【基本情報】
番号 |
2023-06 |
不正行為の種別 |
盗用 |
不正事案名 |
立教大学教授による研究活動上の不正行為(盗用)の認定について |
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不正事案の研究分野 |
翻訳学 |
調査委員会を設置した機関 |
立教大学 |
不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名 |
立教大学 異文化コミュニケーション学部 教授 |
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不正行為と認定された研究が行われた機関 |
立教大学 |
不正行為と認定された研究が行われた研究期間 |
平成25年~令和3年 |
告発受理日 |
令和4年12月21日 |
本調査の期間 |
令和5年1月20日~令和5年10月24日 |
不服申立てに対する再調査の期間 |
- |
報告受理日 |
令和5年12月4日 |
不正行為が行われた経費名称 |
科学研究費助成事業 |
【不正事案の概要等】
◆不正事案の概要 |
1.告発内容及び調査結果の概要 令和4年12月21日、他の研究者が作成した図を引用の記載なしに無断で論文及び発表に掲載したことが盗用にあたる旨の告発があった。予備調査の結果、本調査を行うこととし、調査委員会を設置した。調査の結果、論文及び発表7件について盗用(特定不正行為)が行われたと認定した。 2.本調査の体制、調査方法、調査結果等について (1)調査委員会による調査体制 4名(内部委員2名、外部委員2名) (2)調査の方法等 1)調査対象 ア)調査対象者:立教大学 異文化コミュニケーション学部 教授 イ)調査対象論文:論文及び発表7件(国内の学術誌:2018年(2編)、海外の学術誌:2019年(2編)、紀要論文:2021年(1編)、セミナー講演スライド:2019年、講演動画:2020年) 2)調査方法 ・先行研究(論文)と調査対象論文との比較分析 ・調査対象者及び関係者からの聞き取り(ヒアリング)調査 ・科学研究費助成事業の研究課題の成果物として公表されている調査対象論文および発表に関わる、経費使用状況と証憑類の調査 (3)本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論 (結論) 1)認定した不正行為の種別 盗用 2)「不正行為に関与した者」として認定した者 立教大学 異文化コミュニケーション学部 教授 (認定理由) 他者が作成した図を自らの研究成果に含めて公表する際には、それが共同研究などのために提供されたものであっても、図の作成者および出典情報を確認し、それらの情報とあわせて記載することで「適切な表示」を行わなければならないところ、教授は、告発者が参加者限定のワークショップの研究報告のために作成し提出した資料に掲載された図の電子データを当該資料から取得し、それが研究成果として公表されていなかったにもかかわらず、調査対象の論文及び発表7件において使用したことから、盗用を調査委員会において認定した。 (不服申立て手続) 調査結果を通知したところ、調査対象者から不服申立てがなされたが、調査委員会で審議した結果、不服申立てを却下した。 3.認定した不正行為に直接関連する経費の支出について 不正行為を認定した論文等のうち3件は科学研究費助成事業による研究成果であるが、不正行為を認定した論文の作成過程において、直接関係する経費の支出は認められなかった。 |
◆研究機関が行った措置 |
1.論文等への対応 不正行為が認定された論文等の対応については、教授が元図の作成者との間で協議を進めているため、大学はその進捗を監督し、適宜必要な助言と指導を行う。 2.被認定者に対する大学の対応(処分等) 教授に対し、今後、速やかに厳正な処分等を行う。 3.競争的研究費等の執行停止等の措置 教授へ調査結果を通知した令和5年10月25日付で、競争的研究費(学外・学内)の執行を停止した。 |
◆発生要因及び再発防止策 |
1.発生要因 主な発生原因は、参加者が限られた研究会合で他の参加者によって提示された図表を、共同の利用に提供されたものと教授が誤って認識したことに起因する。 一般的な認識として、盗用があってはならないとの認識は教授自身も有しているものの、主観的な仲間意識による甘えが、そうした規範的認識を研究活動の場において具体的な行動として移すことを妨げたものと認められる。教授は大学着任後、大学が実施する研究倫理・コンプライアンスに関する研修を受講しており、研究者等の行動規範及び公的研究費の使用に係る行動規範を遵守する旨の誓約書も提出しているため、研究倫理に関する基本的な知識は持ち得ていたはずであるが、研究者の責務や研究倫理の理解が十分浸透していないと思われる点が見受けられ、教授自身に自覚の欠如があったと言わざるを得ない。 2.再発防止策 これまで、大学の不正防止計画推進本部会議において、毎年不正防止計画を策定し、盗用に対する意識喚起や啓発活動を実行してきた。今後も、全教員を対象とした研究倫理教育を実施するとともに、教授個人に対しては、他の研究者の研究成果の尊重及び配慮に対する意識を高めるための学修を強く求め、専門家による個別の研修受講を義務付ける。 |
◆配分機関が行った措置 |
科学研究費助成事業について、盗用と直接的に因果関係が認められる経費の支出はなかったため、返還を求めるものではないが、盗用が認定された論文は科学研究費助成事業の成果として執筆された論文である。このため、資金配分機関である日本学術振興会において、被認定者に対し当該資金への申請及び参加資格の制限措置(令和6年度~令和8年度(3年間))を講じた。 |
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