【基本情報】
番号 |
2023-07 |
不正行為の種別 |
捏造、改ざん |
不正事案名 |
山口大学講師による研究活動上の不正行為(捏造・改ざん)の認定について |
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不正事案の研究分野 |
医学 |
調査委員会を設置した機関 |
山口大学 |
不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名 |
山口大学 大学院医学系研究科医化学講座 講師 |
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不正行為と認定された研究が行われた機関 |
山口大学 |
不正行為と認定された研究が行われた研究期間 |
平成23年度~平成29年度 |
告発受理日 |
令和4年6月17日、令和4年7月11日、令和4年10月24日 |
本調査の期間 |
令和4年8月30日~令和5年9月29日 |
不服申立てに対する再調査の期間 |
- |
報告受理日 |
令和5年11月27日 |
不正行為が行われた経費名称 |
科学研究費助成事業、医療研究開発推進事業費補助金(橋渡し研究戦略的推進プログラム) |
【不正事案の概要等】
◆不正事案の概要 |
1.告発内容及び調査結果の概要 医学系研究科医化学講座講師の論文に研究活動における不正行為の疑いがある旨の告発があった。予備調査の結果を受けて本調査を行うこととし、調査委員会を設置した。本調査の結果、論文2編に捏造及び改ざん、論文1編に改ざんを認定した。 2.本調査の体制、調査方法、調査結果等について (1)調査委員会による調査体制 8名(内部委員4名、外部委員4名) (2)調査の方法等 1)調査対象 ア)調査対象者:山口大学 大学院医学系研究科医化学講座 講師、その他告発者2名 イ)調査対象論文:4編(海外の学術誌:2015年(2編)、2016年(1編)、2022年(1編)) 2)調査方法 告発者及び被告発者からの聴取(ヒアリング)、物的証拠(論文の基となった実験段階におけるオリジナル画像、実験ノート)の精査、画像解析専門会社への解析委託 (3)本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論 (結論) 1)認定した不正行為の種別 捏造、改ざん 2)「不正行為に関与した者」として認定した者 山口大学 大学院医学系研究科医化学講座 講師 (認定理由) 調査対象論文1編について、特異バンドの消去及び加工、別バンドの貼り付けがあったことから、捏造及び改ざんを認定し、故意による不正行為とした。また、調査対象論文2編について、論文の図に掲載したデータが実験ノートと著しく異なっていたことから、研究データの捏造及び改ざんと認定し、故意による不正行為とした(1編は捏造及び改ざん、1編は改ざん)。 (不服申立て手続) 調査結果を通知したところ、講師から不服申立てがなされたが、調査委員会で審議した結果、再調査の必要は認められず不服申立てを却下した。 3.認定した不正行為に直接関連する経費の支出について 科学研究費助成事業及び医療研究開発推進事業費補助金(橋渡し研究戦略的推進プログラム)による研究成果であり、不正行為を認定した論文について以下の支出があった。 ・科学研究費助成事業 169,904円(論文掲載料) |
◆研究機関が行った措置 |
1.論文の取下げ 講師に対し、大学の規程に基づき、不正行為を認定した論文3編の取り下げを勧告した。 2.被認定者に対する大学の対応(処分等) 講師について、令和6年1月16日付で懲戒解雇処分とすることを決定した。 3.競争的研究費等の執行停止等の措置 研究活動の停止及び研究費の使用停止について講師に勧告した。 |
◆発生要因及び再発防止策 |
1.発生要因 ・大学では、全ての研究者に対し、研究倫理教育に係るe-learning 教材の受講を5年に1回義務付けており、講師においても令和4 年度に受講していたが、基本的な研究者としてのコンプラライアンス・規範意識の欠如があった。 ・大学の研究資料等の保存に関するガイドラインにおいて、研究成果発表のもととなった研究資料の保存の必要性や保存期間などが規定されているが、講師からは、研究データが凡そ提出されておらず、パソコンが壊れてデータが紛失した旨が申述されているが、真摯に研究に向き合う姿勢の欠如があった。 ・講師における医学系研究科医化学講座構成員とのコミュニケーションの欠如があった。 2.再発防止策 事案発生部局である医学系研究科はもとより、大学の全ての部局において e-learning 教材の受講の理解を深めるため、分野別の実効性ある取組として、部局長主導で電気泳動画像を取り扱う生命科学系の全研究室に対してAMED 教材等を用いた適正な画像処理方法の指導を行う。 併せて、本事案を契機として医学系研究科における講座制下の研究室主宰者の役割とその他の構成員との関係の明確化を図ることとともに、実験ノート及び研究データ等の保管を確実ならしめること、さらに論文提出前には共著者間で、掲載データ等について不正のないことについてチェックすることを、講座制研究組織の機能として明確に位置付ける。 また、研究データについては、必要な保存期間や適切なバックアップをおこなうことを学内会議やメール等により改めて周知する。 |
◆配分機関が行った措置 |
特定不正行為(捏造・改ざん)が認定された論文は、科学研究費助成事業及び医療研究開発推進事業費補助金(橋渡し研究戦略的推進プログラム)の成果として執筆された論文であり、かつ、科学研究費助成事業において捏造・改ざんと直接的に因果関係が認められる経費の支出があった。このため、資金配分機関である日本学術振興会及び日本医療研究開発機構において、被認定者に対し、実施する事業への申請及び参加資格の制限措置(令和6年度~令和 12年度(7年間))を講じるとともに、日本学術振興会において、経費の返還を求めた。 |
研究公正推進室
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