京都大学教授による研究活動上の不正行為(改ざん)の認定について

【基本情報】

番号

2025-10

不正行為の種別

改ざん

不正事案名

京都大学教授による研究活動上の不正行為(改ざん)の認定について

不正事案の研究分野

細胞生物学

調査委員会を設置した機関

京都大学

不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名

京都大学 生命科学研究科 教授

不正行為と認定された研究が行われた機関

京都大学

不正行為と認定された研究が行われた研究期間

令和元年度~令和3年度

告発受理日

令和6年1月9日

本調査の期間

令和6年3月29日~令和7年6月18日

不服申立てに対する再調査の期間

報告受理日

令和8年2月13日

不正行為が行われた経費名称

科学研究費助成事業、革新的先端研究開発支援事業

 

【不正事案の概要等】

◆不正事案の概要

1.告発内容及び調査結果の概要
 令和5年12月に、生命科学研究科 教授(論文発表当時:ウイルス・再生医科学研究所 助教)が発表した1編の論文に対し、研究活動上の不正行為の疑いを指摘する告発があり、予備調査を経て本調査の実施を決定した。本調査の結果、当該論文1編について、改ざん(特定不正行為)を認定した。

2.本調査の体制、調査方法、調査結果等について
(1)調査委員会による調査体制
    1)部局調査委員会
    (令和6年3月4日付設置)
   6名(内部委員3名、外部委員3名)
    2)本部調査委員会
    12名(内部委員6名、外部委員6名)
 
(2)調査の方法等
 1)調査対象
  ア)調査対象者:京都大学生命科学研究科 教授
  イ)調査対象論文:1編(海外の学術誌:2021年)

 2)調査方法
  告発者から告発時に示された内容、調査対象論文に加え、筆頭著者かつ責任著者である調査対象者並びに調査対象者の所属研究室より提出された資料の精査の他、調査対象者及び実験に関与した共著者らへのヒアリング調査(書面によるものを含む)を実施した。
 
(3)本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論
 (結論)
   1)認定した不正行為の種別
    改ざん
   2)「不正行為に関与した者」として認定した者
    京都大学生命科学研究科 教授
  
 (認定理由)
  調査対象論文に掲載された2つの図に係る実験過程において、実験条件に変更があったものの、当該条件変更が正しく論文に反映されていない。このことは、画像データ撮影時や論文執筆時に実験ノートの確認をすること、または論文推敲時に共著者らに対して当該図の確認を指示することを行っていれば容易に回避できたものである。しかし、これを筆頭著者かつ責任著者である調査対象者が行わなかったことは、「教職員等としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠った」ものであり、これにより研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工・発表した行為は改ざんにあたると認定した。

 (不服申立て手続)
  調査結果に対して、調査対象者から不服申立てがなされたが、不服申立ての内容を審議した結果、再調査は不要と判断した。

3.認定した不正行為に直接関連する経費の支出について
 不正行為を認定した論文について以下の支出があった。
  ・革新的先端研究開発支援事業 539,070円(英文校正料、論文投稿料) 
 また、不正行為を認定した論文は科学研究費助成事業による研究成果でもあるが、不正行為を認定した論文の作成過程において、直接関係する経費の支出は認められなかった。
 

◆研究機関が行った措置

1.論文の取下げ等
 被認定者(調査対象者)は、部局調査委員会の管理下ではない状態で再実験を行い、論文訂正が行われたが、当該訂正は研究活動上の不正行為が認定されたことを理由に申請したものではないため、被認定者(調査対象者)に対して研究活動上の不正行為が認定されたことを理由として改めて論文訂正を申請するよう、勧告を行う。
 
2.被認定者に対する大学の対応(処分等)
 就業規則に基づき、処分を検討する。

◆発生要因及び再発防止策

1.発生要因
 ・責任著者と共著者間での情報共有の欠如により、誤った実験条件が訂正されることなく論文発表に至った。
 ・一部の共著者において、担当した実験部分に対して正確性をもって確認するという意識が不十分であった。
 ・被認定者は、多数の実験を並行して進めていたこと及び育児による時間的制約から物理的に余裕を欠いた状態にあったことから、実験データについては共著者の協力に依拠していたが、本来行うべき情報の共有や指示、受けるべき報告の確認等が不十分になってしまっていた。
 
2.再発防止策
 (部局における対応)
 ① 研究公正に関する定期的な規範教育を実施する。(実験指示・情報共有等のあり方、論文作成プロセスでの共通理解のあり方、研究内容の疑義について相談できる体制のあり方、実験データ記録・保存のあり方、論文最終チェックのあり方等)
 ② 研究者以外(院生、研究補助者等)にも①に関して共有を徹底する。
 ③ 新規採用者への着任後のe-Learningによる研究公正研修の受講徹底。
 ④ ①に加え、研究者が家庭の事情等も含めて業務過多となる状況を回避するため、育児・介護支援制度の周知徹底と活用を促すとともに、学内運営業務の負担軽減を図る。あわせて、研究グループ内での協力体制構築を指導する。
 ⑤ 研究科内の相談窓口(「よろず相談窓口」)の周知と活用促進。
 (全学的な再発防止策)
  従前の研究公正に関する教育・啓発、理解促進の取組に加え、令和6年10月に研究公正アクションプランを改正しており、それに基づき以下の取組を実施する。
  ① 学部・大学院入学時や卒業年度の学生等に対する公正な学術活動の教育。
  ② 学術マナー教育。(教員による適切な引用等の模範の提示、学術研究の統一的な理解と責任感・謙虚さを伴った発表に関する指導、剽窃等の不正の根絶に向けた指導等)
  ③ 大学院生への論文執筆教育の徹底。(対面によるチュートリアル、指導教員の実施状況や内容のモニタリング実施
  ④ 教員・研究者へのe-Learning等による研究公正研修義務化、研究公正パンフレットの配布を通じた理解促進。
  ⑤ 研究データ保存に係るルールの周知徹底、研究データ保存・管理の必要性・重要性に関する理解の促進など
  ⑥  環境の整備(啓発・教育資料の作成及び提供、部局における研究データの保存に責任を負う部局長に対する講習等を通じた研究データの適切な保存に係る体制強化等)

 

◆配分機関が行った措置

 特定不正行為(改ざん)が認定された論文は、科学研究費助成事業及び革新的先端研究開発支援事業の成果として執筆された論文であり、かつ革新的先端研究開発支援事業において改ざんと直接的に関係が認められる経費の支出があった。このため、資金配分機関である日本医療研究開発機構において、経費の返還を求めるとともに、日本学術振興会及び日本医療開発機構において、資格制限の措置(3年間(令和8年度~令和10年度))を講じた。

お問合せ先

科学技術・学術政策局参事官(研究環境担当)付

研究公正推進室
電話番号:03-6734-3874
メールアドレス:jinken@mext.go.jp

(科学技術・学術政策局参事官(研究環境担当)付研究公正推進室)