【基本情報】
番号 |
2023-10 |
不正行為の種別 |
先行研究の不適切な扱い |
不正事案名 |
熊本大学准教授による研究活動上の不正行為(先行研究の不適切な扱い)の認定について |
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不正事案の研究分野 |
史学 |
調査委員会を設置した機関 |
熊本大学 |
不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名 |
熊本大学 大学院人文社会科学研究部 准教授 |
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不正行為と認定された研究が行われた機関 |
熊本大学 |
不正行為と認定された研究が行われた研究期間 |
令和元年度~令和4年度 |
告発受理日 |
令和5年3月30日 |
本調査の期間 |
令和5年5月22日~令和6年1月19日 |
不服申立てに対する再調査の期間 |
- |
報告受理日 |
令和6年2月21日 |
不正行為が行われた経費名称 |
科学研究費助成事業 |
【不正事案の概要等】
◆不正事案の概要 |
1.告発内容及び調査結果の概要 令和5年3月30日、大学院人文社会科学研究部准教授が発表した論文について、指導学生の論文・論考内容に大いに関連しているにもかかわらず、その先行研究を無視しているとして、研究倫理上の疑義がある旨の告発があった。予備調査の結果を受けて本調査を行うこととし、研究活動調査委員会を設置した。本調査の結果、論文1編に「先行研究の不適切な扱い」が行われたと認定した。 2.本調査の体制、調査方法、調査結果等について (1)調査委員会による調査体制 5名(内部委員2名、外部委員3名) (2)調査の方法等 1)調査対象 ア)調査対象者:熊本大学 大学院人文社会科学研究部 准教授 イ)調査対象論文:1編(国内の学術誌:2022年) 2)調査方法 ・告発内容の確認、予備調査結果の確認、本調査の方針 ・先行研究(論文等)と調査対象論文との比較分析 ・調査対象者及び関係者からの聞き取り(ヒアリング)調査等 (3)本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論 (結論) 1)認定した不正行為の種別 先行研究の不適切な扱い 2)「不正行為に関与した者」として認定した者 熊本大学 大学院人文社会科学研究部 准教授 (認定理由) 准教授は、論文冒頭において、「・・・の研究は、・・・・ものの、他国者に対する法概念を検討したものはない」と記述している。しかし、指導学生のレジュメや論文(卒業論文・修士論文・学術論文)は、「他国者に対する法概念を検討した先行研究」として当然踏まえるべきものであった。 指導学生への指導を通し、当然認識していた先行研究の存在を殊更無視し、その研究成果を否定し言及しなかったことは、著しく研究作法・研究倫理に反したものであるため、研究活動上の不正行為である「先行研究の不適切な扱い」を認定した。 3.認定した不正行為に直接関連する経費の支出について 科学研究費助成事業による研究成果であるが、不正行為を認定した論文の作成過程において、直接関係する経費の支出は認められなかった。 |
◆研究機関が行った措置 |
1.論文の取り下げ 准教授に対し、不正行為を認定した論文の取り下げ勧告を行った。 2.被認定者に対する大学の対応(処分等) 准教授について、令和6年4月18日付で懲戒処分として減給とした。 |
◆発生要因及び再発防止策 |
1.発生要因 1)研究公正・研究倫理に対する認識・知識・理解の欠如 准教授個人の研究公正・研究倫理に対する姿勢の問題によるところが大きい。研究倫理教育は受講していたが、研究作法・研究倫理が著しく不足していたものと思われる。 2)背景 元々同じ研究室(ゼミ)の師弟関係にあり、共に研究活動を重ねてきた中で、准教授のサバティカル取得や師弟間の信頼関係が壊れていっていた背景があり、これも発生要因の一つになっているものと思われる。 2.再発防止策 「論文のオリジナリティと先行研究の確認(先行研究の不適切な扱い)」及び「研究データの保存」について、啓発活動の中でテーマとして取り上げ、「公正研究便り(各回テーマを取り上げて大学で作成。年間4半期に1回を目安に全教職員宛てメール送信している。)」にて、周知及び注意喚起を図り、啓発を高めていく。 |
◆配分機関が行った措置 |
特定不正行為が認定されていないため、研究者に対する措置は講じない。 |
研究公正推進室
電話番号:03-6734-3874
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