教授への事情聴取、同教授から提出されたデータの画像解析より調査を行い、結果、画像解析において新たに判明した3項目6箇所を加えた計8項目12箇所の特定不正行為(改ざん)を認定したものである。

 

2.本調査の体制、調査方法、調査結果等について
 (1)調査委員会による調査体制
   11名(内部委員9名、外部委員2名)
 (2)調査の方法等
  1)調査対象
   ア)対象研究者:教授
   イ)対象論文
    申立者から不正行為の疑いがあるとの指摘があった論文4編

 (3)本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論
    申立者から研究活動における不正行為の疑いがあると指摘があった4編の論文に関し、調査結果を踏まえた結論は以下のとおり。

 

(結論)
  調査対象論文4編において、研究活動上の不正行為である「改ざん」があったと認定した。

 

(認定理由)
  特定不正行為(改ざん)が行われた研究データに係る実験は、全てドイツの研究所において行われたものである。当該実験のほとんどは、当時のドイツの研究所の実験助手及び同研究所の研究生が行ったものと特定できたが、幾つかの実験については、陳述書の検証及び事情聴取からも実験を行った者を特定するには至らなかった。また、実験から得られた研究データを、論文作成時に改ざんした者の特定にも至らなかった。
  責任著者である教授は、自らが実験等を行っていなくとも、論文を構成する理論及び実験結果等の内容全てを把握するとともに、それらの責任を負わなければならない。
  よって、教授は自己の責任において、当該研究活動が科学的に適正な方法と手続にのっとって行われたこと、論文等もそれに基づいて適切な表現で書かれたものであることを科学的根拠を示して説明しなければならないが、生データや実験・観察ノート等により、研究不正についての疑義を解消できる証拠を提出できなかった。このため、同教授について、不正行為を行ったとは特定できていないものの、不正行為のあった研究に係る論文等の責任を負う著者と認定する。

 

3.認定した不正行為に直接関連する経費の支出について
  特定不正行為(改ざん)を認定した論文4編の全てに謝辞として科学研究費補助金の成果である旨記載がある一方、不正項目に係る研究データは全て、教授が大学に着任する前(ドイツの研究所在籍時)に作成されたものである。
調査対象論文4編のうち1編については、当該補助金が追試実験に用いられていることが確認されており、当該補助金の成果であると考えられる。
  一方で、その他3編については、当該補助金が追試実験に用いられていないことが確認されており、当該補助金の研究計画とも、科学的・学術的に関連性が直接的には認められないため、当該補助金の成果ではないと考えられる。
なお、当該補助金の成果と考えられる論文について、直接の因果関係が認められる支出は確認されていない。

 

◆研究機関が行った措置

・教授に対し、平成29年10月4日付けで懲戒処分(懲戒解雇)を行った。
・当該対象論文については、社会へ与える影響を考慮し、調査対象者に対し、平成26年7月18日付けで一度取下げを勧告しているが、改めて平成29年9月15日付けで取下げを勧告した。

◆発生要因及び再発防止策

1.発生要因
  平成19年4月1日に科学者行動規範を策定し、大学の教員が深遠な学理とその応用を考究する者として、社会からの信頼と負託に誠実に応えるべき責務を負っていることを自覚した上で、日々の研究活動に取り組むこととしていた。
  これまで、教職員に対して、研究者倫理の向上及び不正行為防止に関する説明会を開催するとともに、新任教員に対しても、新任教員説明会において同趣旨の周知徹底を図っているところではあるが、このたび、他の実験データを加工して存在しないデータを作り上げた行為は、研究者としての行動規範及び研究倫理に関する認識の甘さが原因と言わざるを得ない。

 

2.再発防止策
  前述の取組が十分な効果を発していなかったと考えられ、今後、研究者倫理のより一層の徹底を図るため、次の策を講じる。
 ・平成26年9月より、研究者倫理の向上及び不正行為防止に関する説明会を実施しているが、新たに教職員及び学生に対して、研究活動における不正行為の再発を防止するため、注意喚起文を配布し不正行為防止を改めて徹底する。また、教員に対し、関係する研究活動について再点検を促し、問題があった場合には、修正等、迅速に対処するよう指導する。
 ・研究者倫理の向上及び不正行為防止に関する説明会等の未受講者に対し、ウェブやDVD等による受講を積極的に促し、教職員のさらなる意識向上を図る。また、未受講の教員に対しては、受講が確認できるまで基盤研究費の配分を見合わせることとする。
 ・研究成果を公表した論文に関する実験ノート等の資料及び研究試料等に関しては、これまでも、一定期間の保有及び必要に応じて開示することを義務づけた取決めを部局ごとに定め準用してきたが、その運用状況について、年1回確認することとする。
 ・学部及び大学院の必修科目に研究倫理教育を取り入れ、早期からの理解を促進する。

 

 

 

 

 

◆配分機関が行った措置

  科学研究費助成事業について、改ざんと直接的に因果関係が認められる経費の支出はなかったため、返還を求めるものではないが、科学研究費助成事業の成果として執筆された論文であることから、当該資金への申請及び参加資格の制限の対象となる。このため、資金配分機関である日本学術振興会において、資格制限の措置(平成30年度~平成32年度(3年間))を講じた。

 

お問合せ先

科学技術・学術政策局人材政策課

研究公正推進室
電話番号:03-6734-3874

(科学技術・学術政策局人材政策課研究公正推進室)