【基本情報】
番号 |
2025-02 |
不正行為の種別 |
改ざん |
不正事案名 |
信州大学教授による不正行為(改ざん)の認定について |
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不正事案の研究分野 |
生体関連化学 |
調査委員会を設置した機関 |
信州大学 |
不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名 |
信州大学学術研究院 教授、大阪大学 元教授 |
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不正行為と認定された研究が行われた機関 |
大阪大学 |
不正行為と認定された研究が行われた研究期間 |
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告発受理日 |
令和5年3月29日 |
本調査の期間 |
令和5年9月13日~令和7年2月19日 |
不服申立てに対する再調査の期間 |
- |
報告受理日 |
令和7年4月18日 |
不正行為が行われた経費名称 |
科学研究費助成事業 |
【不正事案の概要等】
◆不正事案の概要 |
1.告発内容及び調査結果の概要 令和5年3月に通報窓口に通報書類の提出があり、事案の内容が明示され、不正とする科学的な合理性のある理由が示されていたため、告発を受理した。 本調査の結果、論文1編において、改ざん(特定不正行為)が行われたと認定した。 2.本調査の体制、調査方法、調査結果等について (1)調査委員会による調査体制 7名(内部委員3名、外部委員4名) (2)調査の方法等 1)調査対象 ア)調査対象者:信州大学学術研究院 教授、大阪大学 元教授 その他共著者1名 イ)調査対象論文:1編(海外の学術誌:2011年) 2)調査方法 調査対象者に対するヒアリングを実施し、調査対象論文における役割分担、原画像と論文掲載画像の相違について事実確認を行うとともに、研究体制、データチェックの方法等について事実確認を行った。 (3)本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論 (結論) 1)認定した不正行為の種別 改ざん 2)「不正行為に関与した者」として認定した者 信州大学学術研究院 教授 3)「不正行為に関与していないものの、不正行為のあった研究に係る論文等の責任を負う著者」として認定した者 大阪大学 元教授 (認定理由) 調査対象とした論文掲載画像のうち、1つについて部分的な加工がなされていた事実を確認した。当該画像の加工は、意図的に特定の情報を隠したものではなく、ノイズを除去し画像を鮮明に見せるために行った行為ではあるものの、当該論文発行当時の研究者コミュニティの慣行において、当該加工行為は一般的ではなかったため、改ざんを認定した。 (不服申立て手続) 論文を発表した当時、当該行為は明確に禁止されていなかったこと、また、論文の結論に影響を及ぼすデータ操作は行っていなかったことから、「改ざん」と認定することについて再考を求める旨の不服申立てがあった。しかしながら、本論文発行当時の研究者コミュニティの慣行において、このような加工を行うことは一般的ではなく、調査対象者は図の加工の事実を認めており、これを覆す新たな事実は記載されていないことから、再調査を行わないことを決定した。 3.認定した不正行為に直接関連する経費の支出について 科学研究費助成事業による研究成果であるが、特定不正行為(改ざん)を認定した論文の作成過程において、直接関係する経費の支出は認められなかった。 |
◆研究機関が行った措置 |
1.論文の訂正 不正行為を認定した者に対して、論文の訂正を勧告した。 2.被認定者に対する大学の対応(処分等) 不正行為を認定した者に対して、就業規則に基づき注意を行った。 |
◆発生要因及び再発防止策 |
1.発生要因 論文が執筆された当時は、大阪大学の規程において組織的な研究倫理教育について定められておらず、研究室単位で教育を行っていた。 不正行為を認定した研究者は、ノイズを除去し画像を鮮明に見せるために行った行為が改ざんに当たるとの認識を十分に持っていなかった 。 また、研究室単位での組織的なチェック体制は整備され、「月報」の際に画像等は確認していたが、詳細なデータ確認等が十分でなかったと考えられる 。 2.再発防止策 研究倫理教育を継続して確実に実施することで、不正行為の防止に努めるなど、研究倫理教育を徹底する。 本事案を研究倫理教育で周知することにより、実験により得られたデータと論文記載データの照合についての注意喚起を図り、不正行為の防止に努める。 |
◆配分機関が行った措置 |
科学研究費助成事業について、改ざんと直接的に因果関係が認められる経費の支出はなかったため、返還を求めるものではないが、認定された論文は科学研究費助成事業の成果として執筆された論文である。このため、資金配分機関である日本学術振興会において、資格制限の措置を講じる予定である。 |
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